ipcs - プロセス間通信状況を報告する
構文
ipcs [-ETabcjmnopqstu]
説明
ipcs ユーティリティーは、 システム上にすでにあるプロセス間通信 (IPC) についての情報を報告します。 ipcs ユーティリティーは、共通権限が *EXCLUDE に設定された状態で出荷されます。 ユーザーは、*SERVICE 特殊権限がないと ipcs を実行できません。
ipcs は、 指定された IPC メカニズムと一致するすべての項目情報を自動的に報告します。 追加情報は指定されたオプションに基づいて報告されます。
IPC メカニズムが指定されていない場合は、5 つのすべてのメカニズムが報告されます。 IPC メカニズムは、-m オプションで共用メモリーを、-n オプションで名前付きセマフォーを、-s オプションでセマフォー・セットを、-q オプションでメッセージ待ち行列を、 または -u オプションで名前なしセマフォーを指定します。
すべての共用メモリー、セマフォー・セット、 およびメッセージ待ち行列項目に関して以下の情報が報告されます。
- メカニズムのタイプ (T 欄)。
- 項目 ID (10 進数形式) (ID 欄)。
- 項目キー (16 進数形式) (KEY 欄)。
- 項目のアクセス・モードおよびフラグ (MODE 欄)。
- 項目所有者のユーザー・プロファイル (OWNER 欄)。
- 項目所有者のグループ・プロファイル (GROUP 欄)。
すべての名前付きセマフォー項目について以下の情報が報告されます。
- メカニズムのタイプ (T 欄)。
- セマフォーの名称 (TITLE 欄)。
- 項目のアクセス・モードおよびフラグ (MODE 欄)。
すべての名前なしセマフォー項目について以下の情報が報告されます。
- メカニズムのタイプ (T 欄)。
- セマフォーの名称 (TITLE 欄)。
オプション
報告する IPC メカニズムを選択するために以下のオプションが使用されます。
- -m
- システム上の共用メモリー項目を表示します。
- -n
- システム上の名前付きセマフォー項目を表示します。
- -q
- システム上のメッセージ待ち行列項目を表示します。
- -s
- システム上のセマフォー・セット項目を表示します。
- -u
- システム上の名前なしセマフォー項目を表示します。
以下のオプションで、IPC メカニズムの報告に含める追加情報を選択します。
- -a
- -b、-c、-o、-p、 および -t の各オプションが指定された場合のように、すべての情報を報告します。
- -b
- 最大許容サイズを表示します。 メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には QBYTES 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、報告書には SEGSZ 欄が組み込まれます。 セマフォー・セットが指定されている場合、報告書には NSEMS 欄が組み込まれます。 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーが指定されている場合、 報告書には VALUE 欄および NWAITERS 欄が組み込まれます。
- -c
- 項目の作成者のユーザー・プロファイルおよびグループ・プロファイルを表示します。 すべてのメカニズムに関して、報告書には CREATOR 欄および CGROUP 欄が組み込まれます。
- -E
- 拡張情報を表示します。
メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には WPID、
WTID、MSGTYPE、および SIZE の各欄が組み込まれます。
共用メモリーが指定されている場合、
報告書には APID 欄、NUMATT 欄、および PAGESZ 欄が組み込まれます。
セマフォー・セットが指定されている場合、報告書には SEMNUM、SEMVAL、LOPID、WAITZ、
WAITP、および WAITVAL の各欄が組み込まれます。
名前付きセマフォーが指定されている場合、報告書には NAME、LPOST、LWAIT、
WAITER、JOB、および THREAD の各欄が組み込まれます。
名前なしセマフォーが指定されている場合、
報告書には LPOST、LWAIT、WAITER、JOB、および THREAD の各欄が組み込まれます。
他のシステムでは、これほど詳細なレベルの設定ができないため、 このオプションは -a オプションと分離されています。 このオプションを指定すると、項目ごとに最低 1 行が追加されます。
- -j
- -E オプションも指定される場合、プロセス ID の代わりに修飾ジョブ名を表示します。メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には WPID ではなく WJOBID 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、報告書には APID ではなく AJOBID 欄が組み込まれます。 セマフォー・セットが指定されている場合、報告書には LOPID ではなく LOJOBID 欄、WAITZ ではなく WAITZJID 欄、および WAITP ではなく WAITPJID 欄 が組み込まれます。
- -o
- 未解決の使用法についての情報を表示します。 メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には CBYTES 欄および QNUM 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、報告書には NATTCH 欄が組み込まれます。
- -p
- プロセス ID 情報を表示します。 メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には LSPID 欄および LRPID 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、報告書には CPID 欄および LPID 欄が組み込まれます。
- -t
- 時刻情報を表示します。 メッセージ待ち行列が指定されている場合、 報告書には CTIME 欄、RTIME 欄、および STIME 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、 報告書には CTIME 欄、ATIME 欄、および DTIME 欄が組み込まれます。 セマフォー・セットが指定されている場合、 報告書には CTIME 欄および OTIME 欄が組み込まれます。
- -T
- スレッド情報を表示します。メッセージ待ち行列が指定されている場合、報告書には LSTID 欄および LRTID 欄が組み込まれます。 共用メモリーが指定されている場合、報告書には CTID 欄および LTID 欄が組み込まれます。 セマフォー・セットが指定されている場合や、-E オプションが指定されている場合、 報告書には LOTID 欄、WAITZTID 欄、および WAITPTID 欄が組み込まれます。
オペランド
オペランドはありません。
補足説明
下記のリストは、出力に報告することのできるすべての欄の説明です。 欄の名前の後、その欄を表示するためのオプションを示します。 「デフォルト」という値は、 どのオプションが指定されていてもその欄は常に表示されるという意味です。
- AJOBID (-Ej)
- 共用メモリー・セグメントに付加されているジョブの修飾ジョブ名。
- ATIME (-t, -a)
- ジョブが最後に共用メモリー・セグメントに付加した時刻。
- APID (-E)
- 共用メモリー・セグメントに付加されているジョブのプロセス ID。
- CBYTES (-o, -a)
- 現在メッセージ待ち行列上にあるメッセージの合計バイト数。
- CGROUP (-c, -a)
- 項目の作成者のグループ・プロファイル。
- CPID (-p, -a)
- 共用メモリー・セグメントを作成したジョブのプロセス ID。
- CTID (-T)
- 共用メモリー・セグメントを作成したスレッドのスレッド ID。
- CREATOR (-c, -a)
- 項目の作成者のユーザー・プロファイル。
- CTIME (-t, -a)
- 項目が作成された時刻、 または所有者または許可 (あるいはその両方) が変更された時刻のうち、最後のもの。
- DTIME (-t, -a)
- ジョブが最後に共用メモリー・セグメントから切り離された時刻。
- GROUP (デフォルト)
- 項目所有者のグループ・プロファイル。
- ID (デフォルト)
- 項目 ID (10 進数形式)。
- JOB (-E)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを待機しているジョブの完全修飾ジョブ名。
- KEY (デフォルト)
- 項目キー (16 進数形式)。
- LOJOBID (-Ej)
- semop() を使用して、セマフォーの値を最後に変更したジョブの修飾ジョブ名。
- LOPID (-E)
- semop() を使用して、セマフォーの値を最後に変更したジョブのプロセス ID。
- LOTID (-TE)
- semop() を使用して、セマフォーの値を最後に変更したスレッドのスレッド ID。
- LPID (-p, -a)
- 共用メモリー・セグメントに接続したジョブまたはそこから切り離しをしたジョブ、 またはセマフォーの値を変更したジョブのうち、最後のもののプロセス ID。
- LPOST (-E)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを最後に追加したスレッドの完全修飾ジョブ名、 およびスレッド ID。
- LRPID (-p, -a)
- msgrcv() を使用して、メッセージ・キューからメッセージを最後に受信したジョブのプロセス ID。
- LRTID (-T)
- msgrcv() を使用して、メッセージ・キューからメッセージを最後に受信したスレッドのスレッド ID。
- LSPID (-p, -a)
- msgsnd() を使用して、メッセージ・キューへメッセージを最後に送信したジョブのプロセス ID。
- LSTID (-T)
- msgsnd() を使用して、メッセージ・キューへメッセージを最後に送信したスレッドのスレッド ID。
- LTID (-T)
- 共用メモリー・セグメントに接続、またはそこから切り離しをした最後のスレッドのスレッド ID。
- LWAIT (-E)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを最後に待機したスレッドの完全修飾ジョブ名、 およびスレッド ID。
- MODE (デフォルト)
- 項目の状態および許可に関する情報を与える 11 文字のフィールド。
最初の文字は次のいずれかです。
- D
- その項目は損傷を受けているため、その項目を操作することはできません。 内部エラーが発生した場合に限って、項目にはマークが付けられます。
- T
- その項目は共用メモリー・セグメントであり、セグメントはテラスペース・ストレージを使用します。
- Y
- その項目は共用メモリー・セグメントであり、セグメントはテラスペース・ストレージを使用します。 また、その項目は損傷を受けています。
- -
2 番目の文字は次のいずれかです。
- R
- その項目はメッセージ待ち行列であり、スレッドが msgrcv() への呼び出しを待っている。
- S
- その項目はメッセージ待ち行列であり、スレッドが msgsnd() への呼び出しを待っている。
- D
- その項目は共用メモリー・セグメントであり、共用メモリー・セグメントは、 すべてのジョブが共用メモリーから切り離されるとき、除去されるようにマークされます。
- -
- 上記のいずれも適用されません。
次の 9 文字は、3 つずつの許可が 3 セットあるものとして解釈されます。 最初のセットは所有者の許可、2 番目のセットはグループの許可、3 番目のセットはその他の許可を示します。 各セット内で、先頭文字は読み取り許可を表し、2 番目の文字は書き込み許可を表し、 最後の文字は現在未使用です。
許可の意味は次のとおりです。
- r
- 読み取り許可が認可されている。
- w
- 書き込み許可が認可されている。
- -
- 当該の許可が認可されていない。
- MSGTYPE (-E)
- 現在メッセージ待ち行列上にあるメッセージのタイプ。
- NAME (-E)
- 名前付きセマフォーのパス名。
- NATTCH (-o, -a)
- 共用メモリー・セグメントへの現在の接続数。
- NUMATT (-E)
- ジョブが共用メモリー・セグメントに接続された回数。
- NSEMS (-b, -a)
- セマフォー・セット中のセマフォーの数。
- NWAITERS (-b, -a)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを待機しているスレッドの数。
- OTIME (-t, -a)
- セマフォー・セットを使用して semop() が最後に呼び出された時刻。
- OWNER (デフォルト)
- 項目所有者のユーザー・プロファイル。
- PAGESZ (-E)
- 共用メモリー・セグメントをバッキングするストレージのページ・サイズ (バイト単位)。
- QBYTES (-b, -a)
- メッセージ待ち行列上に許可されている最大のバイト数。
- QNUM (-o, -a)
- 現在メッセージ待ち行列上にあるメッセージの数。
- RTIME (-t, -a)
- メッセージ待ち行列を使用して msgrcv() が最後に呼び出された時刻。
- SEGSZ (-b, -a)
- 共用メモリー・セグメントのサイズ。
- SEMNUM (-E)
- セマフォー・セット中のセマフォー番号。
- SEMVAL (-E)
- セマフォーの値。
- SIZE (-E)
- メッセージ待ち行列上にあるメッセージのサイズ。
- STIME (-t, -a)
- メッセージ待ち行列を使用して msgsnd() が最後に呼び出された時刻。
- T (デフォルト)
- 項目タイプ。 その値は、共用メモリー・セグメントの場合は M、名前付きセマフォーの場合は N、 メッセージ待ち行列の場合は Q、セマフォー・セットの場合は S、 または名前なしセマフォーの場合は U となります。
- THREAD (-E)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを待機しているスレッドのスレッド ID。
- TITLE (デフォルト)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーの名称。
- VALUE (-b, -a)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーの現行値。
- WAITER (-E)
- 名前付きセマフォーまたは名前なしセマフォーを待機しているスレッドのインデックス番号。
- WAITP (-E)
- セマフォーの値が正数になるのを待機しているジョブのプロセス ID。
- WAITPJID (-Ej)
- セマフォーの値が正数になるのを待機しているジョブの修飾ジョブ名。
- WAITPTID (-ET)
- セマフォーの値が正数になるのを待機しているスレッドのスレッド ID。
- WAITVAL (-E)
- スレッドは、セマフォーがこの値になるまで待機します。
- WAITZ (-E)
- セマフォーの値がゼロになるのを待機しているジョブのプロセス ID。
- WAITZJID (-Ej)
- セマフォーの値がゼロになるのを待機しているジョブの修飾ジョブ名。
- WAITZTID (-ET)
- セマフォーの値がゼロになるのを待機しているスレッドのスレッド ID。
- WJOBID (-Ej)
- メッセージの受信を待っているジョブの修飾ジョブ名。
- WPID (-E)
- メッセージの受信を待っているジョブのプロセス ID。
- WTID (-E)
- メッセージの受信を待っているスレッドのスレッド ID。
終了状況
- 0 正常終了。
- >0 エラー発生。