標準通信トレース

通信トレース機能を使って、 通信構成オブジェクトでのデータのトレースを開始したり停止したりすることができます。 データのトレースの実行を完了した後、 印刷または表示用にそのデータをフォーマットすることができます。 印刷装置ファイルは、出力待ち行列の中でしか見ることはできません。

通信トレース・オプションは、システム保守ツール (SST) のもとで実行します。 SST を使うと、通信トレースの活動中に構成オブジェクトを使用することができます。 分散データベース・ネットワークで使えるどの通信タイプのデータでも、 トレースしてフォーマットすることができます。

システムに接続されている任意の画面から、通信トレースを実行することができます。*SERVICE の特殊権限 (SPCAUT) をもつユーザーはだれでも、IBM® i オペレーティング・システム上でトレースを実行することができます。通信トレースは、すべての回線速度をサポートします。

通信トレースは、次のような状況下で使用してください。

  • 問題分析手順では、問題について十分な情報が得られない場合。
  • プロトコル違反の問題があると疑われる場合。
  • 回線ノイズが問題であると疑われる場合。
  • システム・ネットワーク体系 (SNA) バインド問題があることをエラー・メッセージが示している場合。

通信トレースで生成されるデータを正しく解釈するには、使用する回線プロトコルの詳しい知識が必要です。

可能な限り、回線をオンに構成変更する前に通信トレースを開始してください。 そうすれば、オンに構成変更されたときの回線の最も正確なサンプルが得られます。

APPC トレースを実行してその出力を処理するには、どの回線、制御装置、 および装置で実行しているかが分かっていなければなりません。

TCP/IP トレースの出力で不要なデータをフォーマットし、回避するには、 ソースおよびサーバーの IP アドレスを指定することができます。 その代わりに、単にポート番号を指定するだけで十分な場合もあり、より容易です。

次のコマンドを使って、通信トレースを開始、終了、印刷、削除、およびダンプすることができます。

通信トレース開始 (STRCMNTRC) コマンド
指定された回線またはネットワーク・インターフェース記述の通信トレースを開始します。 「トレースするバイト数 (Number of bytes to trace)」パラメーターの「先頭バイト (Beginning bytes)」の値に *MAX を指定します。 通信トレースは、通信トレースの終了 (ENDCMNTRC) コマンドが実行されるまで続きます。

例えば、以下のコマンドを入力して、イーサネット回線に関する通信トレースを開始できます。STRCMNTRC CFGOBJ(ETHLINE) CFGTYPE(*LIN) MAXSTG(20000) USRDTA(*MAX)

使用しているイーサネット回線を判別するには、以下のコマンドを入力します。

WRKCFGSTS *LIN

通信トレース終了 (ENDCMNTRC) コマンド
指定された回線またはネットワーク・インターフェース記述で実行している通信トレースを終了します。

イーサネット回線に関する通信トレースを終了するには、以下のコマンドを入力します。

ENDCMNTRC CFGOBJ(ETHLINE) CFGTYPE(*LIN)

通信トレース・ダンプ (DMPCMNTRC) コマンド
指定した回線、ネットワーク・インターフェース記述、またはネットワーク・サーバー記述の不定様式のトレース・データを、ユーザー指定のストリーム・ファイルにコピーします。
イーサネット回線に関する通信トレースを統合ファイル・システムのファイルにダンプできます。追加のヘッダー情報は統合ファイル・システムのファイルにダンプされます。
注: STRDST 通信トレースはダンプできないので、出力中にヘッダー情報は表示されません。

イーサネット回線に関する通信トレースをダンプするには、以下のコマンドを入力します。

DMPCMNTRC CFGOBJ(ETHLINE) CFGTYPE(*LIN) TOSTMF(COMMTRACE)

通信トレース印刷 (PRTCMNTRC) コマンド
指定した回線またはネットワーク・インターフェース記述の通信トレース・データを、 スプール・ファイルまたは出力ファイルに移動します。 SNA データのみのフォーマット・パラメーターには *YES を指定します。

サーバー上のポート 446 上の統合ファイル・システムのファイルからスプール・ファイルに通信トレースを印刷するには、以下のコマンドを入力します。

PRTCMNTRC FROMSTMF(COMMTRACE) SLTPORT(446) FMTBCD(*NO)

通信トレース削除 (DLTCMNTRC) コマンド
指定した回線またはネットワーク・インターフェース記述の通信トレースを削除します。

サーバー上のポート 446 上の統合ファイル・システムのファイルのフィルター処理から通信トレースを削除するには、以下のコマンドを入力します。

DLTCMNTRC CFGOBJ(ETHLINE) CFGTYPE(*LIN)

統合ファイル・システムのストリーム・ファイルを削除するには、以下のコマンドを入力します。
qsh
rm commtrace