変更の始め

smbctune コマンド

目的

Server Message Block (SMB) クライアント・ファイルシステムのマウント操作のチューナブル・パラメーター内を設定および表示します。

構文

smbctune [ -l | -f ] | [ [ -p ] -s smbc_tunable_parameter1=value smbc_tunable_parameter2=value …]

説明

-s フラグを指定してこのコマンドを実行すると、引数としてチューナブル・パラメーターを指定することによってチューナブル・パラメーターに新しい値を設定できます。 チューナブル・パラメーターに新しい値を設定すると、smbctune コマンドはチューナブル・パラメーターの新しい値でカーネルを更新します。 -p フラグを -s フラグとともに使用すると、smbctune コマンドは新しい値で /etc/smbc/smbctune.conf ファイルを更新し、チューナブル・パラメーターを永続的なものにします。 このファイルは、論理区画が開始し、SMB クライアント・サブシステムを初期化するときに使用されます。

mount コマンドで -o フラグを使用して、パラメーター pversigningsecure_negotiate、および encryption を指定しない場合は、smbctune.conf ファイルから読み取られた、または smbctune コマンドを使用して設定された、カーネル内のチューナブル・パラメーター値からのデフォルト値が使用されます。

フラグ

-f
/etc/smbc/smbctune.conf ファイルで指定されたチューナブル・パラメーター値を表示します。
-l
カーネルで指定されたチューナブル・パラメーター値を表示します。
-p
値を /etc/smbc/smbctune.conf ファイルに書き込むことによってチューナブル・パラメーター値を永続的なものにします。 -s との併用のみが可能です。
-s smbc_tunable_parameter=value
指定した値を指定したチューナブル・パラメーターに設定します。 複数のチューナブル・パラメーターを 1 つのコマンドで更新できます。 負の値を指定してはなりません。
smbc_max_concurrent_mount
smbcd デーモンが一度に実行可能な同時認証の最大数を指定します。 この値は、一度に処理可能な同時マウント操作数のしきい値制限を示します。 このチューナブル・パラメーターに新しい値を設定すると、smbctune コマンドは、それに応じて userspace デーモン内の対応する値が変更されるように、smbcd デーモンをリフレッシュします。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から INT_MAX-1 の範囲です。 デフォルト値は 0 です。
smbc_request_timeout
SMB クライアント・システムから SMB サーバーへの要求がタイムアウトになるまで待つ時間 (秒) を指定します。 このチューナブル・パラメーターを 0 に設定すると、要求は SMB クライアント・システムで期限切れになりません。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から INT_MAX-1 の範囲です。 このチューナブル・パラメーターのデフォルト値は 0 です。
smbc_max_connections
任意数の SMB サーバーで存在可能な SMB クライアント接続の最大数を指定します。 このチューナブル・パラメーターを 0 に設定すると、SMB クライアント・システムは SMB サーバーとの接続を無制限の数で確立できます。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から INT_MAX-1 の範囲です。 このチューナブル・パラメーターはデフォルトで 0 に設定されます。
smbc_lookup_cache_size
SMB クライアント・ルックアップ・ファイルのキャッシュ・メモリー・サイズを指定します。 このルックアップ・ファイルは、N 個のファイル ID をオープンしたままにして、それらの ID をルックアップ操作に再利用できるようにします。 このルックアップ・ファイルの内容は、各マウント操作用に実装されている Least Recently Used (LRU) キャッシュ・メモリーに似ています。 キャッシュ・メモリーのサイズは、SMB クライアント・システムの各マウント操作のものと同じです。 キャッシュ・メモリーのサイズは負の値にできません。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から 100 の範囲です。 デフォルト値は 32 (キャッシュ項目の数) です。 SMB サーバーに接続している SMB クライアント・システム数が少ない場合は、キャッシュ・メモリー・サイズをより大きな値に設定できます。
smbc_krb5_lifetime
トークンの有効期限時刻を指定します。 SMB クライアント・システムと SMB サーバーは、トークンを使用して相互に通信します。 このトークンは一定期間有効です。 Kerberos 認証のデフォルト値では、トークンは 10 時間有効です。 この期限を過ぎると、SMB クライアント・システムと SMB サーバー間の認証済みセッションは期限切れになり、マウントされたリモート共有に対して操作を実行できません。 トークンの有効期限時刻は SMB クライアント資格情報のキャッシュ・メモリーとトークンの両方に保存されます。 トークンの期間は、SMB サーバーに対する再認証によって更新することができます。 10 時間より前に SMB サーバーに対して再認証できるように、このチューナブル・パラメーターを 10 時間より小さい値に設定できます。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から INT_MAX-1 の範囲です。 デフォルト値は 0 です。
smbc_krb5_renew_till
トークン期間を更新するためにトークンを再認証可能な最大時間 (秒) を指定します。 この期間を過ぎると、既存のトークン・コンテキストは削除され、新しい認証済みトークン・コンテキストが作成され、使用されます。 このチューナブル・パラメーターの有効な値は、0 から INT_MAX-1 の範囲です。 デフォルト値は 0 です。 Kerberos 認証はそれ自体のデフォルト値に従います。
smbc_file_lease_enable
SMB クライアント・ファイルシステムのリース機能を有効にします。 デフォルトでは、このチューナブル・パラメーターは有効になっており、各 SMB クライアント・ファイルシステムに適用可能です。

SMB クライアント・ファイルシステムは、ファイル・リース機能が SMB クライアント・システムと SMB サーバー・システムで有効になっていて、かつ SMB サーバーがファイル・リース機能をサポートする場合にのみ、ファイル・リース機能を使用できます。 ファイル・リース機能は、oplock 機能に優先します。 有効な値は 1 と 0 です。 SMB クライアントのマウント・ポイントが SMB クライアント・システムで使用可能でない場合にのみ、このチューナブル・パラメーターの値を変更できます。

smbc_oplock_enable
SMB クライアント・システムのオポチュニスティック・ロック (oplock) 機能を有効にします。 デフォルトでは、このチューナブル・パラメーターは有効になっており、各 SMB クライアント・システムに適用可能です。
SMB クライアント・ファイルシステムは、oplock 機能が SMB サーバー・システムと SMB クライアント・システムで有効になっていて、かつファイル・リース機能が SMB サーバー・システムまたは SMB クライアント・システムで無効になっている場合にのみ、oplock 機能を使用できます。 有効な値は 1 と 0 です。 SMB クライアントのマウント・ポイントが SMB クライアント・システムで使用可能でない場合にのみ、このチューナブル・パラメーターの値を変更できます。
注: SMB サーバー・システムまたは SMB クライアント・システムでファイル・リース機能と oplock 機能が無効になっている場合、SMB クライアント・ファイルシステムは直接入出力操作を使用します。
smbc_protocol_version
SMB サーバーと通信するために使用される SMB プロトコルのバージョンを指定します。 有効な値は 2.1、3.0.2、および auto です。 デフォルト値は auto です。 値が auto の場合、SMB サーバーの指定バージョンに基づいて、SMB クライアント・プロトコル・バージョン 2.1 またはバージョン 3.0.2 が使用されます。
smbc_signing
SMB クライアントのファイルシステムが通信にデジタル署名を必要とするかどうかを指定します。 有効な値は enabledrequired です。 デフォルト値は enabled です。
smbc_secure_negotiate
SMB クライアントのファイルシステムがセキュア・ダイアレクト・ネゴシエーション機能を必要とするかどうかを指定します。 有効な値は、desiredrequired、および disabled です。 デフォルト値は desired です。
smbc_encryption
SMB クライアント・ファイルシステムが暗号化を必要とするかどうかを指定します。 有効な値は、desiredrequired、および disabled です。 デフォルト値は desired です。
下表に、smbctune.conf ファイル内のいくつかのチューナブル・パラメーターと、それに対応する mount コマンドのオプションを示します。
smbctune.conf ファイルのチューナブル・パラメーター 対応するマウント・オプション 有効なチューナブル・パラメーター値 (smbctune.conf ファイル) デフォルトのチューナブル・パラメーター値 (smbctune.conf ファイル)
smbc_protocol_version pver 2.1, 3.0.2, auto auto
smbc_signing signing enabled, required enabled
smbc_secure_negotiate secure_negotiate desired, required, disabled desired
smbc_encryption encryption desired, required, disabled desired

終了状況

0
成功を示します。
>0
エラーを示します。

  • smbc_max_concurrent_mount チューナブル・パラメーターの値を 20 に設定するには、次のコマンドを入力します。
    /usr/sbin/smbctune -s smbc_max_concurrent_mount=20
  • smbc_max_concurrent_mount チューナブル・パラメーター値を更新するには、次のコマンドを入力します。
    /usr/sbin/smbctune -p -s smbc_max_concurrent_mount=20
    注: このコマンドは smbctune.conf ファイルも更新し、更新を永続的なものにします。
変更の終わり