mtrace コマンド

目的

送信元から受信側へのマルチキャスト・パスを印刷します。

構文

mtrace [ -l ] [ -M ] [ -n ] [ -p ] [ -s ] [ -U ] [ -g gateway ] [ -i if_addr ] [ -m max_hops ] [ -q nqueries ] [ -r resp_dest ] [ -S statint ] [ -t ttl] [ -w wait ] source [ receiver ] [ group ]

説明

トレース照会は、パスに沿ってホップ・アドレス、パケット・カウント、および経路指定エラー条件を収集して、 ホップごとにパスに沿って受信側から送信元に渡され、続いて要求発行者に応答が戻されます。 デフォルトの受信側は mtrace コマンドを実行中のホストで、 デフォルト・グループは 0.0.0.0 です。

注: mtrace コマンドの目的はネットワークのテスト、測定、 および管理で使用することです。 mtrace コマンドはネットワークへの負荷が重いため、 mtrace コマンドを通常の操作で使用したり、 自動化されたスクリプトから使用するのは避けてください。 このコマンドは最初か、または手動による障害特定で使用してください。 -g フラグを指定した場合、 送信元はデフォルトである mtrace を実行中のホストで、 受信側はデフォルトであるアドレスされたルーターです。

トレースするホップ数を -m フラグで明示的に設定しない限り、 mtrace コマンドは、デフォルトでまず絶対リバース・パスをトレースしようとします。 3 秒のタイムアウト間隔 (-w フラグで変更します) 内に応答がない場合、 * (アスタリスク) が印刷され、プローブがホップごとのモードに切り替わります。 トレース照会は最大ホップ・カウントを 1 にして開始され、 絶対パスが受信されるか応答が受信されなくなるまで 1 ずつ増やして実行されます。 ホップごとに、複数のプローブ (デフォルトでは 3 つ。-q フラグで変更します) が送信されます。 試行の前半は (デフォルトは 2) 標準マルチキャスト・アドレス mtrace.mcast.net (224.0.1.32) に設定された応答アドレスを使用して実行されます。 ここで ttl は、受信側へのパスに沿っている限りは表示されるしきい値を渡すのに必要な値よりも大きい 32 に設定されています。 最大値の 192 になるまで、試行が追加されるたびに、ttl はさらに 32 ずつ増やされます。 要求されたルーターがマルチキャスト応答を送信できない可能性があるため、残りの試行では、 応答がユニキャストで mtrace コマンドを実行中のホストに送信されるように要求します。

それに代わる方法として可能なのは、 マルチキャストの ttl-t フラグを指定して明示的に設定すること、 -U フラグを指定する代わりに初期のマルチキャスト試行でユニキャストを強制的に使用させること、 -M フラグを指定する代わりに最終のユニキャスト試行でマルチキャストを強制的に使用させることです。 あるいは -UM を指定すれば mtrace コマンドは最初にユニキャストを、 続いてマルチキャストを使用しようとします。 それぞれの試行で、タイムアウト以内に応答が受信されない場合は、* (アスタリスク) が印刷されます。 試行の失敗が指定された数に達した場合、mtrace コマンドは、 DVMRP_ASK_NEIGHBORS2 要求を出してネクスト・ホップ・ルーターを照会して、 そのルーターの種類を確認しようとします。 mtrace コマンドは、 1 つのルーターが反応しなかった後に 3 つのホップ (-e フラグで変更します) を照会しようとします。 mtrace コマンドは、応答を送信できない場合でも要求を転送することは可能な場合があります。

フラグ

項目 説明
-g gateway トレース照会をマルチキャストで送信しないで、 ユニキャストで直接マルチキャスト・ルーター gateway に送信します。 これは、意図した送信元から受信側へのパス上の最後のホップ・ルーターでなければなりません。
-i if_addr if_addr を、トレース照会を送信するためのローカル・インターフェース・アドレス (マルチホームのホスト上)、 およびデフォルトの受信側と応答宛先として使用します。
-l マルチキャスト・パスのパケット速度および損失の統計情報印刷を 10 秒ごとに無制限にループします (-S stat_int を参照)。
-m max_hops max_hops を、受信側から送信元までトレースするホップの最大数に設定します。 デフォルトのホップ数は 32 で、DVMRP 経路指定プロトコルの場合は無制限です。
-M 試行の後半で、ユニキャストを試行しないで、常にマルチキャストを使用して応答を要求します。
-n ホップ・アドレスを、シンボルと数字ではなく、数字で印刷します (パス上で検出されるルーターごとに、 ネーム・サーバーのアドレスから名前の検索を保管します)。
-p 別途開始されたトレースからのマルチキャスト応答を受動的に listen します。 マルチキャスト・ルーターで実行すると、最も効果があります。
-q nqueries ホップを照会する試行の最大数を nqueries に設定します。デフォルトは 3 です。
-r resp_dest トレース応答を、mtrace コマンドを実行中のホストではなく dhost に送信するか、 またはこの目的で登録されたホスト (224.0.1.32) ではなくマルチキャスト・アドレスに送信します。
-s マルチキャスト・パスのみが組み込まれ、 パケット速度と損失の統計情報は組み込まれていない簡略形式の出力を印刷します。
-S statint トレースを集める統計情報間の間隔を statint 秒に変更します (デフォルトは 10 秒)。
-t ttl マルチキャスト・トレースの照会と応答の ttl (存続時間またはホップ数) を設定します。 デフォルトは 127 です。 ttl が 1 の all routers マルチキャスト・グループへのローカル照会は除きます。
-U 初期のマルチキャスト試行で、代わりにユニキャストを使用するように強制します。
-w wait トレース応答を待機する時間を wait 秒に設定します (デフォルトは 3 秒)。

パラメーター

項目 説明
source ホストを指定します。そのホストの特定の受信側からのマルチキャスト・パスがシークされます。 これは必須パラメーターです。
receiver ホストを指定します。そのホストから特定の発信元に対するマルチキャスト・パスをシークします。 デフォルトは mtrace コマンドを実行中のホストです。これはオプションのパラメーターです。
group マルチキャスト・グループを指定します。 これはオプションのパラメーターです。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

次の例では、2 つのマシン 10.27.41.57 および 10.27.40.20 は、2 つのインターフェース 10.27.40.11 および 10.27.41.11 を備えた 1 つのルーターによって分けられている 2 つの別々のサブネット上にあります。10.27.40.20 から 10.27.41.57 へのマルチキャスト・パスを検索するには、次のように入力します。
# mtrace 10.27.41.57 224.2.0.1
次のように表示されます。
Mtrace from 10.27.41.57 to 10.27.40.20 via group 224.2.0.1
Querying full reverse path...
  0  ? (10.27.40.20)
 -1  ? (10.27.40.11)  DVMRP  thresh^ 1
 -2  ? (10.27.41.57)
Round trip time 1 ms; total ttl of 2 required.

Waiting to accumulate statistics... Results after 10 seconds:

  Source        Response Dest    Overall     Packet Statistics For Traffic From
10.27.41.57     224.0.1.32       Packet      10.27.41.57 To 224.2.0.1
     v       __/  rtt    1 ms     Rate       Lost/Sent = Pct  Rate
10.27.41.11
10.27.40.11     ?
     v      ¥__   ttl    2         0 pps
10.27.40.20     10.27.40.20
  Receiver      Query Source