mkitab コマンド

目的

/etc/inittab ファイル内でレコードを作成します。

構文

mkitab [ -i Identifier ] { [ Identifier ] : [ RunLevel ] : [ Action ] : [ Command ] }

説明

mkitab コマンドは、/etc/inittab ファイルにレコードを追加します。 Identifier:RunLevel:Action:Command パラメーター文字列は、 /etc/inittab ファイルに追加する新しいエントリーを指定します。 -i Identifier フラグを使用すると、レコードを特定のレコードの後ろに挿入することができます。 このコマンドは、Identifier パラメーターで指定されたフィールドを見つけ、 -i Identifier フラグで指定されたレコードの後ろに新しいレコードを挿入します。

パラメーター

Identifier:RunLevel:Action:Command パラメーター文字列は、 次のように /etc/inittab ファイル内のレコードを指定します。

項目 説明
Identifier 14 文字のパラメーターで、オブジェクトを一意的に識別します。 Identifier は独自のものでなければなりません。Identifier が固有でないと、コマンドは正常終了されません。 Identifier を変更することはできず、変更しようとするとコマンドが正しく実行されません。
RunLevel 20 文字のパラメーターで、Identifier を処理できる実行レベルを定義します。 init コマンドで開始される各プロセスには、そのプロセスを開始できる 1 つ以上の実行レベルを割り当てることができます。
Action ユーザーが指定した Command パラメーターをどのように処理するかを init コマンドに知らせる 20 文字のパラメーターです。init コマンドが認識できるアクションは、次のとおりです。
respawn
このレコードで識別されるプロセスが存在しない場合は、そのプロセスを開始します。現在そのプロセスが存在する場合は、何も行うことなく /etc/inittab ファイルのスキャンを継続します。
 
wait
init コマンドの実行レベルがこのレコードに対して指定したレベルになると、プロセスを開始してその終了を待ちます。init コマンドが同じ実行レベルにある間は、/etc/inittab ファイルの以降の読み取りはすべて、このオブジェクトを無視します。
 
once
init コマンドがこのレコードに指定された実行レベルに入ったとき、プロセスを始動し、停止するのを待ちません。停止したとき、プロセスは再始動されません。そのプロセスの実行中にシステムが新しい実行レベルに 入っても、プロセスは再始動されません。
 
boot
このレコードを読み取るのは、システムがブートして、/etc/inittab ファイルを読み取るときだけです。 init コマンドはプロセスを始動します。プロセスの停止を待ちません。プロセスが停止したとき、そのプロセスを再始動しません。このプロセスの実行レベルはデフォルトのレベルにするか、起動時に init コマンドによって指定される実行レベルと一致していなければなりません。
 
bootwait
このレコードを読み取るのは、システムがブートして、/etc/inittab ファイルを読み取るときだけです。 init コマンドはプロセスを始動します。プロセスの停止を待ち、停止すると再始動しません。
 
powerfail
init コマンドが SIGPWR 電源障害シグナルを受信したときにのみ、このレコードで識別されたプロセスを開始します。
 
powerwait
init コマンドが SIGPWR 電源障害シグナルを受信したときにのみ、このレコードで識別されたプロセスを開始し、そのプロセスが終了するまで待ってから、/etc/inittab ファイルの処理を継続します。
 
off
このレコードで識別されるプロセスが現在実行中のとき、警告シグナル SIGTERM を送信し、抹消シグナル SIGKILL を送信するまで 20 秒待ちます。プロセスが存在しないときは、この行は無視されます。
 
hold
このレコードで識別されるプロセスが終了したときに、新しいプロセスを開始しません。 hold アクションは phold コマンドだけが始動できます。
 
ondemand
機能的には respawn と同じものです。このレコードで識別されるプロセスが存在しない場合は、そのプロセスを開始します。 現在そのプロセスが存在する場合は、何も行うことなく /etc/inittab ファイルのスキャンを継続します。ab または c 実行レベルを使用しているときは、このアクションを指定して、respawn アクションを実行します。
 
initdefault
init コマンドが初めに呼び出されたときだけ、このアクションの行が処理されます。init コマンドは、この行を使用して、最初にどの実行レベルに入るかを決定します。 このコマンドは、RunLevel パラメーターで指定された最高の実行レベルをその初期状態として使用することによって、これを行います。 RunLevel パラメーターが空の場合、その値は 0123456789 と解釈され、init コマンドは実行レベル 9 になります。init コマンドは、 inittabファイル内に initdefault 行が見つからないと、初期プログラム・ロード (IPL) 時、オペレーターに初期実行レベルを要求します。
 
sysinit
init コマンドがコンソールにアクセスしようと試みる前に、このレコードで識別されたプロセスを開始します。例えば、デバイスの初期化にこれを使用することがあります。
コマンド 1024 文字のフィールドで、シェル・コマンドを指定します。
重要: システム・ファイルが破壊しないようにするために、 Command パラメーターで stdinstdout、および stderr ファイルをリダイレクトで指定するか、 あるいはコマンド・ラインで実行するプログラムによってそれらのファイルを明示的にオープンする必要があります。

フラグ

項目 説明
-i Identifier 新しいレコードが続く /etc/inittab ファイルのレコードを指定します。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. /etc/inittab ファイルに新しいレコードを追加して、init コマンドに、tty2 上のログオンを処理するよう指示するには、次のように入力します。
    mkitab "tty002:2:respawn:/usr/sbin/getty /dev/tty2"
  2. /etc/inittab ファイルに新しいレコードを追加して、init コマンドに、/usr/sbin/srcmstr ファイルが始動された後で /etc/rc.tcpip ファイルを処理するよう指示するには、次のように入力します。
    mkitab -i srcmstr "rctcpip:2:wait:/etc/rc.tcpip > /dev/console"
  3. /etc/inittab ファイルに新しいレコードを追加して、 init コマンドに、/etc/rc ファイルを実行し、 その出力をブート・ログに送るよう指示するには、次のように入力します。
    mkitab ((rc:2:wait:/etc/rc 2>&1 | alog -tboot > /dev/console))

ファイル

項目 説明
/etc/inittab mkitab コマンドが入っています。