mkcluster コマンド

目的

単一サイトのクラスターを作成すること。

構文

mkcluster -r reposdev [ -S sitename { [ cle_uuid=UUID,cle_globid=id,cle_prio=prio ] } ] [ -m node { [ cle_ip=addr,cle_uuid=UUID,cle_globid=id ] }] [,...] [-d shareddisk [,...] ] [ -n clustername ] [-s multi_cast_addr ] [-c capability [,...] ] [-v] [ -b backupdisk [,...] ] 変更の始め[ -p comdisk] 変更の終わり

説明

mkcluster コマンドはクラスターを作成します。 クラスターは、ノードおよびディスクの集合です。

クラスターに追加される各ノードは、適切にゾーニングされた共通のストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) ストレージ・デバイスを備えている必要があります。SAN ストレージ・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスクおよびクラスター化されたすべての共有ディスクに使用されます。

クラスター内のノード間でのクラスター通信には、マルチキャスト・アドレスが使用されます。クラスターを作成する前にネットワークの考慮事項を検討する必要がある場合は、クラスター・システム管理者に相談してください。

フラグ

項目 説明
-b backupdisk [,...] SAN 共有ストレージ・デバイス (例えば、hdisk5 および hdisk6) のコンマ区切りリストを指定します。これらのディスクは、クラスターの中央リポジトリーのバックアップとして使用されます。中央リポジトリーがアクセス不能な場合、このリストにあるディスクは交換用として使用されます。これらのデバイスは、サイト内のすべてのノードからアクセスできる必要があります。
-c capability [,...] クラスターが作成時に必要とする機能のコンマ区切りリストを指定します。機能を指定しないと、mkcluster コマンドは、一部のノードが新規の CAA 機能をサポートすることができない古い AIX® ソフトウェアを備える可能性を許容します。その場合、クラスターは古い AIX ソフトウェアを実行するノードと互換性があるように作成されます。クラスターが作成され、すべてのノードが新規の CAA 機能をサポートできることが決定されると、クラスターはそれらの機能が使用されることを自動的に許可します。-c フラグは、すべてのノードが機能をサポートできることを最初に決定せずに、指定された機能を許容するにすぎません。状態によっては、新規の CAA 機能が即時に使用可能になる必要があります。例えば、1 つ以上のノードが他のクラスター・ノードのすべてに対して IPv4 コネクティビティーを持たない場合、IPv6 コネクティビティーのみを持つそれらのノードがクラスターに参加できるように、クラスター作成時に IPv6 機能を指定する必要があります。クラスターがより新しい機能をサポートできるように決めるには、すべてのノードがオンラインになっており、クラスターに参加できるようにする必要があります。1 つ以上のノードの電源がオフになっている間にクラスターを作成する必要がある場合、クラスター作成時にその機能が必要であることを指定すれば、すべてのノードがクラスターに参加できるようになる前にその機能が使用できるようになります。ただし、ノードがすべて、その機能をサポートできる AIX ソフトウェア・レベルを備えていることを確認する必要があります。そうでない場合、その機能をサポートできない古い AIX ソフトウェアを備えるノードは、クラスターに参加できないことになります。
-c フラグは、以下の機能キーワードをサポートしています。
  • ipv6 一部のノードがクラスターの残りのノードに対して IPv4 コネクティビティーを持たないため、IPv6 コネクティビティーが必要です。つまり、すべてのノードがクラスターに参加できるようにする前に IPv6 機能が必要です。
  • site すべてのノードがクラスターに参加できるようにする前に、クラスターは 1 つ以上のサイトを定義できるようにする必要があります。
  • auto_repos_replace: 作成されたクラスターは、バックアップ・リポジトリー・ディスクを処理および保守することができます。
-c unicast または multicast CAA によって、CAA ハートビートおよび他のプロトコル・メッセージを転送するのに使用される通信モードのタイプを指定します。

unicast オプションが指定される場合、CAA はプロトコル・メッセージの転送にユニキャストを使用します。

multicast オプションが指定される場合、CAA はプロトコル・メッセージの転送にマルチキャストを使用します。

オプションが指定されていない場合、CAA はデフォルトのマルチキャスト通信モードを使用します。

変更の始め-p comdisk 変更の終わり 変更の始めSAN 共有ストレージ・デバイス (例えば、hdisk5 および hdisk6) を指定します。 これらのディスクは、ネットワークがダウンしているときに、ノード間通信のために共有ストレージ・プール・クラスターによって使用されます。 変更の終わり
-r reposdev クラスター構成データの中央リポジトリーとして使用される SAN 共有ストレージ・デバイスの名前 (例: hdisk10) を指定します。このデバイスは、サイト内のすべてのゲートウェイ・ノードからアクセス可能でなければなりません。このデバイスは最小 1 GB であり、予備の高可用性 SAN 構成によってバックアップされる必要があります。
-S sitename ローカル・サイトの名前を指定します。指定しない場合、LOCAL という名前のデフォルトのサイトが作成されます。現在、クラスターはサイトを 2 つだけサポートすることができます。2 つ目のサイトを作成するには、chcluster コマンドを使用します。
以下のサイト情報を指定できます。
  • cle_uuid: クラスター全体で固有のものとして確認されるサイト UUID。指定されない場合、サイト UUID が自動的に生成されます。
  • cle_globid: サイトの簡略 ID。ゼロよりも大きい固有な整数である必要があります。指定されない場合、サイトの簡略 ID が自動的に生成されます。
次のサイト属性を指定できます。
  • cle_prio: サイトの優先順位。値が低いほど、優先順位が高いことが示されます。

優先順位は、リポジトリー・メタデータの同期化のコンテキストで使用されます。

2 つのサイトが分割され、リポジトリー・データが非同期になる場合、より高い優先順位を持つサイトのデータがより低い優先順位を持つサイトの上にコピーされる必要があります。

-m node[,...] クラスターのメンバーであるノードについて、コンマ区切り形式でホスト名または IP アドレスをリストします。ローカル・ホストはこのリストに含まれなければなりません。-m フラグを使用しない場合、ローカル・ホストは暗黙で指定され、単一ノードのローカル・クラスターが作成されます。
以下のノード情報を指定できます。
  • cle_uuid: クラスター全体で固有のものとして確認されるノード UUID。指定されない場合、ノード UUID が自動的に生成されます。
  • cle_globid: ノードの簡略 ID。ゼロよりも大きい固有な整数である必要があります。指定されない場合、ノードの簡略 ID が自動的に生成されます。
以下のノード属性を指定できます。
  • cle_ip: ノード・ゲートウェイ・アドレス (クラスターが複数のサイトにまたがる場合)。通常、この属性は、外部ノードからこのノードに到達するために使用できるアドレスです。このアドレスは、IP バージョン 4 またはバージョン 6 の形式で指定できます。
-d shareddisk[,...] クラスター構成に組み込まれる共有のストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) デバイスのコンマ区切りリスト (例: hdisk12, hdisk34) を指定します。指定されたデバイスは、mkcluster コマンドの実行時にオープンしていてはなりません。
-n clustername 作成されるクラスターの名前を設定します。名前を指定せずに mkcluster コマンドを実行すると、デフォルトの CL_hostname が使用されます。ここで、hostname はローカル・ホストの名前です。 ローカル・ホストの名前は gethostname() 関数を実行して取得できます。
-s multi_cast_addr 作成されるクラスターのマルチキャスト・アドレスを設定します。このアドレスは、クラスター内の内部通信に使用されます。IPv4 形式のマルチキャスト・アドレスのみが受け入れられます。IPv6 マルチキャスト・アドレスが必要な場合は、IPv4 アドレスから生成する必要があります。mkcluster コマンドを初めて実行するときに、-s フラグが指定されていない場合、必要なマルチキャスト・アドレスは自動的に生成されます。
-v 冗長モードを指定します。

  1. 単一ノードのクラスターを作成し、デフォルト値を使用するには、次のコマンドを入力します。
    mkcluster -r hdisk
    出力は、単一ノードを持つ、CL_myhostname という名前のクラスターです。マルチキャスト・アドレスが自動生成され、このクラスターの共有ディスクは作成されません。hdisk1
    mkcluster -r hdisk1
    リポジトリーがセットアップされますが、このディスクは、他の目的にノードで使用することはできません。リポジトリー・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスクとして専用に使用されます。
  2. マルチノード・クラスターを作成するには、以下のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -m nodeA,nodeB,nodeC
    出力は、3 つのノードから成るクラスターであり、デフォルト値を使用します。また、この出力では、指定された名前を持つクラスターが作成され、マルチキャスト・アドレスは自動的に作成されます。3 つのディスクは、このクラスターの共有クラスター化ディスクとして作成されます。hdisk1 でリポジトリー・デバイスがセットアップされますが、これはどのノードでも他の目的に使用することはできません。 リポジトリー・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスク専用になります。クラスター・リポジトリー・ディスク用にボリューム・グループ cvg が作成され、これらの論理ボリュームはクラスタリング・サブシステムによって排他的に使用されます。
  3. IPv6 およびサイトに対応するクラスターを作成するには、次のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -m nodeA,nodeB,nodeC -r hdisk1 -c ipv6, site
    このコマンドは、IPv6 ネットワークを即時に使用でき、サイトが定義されている 3 つのノードからなるクラスターを作成します。クラスターには、mycluster という名前が付けられ、ローカル・サイトおよびマルチキャスト・アドレスがデフォルト値で自動的に作成されます。IPv6 ネットワークが構成されると、それらはクラスター通信に使用できます。hdisk1 でリポジトリー・デバイスがセットアップされますが、これはどのノードでも他の目的に使用することはできません。 リポジトリー・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスク専用になります。
  4. mysite という名前の 1 つのサイトを持つクラスターを作成するには、以下のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -S mysite -m nodeA,nodeB,nodeC -r hdisk1 -d hdisk10,hdisk11,hdisk12
    出力は、すべてのサイトおよびすべてのノードにデフォルトの属性値を使用する、3 つのノードからなる単一サイトのクラスターです。クラスターは mycluster という名前で、ローカル・サイトは mysite という名前です。マルチキャスト・アドレスは、自動的に作成されます。ローカル・サイト用の共用クラスター・ディスクとして 3 つのディスクが作成されます。hdisk1 でリポジトリー・デバイスがセットアップされますが、これはどのノードでも他の目的に使用することはできません。 リポジトリー・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスク専用になります。
  5. サイトおよびノードの情報を指定して、mysite という名前の 1 つのサイトを持つクラスターを作成するには、次のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -S mysite{cle_uuid=0551c722-92fe-11e1-97b0-1aae1ed14715,
    cle_globid=5,cle_prio=2} 
    -m nodeA,nodeB,nodeC{cle_uuid=e4ad47bc-92fd-11e1-8486-1aae1ed14715} 
    -r hdisk1 -d hdisk10,hdisk11,hdisk12
    出力は、3 つのノードからなる単一サイトのクラスターです。ノード nodeA および nodeB は、自動的に生成された UUID を持つのに対し、nodeC は e4ad47bc-92fd-11e1-8486-1aae1ed14715 の UUID を持ちます。クラスターの名前は mycluster であり、ローカル・サイトの名前は mysite で、UUID は 0551c722-92fe-11e1-97b0-1aae1ed14715、簡略 ID は 5、および優先順位は 2 です。マルチキャスト・アドレスは自動的に作成されます。ローカル・サイト用の共用クラスター・ディスクとして 3 つのディスクが作成されます。hdisk1 でリポジトリー・デバイスがセットアップされますが、これはどのノードでも他の目的に使用することはできません。 リポジトリー・デバイスは、クラスター・リポジトリー・ディスク専用になります。
  6. mycluster という名前の 1 つのサイトを持つ、マルチノード・ユニキャスト・クラスターを作成するには、mkcluster コマンドに -c unicast を追加します。例 2 のマルチキャスト・クラスターは、次のコマンドを入力することでユニキャストにすることができます。
    mkcluster -r hdisk10 -m nodeA,nodeB,nodeC -n mycluster -r hdisk1 
    -d hdisk10,hdisk11,hdisk12 -c unicast
  7. 後で追加されるバックアップ・ディスクを使用するクラスターを作成するには、次のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -n nodeA,nodeB -r hdisk1 -c auto_repos_replace
  8. クラスターを作成して、バックアップ・リポジトリー・ディスク・リストを取り込むには、次のコマンドを入力します。
    mkcluster -n mycluster -n nodeA,nodeB -r hdisk1 -b hdisk5,hdisk6