invscout コマンド

目的

現在インストールされているマイクロコードまたは重要プロダクト・データ (VPD) について、ホスト・システムを調査します。

構文

invscout [ -c ] -v [ -m machine_type_and_model ] [ -s serial_number ] [ -q ]

invscout [ -u [ mask] ] [ -e ] [ -r ] [ -m machine_type_and_model ] [ -s serial_number ] [ -catl microcode_catalog_path ] [ -q ]

invscout [ -U | -UF [ mask] ] [ -e ] [ -m machine_type_and_model ] [ -s serial_number ] [ -catl microcode_catalog_path ] [ -fl microcode_file_path ] [ -q ]

invscout [ -h | -g ]

説明

invscout コマンドは、インベントリー・スカウト (Inventory Scout) プロセスのスタンドアロン・バージョンの 1 つのインスタンスを実行します。 invscoutd コマンドは、クライアント/サーバー・バージョンのサーバー・デーモン・サイドを開始します。

インベントリー・スカウト・プロセスでは、以下の 2 つの調査タイプがサポートされています。

  • マイクロコード調査
  • 重要プロダクト・データ (VPD) 調査 (-v)

マイクロコード調査

マイクロコード調査では、 invscout のサポートされているシステム、デバイス、およびアダプターについて、現在インストールされているマイクロコードについてのデータをホスト・システムから収集します。 以下の表は、マイクロコード調査で収集されるデータのタイプとそのデータが保管されるファイルに関する説明です。

表 1. 収集されるデータとマイクロコード調査で作成されるファイル
ファイル 保管されるデータ 関連付けられているフラグ 表示およびプリント方式
マイクロコード調査アップロード・ファイル 収集されたマイクロコードのレベルと使用可能な最新レベルの比較。 なし。マイクロコード調査アップロード・ファイルを作成するには、フラグを指定せずに invscout コマンドを使用します。 インターネットで Web サーバーにアップロードします。
マイクロコード更新結果の定様式テキスト・レポート・ファイル マイクロコード調査アップロード・ファイルに記録されている情報のサブセットが入っています。このサブセットには、次の情報が含まれています。
  • invscout 実行自体に関する情報。
  • それぞれのデバイスにインストールされていたマイクロコードの以前のレベル。
  • 現在それぞれのデバイスにインストールされているマイクロコードのレベル。
  • それぞれのデバイスで使用可能なマイクロコードの最新レベル。
  • 各デバイスごとに、マイクロコードを最新レベルに更新するために試行されたアクションの結果。
マイクロコード更新結果の定様式テキスト・レポート・ファイルを作成するには、-U オプションを使用します。 モニター上に表示または出力します。
マイクロコード調査の結果の定様式テキスト・レポート・ファイル マイクロコード調査アップロード・ファイルに記録されている情報のサブセットが入っています。このサブセットには、次の情報が含まれています。
  • invscout 実行自体に関する情報。
  • 現在それぞれのデバイスにインストールされているマイクロコードのレベル。
  • それぞれのデバイスで使用可能なマイクロコードの最新レベル。
  • ダウンロードされた catalog.mic ファイルに従って適用できる、それぞれのデバイスに対する推奨アクション。
invscout コマンドの起動元の画面にファイルを送信するには、-u フラグを使用します。 モニター上に表示または出力します。
マイクロコード調査定様式テキスト・レポート・ファイル
注意: マイクロコード調査定様式テキスト・レポート・ファイルは使用すべきではありません。代わりに、マイクロコード調査の結果の定様式テキスト・レポート・ファイルを使用してください。
マイクロコード調査アップロード・ファイルに記録されている情報のサブセットが入っています。このサブセットには、次の情報が含まれています。
  • invscout 実行自体に関する情報。
  • 現在それぞれのデバイスにインストールされているマイクロコードのレベル。
invscout コマンドの起動元の画面にファイルを送信するには、-r フラグを使用します。
注意: -r フラグは使用すべきではありません。代わりに -u オプションを使用してください。
モニター上に表示または出力します。

前者のすべてのレポートに含まれる可能性のある情報は、以下のとおりです。

  • システム・マイクロコード
  • サービス・マイクロコード
  • デバイスおよびアダプター・マイクロコード

VPD 調査 (-v)

VPD 調査では、システム VPD が VPD 調査アップロード・ファイルに保管されます。 このファイルは、インターネットを使って Web サーバーにアップロードできます。 サーバーにアップロードされると、CGI により、そのファイルがリポジトリーに送信され、操作の状況を示す Web ページが作成されます。

VPD 調査の場合、定様式テキスト・レポートはありません。

調査結果の連結 (-c)

このオプションは、複数のマイクロコード調査アップロード・ファイルを単一のマイクロコード調査連結アップロード・ファイルに、または複数の VPD 調査アップロード・ファイルを単一の VPD 調査連結アップロード・ファイルに連結します。連結アップロード・ファイルは、インターネットを使って Web サーバーにアップロードでき、サーバー CGI によって処理できます。 その結果は、構成するすべてのファイルを個々にアップロードおよび処理した場合に得られる結果と同じになります。入力ファイルとしては有効なアップロード・ファイルをどれでも使用できますが、一般にこの操作は、いくつかのホスト・システムからの結果をアップロードする作業を簡単にするために実行されます。
  • 連結を実行するコマンドのバージョンと、連結されるファイルを作成したコマンドのバージョンは、すべて同じである必要があります。
  • マイクロコード調査アップロード・ファイルは、VPD 調査アップロード・ファイルと連結することはできません。
  • ファイルがローカルに処理されるため、このコマンドの 2.1.0.0 以降のバージョンは、 マイクロコード調査アップロード・ファイルの連結を必要としません。

既存のいくつかのマイクロコード調査アップロード・ファイルを連結するには、以下のようにします。

  1. それらのファイルをマイクロコード調査連結入力ディレクトリーにコピーします。
  2. 以下のコマンドを実行します。
    invscout -c
  3. マイクロコード調査のアップロード・ファイルと同じディレクトリーの中から、出力されたマイクロコード調査連結アップロード・ファイルを探します。

既存のいくつかの VPD 調査アップロード・ファイルを連結するには、以下のようにします。

  1. それらのファイルを VPD 調査連結入力ディレクトリーにコピーします。
  2. 以下のコマンドを実行します。
    invscout -v -c
  3. VPD 調査のアップロード・ファイルと同じディレクトリーの中から、 出力された VPD 調査連結アップロード・ファイルを探します。

フラグ

項目 説明
-v 調査または連結タイプを VPD に設定します (デフォルトはマイクロコード)。
-c 既存の調査アップロード・ファイルを連結します (デフォルトでは新規調査を実行)。
-r マイクロコード調査において、定様式テキスト・レポート・ファイルを、このコマンドの起動元の画面に送ります。 -v フラグまたは -c フラグが使用されている場合、このフラグは無視されます。
注意: このフラグは使用すべきではありません。代わりに -u オプションを使用してください。
-m machine_type_and_model VPD 調査の場合、ホスト・プラットフォーム・マシン・タイプおよびモデルの入力を この情報を使用または必要とするホストに渡します。
-s serial_number VPD 調査の場合は、ホストのホスト・シリアル番号を入力し、この情報を使用する、または必要とするホストに渡します。
-catl microcode_catalog_path マイクロコード・カタログ・パスのデフォルト位置を指定変更します。
-g このコマンドおよび現在使用中の論理データベースのバージョンを表示します。
-q ランタイム・メッセージの多くを出力しないようにします。
-h ヘルプ (使用方法) ステートメントを生成します。このフラグを使用した場合、その他のすべてのフラグは無視されます。
-U mask 使用可能なマイクロコード更新でデバイスを更新します。このフラグでは、システムに次の項目が存在していることが要求されます。
  • 有効なマイクロコード・カタログ・ファイル
  • 有効なマイクロコード・イメージ

mask の有効なオプションには、次の値の任意の組み合わせが含まれます。

  • L、l: Latest
  • C、c: Current
  • P、p: Previous
  • A、a: Available
  • O、o: Outcome
  • D、d: Description
  • E、e: Effect
  • S、s: Suggested action
-UF mask 使用可能なマイクロコード更新でデバイスおよびシステム・ファームウェアを更新します。このフラグでは、システムに次の項目が存在していることが要求されます。
  • 有効なマイクロコード・カタログ・ファイル
  • 有効なマイクロコード・イメージ
このフラグはシステムをリブートする可能性があります。

mask の有効なオプションには、次の値の任意の組み合わせが含まれます。

  • L、l: Latest
  • C、c: Current
  • P、p: Previous
  • A、a: Available
  • O、o: Outcome
  • D、d: Description
  • E、e: Effect
  • S、s: Suggested action
-u mask マイクロコード更新が使用可能なハードウェアを識別する定様式テキスト・レポートを生成します。このフラグでは、有効なカタログ・ファイルがシステムに存在していることが要求されます。

mask の有効なオプションには、次の値の任意の組み合わせが含まれます。

  • L、l: Latest
  • C、c: Current
  • P、p: Previous
  • A、a: Available
  • O、o: Outcome
  • D、d: Description
  • E、e: Effect
  • S、s: Suggested action
-fl microcode_file_path マイクロコード・ファイルのデフォルト・パス名を変更します。これらのファイルは、.rpm フォーマットで保管されます。
-e -U、-UF、または -u フラグと一緒に使用する必要があります。-e フラグは、catalog.mic を設定し、Fix Central データベースから更新を検索します。

終了状況

このコマンドは次の終了値を戻します。

項目 説明
0 正常に完了したことを示します。
ゼロ以外 エラーが発生したことを示します。

エラーが発生した場合、エラー・ログが作成されます。

セキュリティー

このコマンドは root によって所有され、他のすべてのユーザーがこのコマンドを実行できる ように setuid ビットを ON にしてインストールされます。

  1. マイクロコード調査を実行し、その結果を定様式テキスト・レポート・ファイルとアップロード・ファイルに出力するには、以下のように入力します。
    invscout
  2. 1 つの VPD 調査を実行し、その結果をアップロード・ファイルに出力するには、以下のように入力します。
    invscout -v
  3. 前に作成された複数のマイクロコード調査アップロード・ファイルを連結して 1 個のアップロード・ファイルにするには、以下のように入力します。
    invscout -c
    注: このコマンドの 2.1.0.0 より前のバージョンにのみ適用できます。
  4. 前に作成された複数の VPD 調査アップロード・ファイルを連結して 1 個のアップロード・ファイルにするには、以下のように入力します。
    invscout -v -c

ファイル

項目 説明
/usr/sbin/invscout invscout コマンドが入っています。
/var/adm/invscout/host.mup マイクロコード調査アップロード・ファイル。host 変数は、このファイルの中で示されているシステムのホスト名です。
/var/adm/invscout/host.vup VPD 調査アップロード・ファイル。host 変数は、このファイルの中で示されているシステムのホスト名です。
/var/adm/invscout/invs.con.mup マイクロコード調査連結アップロード・ファイル。
/var/adm/invscout/invs.con.vup VPD 調査連結アップロード・ファイル。
/var/adm/invscout/invs.err コマンドでエラーが発生した場合に作成されるエラー・ログ。
/var/adm/invscout/invs.mic.con.inp マイクロコード調査連結入力ディレクトリー。
/var/adm/invscout/invs.mrp マイクロコード調査定様式テキスト・レポート・ファイル。
/var/adm/invscoup/invs.murp マイクロコード更新結果の定様式テキスト・レポート・ファイル。このファイルは、正常に適用されたハードウェア更新を識別します。
/var/adm/invscout/invs.murrp マイクロコード調査の結果の定様式テキスト・レポート・ファイル。このファイルは、更新が使用可能なハードウェアを識別します。
/var/adm/invscout/invs.vpd.con.inp VPD 調査連結入力ディレクトリー
/var/adm/invscout/invscout.log ログ・ファイル。
/var/adm/invscout/microcode マイクロコード関連アクションのディレクトリー。マイクロコード・カタログ・ファイルの デフォルト位置。
/var/adm/invscout/microcode/catalog.mic デフォルトのマイクロコード・カタログ・ファイル。
/var/adm/invscout/tmp invscout 一時ファイルの入っている場所。 このディレクトリー内のすべてのファイルは、このコマンドの毎回の実行開始時に削除されます。