install_all_updates コマンド
目的
インストール済みソフトウェアをメディア上の最新レベルに更新し、現行の推奨される保守レベルまたはテクノロジー・レベルを検証します。
構文
install_all_updates -d Device [ -p ] [ -i ] [ -c ] [ -r ] [ -n ] [ -s ] [ -x ] [ -v ] [ -N ] [ -S ] [ -Y ] [ -V ] [ -D ]
説明
install_all_updates は、現行のインストール済みソフトウェアを検査し、
そのソフトウェアをメディア上の使用可能な最新レベルに更新しようとします。
install_all_updates は、次の場合を除き、メディア上にあってもシステムにインストールされていないファイルセットをインストールしません。
- 新規ファイルセットが他のファイルセットの必要条件としてインストールされる場合。
- /var/adm/ras/bosinst.data ファイルで、ALL_DEVICES_KERNELS が
yes
に設定されている場合。
注:
- 現在、install_all_updates は installp イメージおよび rpm イメージを処理します。 rpm ユーティリティーが必要条件の自動インストールをサポートしていないため、 一部の rpm ソフトウェアは、 install_all_updates を使用してもインストールされない可能性があります。
- install_all_updates は、"oslevel" ユーティリティーを使用して、 このバージョンの install_all_updates が認識する最新の推奨される保守レベルまたはテクノロジー・レベルを調べ、 現行の推奨される保守レベルまたはテクノロジー・レベルを検証します。
- install_all_updates が install ユーティリティー ( bos.rte.install ファイルセット) に対する更新を見つけた場合、 まずその更新をインストールしてから自分自身を再起動して残りの更新を処理します。 "-i" フラグを使用すると、install ユーティリティーのみを更新できます。 この方法は正確なプレビューを表示しようとする場合に便利です。
- install_all_updates は、 COMMIT フラグ (-c) が指定された場合を除き、 installp のすべての更新を適用します。 APPLY と COMMIT の比較についての詳細は、installp マニュアル・ページを参照してください。
- install_all_updates はデフォルトで、installp に対して、 自動的に必要条件をインストールし、必要なファイルシステムの拡張をすべて行うように指示します。 "-n" は install の必要条件のデフォルトをオーバーライドし、 "-x" はファイルシステム拡張のデフォルトをオーバーライドします。
- 次のフラグは installp の更新にのみ 適用されます。 -c、-n、-x、-v、 -S、および -V。
- アクティブ・プロセスによって使用されている暫定修正または保守更新によって更新されたライブラリーあるいは実行可能プログラムは、再始動されない限り、そのプロセスでは反映されません。例えば、ksh を変更する更新の場合、既に実行中の ksh プロセスでは変更は反映されません。同様に、libc.a ライブラリーの更新は、既に実行中のプロセスでは反映されません。さらに、ライブラリーを使用しており、そのライブラリーが更新された後も同じライブラリーの dlopen 操作を行うプロセスの場合は、再始動しないと不整合が生じる可能性があります。
- 暫定修正マネージャー (emgr コマンド) によってロックされているファイルセットを更新しようとすると、どのファイルセットがロックされているかを示す通知が表示されます。lslpp コマンドは、EFIXLOCKED 状態にある、ロックされているすべてのファイルセットを表示します。
- 選択されたファイルセットのビルド日付よりもインストール済みのビルド日付が新しいファイルセットを更新しようとすると、これを示すメッセージが表示されます。
インストールされる一部のソフトウェアは、AIX® オペレーティング・システムの新規テクノロジー・レベルまたはサービス・パックのサービス更新ではなく、新規インストール・イメージを提供する必要があります。例えば、インストール・イメージの必要条件が変更されると新しいインストール・イメージが必要になります。smitty update_all または install_all_updates コマンドを使用してファイルセットが更新されるとき、ソフトウェア・ソースのインストール・イメージまたはサービス更新のいずれを使用してファイルセットが更新されるかに関係なく、最新バージョンのファイルセットがインストールされます。
新しいインストール・イメージがインストールされると、lslpp -ah <fileset> コマンドの出力であるシステムのファイルセットの履歴がリセットされます。lslpp -ah <fileset> コマンドの出力には、インストールされた元のインストール済み環境およびそのインストール後のすべての変更ではなく、新しいレベルのファイルセットがリストされます。
. 以下の例は、インストール・イメージがインストールされる前および後の bos.ecc_client.rte ファイルの履歴を示したものです。
- bos.ecc_client.rte ファイルの新規インストール・イメージが提供される前は、以下の出力が表示されます。
# lslpp -ah bos.ecc_client.rte Fileset Level Action Status Date Time --------------------------------------------------------------------------- Path: /usr/lib/objrepos bos.ecc_client.rte 6.1.9.0 COMMIT COMPLETE 04/26/17 16:49:31 6.1.9.0 APPLY COMPLETE 04/26/17 16:49:31 6.1.9.15 APPLY COMPLETE 04/26/17 21:02:55 6.1.9.45 APPLY COMPLETE 04/27/17 08:11:05 Path: /etc/objrepos bos.ecc_client.rte 6.1.9.0 COMMIT COMPLETE 04/26/17 16:49:42 6.1.9.0 APPLY COMPLETE 04/26/17 16:49:42 6.1.9.15 APPLY COMPLETE 04/26/17 21:03:07 6.1.9.45 APPLY COMPLETE 04/27/17 08:11:19
- bos.ecc_client.rte ファイルの新規インストール・イメージが提供されてシステムにインストールされた後は、以下の出力が表示されます。
# lslpp -ah bos.ecc_client.rte Fileset Level Action Status Date Time --------------------------------------------------------------------------- Path: /usr/lib/objreposbos.ecc_client.rte 6.1.9.100 COMMIT COMPLETE 04/27/17 09:19:12 6.1.9.100 APPLY COMPLETE 04/27/17 09:19:12 Path: /etc/objreposbos.ecc_client.rte 6.1.9.100 COMMIT COMPLETE 04/27/17 09:19:22 6.1.9.100 APPLY COMPLETE 04/27/17 09:19:22
フラグ
項目 | 説明 |
---|---|
-c | installp に、新規にインストールされたすべての更新をコミットするように指示します。 更新はデフォルトで適用されます (更新の適用とコミットの比較についての詳細な説明は、 installp マニュアル・ページを参照してください)。 |
-d Device | インストール・メディアの検索場所を指定します。これは、テープや CD-ROM などのハードウェア・デバイスか、 インストール・イメージが入っているディレクトリーです。 インストール・メディアが磁気テープ装置の場合は、磁気テープ装置をクローズ時に巻き戻しなしで、 そしてオープン時に保存なしとして指定する必要があります。 |
-D | install_all_updates のデバッグ出力をオンにします。 このフラグは install_all_updates ユーティリティーのデバッグ用で、 通常の操作では使用しません。 |
-i | install ユーティリティーのみを更新します。 |
-n | installp に、必要条件の自動インストールを行わないように指示します。 必要条件の自動インストールはデフォルトの動作です。 |
-N | 最初に install ユーティリティーの更新をスキップします。
注: このフラグは、関連した問題をデバッグしている場合を除いてお勧めしません。
|
-p | 指定されたアクションのプリインストール検査をすべて実行することにより、アクションのプレビューを実行します。 ソフトウェアの変更は行われません。 |
-r | rpm イメージを更新します (可能な場合)。このフラグはデフォルトでは設定されていません。 |
-s | 推奨される保守レベルまたはテクノロジー・レベルの検証をスキップします。デフォルトでは検証が実行されます。 |
-S | installp に、CD-ROM メディアのマルチボリューム処理を抑制するように指示します。 |
-v | installp に、 ファイルセット内のすべてのインストール済みファイルのチェックサム値が正しいかどうかをインストール後に検証するように指示します。 この操作でインストールを完了するには、時間が余計にかかる可能性があります。 |
-V | installp が詳細出力モードで実行されるように指示します。 |
-x | installp に、ファイルシステムの自動拡張を行わないように指示します。 ファイルシステムの自動拡張はデフォルトです。 |
-Y | ソフトウェアのインストールに必要なソフトウェアご使用条件のすべてに合意します。 |
終了状況
- 0
- すべての lppmgr 関連操作は正常に完了しました。
- >0
- エラーが発生しました。
セキュリティー
root ユーザーのみが install_all_updates を実行できます。
RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。
例
- デバイス /dev/cd0 にある installp の更新すべてをインストールし、
現在の推奨される保守レベルまたはテクノロジー・レベルを検証するには、次のように入力します。
install_all_updates -d /dev/cd0
- システム上のすべての rpm イメージを、/images ディレクトリーからの新しいテクノロジー・レベルで更新するには、次のように入力します。
install_all_updates -d /images -r
- デバイス /dev/cd0 (bos.rte.install update) 上の最新レベルの install ユーティリティーをインストールするには、次のように入力します。
install_all_updates -d /dev/cd0 -i
ファイル
項目 | 説明 |
---|---|
/usr/sbin/install_all_updates | install_all_updates コマンドが入っています。 |