inetd デーモン

目的

ネットワークにインターネット・サービス管理を提供します。

構文

注: SRC コマンドを使用して、コマンド・ラインから inetd デーモンを制御します。rc.tcpip ファイルを使用して、システムを再始動するたびにデーモンを始動します。

/usr/sbin/inetd [ -d ] [ -t SecondsToWait ] [ ConfigurationFile ]

説明

/usr/sbin/inetd デーモンは、ネットワークのインターネット・サービス管理を提供します。 このデーモンは、必要な場合にのみ他のデーモンを呼び出すことによって、さらに、他のデーモンを呼び出さずに簡単なインターネット・サービスを内部的に提供することによって、システムの負荷を減らします。

デフォルトでは、システムが始動するたびに inetd デーモンは始動されます。 このデーモンが始動されると、ConfigurationFile パラメーターに指定したファイルから構成情報を読み取ります。 このパラメーターを指定していない場合、inetd デーモンは /etc/inetd.conf ファイルから構成情報を読み取ります。

始動した inetd デーモンは、listen することにより /etc/inetd.conf ファイル内の一定のインターネット・ソケット上で接続を監視します。 /etc/inetd.conf ファイルには、 inetd デーモンによるインターネット・ソケットでのインターネット・サービス要求の処理方法が記述されています。 inetd デーモンがこれらのソケットの 1 つで要求を受信すると、そのソケットに対応するサービスを判別し、サービス要求そのものを処理するか、または適切なサーバーを呼び出します。

inetd デーモンのサブサーバー

inetd デーモン (サブシステム) は、次のデーモン (サブサーバー) を制御します。

ftpdrlogindrexecdrshdtalkdtelnetduucpd の各デーモンは、デフォルトで始動します。 tftpdfingerdcomsat の各デーモンは、 デフォルトでは始動しません。始動するには、/etc/inetd.conf ファイルのコメントを外します。

inetd 構成ファイル

/etc/inetd.conf ファイルを更新するには、System Management Interface Tool (SMIT) またはシステム・リソース・コントローラー (SRC) を使用するか、 あるいは /etc/inetd.conf を編集します。

SMIT を使用して/etc/inetd.conf ファイルを変更すると、inetd デーモンは自動的に更新され、新しい /etc/inetd.conf ファイルを読み込みます。他のエディターで /etc/inetd.conf ファイルを変更する場合は、refresh -s inetd コマンドまたは kill -1 InetdPID コマンドを実行して、構成ファイルの変更を inetd デーモンに知らせます。refresh -s inetd コマンドを実行する場合、実行中のサービスは、サービスが終了して新規サービスが作成されるまで、古い構成で実行を続行します。

/etc/inetd.conf ファイルの項目には、以下の情報が含まれています。

項目 説明
Service Name 有効なインターネット・サービスの名前を指定します。
Socket Type インターネット・サービスに使用するインターネット・ソケットの型を指定します。(ストリーム・ソケットとデータグラム・ソケットだけが組み込まれています。) 有効な値は以下のとおりです。

ストリーム

dgram

sunrpc_udp

sunrpc_tcp

Protocol インターネット・サービスに使用するインターネット・プロトコルを指定します。有効な値は以下のとおりです。

tcp

tcp6

udp

udp6

Wait/Nowait このタイプのサービス要求の listen を継続する前に inetd デーモンがサービスの完了を待たなければならないかどうかを指定します。
Wait/Nowait このタイプのサービス要求の listen を継続する前に inetd デーモンがサービスの完了を待たなければならないかどうかを指定します。 SRC は待ちのような働きをしますが、fork して子が死ぬのを待つのでなく、サブシステム上で startsrc を行い、サービスの開始についての情報を保管します。 サービスが inetd.conf ファイルから除去され、inetd が再始動されると、サービスには stopsrc が出されてサービスは停止されます。
User inetd がサブサーバーを始動するために使用するユーザー名を指定します。
Path サービスを提供するために inetd が実行する完全修飾パス名を指定します。inetd が内部で提供するサービスの場合、この項目は内部に存在しなければなりません。
Command 始動するサービスの名前とそのパラメーターを指定します。内部サービスの場合、このフィールドは空白のままにします。

SRC の有無に関係なく、inetd デーモンは実行できます。kill コマンドを使用してシグナルを発行することにより、inetd デーモンを制御することもできます。

フラグ

項目 説明
-d デバッグ・メッセージを syslogd デーモンへ送ります。
-t SecondsToWait ループ前に select () システム・コール内で待機する秒数を指定します。SecondsToWait の範囲は 1 から 999999 です。 このフラグを指定していない場合、アクティブなサービスの 1 つがネットワーク接続によって要求されるまで、inetd デーモンはブロック化されます。 このフラグを使用することができるのは、マシンが tftp など多くの待機サービスを提供してはいるが、その他のサービス用には使用されていないときに限ります。 select() システム・コールのタイムアウトが発生すると inetd デーモンが使用する CPU サイクルが増えるので、ほとんどの場合、このフラグの使用は勧められません。

サービス要求

inetd デーモンによって内部的にサポートされるインターネット・サービス要求は、通常はデバッグに使用されます。次の内部サービスがあります。

項目 説明
ECHO データ・パケットをクライアント・ホストに戻します。
DISCARD 受け取ったデータ・パケットを破棄します。
CHARGEN 受け取ったデータ・パケットを破棄して、定義済みデータかランダム・データを送ります。
DAYTIME 現在の日付および時刻をユーザー可読形式で送ります。
TIME 現在の日付および時刻を機械可読形式で送ります。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。