inc コマンド

目的

新規メールをフォルダーに取り込みます。

構文

inc [ + Folder ] [ -noaudit | -audit File ] [ -changecur | -nochangecur ] [ -form FormFile | -format String ] [ -help] [ -file File ] [ -truncate | -notruncate ] [ -nosilent | -silent ] [ -width Number ]

説明

inc コマンドは、着信メールを指定したフォルダーにファイルし、ファイルされたメッセージのリストを出力します。フォルダーはシステム・ディレクトリーです。 デフォルトでは、inc コマンドはメール・ドロップから新しいメッセージを除去し、指定したフォルダーに収めます。 メール・ドロップを削除せずに新規メールをファイルするには、-notruncate フラグを使用します。

指定されたフォルダーがない場合、inc コマンドはフォルダーを作成するかどうかをユーザーに尋ねるプロンプトを表示します。 システムはユーザーのメッセージ・ハンドラー (MH) ディレクトリーのサブディレクトリーとしてフォルダーを作成します。デフォルトのフォルダーは inbox です。

注: .mh_profile ファイルに Path: エントリーが指定されていない場合、inc コマンドは現行ディレクトリーのサブディレクトリーとしてフォルダーを作成します。

ファイルされたメッセージには、フォルダー内の 2 番目に大きい番号で始まる連続メッセージ番号が割り当てられます。 新しい各メッセージは、.mh_profile ファイル内の Msg-Protect: エントリーに指定された保護コードを受け取ります。 Msg-Protect: エントリーがない場合は、保護コード 644 が割り当てられます。 Unseen-Sequence: エントリーがある場合は、そのエントリーが指定する各シーケンスに新しいメッセージが追加されます。

フラグ

項目 説明
-audit File 現在の日付を指定したファイルにコピーし、inc コマンドの出力をそのファイルに追加します。
-changecur 最初の新規メッセージを、指定したフォルダーの現行メッセージとして設定します。 このフラグはデフォルトです。
-file File ユーザーのメール・ドロップからではなく、指定したファイルからのメッセージをファイルします。
+Folder 新しいメッセージを収めるためのフォルダーを指定します。デフォルトでは、システムは inbox と呼ばれるサブディレクトリーを、ユーザーの MH ディレクトリー内に作成します。
-form FormFile inc コマンドの代替出力フォーマットが含まれているファイルを識別します。
-format String inc コマンドの代替出力フォーマットを定義する文字列を指定します。
-help コマンド構文、使用可能なスイッチ (トグル)、およびバージョン情報をリストします。

注: MH の場合、このフラグの名前はスペルを省略しないですべて書き出す必要があります。

-noaudit ファイルされる新しいメッセージに関する情報の記録を抑制します。これはデフォルトです。
-nochangecur 指定したフォルダーに対する現行メッセージを変更できないようにします。
-nosilent 必要な情報をユーザーに確認するプロンプトを表示します。このフラグはデフォルトです。
-notruncate inc コマンドが新しいメッセージを取り込むときに、そのメッセージが入っているメールボックスまたはファイルをクリアしないようにします。 -file フラグを指定した場合は、-notruncate フラグがデフォルトになります。
-silent inc コマンドによる情報を確認するプロンプトが表示されないようにします。このフラグは、inc コマンドをバックグラウンドで実行する場合に便利です。
-truncate inc コマンドが新しいメッセージを取り込むときに、そのメッセージが入っているメールボックスまたはファイルをクリアします。 -file フラグを指定しない場合は、-truncate フラグがデフォルトになります。
-width Number コマンド出力の桁数を設定します。デフォルトはディスプレイの幅です。

プロファイル・エントリー

次のエントリーが、UserMhDirectory/.mh_profile ファイルに入力されます。

項目 説明
Alternate-Mailboxes: 代替メールボックスを指定します。
Folder-Protect: 新しいフォルダー・ディレクトリーの保護レベルを設定します。
Msg-Protect: 新しいメッセージ・ファイルの保護レベルを設定します。
Path: ユーザーの MH ディレクトリーを指定します。
Unseen-Sequence: 表示されないメッセージを記録するのに使用する順序を指定します。

セキュリティー

RBAC ユーザーおよび Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。 特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権についての詳細情報は、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。 このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. 新規メールをデフォルトのメール・フォルダー inbox に組み込むには、次のように入力します。
    
    inc
    inbox フォルダーがある場合は、システムは次のようなメッセージを表示します。
    
    Incorporating new mail into inbox...
    65+        04/08    jim@athena.a         Meeting                                <<The meeting will
    66         04/08    jim@athena.a         Schedule                               <<Schedule change
    この例では、2 つのメッセージが inbox フォルダーにファイルされます。 最初のメッセージの件名は Meeting で、1 行目は The meeting will で始まります。 第 2 のメッセージの件名は Schedule で、1 行目は Schedule change で始まります。
  2. 新規メールを test cases と呼ばれる新規フォルダーに組み込むには、次のように入力します。

    inc     +test cases
    システムは次のようなプロンプトを表示します。
    Create folder "/home/mary/test cases"?
    フォルダーを作成したい場合は、次のように入力します。
    yes
    次のようなメッセージが表示されます。
    Incorporating new mail into test cases...
    67+        04/08    jim@athena.a            Meeting                                <<We will begin
    68         04/08    jim@athena.a            Schedule                               <<Schedule change

ファイル

項目 説明
$HOME/.mh_profile MH ユーザー・プロファイルをカスタマイズします。
/etc/mh/mtstailor MH 環境をローカル環境に合わせて調整します。
/var/spool/mail/$USER メール・ドロップの位置を指定します。
/usr/bin/inc inc コマンドが入っています。