emsvcsctrl コマンド
目的
イベント管理サブシステムを始動します。
構文
emsvcsctrl [-a | -s | -k | -d | -c | -t | -o | -h ]
説明
emsvcsctrl は、イベント管理サブシステムを開始する制御スクリプトです。 イベント管理は、 IBM® RS/6000® サーバーに一連の高可用性サービスを提供する RSCT の分散サブシステムです。 システム・リソースの状態の情報と、クライアント・プログラムにとって重要なリソースの状態に関する情報とを突き合わせて、イベントを作成します。 クライアント・プログラムでは、イベントを使用して、システム障害を検出し、障害から回復できるので、システムの可用性が高まります。 emsvcsctrl 制御スクリプトでは、イベント管理サブシステムの操作を制御します。 このサブシステムは、システム・リソース・コントローラー (SRC) の制御下にあり、emsvcs と呼ばれるサブシステム・グループに属します。 各サブシステムには、デーモンが関連付けられています。 emsvcsctrl スクリプトは、 AIX® リソース・モニター・サブシステムの操作も制御します。 このサブシステムは、SRC の制御下にあり、emsvcs サブシステム・グループに属します。 各サブシステムには、デーモンが関連付けられています。
- サブシステム
- イベント管理
- サブシステム・グループ
- emsvcs
- SRC サブシステム
- emsvcs サブシステムは、haemd デーモンに関連付けられています。
- emaixos
- emaixos は、harmad デーモンに関連付けられています。
- デーモン
- haemd デーモンは、イベント管理サービスを提供します。 harmad デーモンは、 AIX オペレーティング・システム・リソースのリソース・モニターです。
emsvcsctrl スクリプトは通常、コマンド・ラインから実行されるとは限りません。 通常は、システムのインストール時に、HACMP/ES 始動スクリプト・コマンドによって呼び出されます。
- サブシステムの追加、始動、停止、および削除
- サブシステムのクリーンアップ
- トレースのオンおよびオフ
- emsvcs および emaixos サブシステムが停止していることを確認します。
- SRC から emsvcs および emaixos サブシステムを (まだ存在している場合に) 除去します。
- emsvcs サブシステムを SRC へ追加します。
- emaixos サブシステムを SRC へ追加します。
- mkgroup コマンドを使用して haemrm グループを追加します (ただし、まだ存在していない場合のみ)。 発生したエラーはすべて /var/ha/log/em.mkgroup という名前のログ・ファイルに書き込まれます。
- /var/ha/lck/haem および /var/ha/soc/haem ディレクトリーを作成します (ただし、まだ存在していない場合のみ)。 発生したエラーはすべて /var/ha/log/em.mkdir という名前のログ・ファイルに書き込まれます。
- イベント管理構成データベース (EMCDB) をインストール場所である /opt/rsct/install/config/em.HACMP.cdb から、その実行場所である /etc/ha/cfg/em.HACMP.cdb へコピーします。 コピーによってエラーが発生すると、そのエラーはログ・ファイル /var/ha/log/em.cp へ書き込まれます。
Starting the Subsystem: -s フラグが指定されている場合、制御スクリプトは startsrc コマンドを使用して、イベント管理サブシステム emsvcs、および AIX リソース・モニター・サブシステム emaixos を開始します。
Stopping the Subsystem: -k フラグが指定されている場合、制御スクリプトは stopsrc コマンドを使用して、イベント管理サブシステム emsvcs、および AIX リソース・モニター・サブシステム emaixos を停止します。
- emsvcs および emaixos サブシステムが停止していることを確認します。
- rmssys コマンドを使用して、SRC から emsvcs および emaixos サブシステムを除去します。
- stopsrc -g emsvcs コマンドを使用して、サブシステム・グループ内のサブシステムのすべてのインスタンスを停止します。
- rmssys コマンドを使用して、サブシステム・グループ内のサブシステムのすべてのインスタンスを SRC から除去します。
- イベント管理構成データベース (EMCDB) を実行時位置である /etc/ha/cfg/em.HACMP.cdb から除去します。
Turning Tracing On: -t フラグを指定すると、制御スクリプトは haemtrcon コマンドを使用して、haemd デーモンのトレースをオンにします。 また、traceson コマンドを使用して、harmad デーモンのトレースも使用可能にします。
Turning Tracing Off: -o フラグを指定すると、制御スクリプトは haemtrcoff コマンドを使用して、haemd デーモンのトレースをオフにします。 また、tracesoff コマンドを使用して、harmad デーモンのトレースも使用不可にします。
Logging: イベント管理デーモンは、実行中に、通常、 AIX エラー・ログにエントリーを書き込むことによって、操作およびエラーに関する情報を提供します。 それが不可能な場合は、エラーはログ・ファイル /var/ha/log/em.default.cluster_name に書き込まれます。
フラグ
- -a
- サブシステムを追加します。
- -s
- サブシステムを始動します。
- -k
- サブシステムを停止します。
- -d
- サブシステムを削除します。
- -c
- サブシステムをクリーンアップします。
- -t
- サブシステムのトレース機能をオンにします。
- -o
- サブシステムのトレース機能をオフにします。
- -h
- 使用法の情報を表示します。
セキュリティー
rootの実効ユーザー ID を使用して実行している必要があります。
終了状況
- 0
- コマンドの正常終了を示します。
- 1
- エラーが発生したことを示します。
制約事項
このコマンドは、 HACMP 環境でのみ有効です。
標準エラー
このコマンドは、エラー・メッセージを (必要に応じて) 標準エラーに書き込みます。
例
- イベント管理サブシステムを SRC へ追加するには、次のように入力します。
emsvcsctrl -a
- イベント管理サブシステムを始動するには、次のように入力します。
emsvcsctrl -s
- イベント管理サブシステムを停止するには、次のように入力します。
emsvcsctrl -k
- イベント管理サブシステムを SRC から削除するには、次のように入力します。
emsvcsctrl -d
- イベント管理サブシステムをクリーンアップするには、次のように入力します。
emsvcsctrl -c
- イベント管理デーモンのトレース機能をオンにするには、次のように入力します。
emsvcsctrl -t
- イベント管理デーモンのトレース機能をオフにするには、次のように入力します。
emsvcsctrl -o
場所
- /opt/rsct/bin/emsvcsctrl
- emsvcsctrl スクリプトが含まれています。
ファイル
- /var/ha/log/em.default.cluster_name
- クラスター cluster_name 上の haemd デーモンのデフォルト・ログが含まれています。
- /var/ha/log/em.cp
- イベント管理構成データベースのコピー中に発生したエラーのログが入っています。
- /var/ha/log/em.trace.cluster_name
- クラスター名が cluster_name のクラスターに関する、haemd デーモンのトレース・ログが入っています。
- /var/ha/log/em.mkgroup
- haemrm グループの作成中に発生したエラーのログが入っています。
- /var/ha/log/em.mkdir
- /var/ha/lck/haem および /var/ha/soc/haem ディレクトリーの作成中に発生したエラーのログが入っています。