大量デバイスの構成

デバイスには、プリンター、ドライブ、アダプター、バス、およびエンクロージャーなどのハードウェア・コンポーネントのほかに、エラー・スペシャル・ファイルおよびヌル・スペシャル・ファイルなどの疑似デバイスなどもあります。 デバイス・ドライバーは、/usr/lib/drivers ディレクトリーにあります。

AIX® がサポートできるデバイスの数は、システムによってそれぞれ異なり、 いくつかの重要な要因によって決まります。 以下に、デバイスをサポートするファイルシステムに影響を与える要因を示します。
  • 多数のデバイスを構成するには、ODM デバイス構成データベース内により多くの情報を入れるためのストレージが必要になります。 より多くのデバイス・スペシャル・ファイルも必要になる可能性があります。 その結果、ファイルシステムにはより多くのスペースとより多くの i ノードが必要になります。
  • 一部のデバイスは、その他のデバイスより多くのスペースを ODM デバイス構成データベース内に必要とします。 使用されるスペシャル・ファイルまたは i ノードの数もデバイスによって異なります。 その結果、ファイルシステムに必要とされるスペース量および i ノードは、 システム上のデバイスのタイプに応じて変わります。
  • マルチパス入出力 (MPIO) デバイスには、非 MPIO デバイスより多くのスペースが必要です。 なぜなら、ODM 内にはそのデバイス自体に関する情報だけでなく、 そのデバイスへの一つ一つのパスに関する情報も保管されるからです。 大まかなガイドラインとして、それぞれのパスがデバイスの 5 分の 1 のスペースをとるものと想定します。 例えば、5 つのパスを持つ 1 台の MPIO デバイスは、非 MPIO デバイス 2 台分と等しいスペースをとることになります。
  • AIX は論理デバイスと物理デバイスの両方を、ODM デバイス構成データベースに組み込みます。 論理デバイスには、ボリューム・グループ、論理ボリューム、ネットワーク・インターフェースなどが含まれます。 場合によっては、論理デバイスと物理デバイスとの関係が、サポートされるデバイスの合計数に多大な影響を与える可能性があります。 例えば、システムに接続されているそれぞれの物理ディスクごとに 2 つの論理ボリュームを持つボリューム・グループを定義した場合、その結果としてディスクごとに 4 つの AIX デバイスが存在することになります。 一方、それぞれの物理ディスクごとに 6 つの論理ボリュームを持つボリューム・グループを 定義した場合は、ディスクごとに 8 つの AIX デバイスが存在することになります。 そのため、ディスクの半数しか接続できなくなります。
  • デバイスの属性をそれらのデフォルト設定から変更すると、結果的に ODM デバイス構成データベースが大きくなり、サポートできるデバイス数の減少につながる可能性があります。
  • デバイスの数が増えれば増えるほど、より多くの実メモリーが必要となります。
AIX では、デバイスのサポートに次の 2 つのファイルシステムが使用されます。
  • RAM ファイルシステム。これは、ページング・スペースがなく、ディスク・ファイルシステムもマウントされていない環境でブート時に使用されます。 RAM ファイルシステムのサイズは、システム・メモリー・サイズの 25% で、最大 128MB までです。 RAM ファイルシステムでは、1KB ごとに 1 つの i ノードが割り振られます。 AIX オペレーティング・システムの最小システム・メモリー要件は 256 MB で、これが 65536 個の i ノードを持つ 64 MB の最小 RAM ファイルシステム・サイズに変換されます。 システム・メモリー・サイズが 512MB 以上の場合、RAM ファイルシステムはその最大サイズである 128MB となり、i ノードの数は 131072 個となります。 接続されているデバイスのサポートに必要な RAM ファイルシステム・スペースの量 または i ノードの数のいずれかが、その RAM ディスクに割り振られている数量を超えた場合は、システムをブートできない可能性があります。 この場合は、デバイスのいくつかを除去する必要があります。
  • ディスク上の root ファイルシステム (rootvg) のスペースおよび i ノードは、その rootvg に未割り振りの区画がある限り増やすことができます。 最大の RAM ファイルシステム・サイズを使用した場合は、最大 25,000 の AIX デバイスを構成できる可能性があります。 この数には、物理デバイスと論理デバイスの両方が含まれます。 このセクションで言及したさまざまな要因によっては、 使用するシステムで構成可能なデバイスの数がこの数より多い場合や少ない場合があります。
注: システム内のデバイスの数が多ければ多いほど、構成時間が長くなり、その分ブート時間が長くなります。