クォーラム (定足数)

クォーラム (定足数) は、ボリューム・グループの使用準備ができていて、最新データが入っていることを確認するために LVM が使用するいずれかのメカニズムです。

クォーラム (定足数) とは、アクティブなボリューム・グループ・ディスクリプター領域とボリューム・グループ用ステータス領域 (VGDA/VGSA) の数の必要数です。 ディスクに障害が発生した場合の VGDA/VGSA 領域のデータ保全性は、クォーラム (定足数) によって確保されます。 ボリューム・グループ内のどの物理ディスクにも、少なくとも 1 つの VGDA/VGSA があります。 ボリューム・グループが 1 つのディスクに作成された場合、 そのボリューム・グループには、最初はそのディスクに存在する 2 つの VGDA/VGSA 領域があります。 ボリューム・グループが 2 つのディスクから構成される場合、1 つのディスクには 2 つの VGDA/VGSA 領域がありますが、もう 1 つのディスクには 1 つの VGDA/VGSA 領域があります。 ボリューム・グループが 3 つ以上のディスクから構成されている場合、 それぞれのディスクには 1 つの VGDA/VGSA が割り当てられます。

少なくともディスクの半分 (VGDA/VGSA を意味する) が LVM により読み取り不能であるとき、クォーラム (定足数) は失われます。 2 つのディスクから構成されるボリューム・グループでは、VGDA/VGSA を 1 つしか持たないディスクが失われても、3 つのうちの 2 つの VGDA/VGSA 領域にアクセスできるので、クォーラム (定足数) はまだ存在します。 2 つの VGDA/VGSA 領域を持つディスクが失われると、この説明は成り立たなくなります。 ボリューム・グループを構成するディスクの数が多くなるほど、1 つのディスクが障害を起こしたときにクォーラム (定足数) が失われる機会は少なくなります。

クォーラム (定足数) が失われると、ボリューム・グループはオフに変更 (vary off) されて、LVM からディスクにアクセスできなくなります。 これによって、そのボリューム・グループに対するそれ以後のディスク入出力を防ぎ、 物理的問題が生じたときにデータが失われないように、または書き込まれることがないようにします。 さらに、オフに変更した結果として、ハードウェア・エラーが発生してサービスを実行する必要があるということを、エラー・ログでユーザーに通知します。

クォーラム (定足数) が失われた場合でも、ボリューム・グループの操作を続行することが望ましい場合もあります。 このような場合、クォーラム (定足数) 検査はそのボリューム・グループに対してオフに変更されます。 このタイプのボリューム・グループは非クォーラム (定足数) ボリューム・グループ と呼ばれます。 非クォーラム (定足数) ボリューム・グループの最も一般的な例は、 論理ボリュームがミラーリングされている場合に起こります。 ディスクが失われたとき、使用不可でなくアクセス可能なディスク上に論理ボリュームのコピーが存在する場合には、 データは失われません。 ただし、非クォーラム (定足数) ボリューム・グループにおいても、 ミラーリングされているかどうかに関係なく、データ (コピーも含む) が 1 つ以上の使用不可になったディスク上に存在しているという場合もあります。 このような場合には、ボリューム・グループをオンに変更 (vary on) したままにしておいても、 データにアクセスできないことがあります。