custom コマンド

目的

ユーザーが X アプリケーションのカスタマイズを行えるようにします。

構文

custom-h |  -e Browser |  [  -s ResourceFile ]  [  Application ] ]

説明

custom コマンドは、アプリケーションのさまざまな外観をカスタマイズするためのカスタマイズ・ツールを始動します。

カスタマイズ・ツールではアプリケーションの外観を変更することができます。カスタマイズ・ツールは、リソース値をユーザーの .Xdefaults ファイルに簡単に追加できる方法を提供します。リソース とは、色、フォント、その他クライアント・アプリケーションのリソースをカスタマイズ可能にする属性などの、カスタマイズ可能な項目です。各アプリケーションには独自のリソース・セットがあります。これらのリソースは app-custom ファイルに登録されています。カスタマイズ・ツールには、アプリケーションの変更に使用できるリソースと、選択できるリソース値が記述してあります。

フラグ

項目 説明
-h コマンド・ライン・ヘルプを表示します。
-e Browser スタンドアロン・ブラウザーを 1 つ呼び出します。Browser に指定できる値は colorfontcursor、および picture です。
-s ResourceFile リソースの設定のロード元および保管先となるリソース・ファイルを指定します。-s フラグを指定しないと、デフォルトにより X サーバーの RESOURCE_MANAGER 属性に格納されているリソース・データベースから値がロードされます。このデータベースが存在しない場合は、$HOME/.Xdefaults がロードされます。

custom コマンドは、ほとんどの標準 X ツールキット・コマンド・ライン・オプションを解釈します。 以下の表に、標準コマンド・ライン・オプションをリストします。

custom コマンドの標準コマンド・ライン・オプション
オプション 情報
-bg
リソース
*background
次の引数
設定
背景色
-background
リソース
*background
次の引数
設定
背景色
-bd1
リソース
*borderColor
次の引数
設定
ボーダーの色
-bordercolor1
リソース
*borderColor
次の引数
設定
ボーダーの色
-bw
リソース
.borderWidth
次の引数
設定
ボーダーの幅 (ピクセル単位)
-borderWidth
リソース
.borderWidth
次の引数
設定
ボーダーの幅 (ピクセル単位)
-display
リソース
.display
次の引数
設定
使用するサーバー
-fn2
リソース
*font
次の引数
設定
フォント名
-font2
リソース
*font
次の引数
設定
フォント名
-fg
リソース
*foreground
次の引数
設定
フォアグラウンド・カラー
-foreground
リソース
*foreground
次の引数
設定
フォアグラウンド・カラー
-geometry
リソース
.geometry
次の引数
設定
サイズおよび位置
-iconic
リソース
.iconic
オン
設定
アイコンとして開始
-name
リソース
.name
次の引数
設定
アプリケーションの名前
-reverse
リソース
*reverseVideo
オン
設定
反転表示
-rv
リソース
*reverseVideo
オン
設定
反転表示
+rv
リソース
*reverseVideo
オフ
設定
反転表示せず
-selection- Timeout
リソース
.selection-Timeout
次の引数
設定
選択タイムアウト
-synchronous
リソース
*synchronous
オン
設定
同期デバッグ・モード
+synchronous
リソース
*synchronous
オフ
設定
同期デバッグ・モード
-title
リソース
.title
次の引数
設定
アプリケーションの名称
-xrm
リソース
value of argument
次の引数
設定
引数により異なる
-xnllanguage
リソース
.xnlLanguage
次の引数
設定
ロケール
注:
  1. AIXwindows ウィンドウ・マネージャーを実行している場合、これらのオプションを指定しても、AIXwindows アプリケーションに対して特に明確な作用を及ぼさないことがあります。
  2. 通常、Motif アプリケーションは上記のオプションには対応しません。
  3. * (アスタリスク) で始まるリソースは、アプリケーション内のすべてのウィジェットのリソースに同じ値を設定します。
  4. (ピリオド) で始まるリソースは、アプリケーションの最上位のシェル・ウィジェットのリソースだけを設定します。

パラメーター

項目 説明
Application カスタマイズするアプリケーションの名前またはクラスを指定します。

  1. カスタマイズ・ツールを始動し、プロンプトを使用してカスタマイズするアプリケーションを選択するには、以下のように入力します。
    custom
  2. カスタマイズ・ツールを始動し、xcalc アプリケーションの app-defaults ファイルを変更するには、以下のように入力します。
    custom -s 
    /usr/lib/X11/app-defaults/XCalc xcalc

リソース

カスタマイズ・ツールには、以下のアプリケーション・リソースがあります。

項目 説明
listOfApps 開始ダイアログにアプリケーション名を表示するために使用します。アプリケーション名とこのアプリケーションに対応する app-custom ファイルは、以下の構文を使用して対で示す必要があります。

Application:app-custom 
[,Application:app-custom]...

例:

Custom.listOfApps: 
xclock:XClock,custom:Custom

最大 100 のアプリケーションを指定できます。

colorEditor*rgbtxtPath X サーバーが指定された色を定義するために使用する rgb.txt ファイルの絶対パス名を指定します。 デフォルト値は /usr/lib/X11/rgb.txt で、 これはシステムに直接接続されているディスプレイ上で稼働している X サーバーに対して正しいパス名です。
windowSearchDepth カスタマイズ・ツールにより、アプリケーションの最上位のシェル・ウィンドウが判別されます。 カスタマイズ・ツールは、ルート・ウィンドウから開始し、デフォルトでは再帰的検索を 3 つのウィンドウの深さまで行います。このデフォルトを変更するには、windowSearchDepth リソースを使用します。
timeout アプリケーションとの通信が確立されるまで、Instant Changes ボタンはぼかし表示になっています。アプリケーションがカスタマイズ・ツールに接続するまでの待ち時間は、Custom*timeout リソースによって管理されます。
resourceFile リソース・ファイルとは、リソースの変更が保管されるファイルです。デフォルトは $HOME/.Xdefaults です。-s フラグを指定すると、この値をオーバーライドできます。
appCustomPath カスタマイズ・ツールが app-custom ファイルを検索するパスを指定します。appCustomPath 文字列は、コロンで区切られた複数の有効なファイル名から構成されます。各名前に、以下の値を代入することができます。
%N
app-custom ファイルの名前 (通常はアプリケーションのクラス名と同じです)。
%T
"app-custom"
%L
custom が実行されるロケール (地域)。
%l
ロケールの言語部分。
%t
ロケールの地域部分。
%c
ロケールのコード・セット。
%:
: (コロン)。
%%
% (パーセント記号)。
$envvar
指定された環境変数の値。
${envvar}
指定された環境変数の値。
$$
$ (ドル記号)。

appCustomPath のデフォルト値は、以下のとおりです。

$HOME/%L/%T/%N:¥
$HOME/%T/%N:¥
/usr/lib/X11/%L/%T/%N:¥
/usr/lib/X11/%T/%N
topEditHighlight, bottomEditHighlight, foregroundEditHighlight, backgroundEditHighlight Browser ボタンは、ブラウザーが呼び出されると強調表示され、ブラウザーが取り消されるとこの強調表示が解除されます。 これらのリソースは、Browser ボタンのトップ・シャドー、ボトム・シャドー、前景、背景の強調表示カラーを設定します。
pictureEditor*editor Pictures ブラウザー・ウィンドウの Edit Picture ボタンを押すと、ビットマップまたはピックスマップを編集できます。 エディターはユーザーのシステムに存在する独立したアプリケーションで、 編集作業のために呼び出されます。Custom*pictureEditor*editor リソースは、どのエディター・コマンドが呼び出されるかを判別します。このリソースは、¥n (円記号 'n') で区切られたコマンド・リストを受け入れます。 ユーザーが実行許可を持っている既存のプログラムを識別する最初のコマンドが使用されます。 Chosen Picture テキスト・フィールドのファイル名は、 呼び出し時にパラメーターとしてエディターに渡されます。 このリソースのデフォルト設定は以下の通りです。
 
Custom*pictureEditor*editor: 
/usr/dt/bin/dticon  -f ¥n                                                  
/usr/lib/X11/bitmap
 
注: デフォルトのエディター /usr/dt/bin/dticon は、共通デスクトップ環境 (CDE) がインストールされている場合にのみ存在します。 このエディターは、ビットマップ (モノクローム・イメージ) とピックスマップ (カラー・イメージ) の両方を 編集します。dticon コマンドは、AIXwindows バージョン 1.2.5 に添付されて出荷されていた X Desktop (xdt) アプリケーションで使用されていた Pixmap Version 2 Enhanced (XPM2) フォーマットか、または CDE により使用される XPG3 準拠の新しいフォーマット、X Pixmap Version 3 (XPM3) フォーマットのいずれかで格納されているビットマップを受け入れます。ただし、 ピックスマップ・イメージは XPM3 フォーマットで格納する必要があります。 CDE には、ピックスマップを XPM2 から XPM3 フォーマットに変換できる文書化されたツールが用意されています。
 

/usr/bin/X11/bitmap コマンドは、XPM2 フォーマットまたは XPM3 フォーマットのビットマップを受け入れる、サポートされていないサンプル・プログラムです。このコマンドでは、ピックスマップの編集はサポートされません。bitmap コマンドを呼び出す前に、Bitmap app-defaults ファイルが /usr/lib/X11/app-defaults にインストールされていることを確認してください。インストールされていない場合は、/usr/lpp/X11/Xamples/programs/bitmap ディレクトリー内で次のコマンドを実行します。


xmkmf;
make install
 

このツールをカスタマイズするために使用できるオブジェクト名 (およびオブジェクトのクラス名) を以下に示します。


custom (Custom)
  startupDialog_popup (XmDialogShell)
     startupDialog (XmSelectionBox)
  helpDialog_popup (XmDialogShell)
     helpDialog (XmForm)
  saveDialog_popup (XmDialogShell)
     saveDialog (XmSelectionBox)
  colorEditor_popup (XmDialogShell)
     colorEditor (XibmColorEditor)
  fontEditor_popup (XmDialogShell)
     fontEditor (XibmFontEditor)
  pictureEditor_popup (XmDialogShell)
     pictureEditor (XibmPictureEditor)
  cursorEditor_popup (XmDialogShell)
     cursorEditor (XibmCursorEditor)
  selectmanyEditor_popup (XmDialogShell)
     selectmanyEditor (XibmSelectManyEditor)
  filenameEditor_popup (XmDialogShell)
     filenameEditor (XmFileSelectionBox)
  mainWindow (XmMainWindow)
     menubar (XmRowColumn)
     form (XmForm)
        appClassLabel (XmLabel)
        appClass (XmLabel)
        groupMenuLabel (XmLabel)
        groupMenu (XmRowColumn)
        scrolledGroup (XmScrolledWindow)
           scrolledGroupForm (XmForm)
               (XmLabelGadget)
               TypeField (XmTextField)
               TypeButton (XmPushButton)
 

Type には、データ型値 color、 font、 picture、 cursor、 selectmany、 filename、 selectone、 string、 または number のうちの 1 つを指定できます。

終了状況

このコマンドは、以下の終了値を返します。

項目 説明
0 正常に完了したことを示します。
>0 エラーが発生したことを示します。

ファイル

項目 説明
/usr/bin/X11 カスタム・パッケージのインストール後、実行する custom コマンドのパスです。
/usr/lib/X11/app-custom 個々のアプリケーションに関する情報が記述されています。
/usr/lib/X11/locale/app-custom 特定のロケールに対応して変換された個々のアプリケーションに関する情報が記述されています。
/usr/lib/X11/app-defaults/Custom カスタマイズ・ツールのデフォルト設定が記述されています。
/usr/lib/X11/locale/app-defaults/Custom 特別な設定値を必要とするロケールで使用するための、カスタマイズ・ツール用のデフォルトの設定値が入っています。