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create_ova コマンド

目的

オープン仮想アプライアンス (OVA) パッケージを作成します。 OVA パッケージは、仮想マシンとしてデプロイ可能なアーカイブ・ファイルです。

構文

create_ova -o OutDir [-d Disk] [ -i Image] [ -t OStype] [ -e ] [ -f ] [-g Size]

説明

create_ova コマンドは、単一ボリューム・ロウ・ディスク・イメージを作成し、ロウ・ディスク・イメージの内容を互換 OVA パッケージ・フォーマットにエクスポートするために使用します。 OVA パッケージは、サポート対象のストレージ・デバイスを含む、あらゆる IBM Power Virtualization Center (PowerVC) 環境にインポートできます。 OVA パッケージはまた、Open Virtualization Format (OVF) パッケージング標準をサポートする、あらゆるクラウド・サービスにもインポートできます。 インポートされた OVA パッケージは、仮想マシンとしてデプロイ可能です。

create_ova コマンドは、OVA パッケージの内容を生成する前に、ユーザー介入なしで自動的に、pipe viewerrpmyum などの従属ソフトウェアをインストールします。 OVA パッケージをインストールも構成もできない場合は、リカバリー手順を実行し、正常に行われるまでインストールを再試行する必要があります。

ユーザー・セッションごとに、コマンド実行の結果が /var/adm/ras/<create_ova.pid$$.log> ログ・ファイルに保存されます。

フラグ

-d Disk
mksysb イメージのリストアに使用するターゲット・ディスク (論理デバイス) を指定します。 ターゲット・ディスクは、ロウ・ディスク・イメージを OVA パッケージにコピーするためのメディアとしても使用されます。
-e
-d フラグで指定されたターゲット・ディスクへのイメージ・リストアを除外します。 このオプションは、エクスポートされた内容が既にターゲット・ディスクにある場合に使用します。
-f
ファイルシステム・スペース警告メッセージを無視します。
注: mksysb イメージの内容またはロウ・ディスク・イメージの内容をエクスポートする場合、create_ova コマンドは、ロウ・ディスク・イメージ内のボリュームの内容全体を保管します。 create_ova コマンドは、ロウ・ディスク・イメージ内のボリュームのコピーを作成するために十分なスペースと、最大 10% のメタデータ用追加スペースを必要とします。 例えば、ロウ・ディスク・イメージ内のボリュームに 100 GB のスペースが必要な場合、create_ova コマンドは追加で 10 GB のスペース (合計 110 GB のスペース) を必要とします。 -f フラグを使用すると、宛先サーバー上の出力ディレクトリーに、エクスポートされる内容のために十分なスペースが確保されます。
-g Size
ブート・ボリュームのディスク・サイズを GB 単位で指定します。 ブート・ボリュームは、OVA パッケージのインポート中にロウ・ディスク・イメージ内のボリュームのコピーを作成するときに使用されます。
-i Image
mksysb イメージのファイル名 (絶対パス)、または OVA パッケージに内容をパックするための入力として使用されるロウ・ディスク・イメージの内容を指定します。
注: このフラグで mksysb イメージを指定する場合は、イメージのバックアップ内容をリストアするために、-d フラグを指定する必要があります。 一方、このフラグでロウ・ディスク・イメージの内容を指定する場合、内容は OVA パッケージに直接コピーされるため、イメージからバックアップ内容をリストアする必要がなくなります。
-o OutDir
OVA パッケージの出力ディレクトリーを指定します。
注: ロウ・ディスク・イメージの内容を OVA パッケージにエクスポートする場合は、まずロウ・ディスク・イメージを宛先サーバー上のファイルシステムにコピーする必要があります。 そのため、ロウ・ディスク・イメージ内のすべてのボリュームをファイルシステム内のファイルにコピーするために十分なスペースがサーバーに必要です。 ロウ・ディスク・イメージ内のすべてのボリュームがファイルシステム内のファイルにコピーされたら、 ロウ・ディスク・イメージから非圧縮 OVA パッケージを作成できます。

OVA パッケージの作成後、OVA パッケージの作成に使用されたファイルは削除されます。 作成された OVA パッケージは、gzip ユーティリティーを使用して圧縮されます。 OVA パッケージを圧縮するとき、一時ファイルが出力ディレクトリーに表示されることがあります。 これらの一時ファイルは無視してかまいません。 *.ova.gz パッケージが正常に作成されると、該当する戻りコードが表示されます。

-t OStype
OVA パッケージの作成に使用するイメージがあるシステムのオペレーティング・システムを指定します。 指定できる値は、aixrhel、および sles です。 -t フラグを省略した場合、デフォルトのオペレーティング・システムは aix です。

イメージ要件

OVA パッケージのソースとして既存のロウ・ディスク・イメージまたは既存のルート・ボリューム・グループを使用する場合、仮想マシンは特定の要件を満たす必要があります。 ルート・ボリューム・グループをバックアップまたはキャプチャーする前に仮想マシンを準備しないと、イメージのデプロイ時にエラーが発生することがあります。 例えば、イメージのデプロイ時に作成される仮想マシンを ping できない場合があります。 mksysb イメージを作成する前に、またはルート・ボリューム・グループをロウ・ディスク・イメージにバックアップする前に、以下の手順を実行して、バックアップまたはキャプチャーする必要がある仮想マシンを準備してください。
  1. クラウド初期化プログラムをインストールします。

    クラウド初期化プログラムを、バックアップまたはキャプチャーする仮想マシン上にインストールします。 クラウド初期化プログラムはユーザー入力を取り込み、デプロイされた仮想マシン上でオペレーティング・システムとソフトウェアを構成します。 クラウド初期化プログラムは、仮想マシンの初期化用に、Open Stack で広く使用されています。 詳しくは、『Installing and configuring cloud-init』を参照してください。

  2. バックアップまたはキャプチャーする必要がある仮想マシンを準備します。
    仮想マシン上でログ・ファイルのクリーンアップや Resource Monitoring and Control (RMC) 接続の有効化などの作業を行って、バックアップまたはキャプチャー用に仮想マシンを準備します。 ライブ・マイグレーションや動的 LPAR などの一部の PowerVC 機能は、ハードウェア管理コンソール (HMC) または NovaLink 区画と仮想マシンとの間でアクティブ RMC 接続を必要とします。
    • 仮想マシンは、仮想入出力サーバーと仮想ストレージを使用する必要があります。
    • ディスク・イメージをコピーする場合は、仮想マシンをシャットダウンする必要があります。
    詳しくは、『Set up an RMC connection』を参照してください。
  3. Linux® オペレーティング・システムに対して以下の前提条件を満たしていることを確認します。
    • Linux Loader (LILO) または Yaboot のブート・ローダーを使用する、SUSE Linux Enterprise Server (SLES) 10、SLES 11、Red Hat® Enterprise Linux (RHEL) 5、RHEL 6 などのオペレーティング・システムには、仮想マシンに複数のディスクがある場合に特別な考慮事項があります。 ブート・ローダーの構成について詳しくは、それぞれの Linux オペレーティング・システムの資料を参照してください。
    • SLES 12 で、1 次アダプターとして静的 IP アドレスを持ち、2 次アダプターとして動的ホスト構成プロトコル (DHCP) を持つネットワーク構成でイメージをデプロイする場合は、仮想マシンの DHCLIENT_SET_DEFAULT_ROUTE 属性を変更する必要があります。 そうでないと、DHCP アダプターは 1 次 (静的) アダプターのデフォルト・ゲートウェイをオーバーライドする可能性があります。 /etc/sysconfig/network/dhcp ファイルで、DHCLIENT_SET_DEFAULT_ROUTE 属性の値を yes に設定してください。
    • Linux 仮想マシンに Multiple Path I/O (MPIO) を持たせたい場合は、仮想マシンのバックアップまたはキャプチャーを行う前に、ルート・デバイス上で MPIO 用に Linux オペレーティング・システムを構成する必要があります。

  • mksysb イメージをターゲット・ディスク /dev/hdisk2 にリストアし、その内容を /images ディレクトリーに保管されている OVA パッケージにパックするには、次のコマンドを入力します。
    create_ova -o /images -d hdisk2 -i /tmp/backup.sysb
  • ロウ・ディスク・イメージをコピーし、その内容を /images ディレクトリーに保管されている OVA パッケージに (ファイルシステム・スペース要件を無視することによって) パックするには、次のコマンドを入力します。
    create_ova -o /images -i /tmp/mysystem.img -f
  • 30 GB の SLES ルート・ボリューム・グループをエクスポートし、80 GB の新規ディスク・サイズ要件を指定するとともに、30 GB の SLES ルート・ボリューム・グループをエクスポートし、その内容を /images ディレクトリーに保管されている OVA パッケージにパックするには、次のコマンドを入力します。
    create_ova -o /images -e -d rhdisk2_lv -g 80 -t sles
  • ターゲット・ディスク hdisk2 上にある代替 AIX® ルート・ボリューム・グループをエクスポートし、その内容を /images ディレクトリーに保管されている OVA パッケージにパックするには、次のコマンドを入力します。
    create_ova -o /images -e -d hdisk2 -t aix
  • AIX rootvg ボリューム・グループをターゲット・ディスク /dev/hdisk1 にエクスポートし、クラウド初期化プログラムをインストールし、ボリューム・グループの内容を /images ディレクトリーに保管されている OVA パッケージにパックするには、次のコマンドを入力します。
    create_ova -o /images -d hdisk1
変更の終わり