chcomg コマンド

目的

ピア・ドメインに対して事前定義されている通信グループを変更します。

構文

通信グループの属性を変更するには、次のように入力します。

chcomg [ -s sensitivity ] [ -p period ] [ -g grace ] [ -t priority ] [-b] [-r] [ -x b | r | br ] [ -e NIM_path ] [ -m NIM_parameters ] [ -N UseForNodeMembership ] [-h] [-TV] communication_group

あるハートビート・インターフェース・リソースの参照先を別の通信グループに変更するには、次のように入力します。

chcomg [ -i h:heartbeat_interface1[:node1 ] [ ,heartbeat_interface2[:node2]...] | -S h:"heartbeat_interface_selection_string" ] [ -h ] [ -TV ] communication_group

あるネットワーク・インターフェース・リソースの参照先を別の通信グループに変更するには、次のように入力します。

chcomg [-i n:network_interface1[:node1][,network_interface2[:node2]...] | -S n:"network_interface_selection_string"] [ -6 ] [-h] [-TV] communication_group

説明

chcomg コマンドは、オンライン・ピア・ドメインに対して communication_group パラメーターで指定されている名前を持つ既存の通信グループの定義を変更します。 通信グループは、トポロジー・サービスによって使用されるハートビート・リングの定義、およびそれぞれのハートビート・リングごとに調整可能な項目の定義のために使用されます。 そのピア・ドメインでどのデバイスをハートビートに使用するのかは、通信グループによって決まります。

chcomg コマンドは、当該の通信グループが定義されているピア・ドメイン内で現在オンラインになっている ノード上で実行しなければなりません。1 回の chcomg コマンドで 1 つ以上の属性を変更できますが、少なくとも 1 つは必ず変更しなければなりません。

-e および -m フラグは、ネットワーク・インターフェース・モジュール (NIM) のパスおよびパラメーターの設定に使用されます。 この NIM パスは、その通信グループで使用されるアダプター・タイプをサポートしている NIM へのパスです。 NIM パラメーターは、NIM の始動時に渡されます。

chcomg コマンドは、通信グループのインターフェース・リソースへの割り当てにも使用できます。 通信グループを特定のインターフェース・リソース名に割り当てるには、-i フラグを使用します。 インターフェース・リソースは、ある特定のノードで 1 つだけに限定できます。 インターフェース・リソースの指定は、-S フラグおよび選択文字列を使用しても行えます。 この方法を使用するのは、インターフェース・リソース名の指定が不十分な場合です。 通信グループは、それを参照するインターフェース・リソースをすべて再割り当てしてからでなければ除去できません。

ドメイン内の通信グループを変更するためには、半数を上回るノードをオンラインにしなければなりません。

フラグ

-s sensitivity
ハートビートの感度を指定します。 これは、到達しそこなったハートビート数で、その数に達したら障害と見なされます。 この感度は、4 より大か等しい (GE) 整数です。
-p period
ハートビートの間の秒数を指定します。period の値には、1 以上の整数または浮動小数点数を指定できます。
-g grace
ハートビートが受信されなくなった場合に使用される猶予期間を指定します。ハートビートが欠落した場合は、Internet Control Message Protocol (ICMP) エコー・パケットが、送付しないノードに送られます。 エコーが戻されると、猶予期間が開始されます。

猶予期間は秒数で指定され、ミリ秒まで有効です。猶予期間は、整数、浮動小数点数、または以下のいずれかの値で指定することができます。

0
猶予期間を使用不可にすることを指定します。
-1 | d
トポロジー・サービス・サブシステムが猶予期間を制御することを指定します。 これはデフォルト値です。
-t priority
優先順位を指定します。 この優先順位は、この通信グループの重要度をその他の通信グループとの対比で表します。 これは、ハートビート・リングの順序付けに使用されます。 この数が小さいほど、優先順位は高くなります。 最高の優先順位は 1 です。
-b
基礎となるメディアがサポートしている場合にはブロードキャストを使用することを指定します。 -b フラグは、-x b を指定する場合は使用できません。
-r
基礎となるメディアがサポートしている場合には発信元経路指定を使用することを指定します。 -r フラグは、-x r を指定する場合は使用できません。
-x b | r | br
ハートビート・メカニズム用のコントロールを除外します。 これは、基礎となるメディアがサポートしている場合であっても、ハートビート・メカニズム用の 1 つ以上のコントロールを使用してはならないことを指示します。 除外できるのは次のものです。
b
基礎となるメディアがサポートしている場合であっても、ブロードキャストは使用してはならないことを指定します。
r
基礎となるメディアがサポートしている場合であっても、発信元経路指定は使用してはならないことを指定します。
複数のコントロールの除外は、フィーチャー・オプション・レターを連続してリストして指定します (-x br)。
-i h | n:network_interface1[:node1] [,network_interface2[:node2]...
この通信グループを、ネットワーク・インターフェース・リソース名によって定義されているネットワーク・インターフェース・リソース、およびそのリソースが見つかるノード名 (オプション) に割り当てます。 ハートビート・インターフェース・リソースに -i h、ネットワーク・インターフェース・リソースに -i n を指定します。 デフォルトでは、-i n フラグにより、IPv4 アドレスを持つネットワーク・インターフェース・リソースを communication_group に追加します。-6 フラグを指定した場合は、-i n フラグにより、IPv6 アドレスを持つネットワーク・インターフェース・リソースを communication_group に追加します。

-i を指定した場合、-S は指定できません。

-S h | n: "network_interface_selection_string"
この通信グループを、ネットワーク・インターフェース選択文字列によって指定されているインターフェースに割り当てます。 ハートビート・インターフェースに -S h、ネットワーク・インターフェースに -S n を指定します。デフォルトでは、-S n フラグにより、IPv4 アドレスを持つネットワーク・インターフェース・リソースを communication_group に追加します。 -6 フラグを指定した場合は、-S n フラグにより、IPv6 アドレスを持つネットワーク・インターフェース・リソースを communication_group に追加します。

-S を指定した場合、-i は指定できません。

-e NIM_path
ネットワーク・インターフェース・モジュール (NIM) パス名を指定します。 この文字列は、その通信グループのアダプター・タイプをサポートしている NIM へのパス名を指定します。
-m NIM_parameters
NIM 始動パラメーターを指定します。 これは、その始動時に NIM に渡される文字列です。
-N UseForNodeMembership
グループ・サービスがノード・メンバーシップを算定する際に通信グループを使用するかどうかを指定します。通信グループ・リソースの UseForNodeMembership 永続リソース属性を設定します。有効な値は以下のとおりです。
0
この通信グループのメンバーである NetworkInterface リソース上で実行された活性チェックの結果にかかわらず、グループ・サービスは、インターフェースを所有するノードがオンラインであるかどうか判断する際にそれらの結果を使用しないことを示します。
1
グループ・サービスは、それらが所有するノードのオンライン状態を判断する際に NetworkInterface リソース上で実行された活性チェックの結果を使用することを示します。
-6
各インターフェースでリソースとして表される IPv6 アドレスが、それらの通信グループを指定されたものに変更させたことを指定します。 インターフェース上のリソースとして表される IPv4 アドレスは影響を受けません。

デフォルトでは (-6 フラグが指定されていない場合)、その逆も真です。 インターフェース上でリソースとして表される IPv4 アドレスのみが、それらの通信グループを変更させます。

-h
コマンドの使用状況ステートメントを標準出力に書き込みます。
-T
コマンドのトレース・メッセージを標準エラーに書き込みます。 ユーザーのソフトウェア・サービス組織専用です。
-V
コマンドの詳細メッセージを標準出力に書き込みます。

パラメーター

communication_group
ピア・ドメインの変更される既存通信グループの名前を指定します。

セキュリティー

chcomg コマンドのユーザーには、IBM.CommunicationGroup リソース・クラスに対する書き込み許可が必要です。 ネットワーク・インターフェース・リソースに対して通信グループを設定するためには、IBM.NetworkInterface リソース・クラスへの書き込み許可が必要です。 デフォルトでは、ピア・ドメイン内のいずれかのノードで root であれば、これらのリソース・クラスに対する読み取りおよび書き込みアクセス権が構成リソース・マネージャーを通じて与えられます。

終了状況

0
コマンドが正常に実行されました。
1
RMC でエラーが発生しました。
2
コマンド・ライン・インターフェース・スクリプトでエラーが発生しました。
3
コマンド・ラインに間違ったフラグが入力されました。
4
コマンド・ラインに間違ったパラメーターが入力されました。
5
コマンド・ラインの入力に間違いがあるため、エラーが発生しました。

環境変数

CT_CONTACT
これにより、リソース・モニターおよび制御 (RMC) デーモンとのセッションが発生するシステムが判別されます。 CT_CONTACT にホスト名または IP アドレスが設定されていると、このコマンドは指定されたホスト上の RMC デーモンと連絡を取ります。CT_CONTACT が設定されていない場合、このコマンドは、コマンドが実行されているローカル・システムの RMC デーモンと連絡を取ります。その RMC デーモン・セッションのターゲットおよび管理の有効範囲により、処理されるリソース・クラスまたはリソースが決定されます。
CT_IP_AUTHENT
CT_IP_AUTHENT 環境変数が存在する場合は、RMC デーモンは、IP ベース・ネットワーク認証を使用して、CT_CONTACT 環境変数が設定されている IP アドレスで指定されるシステム上の RMC デーモンと連絡を取ります。CT_CONTACT が IP アドレスに設定されている場合のみ、CT_IP_AUTHENT が意味を持ちます。CT_IP_AUTHENT はドメイン・ネーム・システム (DNS) サービスに依存しません。

制約事項

このコマンドは、通信グループが変更されるピア・ドメインに対して定義されてオンラインになっているノード上で実行しなければなりません。

実装上の固有な条件

このコマンドは、AIX® 用の Reliable Scalable Cluster Technology (RSCT) ファイルセットの一部です。

標準入力

-f "-" または -F "-" フラグが指定されているときは、このコマンドで 1 つ以上のノード名が標準入力から読み取られます。

標準出力

-h フラグが指定されている場合は、このコマンドの使用状況ステートメントが標準出力に書き込まれます。 詳細メッセージは、すべて標準出力に書き出されます。

標準エラー

トレース・メッセージはすべて、標準エラーに書き込まれます。

以下の例では、ノード nodeA はピア・ドメイン ApplDomain に対して定義されてオンラインになっています。
  1. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を変更して、その感度を 4、期間を 3 にするには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -s 4 -p 3 ComGrp1
  2. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を変更して、ブロードキャストを使用するようにするには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -b ComGrp1
  3. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を変更して、今後は送信元の経路指定を使用しないようにするには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    
    chcomg -x r ComGrp1
  4. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を変更して、NIM パス /opt/rsct/bin/hats_nim を使用するようにし、さらにロギング・レベルの設定に NIM パラメーター -l 5 を使用するようにするには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -e /opt/rsct/bin/hats_nim -m "-l 5" ComGrp1 
  5. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1nodeChbi0 という名前のハートビート・インターフェース・リソースに割り当てるには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -i h:hbi0:nodeC ComGrp1
  6. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1nodeBeth0 という名前のハートビート・インターフェース・リソースに割り当てるには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -i n:eth0:nodeC ComGrp1
  7. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を、サブネット 9.345.67.812 を使用するハートビート・インターフェース・リソースに割り当てるには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -S h:"Subnet == '9.345.67.812'" ComGrp1
  8. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を、サブネット 9.123.45.678 を使用するネットワーク・インターフェース・リソースに割り当てるには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -S n:"Subnet == '9.123.45.678'" ComGrp1
  9. ApplDomain 用の通信グループ ComGrp1 を変更して、期間を 500 ミリ秒にするには、nodeA で次のコマンドを実行します。
    chcomg -p 0.5 ComGrp1

場所

/opt/rsct/bin/chcomg