crfs コマンド

目的

ファイルシステムを追加します。

構文

crfs -v VfsType { -g VolumeGroup | -d Device } [ -l LogPartitions ] -m MountPoint [ -n NodeName ] [ -u MountGroup ] [ -A { yes | no } ] [ -p {ro | rw } ] [ -a Attribute=Value ... ] [ -t { yes | no } ]

説明

crfs コマンドは、事前に作成したボリューム・グループ内の論理ボリューム上にファイルシステムを作成します。 -d フラグを使用して既存の論理ボリュームの名前を指定しなければ、ファイルシステムのための新しい論理ボリュームが作成されます。 ファイルシステム用のエントリーは、/etc/filesystems ファイルに入れられます。

crfs コマンドは、コマンドが理解できない Attribute=Value のペアをすべて無視しますが、/etc/filesystems ファイル適切なスタンザにそれらを追加します。

例:

crfs -a abcd=1G /

これは、/etc/filesystems ファイル内の root スタンザで、新規 abcd 属性を 1G の値に設定します。

注:
  1. このファイルシステムは setgid (セット・グループ ID) ビットが使用可能な状態で作成されます。これにより、デフォルトのグループ許可が決まります。新しいファイルシステムの下に作成されたディレクトリーはすべて、同一のデフォルトのグループ許可を持ちます。 このコマンドが、jfs2 ファイルシステムの既存の論理ボリュームで実行された場合、setgid ビットは設定されません。
  2. ストライプ論理ボリュームでのファイルシステムの作成については、mklv 文書の File Systems on Striped Logical Volumes を参照してください。

このコマンドは、System Management Interface Tool (SMIT) smit crfs 高速パスを使用して実行することもできます。

フラグ

項目 説明
-a Attribute=Value 仮想ファイルのシステム依存属性/値の組を指定します。 属性/値の組を複数指定するには、 複数の -a Attribute=Value パラメーター (を参照してください)。

次の属性/値の対は、ジャーナル・ファイルシステム (JFS) に固有のものです。

 
-a ag={ 8 | 16 | 32 | 64 }
割り当てグループのサイズをメガバイト単位で指定します。割り当てグループとは、BSD のシリンダー・グループと 同じように、i ノードとディスク・ブロックをまとめたものです。 ag のデフォルト値は 8 です。
 
-a bf={ true | false }
ラージ・ファイルに使用可能なファイルシステムを指定します。詳細については、ラージ・ファイル使用可能ファイルシステムを参照してください。 ラージ・ファイルに使用可能なファイルシステムが必要なければ、このオプションを偽に設定します。偽がデフォルトです。 bf=true を指定するには、フラグメント・サイズを 4096 に指定して、 compress=no を指定する必要があります。
 
-a compress={ no | LZ }
データ圧縮を指定します。データを圧縮する必要がなければ、このオプションを no に設定します。デフォルトの圧縮値は no です。圧縮を選択する場合は、フラグメント・サイズを 2048 以下にする必要があります。
 
-a frag={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 }
JFS フラグメント・サイズをバイト単位で指定します。ファイルシステムのフラグメントとは、 ファイルに割り当てることができるディスク記憶装置の最小単位です。 デフォルトのフラグメント・サイズは 4096 バイトです。
 
-a logname=LVName
ログ論理ボリューム名を指定します。 指定した論理ボリュームは、新しい JFS のロギング用装置となります。 LVName 論理ボリュームが既に存在していなければなりません。 デフォルトのアクションは、ターゲット・ボリューム・グループ内の既存のロギング用装置を使用することです。
 
-a nbpi={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 | 8192 | 16384 | 32768 | 65536 | 131072 }
i ノード当たりのバイト数 (nbpi) を指定します。nbpi は、ファイルシステムの合計 i ノード数に影響を与えます。nbpi の値は、ファイルシステムの i ノード数に反比例します。 デフォルトの nbpi 値は 4096 バイトです。
 
-a size=Value
ジャーナル・ファイルシステムのサイズを指定します。 サイズは、512 バイト・ブロック、メガバイトまたはギガバイト単位で指定できます。 Value に接尾部 M があれば、その値の単位はメガバイトであると解釈されます。 Value に接尾部 G があれば、その値の単位はギガバイトであると解釈されます。 指定したサイズが物理区画サイズで等分に分割できなければ、等分に分割できる近似値に切り上げられます。この属性は、JFS ファイルシステムの作成時には必須です。詳細については、JFS サイズ制限を参照してください。
 

JFS ファイルシステムの最大サイズは、そのフラグメント・サイズと NBPI 値の関数です。 これらの値により、次のサイズ制限が適用されます。

  NBPI  Minimum AG Size    Fragment Size        Maximum Size (GB)
   512         8        512, 1024, 2048, 4096          8
  1024         8        512, 1024, 2048, 4096         16
  2048         8        512, 1024, 2048, 4096         32
  4096         8        512, 1024, 2048, 4096         64
  8192         8        512, 1024, 2048, 4096        128
 16384         8             1024, 2048, 4096        256
 32768        16                   2048, 4096        512
 65536        32                         4096       1024
131072        64                         4096       1024
NBPI 値は 512 から 128K までの値に設定でき、最大ファイルシステム・ サイズもそれに対応した大きさとなります。
 
ファイルシステムが常駐するボリューム・グループは、最大論理ボリューム・サイズを定義し、ファイルシステムのサイズも制限します。
注:
  1. agbfcompressfrag、および nbpi 属性は、 ファイルシステムの作成時に設定され、ファイルシステムが正常に作成された後では変更できません。size 属性はファイルシステムの最小サイズを決定するもので、一度作成されると、縮小できません。
  2. ルート・ファイルシステム (/) を圧縮することはできません。
  3. 一部の nbpi 値と割り当てグループ・サイズは、 相互に排他的です。詳細については JFS サイズ制限を参照してください。

次の属性/値の対は、拡張ジャーナル・ファイルシステム (JFS2) に 固有のものです。

 
-a Attribute=Value
-a agblksize={ 512 | 1024 | 2048 | 4096 }
JFS2 ブロック・サイズをバイト単位で指定します。 ファイルシステム・ブロックは、 ファイルに割り当てることができるディスク・ストレージの最小単位です。 デフォルトのブロック・サイズは 4096 バイトです。
 
-a ea={v1 | v2}
JFS2 ファイルシステムに名前付き拡張属性を保管する場合に使用される フォーマットを指定します。v2 フォーマットには、NFS4 ACL に対するサポート だけでなく、拡張が容易な名前付き拡張属性に対するサポートも用意されて います。v1 フォーマットには、以前のバージョン の AIX® との互換性があります。 デフォルトのフォーマットは v1 です。
 
-a efs={yes | no}
ファイルシステムが暗号化ファイルシステム (EFS) であるかどうかを指定します。
yes
crfs コマンドは、EFS が有効なファイルシステムを作成します。 EFS の有効なファイルシステムであれば、ea 属性を指定する必要はありません。 なぜなら、crfs コマンドが自動的に v2 フォーマットのスケーラブル拡張属性を保管するからです。
no
crfs コマンドは、EFS が有効でないファイルシステムを作成します。
注: crfs コマンドは、EFS が次のファイルシステム (マウント・ポイント) を使用可能にするのを妨げます。 なぜなら、ブート中にセキュリティー・インフラストラクチャー (カーネル・エクステンション、ライブラリーなど) を使用できないからです。
  • /
  • /usr
  • /var
  • /opt
 
-a isnapshot={yes|no}
ファイルシステムが内部スナップショットをサポートするかどうかを指定します。 内部スナップショットをサポートするように作成されたファイルシステムは、v2 フォーマットの拡張属性も使用します。
 
-a logname=LVName
ログ論理ボリューム名を指定します。 指定した論理ボリュームは、新しい JFS2 のロギング用装置となります。 LVName 論理ボリュームが既に存在していなければなりません。 デフォルトのアクションは、ターゲット・ボリューム・グループ内の既存のロギング用装置を使用することです。 キーワード INLINE を使用して、 JFS2 ファイルシステムを持つ論理ボリュームにログを入れることができます。 logsize が指定されていない場合、 INLINE ログのデフォルトは、論理ボリューム・サイズの .4% に設定されています。
 
-a logsize=Value
INLINE ログのサイズを M バイト単位で指定します。 入力サイズは、正の値である 必要があります。インライン・ログ・サイズが 1 より大か等しい場合は、入力サイズは整数である必要が あります。入力が 1 より小で、0 より大か等しい浮動小数点値である 場合は、入力サイズは無視され、デフォルトのインライン・ログ・サイズが 取られます。

INLINE ログが使用されていない場合は、入力は 無視されます。それは、ファイルシステムのサイズの 10% を超えることはできませんし、2047 M バイトより 大きくすることはできません。

 
-a maxext=Value
ファイルシステム・ブロック内のファイル・エクステントの最大サイズを指定します。 ゼロの値は、JFS2 のデフォルト最大サイズを使用することを暗黙指定します。0 未満の値、またはサポートされる最大エクステント・サイズ 16777208 を超える値は無効です。既存のファイル・エクステントは、この変更の影響を受けませんので注意してください。
 
-a mountguard={yes | no}
PowerHA® 環境または他のクラスタリング環境において、サポートされない同時マウントが行われないようにファイルシステムが保護されます。mountguard が有効な場合、ファイルシステムが他のノードまたはシステムにマウントされるように見えても、そのファイルシステムはマウントできません。mountguard 設定を一時的に無効にするには、mount コマンドの noguard オプションを参照してください。
 
-a options=mountOptions
作成中のファイルシステムに対して、どの mount オプションを crfs に渡すかを指定します。 有効なオプションのリストについては、mount コマンドを参照してください。
 
-a quota={userquota | groupquota | userquota,groupquota | no}
ファイルシステムで使用可能に設定できるクォータのタイプを指定します。quota 属性には、次のいずれかの値を設定できます。
userquota
各ユーザー用のスペースは、それぞれに割り当てられているスペース・クォータを超えることはできません。
groupquota
各グループ用のスペースは、それぞれに割り当てられているスペース・クォータを超えることはできません。
userquota,groupquota
ユーザー・クォータとグループ・クォータはどちらも、各ユーザーおよび各グループに対して有効になります。
no
ファイルシステム上で、すべてのクォータが無効になります。
 
-a size=Value
拡張ジャーナル・ファイルシステム (JFS2) のサイズを指定します。サイズは、512 バイト・ブロック、メガバイトまたはギガバイト単位で指定できます。 Value に接尾部 M があれば、その値の単位はメガバイトであると解釈されます。 Value に接尾部 G があれば、その値の単位はギガバイトであると解釈されます。 指定したサイズが物理区画サイズで等分に分割できなければ、等分に分割できる近似値に切り上げられます。この属性は、-d フラグが指定されていない限り、 JFS2 ファイルシステムの作成時には必須です。 -d フラグが指定されている場合、 ファイルシステムは論理ボリュームのサイズになります。 ファイルシステムが常駐するボリューム・グループは、 最大論理ボリューム・サイズを定義し、ファイルシステムのサイズも制限します。 JFS2 ファイルシステムの最小サイズは 16 MB です。 最大サイズはファイルシステムのブロック・サイズで決定されます。
fs block size (byte)        MAX fssize (TB)
===========================================
512                         4
1024                        8
2048                        16
4096                        32
 
-a vix={yes|no}
ファイルシステム内に連続する 16 KB の空きエクステントがない場合に、 デフォルトの 16 KB より小さい i ノード・エクステントをファイルシステムが割り当てることが可能かどうかを指定します。 ファイルシステムで小さい空きエクステントが有効になった後は、AIX 5.1 またはそれより以前のリリースではこのファイルシステムにアクセスできなくなります。
yes
ファイルシステムは、可変長の i ノード・エクステントを割り振ることができます。 AIX 6.1 以降では、yes がデフォルト値です。
no
ファイルシステムは、i ノード・エクステントに対してデフォルト・サイズの 16 KB を使用する必要があります。 可変長の i ノード・エクステントがファイルシステムに含まれている場合、no 値は無効です。
-A システム再起動のたびにファイルシステムをマウントするかどうかを指定します。
yes
ファイルシステムは、システム再起動時に自動的にマウントされます。
no
ファイルシステムは、システム再起動時にマウントされません (デフォルト値)。
注: crfs コマンドは、auto mount の最初の文字である -A オプションにアクセスします。
-d Device ファイルシステムを作成するデバイスまたは論理ボリュームのデバイス名を指定します。このフラグは、既存の論理ボリュームにファイルシステムを作成するときに使います。
-g VolumeGroup ファイルシステムを作成する既存のボリューム・グループを指定します。ボリューム・グループは、1 つ以上の物理ボリュームの集合です。
-l LogPartitions ログ論理ボリュームのサイズを論理区画数で指定します。 このフラグは、まだロギング用装置を持っていない JFS および JFS2 ファイルシステムにのみ適用します。
-mMountPoint ファイルシステムを使用できるようにするディレクトリー、つまりマウント・ポイントを指定します。
注: 相対パス名を指定すると、/etc/filesystems ファイルに挿入する前に絶対パス名に変換されます。
-n NodeName ファイルシステムの常駐先のリモート・ホスト名を指定します。 このフラグは、ネットワーク・ファイルシステム (NFS) などのリモート仮想ファイルシステムにのみ有効です。
-p ファイルシステムの許可を設定します。
ro
読み取り専用許可
rw
読み取り/書き込み許可
-t ファイルシステムをアカウント・サブシステムに処理させるかどうかを指定します。
yes
ファイルシステム上でアカウント機能が使用可能になります。
no
ファイルシステム上ではアカウント機能が使用不可になります (デフォルト値)。
-u MountGroup マウント・グループを指定します。
-v VfsType 仮想ファイルシステムのタイプを指定します。
注: agblksize 属性は、ファイルシステムの作成時に設定され、ファイルシステムが正常に作成された後では変更できません。 size 属性はファイルシステムの最小サイズを決定するもので、一度作成されると、縮小できません。

ea 属性のフォーマットは、ファイルシステムの作成時に 設定されます。chfs コマンドを使用して、拡張属性のフォーマットを v1 から v2 に変換することはできますが、フォーマットを逆に変換して戻すことは できません。変換はオンデマンド方法で行われる ので、拡張属性や ACL の書き込みがあると、そのファイル・オブジェクトの変換が生じる 原因になります。

maxext 属性は、ファイルシステムが新しいリリースでこの属性を指定して作成されていたとしても、古いリリースでは無視されます。

セキュリティー

アクセス制御

このコマンドを実行できるのは、root ユーザーまたはシステム・グループのメンバーのみです。

RBAC ユーザーと Trusted AIX ユーザーへの注意: このコマンドは特権命令を実行できます。特権命令を実行できるのは特権ユーザーのみです。 権限および特権の詳細情報については、「セキュリティー」の『特権コマンド・データベース』を参照してください。このコマンドに関連した特権および権限のリストについては、lssecattr コマンドまたは getcmdattr サブコマンドの項を参照してください。

  1. デフォルト以外のフラグメント・サイズとデフォルト以外の nbpi を使って rootvg ボリューム・グループに JFS を作成するには、以下のように入力します。
    crfs  -v jfs  -g  rootvg  -m /test -a ¥ size=32768 -a frag=512 -a nbpi=1024

    このコマンドを実行すると、 フラグメント・サイズが 512 バイト、i ノード当たりのバイト数 (nbpi) が 1024、 初期サイズが 16MB (512 * 32768) の /test ファイルシステムが rootvg ボリューム・グループに作成されます。

  2. デフォルト以外のフラグメント・サイズとデフォルト以外の nbpi を使って rootvg ボリューム・グループに JFS を作成するには、以下のように入力します。
    crfs -v jfs -g rootvg -m /test -a size=16M -a frag=512 -a nbpi=1024
    このコマンドを実行すると、 フラグメント・サイズが 512 バイト、i ノード当たりのバイト数 (nbpi) が 1024、 初期サイズが 16MB の /test ファイルシステムが rootvg ボリューム・グループに作成されます。
  3. NFS4 ACL をサポートできる JFS2 ファイルシステムを作成する場合は、次のように 入力します。
    crfs -v jfs2 -g rootvg -m /test -a size=1G -a ea=v2
    このコマンドでは、初期サイズが 1 ギガバイトで、rootvg ボリューム上 に /test JFS2 ファイルシステムを 作成します。ファイルシステムでは、v2 フォーマットを使用して、拡張属性を 保管します。

ファイル

項目 説明
/etc/filesystems 既知のファイルシステムをリストし、その特性を定義します。