InfoSphere Information Governance Catalog の概要

大量のデジタル情報は、組織による短時間での情報の分析と、確かな根拠に基づいたタイムリーな決定を必要とします。情報ガバナンスは、組織の決定や運用するビジネス・プロセスに対する信頼を高めるために情報を管理、改善、および活用するための包括的アプローチです。IBM® InfoSphere® Information Governance Catalog は、組織が情報を理解し、ガバナンスするためのエントリー・ポイントを提供します。

ビジネス・アナリストと対象分野の専門家は InfoSphere Information Governance Catalog を使用して、全社的な語彙および情報ガバナンスの実施手順を作成および管理できます。このようなシステムを使用して、ビジネスと情報技術で共通の用語を作りあげることができます。InfoSphere Information Governance Catalog では、指定されたユーザーがグロッサリー資産、すなわち用語、カテゴリー、情報ガバナンス・ポリシー、および情報ガバナンス・ルールを作成できます。また、ユーザーは、作成したグロッサリー資産と他のカタログ資産との間の関係を定義できます。

グロッサリー資産に加えて、カタログには、グロッサリー資産以外の資産である情報資産に関するメタデータも含めることができます。 情報資産の例として、データベース表や列などの実装済みデータ・リソース、ETL ジョブ、プロファイル作成プロセス、ルーチン、関数などが挙げられます。これらの情報資産は、通常、他の IBM InfoSphere Information Server コンポーネントから取得され、InfoSphere Information Server のメタデータ・リポジトリーに保管されます。

カタログには、外部資産に関するメタデータを含めることもできます。外部資産には、外部の資産管理システム内にあるビジネス・プロセス・モデル、Web サービス、またはレポートなどの項目があります。InfoSphere Information Governance Catalog は、データ・フロー、リネージュ、および資産に対する変更の影響に関するレポートを提供することで、これらすべてのタイプの資産をユーザーが探索および管理できるようにします。カタログ内の資産間の関係を検出および分析して、エンタープライズ内のデータのフローをより深く理解し、より適切に管理できます。

InfoSphere Information Governance Catalog は、リネージュ・レポートと分析を提供することで、リネージュ情報を必要とするコンプライアンスおよびガバナンスのイニシアチブを担当する IT 専門家をサポートします。例えば、そのようなイニシアチブには Dodd-Frank または Basel II があります。また、InfoSphere Information Governance Catalog は、情報管理環境に対する変更の影響を示す影響分析を提供することによっても IT 専門家をサポートします。

情報を理解および管理するのに役立つことに加えて、InfoSphere Information Governance Catalog は資産の変更およびワークフロー・プロセスを把握するうえでも役立ちます。 IBM Stewardship Center は、IBM InfoSphere Information Governance Catalog REST API を使用して、カタログ内の資産情報およびアクティビティーにアクセスできます。IBM Stewardship Center は、資産の作成、変更、インポート、またはワークフロー変更などのガバナンス・イベントが発生すると同時に、特定の受信者にメール通知を送信します。メールには、資産名、発生したアクション、およびその資産の「詳細」ページへのリンクが含まれています。 承認のために情報ガバナンス・ルールが送信されるとき、メールには、変更されたルールを承認または拒否するためのリンクが含まれています。

InfoSphere Information Governance Catalog では、以下のタスクを実行できます。
  • 共通のビジネス言語を確立し、情報に関するビジネス・パースペクティブを管理し、それらのビューを IT パースペクティブに合わせて調整する。
  • カタログ内の資産を探索する。
    • グロッサリー資産、情報資産、外部資産、さらにスチュワード、およびその他のカタログの内容を探索する。
    • 単純検索および拡張検索と強固な照会を提供する。
    • 資産関係のグラフィカル・ビューを表示する。
    • 用語に対する変更の履歴を追跡する。
  • 説明およびアソシエーションを使用して既存のメタデータを拡張する。
    • 関連した資産、スチュワード、ラベル、およびカスタム属性を資産に関連付ける。
    • InfoSphere Information Server コンポーネントで自動的には生成されない拡張データ・ソースまたは外部アプリケーションから容易にインポートすることができない拡張データ・ソースを作成して、メタデータをカタログに追加する。
  • 主要な情報資産およびビジネス・インテリジェンス・レポートの従属性と関係を分析する。
    • ジョブおよびデータベースからビジネス・インテリジェンス・レポートへのリネージュをトレースする
    • 列、データベース表、およびその他の資産を把握する
    • リネージュ分析を実行して、共有表の情報、ジョブ・デザインの情報、またはジョブ実行のオペレーショナル・メタデータを使用することにより、データがどこから来て、どこに行くかを把握する
    • 影響分析を実行して、依存関係を理解し、列またはジョブへの変更の影響を把握する
    • ジョブ実行からオペレーショナル・メタデータを分析し、書き込みと読み取りが行われた行、およびイベントの成功または失敗をレポートする
  • カタログ・メタデータを管理して、詳細な分析レポートを入手する。
    • 重複資産を調整する
    • データベースをデータベース別名にマップする
    • ランタイム情報にアクセスしてレポートを改良する
    • データ・ソース内またはデータ・ソース間の関係の検出を自動化して、プロジェクトのデプロイメントを迅速化する
    • データ・リネージュを実行して、データ・ガバナンスとコンプライアンス作業をサポートする、信頼できる情報を作成する
  • 資産のガバナンスを行う担当者やプロセスを管理する。
    • 情報ガバナンス・ルールの作成、検討、およびパブリッシュを担当する人々を定義する。
    • グロッサリーおよび情報資産に発生したガバナンス・イベントのメール通知を受け取る。
    • 新規または変更された情報ガバナンス・ルールを承認するか、ルールをドラフト状況に戻す。