Enterprise Edition

ZD&T Enterprise Edition を使用すると、企業は安価な Intel ベースの x86 マシンで IBM® Z ディストリビューションをホストできます。 Z メインフレーム・ハードウェアを使用せずに、メインフレーム・アプリケーションのデモンストレーション、開発、テスト、教育用の環境を作成します。また z/OS®、ミドルウェア、その他の z/OS ソフトウェアを Intel および Intel 互換のコンピューターで実行できるようにして、仮想入出力および仮想装置を使用して z/Architecture をエミュレートします。Enterprise Edition は、Web ベースのインターフェースも備えています。既存の Z パッケージまたは ADCD パッケージからアプリケーション・イメージを抽出、デプロイ、および管理できます。

柔軟なライセンス方式により、ZD&T Enterprise Edition は、クラウドでも VM でも社内の 8086 の物理ハードウェアでも使用可能です。Enterprise Edition には、許可ユーザー (AU) ライセンスという単一のユーザー・ライセンス、またはリソース・バリュー・ユニット (RVU) ライセンスというマルチユーザー・ライセンスも用意されています。Rational® トークン・ライセンス・サーバーを使用して他の IBM 製品を有効にしている場合は、ZD&T にも同じライセンス方式を使用できます。

ZD&T Enterprise Edition には以下の機能があります。

  • アプリケーションの開発/テスト環境。開発インフラストラクチャーを柔軟に確保できます。
  • 最新レベルの IBM z/OS ソフトウェアを使用して、企業の開発とテストのために新しいランタイム機能を利用できます。
  • 企業の混合ワークロードをサポートするので、開発コストを削減できます。
  • 企業の Z に関する教育に使用できるポータブルで親しみやすい環境。
  • 既存の Z パッケージまたは ADCD パッケージのアプリケーション・イメージを抽出、デプロイ、および管理できる Web ベースのインターフェース。
  • さまざまなソースからのアプリケーション・イメージの作成。
  • 自動化されたセルフ・サービス方式で行なわれる、開発者やテスター向けのアプリケーション・イメージのプロビジョニング。
  • 作成されたすべての資産とターゲット環境のステータスとアベイラビリティーのモニタリング。
  • IBM Application Discovery (AD) との統合により、Application Discovery で検出されたデータ・セットをターゲット・マシン (ZD&T) にデプロイできます。

ZD&T Enterprise Edition Web サーバー

ZD&T Enterprise Edition Web サーバーを使用すると、ユーザーはブラウザーを使用して、ボリュームまたはデータ・セットの抽出、ボリュームまたはデータ・セットのイメージ・ストレージ・サーバーへの転送、およびターゲット環境へのデプロイを行うことができます。 Web サーバーを使用して、ボリュームまたはデータ・セットをターゲットの ZD&T マシンに段階的にデプロイできます。

Enterprise Edition Web サーバーには、以下の機能があります。
  • IBM Application Discovery (AD) との統合により、Application Discovery プロジェクトで検出されたデータ・セットを転送可能
  • 企業の LDAP アカウントとの統合により、管理者は最小限の労力でアカウントをセットアップ可能
  • 必要な別の日時に抽出またはデプロイメントをスケジューリング
  • 必要なデータ・セットまたはボリュームをソース・マシンから選択し、データ・セットまたはボリュームをターゲット・マシンに転送できる柔軟な機能
  • Rest API サポートの提供。これにより、独自の環境の Web サーバーの機能を統合して自動化できます。
  • デプロイメント・プロセスにより、ZD&T エミュレーターをインストールし、システムを使用可能な状態に準備できます。 ZD&T ネイティブ・コマンドを覚えておく必要はありません。
  • IBM Application Discovery (AD) をソースの Z と統合している場合は、AD を使用して CICS® 環境をプロビジョンできます。
  • OpenStack クラウドとの統合。

ソースの ZZD&T、または ADCD

ZD&T Enterprise Edition は、既存の Z マシン、ZD&T マシン、または ADCD と連携して、ターゲット・マシンに必要なボリュームまたはデータ・セットを抽出、デプロイできます。

イメージ・ストレージ・サーバー

ZD&T Enterprise Edition は、抽出された情報を中間ストレージ・マシン (FTP サーバーや SFTP サーバーなど) に保管します。情報が手動で削除されるまで、抽出された情報はイメージ・ストレージ・サーバーから削除されません。これにより、ライセンス資格に基づいて必要とするだけの数のマシンをプロビジョンできます。イメージ・ストレージ・サーバーには、必要なボリュームまたはデータ・セットを保持できるだけの十分なストレージが必要です。

注: ZD&T Enterprise Edition Web サーバー、イメージ・ストレージ・サーバー、およびライセンス・サーバー (ソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーまたはハードウェア・ベースのライセンス・サーバー) は、同じマシン上に構成できます。1 台のマシンを使用する場合は、マシン上に大きなストレージが必要です。

ソフトウェア・ベースのライセンス・サーバー

ソフトウェア・ベースのライセンス交付方式を使用する場合は、ZD&T Enterprise Edition の 1 つ以上のインスタンスのライセンス・キーを一元的に管理するためのサーバーがソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーに用意されています。この方法では、USB ハードウェア・デバイスは必要ありません。

ソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーを準備するには、サーバーおよび認証されたライセンス・キー・ファイルをインストールします。ライセンス・キー・ファイルを使用してアクティブ化されたソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーにプログラムからアクセスできないと、ライセンス所有者には、Enterprise Edition の使用もそのコンポーネントの使用も許可されません。このライセンス・サーバーがライセンス資格を証明するものであるからです。

各ライセンス・キー・ファイルは、ライセンスされるエミュレート中央処理装置 (中央処理装置 (CP) と呼ばれる) の数を指定して生成されています。ZD&T の単一インスタンスには少なくとも 1 つの CP が必要であり、最大 8 個の CP で実行可能です。 必要な CP の数は、ユーザーの数、また必要な処理のタイプと量に応じて異なります。 インスタンスで使用される CP の数についての詳細は、「zPDT® Guide and Reference」のセクション 2.3.4『Performance』を参照してください。

Enterprise Edition には、許可ユーザー・シングル・セッション (AUSS) という単一のユーザー・ライセンス、またはリソース・バリュー・ユニット (RVU) というマルチユーザー・ライセンスも用意されています。

以下のトポロジーは、ソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーと Enterprise Edition のさまざまなコンポーネントを表しています。
図 1. AUSS および Enterprise Edition の各種コンポーネント
図 2. RVU および Enterprise Edition の各種コンポーネント

ハードウェア・ベースのライセンス・サーバー

以前のバージョンの ZD&T Enterprise Edition には、ライセンス所有者によるプログラムの全体または一部へのアクセスを制御するライセンス・キーが入った USB ハードウェア・デバイスが必要です。 USB ハードウェア・デバイスは、オファリング・ソフトウェアが含まれている電子メディアとは別のメディア・パックに含まれているパスポート・アドバンテージ (Passport Advantage®) を使用して注文できます。Rational License Key Center からライセンス・キー (更新ファイルとも呼ばれる) を注文した後、ライセンス・キーを USB ハードウェア・デバイスに適用する必要があります。次に、その USB ハードウェア・デバイスを、ハードウェア・ベースのライセンス・サーバーと呼ばれるマシンに接続します。

各更新ファイルは、ライセンスされるエミュレート中央処理装置 (中央処理装置 (CP) と呼ばれる) の数を指定して生成されています。ZD&T の単一インスタンスには少なくとも 1 つの CP が必要であり、最大 8 個の CP で実行可能です。 必要な CP の数は、ユーザーの数、また必要な処理のタイプと量に応じて異なります。インスタンスで使用される CP の数についての詳細は、「zPDT Guide and Reference」のセクション 2.3.4『Performance』を参照してください。
以下のトポロジーは、ハードウェア・ベースのライセンス・サーバーと Enterprise Edition のさまざまなコンポーネントを表しています。
図 3. ハードウェア・ベースのライセンス・サーバーおよび Enterprise Edition の各種コンポーネント

Rational トークン

Rational Software License Server (RLKS) は、Rational トークンを使用して IBM の提供製品を有効にします。他にも IBM 製品を使用していて、既に RLKS をセットアップしている場合は、Rational トークンを使用して ZD&T Enterprise Edition を有効にすることができます。

Rational トークンを使用して Enterprise Edition を有効にするには、ハードウェア・ベースのライセンス・サーバーまたはソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーのどちらを使用するかを決定する必要があります。いずれの場合も、ライセンス・キー・ファイルに、Rational トークンが必要であることが示されます。

ZD&T Enterprise Edition の場合、Z 仮想マシンのインスタンス内のエミュレート中央処理装置ごとに、ZD&T Enterprise Edition のトークン値に基づいて、特定の数の Rational トークンが必要です。 Rational トークンを使用する場合は、エミュレーターの各インスタンスが Rational ライセンス・キー・サーバー・インスタンスと調整を行い、そのインスタンスに対して定義されている構成 CP の数に対応する十分な Rational トークンが利用可能な場合にのみ、実行を開始または継続します。

Rational トークンを使用する場合も、ZD&T Enterprise Edition のライセンス・キーの要件は変わりません。ソフトウェア・ライセンス・キー・ファイルまたは有効な更新ファイルが含まれる USB ハードウェア・デバイスが引き続き必要です。

以下のトポロジーは、Rational トークンを使用するソフトウェア・ベースのライセンス・サーバーソフトウェア・ベースのライセンス・サーバー、および Enterprise Edition のさまざまなコンポーネントを表しています。
図 4. Rational トークンを使用するソフトウェア・ベースのライセンス・サーバー、および Enterprise Edition の各種コンポーネント
図 5. Rational トークンを使用するハードウェア・ベースのライセンス・サーバー、および Enterprise Edition の各種コンポーネント

Application Developers Controlled Distribution (ADCD)

ZD&T Enterprise Edition には、Application Developers Controlled Distribution (ADCD) パッケージも付属しています。これは、z/OS ADCD として知られています。ADCD パッケージにより、エンタープライズ・ユーザーは CICS、DB2®、IMS、z/OS 2.3、JES2 などの最新のメインフレーム・ソフトウェア・パッケージ・セットを使用して、アプリケーションを使用および開発できます。必要なソフトウェア・パッケージを選択し、 ADCD からターゲットの ZD&T イメージにパッケージをデプロイすることができます。 また、ソースの ZZ イメージを使用することもできます。

ADCD の z/OS 製品の完全なリストはADCD z/OS V2R4、2019 年 11 月版を参照してください。

端末エミュレーター

他の表示アーキテクチャー内でビデオ端末をエミュレートする端末エミュレーター、端末アプリケーション、またはその他の用語。 端末エミュレーターは、通常、シェルまたはテキスト端末と同義ですが、端末エミュレーターはグラフィカル・インターフェースを含むすべてのリモート端末を含みます。 端末エミュレーター内のグラフィカル・ユーザー・インターフェースは、端末ウィンドウと呼ばれます。

さまざまな端末エミュレーターが市販されていますが、このソフトウェアは ZD&T には付属していません。必要な端末エミュレーターをダウンロードできます。 あるいは、必要であれば IBM Personal Communication (IBM PCOMM として知られる) を購入して、x3270 を Linux マシンにダウンロードすることもできます。端末エミュレーター画面には、ポート 3270/23 を介してアクセスします。