Web サービス: 仕様の概要

本リリースでは、JAX-RS、JAX-WS、JAXB、SOAP 1.2、MTOM、ポリシー・セット、WS-Addressing、および WS-RM などの仕様をサポートしています。そのため、インターオペラビリティーと信頼性を備えた非同期 Web サービスの実現と、Java™ API for XML Web Services (JAX-WS) 2.2 プログラミング・モデルのサポートが可能です。これらの新しい規格を活用するには、WebSphere® Application Server v7.0 以上、または WebSphere Application Server Liberty Profile V8.5.5 をインストールしておく必要があります。
この開発環境は、いくつかの新しい Web サービス規格をサポートしています。例えば、以下のようなものがあげられます。
Java API for RESTful Web Services (JAX-RS) 1.1 - JSR-311
Java API for RESTful Web Services は、Representational State Transfer (REST) サービスを手軽に作成できるようにするプログラミング・モデルです。
JAX-RS について詳しくは、Java API for RESTful Web Servicesを参照してください。
Java API for XML Web Services (JAX-WS) 2.2 - JSR-224
Java API for XML Web Services (JAX-WS) は、Web サービス・アプリケーションおよびクライアントを開発するための標準の注釈ベース・モデルのサポートを通じてアプリケーション開発を容易にする、新しいプログラミング・モデルです。JAX-WS 2.2 プログラミング規格は、文書中心のメッセージング・モデルに対応するものであり、Java API for XML-based RPC (JAX-RPC) 仕様によって定義されているリモート・プロシージャー・コール・プログラミング・モデルに代わるものです。
JAX-WS について詳しくは、Java API for XML-Based Web Services を参照してください。
Java Architecture for XML Binding (JAXB) 2.2 - JSR-222
Java Architecture for XML Binding (JAXB) は、Java クラスおよび XML スキーマを簡単かつ手軽にマップする方法を提供し、Web サービスをシンプルに開発できるようにする Java テクノロジーです。JAXB では、Java アプリケーションに含まれているプラットフォーム中立の XML データが備えている柔軟性を利用して、XML スキーマを Java アプリケーションにバインドします。XML プログラミングに関する幅広い知識は不要です。
JAXB について詳しくは、JAXB を参照してください。
Web Services Metadata 2.0 (JSR-181) および Metadata Facility for the Java Programming Language (JSR-175)
JAX-WS と JSR-181 は、両方とも、ユーザーが Web サービスの作成および変更を容易に行えるようにするために、JSR-175 スタイル注釈プログラミング・モデルを導入しています。注釈により、Web サービス実装のコンパイル済み .class ファイル、および、サービス・エンドポイント・インターフェースにメタデータが埋め込まれ、実行時にデプロイメント記述子と似た方法で処理できるようになります。
本リリースの新機能として、注釈ツールの追加サポート (注釈の自動完了およびクイック・フィックスの改善など) があります。注釈について詳しくは、注釈を使用した Web サービスの作成を参照してください。
SOAP 1.2
SOAP 1.2 は、SOAP 処理モデルについてより具体的な定義を示しています。そのため、Web Services-Interoperability (WS-I) プロファイルがない場合にインターオペラビリティーの問題を招く可能性がある、あいまいな表現の多くが解消されています。
SOAP について詳しくは、SOAP を参照してください。
SOAP Message Transmission Optimization Mechanism (MTOM)
SOAP MTOM は、画像やファイルなどのバイナリー添付ファイルを Web サービス要求と一緒に送信するための、ベンダー間のインターオペラビリティーを備えた添付ファイルのサポートを実現します。
MTOM について詳しくは、SOAP MTOM を参照してください。
ポリシー・セット
ポリシー・セットは、Web サービスのサービス品質 (QOS) の構成を簡易化するために使用します。ポリシー・セットを使用すると、さまざまな構成設定を組み合わせることができます。それらの設定には、WS-Addressing、WS-ReliableMessaging、WS-SecureConversation、WS-Security など、トランスポートおよびメッセージ・レベルの構成設定も含まれます。
本リリースでの新機能として、検証がクライアント ・サイドのポリシー・セット・バインディングに追加されま した。ポリシー・セットについて詳しくは、Web サービスおよびクライアントのポリシー・セットの管理を参照してください。
WS-Security 1.1 機能拡張
WS-Security 1.1 規格では、Web Services Secure Conversation (WS-SecureConversation) を含め、セキュリティー・コンポーネントに関するいくつかの新しい機能拡張が追加されています。
Web Services Addressing (WS-Addressing) の機能拡張
Web Services Addressing (WS-Addressing) は、Worldwide Web Consortium (W3C) 仕様の 1 つであり、Web サービスをアドレス指定するため、および、メッセージでアドレス指定情報を提供するための標準的な方法を定義することによって Web サービス間のインターオペラビリティーの実現を支援します。WS-Addressing 仕様では、エンドポイント参照とメッセージ指定プロパティーという 2 つの主要な概念が導入されています。
Web Services Reliable Messaging (WS-RM)
通常、HTTP はトランスポート・プロトコルとして使用されますが、メッセージの送信という点での HTTP の信頼性は高くありません。WS-RM プロトコルは、HTTP を使用した Web サービス間でのより信頼性の高いメッセージ交換をサポートします。
WS-MetadataExchange (WS-MEX)
WebSphere Application Server バージョン 7.0 以降では、JAX-WS を使用して、サービス・プロバイダーのポリシー構成が WSDL に含まれ、WS-MetadataExchange GetMetadata 要求でその構成が使用できるように、Web Services Metadata Exchange (WS-MetadataExchange) プロトコルを使用可能に設定することができます。WS-MetadataExhange プロトコルを使用する利点の 1 つは、適切なシステム・ポリシー・セットを使用することにより、メッセージ・レベルのセキュリティーを WS-MetadataExchange GetMetadata 要求に適用できることです。 別の利点は、クライアントでプロバイダー構成を一致させたり、ポリシー設定を付加する必要がないことです。 クライアントで必要なのはバインディング情報だけなので、クライアントはプロバイダー・ポリシーに基づいて機能したり、またはクライアントとプロバイダーのポリシーで一致する点に基づいて機能することができます。
WS-Policy
WebSphere Application Server は Web サービスのポリシー・フレームワーク (WS-Policy) 仕様に準拠しています。WS-Policy プロトコルを使用して、標準形式でポリシーを交換することができます。 ポリシーは、Web サービスのケイパビリティーと要件を表します。例えば、メッセージがセキュアであるかどうか、およびメッセージをセキュアにする方法、メッセージが信頼できる方法で配信されるかどうか、およびそれを実現する方法などです。ポリシー構成を、他のクライアント、サービス・レジストリー、または WS-Policy 仕様をサポートしているサービスに通信できます。例えば、異種の環境内の非 WebSphere Application Server 製品などです。
データ Web サービス (DADX Web サービスの置き換え)
データ Web サービス・ツールを使用して、データベース操作 (SQL SELECT および DML ステートメント、XQuery 式、またはストアード・プロシージャーの呼び出し) をクライアント・アプリケーションに公開する Web サービスを作成できます。データ Web サービスは、DB2® および IDS データベース・サーバーへの Web サービス・ベースのアクセス の開発、配置、および管理を大幅に容易にする次世代のソリューションです。これは、従来のリリースで提供されていた DADX および WORF ツールに代わるものです。詳しくは、 データ Web サービスの開発 (Developing Data Web Services) を参照してください。

Web サービス・ツールでサポートしている仕様は以下のとおりです。

テクノロジーまたは仕様 WebSphere Application Server 7.0 WebSphere Application Server 8.0 以上
トランスポート    
HTTP/HTTPS v1.0 および v1.1 v1.0 および v1.1
JMS
  • JAX-RPC EJB Web サービスでサポート
  • JAX-WS EJB Web サービスでサポート
  • JAX-RPC EJB Web サービスでサポート
  • JAX-WS EJB Web サービスでサポート
メッセージング    
SOAP 仕様
  • すべての Web サービスで v1.1 をサポート
  • JAX-WS Web サービスでのみ v1.2 をサポート
  • すべての Web サービスで v1.1 をサポート
  • JAX-WS Web サービスでのみ v1.2 をサポート
SOAP 添付ファイル SAAJ 1.2 および 1.3 SAAJ 1.2 および 1.3
SOAP MTOM JAX-WS Web サービスでのみ v1.1 をサポート JAX-WS Web サービスでのみ v1.1 をサポート
説明    
UDDI
  • 「Unit Test UDDI」ウィザードで v3.0 レジストリーを作成
  • Web サービス・エクスプローラーで v2.0 および v3.0 レジストリーを処理
  • 「Unit Test UDDI」ウィザードで v3.0 レジストリーを作成
  • Web サービス・エクスプローラーで v2.0 および v3.0 レジストリーを処理
WSDL v1.1 v1.1
WSIL v1.0 v1.0
セキュリティー    
WS-Security OASIS 標準 1.1 OASIS 標準 1.1
WS-Addressing JAX-WS Web サービスで v1.0 をサポート JAX-WS Web サービスで v1.0 をサポート
WS-RM OASIS 標準 1.1 OASIS 標準 1.1
WS-MetadataExchange サポート サポート
インターオペラビリティー    
WS-I Basic Profile 1.1.2、1.2、2.0 1.1.2、1.2、2.0
WS-I Simple SOAP Binding Profile 1.0.3、1.1 1.0.3、1.1
WS-I Attachments Profile 1.0 1.0
WS-I Basic Security Profile 1.0 1.0
その他の規格    
JAX-RPC
  • J2EE 1.3 の場合、v1.0
  • J2EE 1.4 の場合、v1.1
  • J2EE 1.3 の場合、v1.0
  • J2EE 1.4 の場合、v1.1
JAX-WS v2.0、2.1 - Java EE 5
  • v2.0、2.1 - Java EE 5
  • v2.2 - Java EE 6
JSR 109 および JSR 921
  • JSR 109 1.0 - J2EE 1.3
  • JSR 921 1.0 - J2EE 1.4
  • JSR 109 1.1 - Java EE 5
  • JSR 109 1.2 - Java EE 5
  • JSR 109 1.0 - J2EE 1.3
  • JSR 921 1.0 - J2EE 1.4
  • JSR 109 1.1 - Java EE 5
  • JSR 109 1.2 - Java EE 5
  • JSR 109 1.3 - Java EE 6
JAXB/JSR-222 v2.0、v2.1 v2.0、v2.1、2.2
JSR-181 - Web Services Metadata (Annotations)
  • JAX-WS Web サービスの場合に v2.0 をサポート
  • JAX-RPC Web サービスの場合には未サポート
  • JAX-WS Web サービスの場合に v2.0 をサポート
  • JAX-RPC Web サービスの場合には未サポート
JAX-RS v1.0 (Feature Pack for Web 2.0 が必要) v1.0、1,1

WebSphere Application Server Liberty Profile V8.5.5 の仕様について詳しくは、プログラミング・モデルのサポートトピックを参照してください。


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