SNA リソース定義解説書の要約

本書の目的

本書では、仮想記憶通信アクセス方式 (VTAM®) のリソース定義ステートメントとそのオペランド、VTAM に影響を与える NCP リソース定義ステートメントとそのオペランド、始動オプション、およびユーザー定義テーブル用のマクロ命令とそのオペランドの、意味とコーディング構文について説明します。 本書には、IPv4 と IPv6 の両ネットワーキング・プロトコルのサポートの説明が記載されています。 明示して注が付けられていない限り、IP プロトコル・サポートの説明は IPv4 に関するものです。 IPv6 に対応する記述については、本文中にその旨が示されています。

VTAM のインストール および VTAM に対するリソースの定義の作業の準備のためには、「z/OS Communications Server: 新機能の要約」を参照してください。

VTAM のインストール とそのリソースの定義の準備が整った後、「z/OS Communications Server: SNA ネットワーク・インプリメンテーション・ガイド」によってインストールおよび定義についての、 より幅広い概念的な情報を得ることができます。

本書には、リソース定義の詳細について説明しています。

本書の対象読者

本書は、VTAM に リソースを定義するシステム・プログラマーを対象としています。

本書の構成

本書は、以下のトピックと付録で構成されています。
  • 第 1 章、「概要」

    このトピックでは、本書に記載されている定義ステートメントおよびマクロ命令に使用される記号およびコーディング規則について説明します。 シフトダウン効果と各タイプのメジャー・ノードについても説明しています。

  • 第 2 章、「メジャー・ノード」

    このトピックでは、メジャー・ノードの定義に使用される VTAM 定義ステートメントについて説明します。 NCP 定義ステートメントおよびそれぞれのオペランドについては、それらが VTAM に影響を与える場合にのみ説明しています。

  • 第 3 章、「ルーティングおよび動的再構成」

    このトピックでは、ルートの定義とリソースの動的再構成および動的変更に一般的に使用される VTAM 定義ステートメントについて説明します。

  • 第 4 章、「VTAM 始動オプション」

    このトピックでは、VTAM 始動オプションと、VTAM の実行中に存在する必要のある各種条件を設定するためのそれらのコーディング方法について説明します。

  • 第 5 章、「ユーザー定義テーブルおよびデータ・フィルター」

    このトピックでは、関連 LU テーブル、サービス・クラス・テーブル、CMIP サービス・ディレクトリー定義ファイル、解釈テーブル、ログオン・モード・テーブル、メッセージあふれ防止テーブル、モデル名テーブル、および非定形式システム・サービス (USS) テーブルの作成方法または変更方法について説明します。 セッション認識 (SAW) データ・フィルターのコーディング方法についても説明しています。

  • 付録 A、「IBM® 提供テーブル」

    この付録には、IBM 提供のデフォルト・テーブルがリストされています。

  • 付録 B、「USS コマンド変換の例」

    この付録には、USS テーブルをコーディングしてコマンドを変換する方法の例が示されています。

  • 付録 C、「VTAMTOPO フィルター・オプション・レポート」

    この付録には、NCP 下の交換回線 PU について報告するために VTAMTOPO フィルター・オプションを使用した結果が要約されています。

  • "アーキテクチャー上の仕様"

    この付録には、SNA プロトコル用のアーキテクチャー上の仕様が記載された 資料の一覧があります。

  • "情報 APAR および技術情報"

    この付録には、IP および SNA の資料に関する情報 APAR がリストされています。

  • "アクセシビリティー"

    この付録では、身体障がいを持つユーザーを支援するためのアクセシビリティー・フィーチャーについて説明しています。

  • "特記事項"

    本書で使用されている特記事項および商標が記載されています。

  • "参考文献"

    z/OS® Communications Server ライブラリーに収められている資料についての説明があります。

本書の使用方法:

本書は、特定のオペレーター・コマンドの参照用として使用したり 、VTAM の 操作方法について理解するための参考資料として使用することができます。

本書を使用するには、通信、SNA および VTAM に 関する基本概念を理解している必要があります。

本書で使用されている規則および用語

TSO 環境と z/OS UNIX 環境の両方で使用できる、本書内のコマンドでは、以下の規則を使用しています。
  • TSO 環境でのコマンドの使用方法を記述する場合には、コマンドは大文字で提示されています (例えば NETSTAT)。
  • z/OS UNIX 環境でのコマンドの使用方法を記述する場合には、コマンドは太字の小文字で提示されています (例えば netstat)。
  • 本文で一般的な方法でコマンドに言及している場合には、コマンドは頭文字だけ大文字で提示されています (例えば Netstat)。

本書に記載されている出口ルーチンはすべて、インストール・システム共通出口ルーチン です。 インストール・システム共通出口ルーチンは本書全体を通して、インストール・システム共通出口、出口ルーチン、および出口とも呼ばれます。

TPF ログオン・マネージャーは、VTAM に含まれていますが、 アプリケーション・プログラムです。したがって、ログオン・マネージャーは VTAM とは別に文書化されています。

本書で使用されているサンプルには、リリースごとに更新されていないものもあります。 システムに適用する前に、サンプルを注意深くご確認ください。

注: この情報では、以下の Shared Memory Communications over Remote Direct Memory Access (SMC-R) 用語が示される場合があります。
  • 変更の始まり「RoCE Express」。 これは IBM 10 GbE RoCE Express® 機能と IBM 10 GbE RoCE Express2 機能の両方を表す総称です。 この用語が本書で使用される場合、記述される処理は両方の機能に該当します。 処理が 1 つの機能にのみ該当する場合は、完全な用語、例えば IBM 10 GbE RoCE Express が使用されます。変更の終わり
  • RDMA ネットワーク・インターフェース・カード (RNIC)。 これは IBM 10 GbE RoCE Express 機能変更の始まりまたは 10 GbE RoCE Express2 機能変更の終わりを指す場合に使用されます。
  • 変更の始まり共用 RoCE 環境。 これは、「RoCE Express」機能が複数のオペレーティング・システム・インスタンスで並行して使用可能であること、つまり共用可能であることを意味します。 フィーチャーは、単一オペレーティング・システム・インスタンスで使用した場合でも共用 RoCE 環境で作動するとみなされています。変更の終わり

本書で指定されている用語および略語の定義については、最新の IBM 用語を IBM Terminology Web サイトで参照できます。

注の明確化

従来「注」とされていた情報は、以下のように細分されます。
注記
補足詳細。
ヒント
操作実行のショートカットまたは代替方法を提供します。手引き。
ガイドライン
手順を実行する慣習的な方法。
規則
行わなくてはならないこと。操作の制限。
制限
特定の条件がサポートされないことを示します。製品または機能の制限。
要件
依存関係、前提条件。
結果
結果を示します。

構文図の見方

ここでは、本書で使用する構文図の見方を説明します。
  • 構文図は、メインパスに沿って、左から右へ、上から下へと読みます。それぞれの構文図は、左端にある 2 重矢印 (►►) から始まり、 右端にある 2 つの向き合う矢印 (►◄) で終わります。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-| 構文図  |----------------------------------------------------><
    
    
  • 構文図が 1 行より長くなる場合、第 1 行は単一の矢印 () で終わり、 第 2 行は単一の矢印で始まります。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-| First Line |--OPERAND1--OPERAND2--OPERAND3--OPERAND4------->
    
    >--OPERAND5--| Second Line |-----------------------------------><
    
    
  • 必須オペランドと必須値は、メインパスの中に示します。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-REQUIRED_OPERAND--------------------------------------------><
    
    

    必須オペランドと必須値は、必ずコーディングしなければなりません。

    必須のオペランドまたは値を相互に排他的な複数のものの中から選択できる場合は、 英数字順に縦に並べます。

    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-+-REQUIRED_OPERAND_OR_VALUE_1-+-----------------------------><
       '-REQUIRED_OPERAND_OR_VALUE_2-'   
    
    
  • オプションのオペランドとオプションの値は、メインパスの下側に示します。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-+---------+-------------------------------------------------><
       '-OPERAND-'   
    
    

    オプションのオペランドとオプションの値は、省略することができます。

    オプションのオペランドまたは値を相互に排他的な複数のものの中から選択できる場合は、 メインパス行の下側に英数字順で縦に並べます。

    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-+--------------------+--------------------------------------><
       +-OPERAND_OR_VALUE_1-+   
       '-OPERAND_OR_VALUE_2-'   
    
    
  • メインパスの中に示すオペランドまたは値の上側に左に戻る矢印がある場合、 そのオペランドや値が繰り返し可能であることを意味します。コンマがある場合、それぞれのオペランドや値を、 その次のものとコンマで区切る必要があることを意味します。
    構文図を読む構文図をスキップする
       .-,------------------.   
       V                    |   
    >>---REPEATABLE_OPERAND-+--------------------------------------><
    
    
  • 一群のオペランドや値の上に左に戻る矢印がある場合、それは、 複数のものを選択したり、単一のものを繰り返し選択したりできることを意味します。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-+---------------------------------------+-------------------><
       | .-,---------------------------------. |   
       | V                                   | |   
       '---+-REPEATABLE_OPERAND_OR_VALUE_1-+-+-'   
           '-REPEATABLE_OPERAND_OR_VALUE_2-'       
    
    
  • すべてが英大文字になっている語は、 そのとおりに入力する必要があるオペランドまたは値です。この例では、OPERAND をコーディングする必要があります。
    注: VTAM および IP コマンドには大文字小文字の区別はありません。コーディングには、英大文字と小文字のどちらでも使用できます。このオペランドに、 英大文字と小文字の部分がある場合、英大文字の部分が省略形 (例えば、OPERand) です。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-OPERAND-----------------------------------------------------><
    
    

    オペランドや値を省略できる場合、省略形については、 構文図に関連したテキストで説明します。

  • 構文図の中に英数字以外の文字 (括弧、ピリオド、コンマ、等号など) が示されている場合、 その文字は構文の一部としてコーディングする必要があります。この例では、OPERAND=(001,0.001) をコーディングしなければなりません。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-OPERAND--=--(--001--,--0.001--)-----------------------------><
    
    
  • 図にスペースが表示されている場合は、 スペースも構文の一部としてコーディングしてください。この例では、OPERAND=(001 FIXED) をコーディングしなければなりません。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-OPERAND--=--(--001-- --FIXED--)-----------------------------><
    
    
  • デフォルト・オペランドとデフォルト値は、 メインパス行の上部に示されます。オペランド全体を省略すると、VTAM はこのデフォルト値を使用します。
    構文図を読む構文図をスキップする
       .-DEFAULT-.   
    >>-+---------+-------------------------------------------------><
       '-OPERAND-'   
    
    
  • すべてが小文字のイタリック体になっている語は、変数 です。構文に変数が示されている場合は、 その変数を、テキストで定義されている許容名や値で置き換えなければなりません。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-variable----------------------------------------------------><
    
    
  • 構文の注への参照は、番号を括弧で囲んだものを線の上に示します。この括弧や数字はコーディングしないでください。
    構文図を読む構文図をスキップする
               (1)   
    >>-OPERAND-----------------------------------------------------><
    
    
    注:
    1. 構文の注の例
  • 一部の構文図には構文のフラグメント が含まれていますが、これは構文図が長すぎたり、複雑すぎたり、繰り返しが多すぎたりした場合に、それをいくつかの部分に分割するためのものです。 構文のフラグメント名は、大/小文字混合で構文図とフラグメントの見出しに示されています。 フラグメントは、主要図より下に配置されています。
    構文図を読む構文図をスキップする
    >>-| Reference to Syntax Fragment |----------------------------><
    
    
    構文図を読む構文図をスキップする
    Syntax Fragment
    
    |--1ST_OPERAND--,--2ND_OPERAND--,--3RD_OPERAND------------------|