TSO/E 出口

TSO/E には、多数の TSO/E 機能およびコマンド用の出口点があります。出口点で、機能やコマンドは、出口ルーチンが存在する場合はそれを呼び出します。出口ルーチンを作成して、特殊な処理を実行したり、機能やコマンドの 操作方法をカスタマイズしたりできます。出口処理を完了すると、制御はもとのコマンドや機能に戻ります。

出口を使用すると、デフォルト値を変更したり、TSO/E の機能やコマンドを拡張したりできます。出口を作成できる機能とコマンド、 その機能用またはコマンド用として TSO/E に用意されている出口、 およびそれぞれの 出口の用途を一覧表にして次の図に示します。出口名に命名規則が適用される場合は、 どのような名前にする必要があるかもこの表に示してあります。それぞれの出口に関する完全な情報については、「z/OS TSO/E カスタマイズ」 を参照してください。

表 1. TSO/E が提供する出口点の概要
処理 出口 出口の用途
ALLOCATE コマンド

初期設定
IKJEFD47

ユーザーが出すコマンドを検査し、変更するか、疑似オペランドを提供する。

終了
IKJEFD49

終結処理を実行する。 代替戻りコードを指定する。
ALTLIB コマンド

初期設定
IKJADINI

ユーザーが出すコマンドを変更する。

終了
IKJADTER

終結処理を実行する。
アプリケーション・マネージャー 機能の初期設定前 ICQAMFX1 ユーザーのアプリケーション使用権限を検査し、アプリケーション用のデータ・セットを割り振り、会計情報を収集する準備をします。
機能の終了後 ICQAMFX2 機能の初期設定前出口が割り振ったデータ・セットを解放し、会計データを要約する。

パネル表示前
ICQAMPX1

表示するパネルのデフォルト値を設定する。

パネル表示後
ICQAMPX2

ユーザーがパネルで入力した情報の妥当性を検査します。
CANCEL この表の OUTPUT コマンドの項を参照。  
CLIST 処理

組み込み関数
IKJCT44B

インストール先作成の組み込み関数を追加する。

ステートメント
IKJCT44S

インストール先作成の CLIST ステートメントを追加する。
CONSOLE コマンド

解析前
IKJCNXPP

ユーザーが出したコマンドを検査し、必要であれば、変更する。

アクティブ化
IKJCNXAC

連絡域を設定し、アクティブ化要求を終了させ、ユーザーが指定した設定値を変更して、 ユーザーに対して CONSOLE コマンド権限を許可または拒否する。
80% のメッセージ容量 IKJCNX50 送信請求メッセージ・テーブルまたは非送信請求メッセージ・テーブルの 80% が満たされると、処置を行う。
100% のメッセージ容量 IKJCNX64 送信請求メッセージ・テーブルまたは非送信請求メッセージ・テーブルの 100% が満たされると、処置を行う。

非アクティブ化
IKJCNXDE

終結処理を実行する。
CONSPROF コマンド

初期設定
IKJCNXCI

ユーザーが出すコマンドを検査して、必要であれば変更し、ご使用システム独自の部分でプロファイルを更新し、CONSOLE コマンドの権限をユーザーに許可するか拒否する。

表示前
IKJCNXCD

コンソール・プロファイル表示メッセージ IKJ55351I に情報を追加するか、IKJ55351I の代わりに、 ご使用のシステムが定義したメッセージを出す。

終了
IKJCNXCT

終結処理を行い、コンソール・プロファイルのご使用システム独自の部分を永続位置に保管する。
EDIT コマンド RENUM、MOVE、および COPY サブコマンド ユーザーがサブコマンドを出すときに、常に、 そのサブコマンドが行番号を処理する方法をカスタマイズする。
構文検査プログラム ご使用のシステムが提供する構文検査プログラム用の出口を作成する。この出口では、ユーザーが EDIT コマンドで指定した情報を オプション・ワードに入れる。
EXEC コマンド 初期設定 IKJCT43I ユーザーが出すコマンドを変更する。
終了 IKJCT43T クリーンアップを実行し、CLIST または REXX exec のプログラム制御特性のデフォルト値を設定します。
FREE コマンド 初期設定 IKJEFD21 ユーザーが出すコマンドを検査し、変更するか、疑似オペランドを提供する。
終了 IKJEFD22 終結処理を実行する。
情報センター機能 ADRS ユーザーが 情報センター機能から ADRS オプションを選択する時に必ず、パネルの表示やデータ・セットの割り振りなどの処理を追加します。
NAMES サービス 情報センター機能ユーザーがネーム・サービスを使用する時に必ず、専用ディレクトリーと マスター・ディレクトリーに対して行った変更を記録します。
LISTBC コマンド

初期設定
IKJEESX5

後続の出口用に環境を初期設定するか、ユーザーの コマンド使用を制限するか、ユーザーがコマンドに指定した オペランドを変更する。

表示前
IKJEESX6

個々のユーザー・ログを使用する場合、特殊フォーマットの提供、メッセージに対する診断情報の追加、および出力装置の特殊機構の サポートを行います。

リスト前
IKJEESX7

個々のユーザー・ログを使用する場合、ユーザー・ログ・データ・セット名を変更し、読み取り前出口に備える。

読み取り前
IKJEESX8

個々のユーザー・ログを使用する場合、入出力を調整する。

割り振り前
IKJEESX9

個々のユーザー・ログを使用する場合、ユーザー・ログ・データ・セットを割り振る。

障害
IKJEESXA

個々のユーザー・ログを使用する場合、入出力障害の後に障害処理と終結処理を行う。

終了
IKJEESXB

終結処理または特別な終了処理を行う。
ログオンおよび ログオフ処理

ログオン・プロンプト前
IKJEFLD

TSO/E ログオン処理を調整する。ログオン・パラメーターとシステ ム特性の検査、変更、または提供、ログオン要求の取り消し、独自の JCL ステートメントの 提供、または独自のフルスクリーン・ログオン・パネルの表示を 行います。

ログオン・プロンプト前
IKJEFLD1

IKJEFLD の機能と以下の認可機能を実行する。 最初の TSO/E コマンドを指定する、ジョブおよび SYSOUT クラスを戻す、RACF® を回避する、 相対ブロック・アドレス (RBA) を戻す、ログオフ出口にデータを渡す、 現行ログオン・セッションのセキュリティー・ラベルを指定する、 翻訳される情報の表示に使用される各国語を指定する、 コンソール・プロファイルを設定する。

ログオン表示前
IKJEFLN1

ログオン・パネルの情報を更新し、ご使用のシステムのログオン・パネル上に定義されたフィールドを処理する。

ログオン表示後
IKJEFLN2

ログオン・パネル上のフィールドの妥当性検査を行い、処理して、 再度プロンプトを出して、ユーザーに情報の入力を要求し、 ヘルプ画面の表示も要求する。

ログオン・プロンプト後
IKJEFLD3

ログオン処理に関連する JCL ステートメントの検査、修正、 追加を行う。

ログオフ
IKJEFLD2

TSO/E ログオフ処理を調整する。会計情報の収集、UADS および RACF データベース更新の制御、および再ログオンの制御を行う。
OPERATOR SEND サブコマンド この表の SEND コマンドの項を参照。  
OUTDES コマンド

初期設定
IKJEFY11

ユーザーが出すコマンドを検査し、変更するか、疑似オペランドを提供する。

終了
IKJEFY12

終結処理を実行する。
OUTPUT、 STATUS、および CANCEL コマンド IKJEFF53 ユーザーによるバッチ・ジョブ処理方法とその出力方法を調整する。
PARMLIB コマンド

初期設定
IKJPRMX1

ユーザーが出すコマンドを変更する。

終了
IKJPRMX2

終結処理を実行する。
PRINTDS コマンド

初期設定
IKJEFY60

特定のオペランドの固定デフォルト値を調整する。ユーザーのコマンド使用 を制限するか、またはユーザーがこのコマンドに指定したオペランドを変更する。

終了
IKJEFY64

終結処理を実行する。
RECEIVE この表の TRANSMIT コマンドの項を参照。  
REXX 処理 環境初期設定前 IRXINITX 初期設定ルーチンが制御を受け取ってから新しい言語処理プログラム環境を初期設定するまでの間に、 処理を実行する。
環境初期設定後 IRXITTS または IRXITMV 言語処理プログラム環境を初期設定してから、初期設定ルーチンが制御を戻すまでの間に、 処理を実行する。
環境の終了 IRXTERMX 言語処理プログラム環境が終了する前に、処理を実行します。
exec の処理 REXX exec が実行される前に、特殊処理を実行します。
exec の初期設定 REXX 変数にアクセスし、更新を行う。
exec の終了 REXX 変数にアクセスし、更新を行う。
アテンション処理 TSO/E に組み入れられた環境で、 特殊なアテンション処理を実行する。
SEND コマンド

OPERATOR
SEND
サブ
コマンド

初期設定
IKJEESX0
IEEVSNX0

後続出口の環境の初期設定、SYS1.PARMLIB のデフォルト値の変更、ユーザーのコマンド使用の制限、さまざまなユーザー・ログ・データ・セット名の提供、および宛先ユーザーのユーザー ID を変更することによるメッセージの再経路指定を行う。

表示前
IKJEESX1
IEEVSNX1

個々のユーザー・ログを使用する場合に、特殊フォーマットの提供、診断情報の追加、および出力装置の特殊機構のサポートを行う。

保管前
IKJEESX2
IEEVSNX2

個々のユーザー・ログを使用する場合に、ユーザー・ログ・データ・セット名を 指定変更し、特殊入出力をサポートし、オープン操作と書き込み操作を行う。LISTBC 読み取り前出口と一緒に使用する場合は、メッセージの処理またはメッセージへの情報 (シーケンス番号など) の追加、メッセージの圧縮、お よびパラメーターの変更を行う。

障害
IKJEESX3
IEEVSNX3

個々のユーザー・ログを使用する場合、入出力障害の後に障害処理と終結処理を行う。

終了
IKJEESX4
IEEVSNX4

終結処理または特別な終了処理を行う。
セッション・マネージャー 初期設定 どのストリームをモニターしたいか、およびユーザーのフルスクリーン・プログラム実行時にセッション・マネージャーが行モード出力をログに記録するかどうかを示す。
ストリームのモニター 初期設定出口で指定した個々のストリームをモニターし、必要な処理を実行する。
終了 セッション・マネージャーが終了する前に、特殊な処理を行う。
STATUS この表の OUTPUT コマンドの項を参照。  
SUBMIT コマンド IKJEFF10 実行要求された JCL ステートメントを検査して、それらを受け入れる か、拒否するか、あるいは修正します。
TEST コマンド

初期設定
IKJEGMIE

ユーザーが出すコマンドを変更する。

終了
IKJEGMTE

終結処理を実行する。
サブコマンド 初期設定 IKJEGCIE ユーザーが出したサブコマンドを変更する。
サブコマンド 終了 IKJEGCTE 終結処理を実行する。
TESTAUTH コマンド

初期設定
IKJEGAUI

セキュリティー検査を行う。

終了
IKJEGAUT

終結処理を実行する。
サブコマンド 初期設定 IKJEGASI ユーザーが出したサブコマンドを変更する。
サブコマンド 終了 IKJEGAST 終結処理を実行する。
TRANSMIT コマンド および RECEIVE コマンド

共通出口:
NAMES
データ・セット
割り振り前
INMCZ21R

TRANSMIT 出口:
開始
INMXZ01  INMXZ01R

ログ・データ・セット
割り振り前
INMXZ21R

暗号化
INMXZ03  INMXZ03R

終了
INMXZ02 INMXZ02R

RECEIVE 出口:
初期設定
INMRZ01 INMRZ01R

ログ・データ・セット
割り振り前
INMRZ21R

データ・セット・プリプロセス
INMRZ11  INMRZ11R

データ・セットの復号
INMRZ13  INMRZ13R

通知
NMRZ04  INMRZ04R

肯定応答
通知
INMRZ05R

 
 


肯定応答
通知
INMRZ06R

データ・セット後処理
INMRZ12  INMRZ12R

プロンプト後
INMRZ15R

終了
INMRZ02  INMRZ02R

各種の TRANSMIT 出口と RECEIVE 出口を一緒に使用して、さまざまな タイプの処理を実行します。これらの出口を使用して、伝送活動をモニターしたり、TRANSMIT および RECEIVE の操作方法を調整したりするこ とができます。例えば、出口を使用して以下の処理を行うことができます。
  • ネットワークの使用法についての統計の収集
  • 特定のネットワーク・パスを使用できるユーザーの制御
  • 対話式データ伝送機能が支援しないデータ・セットの サポート
  • 暗号化処理と復号処理の調整
  • データ・セットの受信の抑止
  • ユーザー応答後に伝送内容を受信した場合にとるアクションの 決定
  • 受信側のセキュリティー・トークンの使用による、 肯定メッセージの返送
TSOLIB コマンド

初期設定
IDYTSINI

ユーザーが出すコマンドを変更する。

終了
IDYTSTER

終結処理を実行する。