TSO/E の主な利点

TSO/E の利点は次のように要約できます。
  • 使いやすさの改善

    Information Center Facility は、TSO/E の使いやすさを向上させます。これは、 多くのサービスやプロダクトを簡単に 使用できるようにすることによって、データ処理の専門家でないユーザーを支援します。たとえば、 教育サービス機能では、ユーザーがコース概要の読み取りだけでなく、 オンライン・コースの登録、受講、監査、および作成 (書き込み) もできるパネルが用意されています。 ユーザーは、教室で実施されるインストール教育コースに登録したり、そのコースの 概要を読むこともできます。TSO/E では、コースの概要を印刷することもできます。 ご使用のシステムでは、アプリケーション・マネージャーを使用することによって、 簡単に Information Center Facility にアプリケーションを追加できます。TSO/E では、管理者がそれぞれのアプリケーションに必要なさまざまなライブラリー (たとえば、CLIST ライブラリーや REXX exec ライブラリーなど) を指定できるので、アプリケーション・マネージャー・ダイアログが使いやすくなりました。Information Center Facility で、ユーザーがアプリケーションを呼び出したときに、 動的に必要なライブラリーが割り振られます。管理者は元のアプリケーションを削除しなくても、直接アプリケーションを取り替えることが できるので、カスタマイズされている場合がある既存の アプリケーションをアップグレードできます。

    TSO/E では、各部門、ユーザー・グループ、および個々のユーザーが それぞれの独自の用途に合わせてアプリケーション定義を作成または調整することができるようにしているため、情報センター機能 の使いやすさが向上しています。

    TSO/E は、他のいろいろなユーザーのために使いやすさを向上させています。たとえば、PC ユーザーは TSO/E 拡張接続機能を使って簡単にホスト・サービスをアクセスできます。TSO/E 管理者は、簡単な RACF® コマンドを使用して、TSO/E と RACF の 両方に対してユーザーの対話を定義できます。したがって、管理者は、ユーザーに関するすべての情報を RACF データベース に保持できます。つまり、管理者は、SYS1.UADS と RACF データベースの両方を維持しておく必要がなくなりました。

    TSO/E は常に、ユーザーに対する使いやすさの向上を追及してきました。 TEST コマンドと TESTAUTH コマンドを使うと、プログラマーは 無許可プログラムと APF 許可プログラムを 簡単にテストできます。 各国語使用可能化のサポートによって、ユーザーは TSO/E 情報を自国語で 受け取ることができます。

    非 TSO/E のアドレス・スペースで実行されるアプリケーションも、 多くの TSO/E サービスと 無許可コマンドを使用できます。この例としては、TSO/E サービスをアクセスする APPC/MVS トランザクション・プログラム の作成があります。アプリケーションでは TSO/E 環境サービスを使用して、TSO/E 環境を構築し、初期設定できます。

    TSO/E では、ログオン処理の使いやすさが向上しています。 ご使用のシステムではログオン・パネルとそのヘルプ・テキストを カスタマイズできます。 また、表示前および表示後ログオン・インストール・システム出口を使用して、 ログオン・パネル上のフィールドを処理できます。 複数の各国語をサポートするご使用システム においては、ログオン・パネルと それらのヘルプ・テキストも各国語でサポートされます。 さらに、LOGON コマンドのフルスクリーン処理が拡張されて、新しいパスワード検査 が実行されます。 また、ログオン・プロンプト の完了後にログオン処理を カスタマイズするプロンプト後出口も用意されています。

  • 生産性の向上

    TSO/E は、エンド・ユーザーとプログラマーの生産性向上を支援します。 情報センター機能拡張接続機能、TSO コマンド・パッケージ、 およびセッション・マネージャーによって使用できる諸機能はこの生産性向上を目的として設計されています。CLIST 言語、TSO/E REXX サポートおよび TSO/E コマンド拡張機能もエンド・ユーザーとプログラマーの生産性がより向上することを目的としています。

  • パフォーマンスの向上

    TSO/E には、パフォーマンスの向上を目的とした強化機能がいくつか あります。 たとえば、TSO/E が CLIST を処理する方法の変更によって、CLIST の パフォーマンスが向上しています。TSO/E サービス・ルーチンの作業域は、必要に なったつど取得されるのでなく、 ログオン処理中に得られるので、パフォーマンスが向上します。LISTBC コマンドの使用およびログオン時の通知の処理に必要な 入出力操作の数を減らすことによって、メッセージ処理のパフォーマンスも 向上しています。別々のユーザー・ログを使用すると、 潜在的なパフォーマンスを引き出せるという利点があります。ご使用のシステムでは、ブロードキャスト・データ・セットでなく、別々の ユーザー・ログにメッセージを保管できます。別々のログを使用することに より、ブロードキャスト・データ・セットに対して多数のメッセージの保管や検索が 行われているときに処理プログラムが経験する恐れのある競合を減らすことができます。

    TSO/E は常にパフォーマンスを向上させる方法を追求してきました。たとえば、ALTLIB コマンドを使って、 ユーザーは CLIST ライブラリーと REXX exec ライブラリーを動的に割り振ることができます。CLIST ライブラリー と REXX exec ライブラリーを動的に定義することによって、 これらのライブラリーの検索時間を短縮できます。MVS/ESA SP の仮想索引機能 (VLF) を使用すると、データ・セット入出力と DASD の競合の減少に役立つので、CLIST および REXX exec のユーザーのパフォーマンスが向上する可能性があります。TSO/E REXX サポートと TSO/E サービス機能の強化によって、 無許可および許可 TSO/E コマンドとプログラムの呼び出し時のタスク作成および終了に関連するシステム・オーバーヘッドが減少し、 ユーザーのパフォーマンスの向上が期待できます。

    SYSPROC システム・レベル・ファイルまたはアプリケーション・レベル・ファイル に割り振られた REXX exec は、保管されるときに、圧縮されます。REXX exec の圧縮により、 パフォーマンスの向上が期待できます。この強化機能によって、REXX exec の処理に必要な仮想記憶域の量を減らすことができます。

    TSO/E によるブロードキャスト・データ・セットの処理が強化されて、システム間カップリング・ファシリティーが使用できるようになっています。この強化機能は、システム通知の表示に必要なブロードキャスト・データ・セットへの入出力を減少させることにより、ログオン処理においてパフォーマンスを向上させることができるようにします。

    ALLOCATE コマンドの強化機能は、既存のカタログ式データ・セット の VTOC に対する入出力を減らし、大部分の呼び出しにおいて MVS™ LOAD 処理を回避することによって、 パフォーマンスを向上させることができるようにします。さらに、ALLOCATE コマンドは内部処理を合理化することによって、MVS サービス の使用を減らします。

    TSO/E コードの最適化強化機能は、TSO/E 入出力サービス、REXX 処理、CLIST 処理、および TSO/E 出口処理において、必要な TSO/E 実効ページ・セットのサイズを減らします。

  • APPC/MVS サポート

    TSO/E ではまた、REXX プロシージャー言語に よる APPC/MVS トランザクション・プログラムの作成もサポートします。CPICOMM ホスト・コマンド環境では、REXX で書かれた トランザクション・プログラムを、SAA 環境間にわたって移植できます。LU62 ホストのコマンド環境では、 他のシステムのトランザクション・プログラム との会話に特定の MVS 機能を使用できます。

  • 仮想記憶域制約解放

    MVS 環境において、TSO/E は仮想記憶域の制約を解放します。多くの TSO/E モジュールおよびストレージは、仮想記憶域の中で 16 メガバイト を超える位置におかれるので、16 メガバイトより低い仮想記憶域はその分だけ ユーザー・アプリケーション用に解放されます。そのうえ、可能なときはいつでも、 新しいモジュールとストレージを、仮想記憶域の 16 メガバイトを超える位置におくことができます。

  • インストール方法の簡便化

    TSO/E では、インストール処理を簡便化する方法が用意されています。

    システム・プログラマーは、テーブル (IKJEFTE2、IKJEFTE8、IKJEFTNS、および IKJEFTAP) ではなく、SYS1.PARMLIB を使用して、 許可コマンド、許可プログラム、およびユーザーがバックグラウンド環境で実行できないコマンドを指定できます。また、SYS1.PARMLIB を使用して、一部のコマンドのシステム・デフォルト値を 指定できます。SYS1.PARMLIB を使用すると、ご使用のシステムは 1 つのファイルだけ変更すればよいので、システムのカスタマイズが容易になります。プログラマーは、TSO/E をインストールするたびに、 テーブルの保管、それらのアセンブルおよびリンク編集を行う必要はなくなります。

    TSO/E は SYS1.PARMLIB サポートを強化しています。 システム・プログラマーは、SYS1.PARMLIB を 使用して、追加コマンドのシステム・デフォルト値を設定できます。 また、 新しい PARMLIB コマンドを使って、現在の TSO/E のシステム・デフォルトをリストしたり、 システムを再 IPL せずに、それらを動的に (IKJTSOxx の内容で) 更新したりできます。

    SYS1.SAMPLIB には、インストール処理を簡単にするために ご使用のシステムがカスタマイズする ことができるサンプル・プログラムがいくつか入っています。たとえば、SYS1.SAMPLIB のメンバー IKJTSO00 には、SYS1.PARMLIB の メンバー IKJTSOxx 内で使用できるステートメントのサンプルが入っています。

    TSO/E では、テーブル・ルックアップ・サービスもインストールの簡便化に役立ちます。 システム・プログラマーは、このテーブル・ルックアップ・サービスを使って、 許可コマンドや許可プログラムおよびバックグラウンドでの使用が制約されている コマンドを判別できます。

  • システム管理

    TSO/E では、システム管理が改善されています。CONSOLE コマンド 権限をもつ TSO/E ユーザーは、新しい CONSOLE コマンドを使って、TSO/E セッションから MVS システム・コマンドやサブシステム・コマンド を出したり、これらのコマンドからの応答を受信できます。メッセージ 検索サービス GETMSG と TSO/E REXX サポートの強化によって、 アプリケーション・プログラムおよび REXX exec は、TSO/E 環境で MVS オペレーター・タスクを実行することもできます。

  • Systems Application Architecture®サポート

    TSO/E では、MVS 環境で REXX プロシージャー言語インターフェース・エレメントを提供することによって システム・アプリケーション体系 (SAA) をサポートします。CALL コマンド・プロセッサーも SAA をサポートするように拡張されました。

  • デバッグ・エイドの改善

    TSO/E では、デバッグ・エイドが改善されています。たとえば、TEST コマンドでは、IBM® 3090 ベクトル機構ハードウェアを使用するデバッグ・プログラムをサポートします。TSO/E では、TEST コマンドがさらに拡張されて、プログラマーは アクセス・レジスターを使用するプログラムをデバッグできます。 さらに TSO/E では、新しいコマンド TESTAUTH も提供され、プログラマー はそれを使って、APF 許可プログラムを テストし、デバッグすることもできます。TEST および TESTAUTH コマンドを使って、APPC/MVS 無許可トランザクション・プログラム および許可トランザクション・プログラムをテストすることもできます。 対話式問題制御システム (IPCS) の TSODATA の verb 出口で CLIST 変数に 関連する追加情報をリストします。TSO/E では、IPCS の TSODATA の verb 出口を更新して、 プログラマーが REXX コードまたは CONSOLE コマンドに関連する問題を判別しやすくしています。ユーザーは新しいキーワードを使って、REXX 環境ブロックと CONSOLE コマンド 制御ブロックを形式設定できます。CLIST で利用できるトレース機能と同様なトレース機能が REXX exec でも 利用できます。

    TSO/E 拡張接続機能アプリケーションは MVSSERV トレース機能を使って、MVSSERV トレース・データ・セット、 端末、またはその両方にメッセージを書き込むことができます。

    TSO/E は、インストール・システム出口のトレース機能を備えています。プログラマーは、OPERATOR SLIP コマンドを使って、 その出口の呼び出し時および戻り時の出口点をトレースし、 出口パラメーター・リストを表示できます。

  • 出口の追加

    TSO/E は、多くの TSO/E コマンドおよび機能の処理を変更したり、拡張したりして、 ご使用のシステムのニーズに合わせることができる出口が追加されています。このような出口の多くは、 制御を受け取る出口ルーチンに対して標準出口パラメーター・リストを提供します。