インターフェースの階層化

SNMP フレームワークでは、最も基本的な MIB テーブルはインターフェース・テーブルです。TCP/IP サブエージェントは、RFC 2233 にある IF-MIB からのインターフェース MIB データをサポートします。 詳細については、SNMP 機能ステートメントのサポートされる IF-MIB オブジェクトのリストを参照してください。RFC 2233 は、以下の基本のインターフェース・テーブルを提供します。
  • ifTable と ifXTable
  • インターフェースがどのように階層化されているかを示す ifStackTable

次の例では、TCP/IP サブエージェント・インターフェースの階層化の実装について説明します。この場合、DEVICE、LINK、および INTERFACE プロファイル・ステートメントは、TCP/IP プロファイル・データ・セット内に指定されています。この例では、OSA-Express® QDIO イーサネット・インターフェースのみが定義されます。

図 1. TCP/IP サブエージェント・インターフェースの階層化の実装例
DEVICE OSA4C   MPCIPA	
LINK LV4OSA4C  IPAQENET  OSA4C
INTERFACE LV6OSA4C DEFINE IPAQENET6 PORTNAME OSA4C
     IPADDR 2001:0DB8:0:1:0009:0067:0115:0066

INTERFACE LV4OSA8D DEFINE IPAQENET  PORTNAME OSA8D
     IPADDR 9.67.116.66/24
INTERFACE LV6OSA8D DEFINE IPAQENET6 PORTNAME OSA8D
     IPADDR 2001:0DB8:0:1:0009:0067:0116:0066
上記のコード例により、表 1 に記載のインターフェース項目が作成されます。
表 1. ifType インターフェース項目
ifIndex ifType 説明
1 53 (propVirtual) LOOPBACK 装置
2 24 (softwareLOOPBACK) LOOPBACK リンク
3 24 (softwareLOOPBACK) LOOPBACK6 インターフェース
4 53 (propVirtual) MPCIPA 装置 OSA4C
5 6 (ethernetCsmacd) IPAQENET リンク LV4OSA4C
6 6 (ethernetCsmacd) IPAQENET6 インターフェース LV6OSA4C
7 53 (propVirtual) OSA-Express ポート・インターフェース OSA8D
8 6 (ethernetCsmacd) IPAQENET インターフェース LV4OSA8D
9 6 (ethernetCsmacd) IPAQENET6 インターフェース LV6OSA8D

ifType 値はインターフェースのタイプを示し、Internet Assigned Numbers Authority (IANA) により割り当てられます。z/OS® Communications Server では、DEVICE プロファイル・ステートメントの場合、1 つの対応する項目が IF-MIB インターフェース・テーブルにあります。また、DEVICE の低位層のインターフェース (LINK ステートメントで指定) もインターフェース項目として定義され、装置項目の下に置かれます。

INTERFACE プロファイル・ステートメント (IPAQENET または IPAQENET6 以外) の場合、1 つのインターフェース項目のみがインターフェース・テーブルに作成されます。このインターフェースに関連付けられる高位層の装置項目はありません。

OSA-Express QDIO イーサネット・インターフェース (IPAQENET および IPAQENET6) の場合、関連付けられる OSA-Express ポートは常にインターフェース・テーブル内の最高位層の項目です。OSA-Express ポート項目は DEVICE プロファイル・ステートメントの結果として作成されるか、あるいは IPAQENET または IPAQENET6 インターフェースの定義に INTERFACE プロファイル・ステートメントのみが使用されるときに動的に作成されます。動的に作成される OSA-Express ポート項目では、ifName MIB オブジェクトが INTERFACE プロファイル・ステートメントの PORTNAME パラメーター値に設定されます。同じ OSA-Express ポートのすべてのインターフェースが同じ OSA-Express ポート項目の下に置かれます。

各装置または OSA-Express ポート項目の ifTable と ifXTable のカウンターは、下にあるリンクまたはインターフェースのカウンターの合計を反映します。ifStackTable を使用してインターフェースの関係を表示する方法について詳しくは、IF-MIB テーブルを参照してください。

表 1 では、LOOPBACK 装置項目とリンク項目が IF-MIB テーブルに作成されていることを示しています。ただし、インターフェースは明示的に定義されていません。TCP/IP は、自動的にこれらの項目を生成します。TCP/IP スタックの IPv6 サポートが有効になっているため、LOOPBACK6 インターフェース項目も自動的に生成されています。

ATM DEVICE を定義するとは、その下に AAL5 および ATM という 2 つの従属インターフェース項目 が作成されます。AAL5 および ATM は、実際には ATM ポートに存在する UNI 定義層です。ifEntry および ifXEntry カウンターは、ポートを通過するトラフィックを反映しています。ATM DEVICE が LAN エミュレーション・モード用に構成されている場合、追加の 2 つの従属層が AAL5 および ATM 層の後に作成されることがあります。これらの追加の層は、 エミュレートされたリンク・インターフェースを表しています。これらのすべての ATM 従属層のカウンター・データは、直接 OSA/SF (Open Systems Adapter/Support Facility) から取得されます。詳しくは、ATM 固有の管理データを参照してください。