BACKUP DB (データベースのバックアップ)

このコマンドを使用して、IBM Spectrum Protect™ データベースを順次アクセス・ボリュームにバックアップします。

重要: データベースをリストアするために、サーバーはボリューム・ヒストリー・ファイルおよび装置構成ファイルからの情報を使用する必要があります。 ボリューム・ヒストリー・ファイルと装置構成ファイルのコピーを作成して保存しておく必要があります。 これらのファイルは再作成できません。

バックアップにどの程度の追加のストレージ・スペースが必要かを判別するには、QUERY DB コマンドを発行します。

制限: サーバー・データベース・バックアップのリリース・レベルがリストア対象のサーバーのリリース・レベルと異なっている場合、サーバー・データベースをリストアすることはできません。 例えば、バージョン 7.1 のサーバーを使用している場合にバージョン 6.3 データベースをリストアすると、エラーが発生します。
データベース・バックアップの完了後、IBM Spectrum Protect サーバーは、サーバー・オプション・ファイルに指定されているオプションに応じて、情報をバックアップします。以下の情報がバックア ップされます。
  • 順次ボリューム・ヒストリー情報は、VOLUMEHISTORY オプションで指定したすべてのファイルにバックアップされます。
  • デバイス構成に関する情報は、DEVCONFIG オプションで指定したすべてのファイルにバックアップされます。
  • サーバーのマスター暗号鍵
定義済みの活動ログ・ディレクトリー・ボリュームまたはファイル・スペースに使用可能なスペースが十分にない場合、必要なスペースが使用可能なディレクトリーを使用するように Db2® オプション overflowlogpath を定義することができます。例えば、/home/tsminst2/overflow_dir ディレクトリーを使用するには、次のコマンドを使用します。
db2 update db cfg for TSMDB1 using overflowlogpath /home/tsminst2/overflow_dir

特権クラス

このコマンドを発行するには、システム特権または無制限ストレージ特権が必要です。

構文

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>>-BAckup DB--DEVclass--=--device_class_name-------------------->

   .-Type--=--Full------------.   
>--+--------------------------+--------------------------------->
   '-Type--=--+-Incremental-+-'   
              +-Full--------+     
              '-DBSnapshot--'     

>--+--------------------------------------+--------------------->
   |                   .-,-----------.    |   
   |                   V             |    |   
   '-VOLumenames--=--+---volume_name-+--+-'   
                     '-FILE:--file_name-'     

   .-NUMStreams--=--1------.  .-Scratch--=--Yes-----.   
>--+-----------------------+--+---------------------+----------->
   '-NUMStreams--=--number-'  '-Scratch--=--+-Yes-+-'   
                                            '-No--'     

   .-Wait--=--No------.  .-DEDUPDEVice--=--No------.   
>--+------------------+--+-------------------------+------------>
   '-Wait--=--+-No--+-'  '-DEDUPDEVice--=--+-No--+-'   
              '-Yes-'                      '-Yes-'     

   .-COMPress--=--No----------.  .-PROTECTKeys--=--Yes-----.   
>--+--------------------------+--+-------------------------+---->
   |                      (1) |  '-PROTECTKeys--=--+-No--+-'   
   '-COMPress--=--+-No--+-----'                    '-Yes-'     
                  '-Yes-'                                      

>--+----------------------------+------------------------------><
   '-PASSword--=--password_name-'   

注:
  1. COMPRESS パラメーターのデフォルト値は、条件によって異なります。BACKUP DB コマンドに COMPRESS パラメーターを指定した場合は、この値が SET DBRECOVERY コマンドに設定されたすべて の COMPRESS パラメーター値をオーバーライドします。それ以外の場合は、SET DBRECOVERY コマンドに設定された値がデフォルトになります。

パラメーター

DEVclass (必須)
バックアップに使用する順次アクセス装置クラスの名前を指定します。

装置クラスを設定するための SET DBRECOVERY コマンドが発行されていない場合、BACKUP DB コマンドは失敗します。

制約事項:
  • 装置タイプが NAS または CENTERA の装置クラスは使用できません。
  • リストアのソースが FILE ライブラリーである場合、データベースのリストア操作は失敗します。 FILE 装置クラスが SHARED=YES を指定する場合、FILE ライブラリーが作成されます。

バックアップの実行時にこの装置クラスのすべてのドライブが使用中の場合には、IBM Spectrum Protect は、低い優先順位の操作 (例えばレクラメーションなど) を取り消し、バックアップのためにドライブを使用可能にします。

Type
実行するバックアップのタイプを指定します。 このパラメーターはオプションです。デフォルトは FULL です。以下の値を指定できます。
Full
IBM Spectrum Protect データベースの完全バックアップを実行することを指定します。
Incremental
IBM Spectrum Protect データベースの差分バックアップを実行するように指定します。 差分 (すなわち累積) バックアップ・イメージには、フルバックアップ操作が最後に正常に実行されて以降に変更されているすべてのデータベース・データのコピーが含まれています。
DBSnapshot
フルスナップショット・データベース・バックアップを実行することを指定します。 データベースの内容全体がコピーされ、新規スナップショット・データベース・バックアップ が、データベースの既存のフルバックアップと差分バックアップの集合に 割り込まずに作成されます。
VOLumenames

データベースのバックアップに使用するボリュームを指定します。 このパラメーターはオプションです。ただし、SCRATCH=NO を指定した場合、ボリュームのリストを指定する必要があります。

volume_name
データベースのバックアップに使用するボリュームを指定します。 複数の ボリュームを指定する場合は、名前をコンマで区切り、スペースを間に入れないでください。
FILE:filename
データベースのバックアップに使用するボリュームのリストを含む ファイルの名前を指定します。各ボリューム名は別々の行に指定してください。 ブランク行、およびアスタリスクで始まる注釈行は無視されます。
例えば、ボリューム DB0001、DB0002、および DB0003 を使用するためには、 次の行を含むファイルを作成します。
DB0001
DB0002
DB0003
ファイルに適切な名前を付けます。 例えば次のとおりです。
  • AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムTAPEVOL
  • Windows オペレーティング・システムTAPEVOL.DATA

これで、コマンドのボリュームを次のように指定することができます。

AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システム
VOLUMENAMES=FILE:TAPEVOL
Windows オペレーティング・システム
VOLUMENAMES=FILE:TAPEVOL.DATA
NUMStreams
データベースのバックアップ時に使用する並列データ移動ストリームの数を指定します。最小値は 1、最大値は 32 です。この値を大きくすると、それに応じて、使用されるデータベース・バックアップ・セッション数、および装置クラスに使用されるドライブ数が増加します。 BACKUP DB コマンドに NUMSTREAMS 値を指定した場合は、 この値が SET DBRECOVERY コマンドに設定されたすべての値をオーバーライドします。それ以外の場合は、SET DBRECOVERY コマンドに設定された値が使用されます。NUMSTREAMS 値は、すべてのタイプのデータベース・バックアップに使用されます。
装置クラスに使用可能なドライブ数を超える値が指定された場合は、使用可能なドライブ数のみ使用されます。使用可能なドライブとは、MOUNTLIMIT パラメーター、または指定された装置クラス用のオンライン・ドライブ数によって装置クラスに定義されたドライブです。セッションは、QUERY SESSION 出力に表示されます。
ストリームの数を増やすと、対応する装置クラスからさらに多くのボリュームが、この操作のために使用されます。 使用するボリューム数を増加すると、データベース・バックアップの速度が改善される可能性がありますが、フルに使用されないボリュームの数が増加することになります。
Scratch
バックアップにスクラッチ・ボリュームを使用するかどうかを指定します。 このパラメーターはオプションです。デフォルト値は YES です。以下の値を指定できます。
Yes
スクラッチ・ボリュームを使用するよう指定します。

SCRATCH=YESVOLUMENAMES パラメーターを指定す ると、IBM Spectrum Protect は、指定ボリューム上でスペースを使用できない場合にのみ スクラ ッチ・ボリュームを使用します。

VOLUMENAMES パラメーターを使用してボリューム・リストを入力しない場合は、SCRATCH=YES を指定するか、またはデフォルトを使用する必要があります。

No
スクラッチ・ボリュームを使用しないよう指定します。

VOLUMENAMES パラメーターおよび SCRATCH=NO を使用してボリュームを指定する場合、指定されたボリューム上にバックアップ・データの格納に使用できるスペースが十分ないと、バックアップは失敗します。

Wait
サーバーがこのコマンドをフォアグラウンドで処理完了するまで待機するかどうかを指定します。 デフォルト値は NO です。以下の値を指定できます。
No
サーバーがこのコマンドをバックグラウンドで処理することを指定します。このコマンドが処理されている間に、他のタスクを続けることができます。

バックグラウンド・プロセスから 作成されたメッセージは、メッセージが記録されている場所に応じて、活動記録ログまたはサーバー・コンソールのいずれかに表示されます。

バックグラウンド・プロセスを取り消すには、CANCEL PROCESS コマンドを使用します。 BACKUP DB バックグラウンド・プロセスを取り消しても、取り消す以前に既にバックアップされているデータベースがある可能性があります。

Yes
サーバーがこのコマンドをフォアグラウンドで処理することを指定します。 他のタスクを続行する前に、コマンドが完了するまで待機してください。コマンドが完了すると、サーバーは、管理クライアントに出力メッセージを表示します。
制約事項: サーバー・コンソールから WAIT=YES を指定することはできません。
DEDUPDEVice
ターゲット・ストレージ・デバイスがデータ重複排除をサポートすることを指定します。 YES に設定された場合、バックアップ・イメージのフォーマットはデータ重複排除デバイス向けに最適化され、バックアップ操作の効率が向上します。 以下の値を指定できます。
No
ターゲット・ストレージ・デバイスがデータ重複排除をサポートしないことを指定します。 No がデフォルトです。
以下のデバイスに対しては、このパラメーターが NO に設定されていることを確認してください。
  • SCSI ライブラリー
  • FILE 装置クラスを指定して定義されたすべてのデバイス
  • データ重複排除機能をサポートしない仮想テープ・ライブラリー (VTL)
Yes

ターゲット・デバイスがデータ重複排除をサポートすること、およびこの機能のためにバックアップを最適化したいことを指定します。 データ重複排除を サポートする VTL を使用している場合、このパラメーターを YES に設定できます。

COMPress
BACKUP DB コマンドで作成されたボリュームが圧縮されるかどうかを指定します。COMPRESS 値は、すべてのタイプのデータベース・バックアップに使用されます。このパラメーターはオプションです。 デフォルト値は conditional です。 BACKUP DB コマンドに COMPRESS パラメーターを指定した場合は、この値が SET DBRECOVERY コマンドに設定されたすべての値をオーバーライドします。それ以外の場合は、SET DBRECOVERY コマンドに設定された値がデフォルトになります。次のいずれかの値を指定することができます。
No
BACKUP DB コマンドで作成されたボリュームを圧縮しないことを指定します。
Yes

BACKUP DB コマンドで作成されたボリュームを圧縮することを指定します。

制限:
  • COMPRESS パラメーターを指定する場合は注意してください。 データベース・バックアップ中に圧縮を使用すると、バックアップ・ファイルのサイズを減らすことができます。 ただし、圧縮によって、データベース・バックアップ処理に必要な時間が長くな る可能性があります。
  • 圧縮されたデータのバックアップを磁気テープに書き込まないでください。 ご使用のシステム環境で磁気テープにデータベース・バックアップを保管する場合、SET DBRECOVERY コマンドと BACKUP DB コマンドの COMPRESS パラメーターを No に設定します。
AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムWindows オペレーティング・システムPROTECTKeys
AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムWindows オペレーティング・システムデータベース・バックアップに、ノード・パスワード、管理者パスワード、およびストレージ・プール・データの暗号化に使用するサーバー・マスター暗号鍵のコピーを含めるかを指定します。 マスター暗号鍵は、dsmkeydb ファイルに保管されます。dsmkeydb ファイルが失われると、マスター暗号鍵を使用して暗号化されたパスワードをサーバーが読み取ることができないため、ノードおよび管理者をサーバーで認証することができません。 さらに、マスター暗号鍵がないと、暗号化されたストレージ・プールに保管されたデータを取得することができません。このパラメーターはオプションです。 デフォルトは、SET DBRECOVERY コマンドの PROTECTKEYS パラメーターで指定された値です。 次のいずれかの値を指定することができます。
No
データベース・バックアップにサーバー・マスター暗号鍵のコピーを含めないことを指定します。
重要: PROTECTKEYS=NO を指定した場合、サーバーのマスター暗号鍵を手動でバックアップし、災害時回復を実施する場合にその鍵を使用できるようにすることが必要です。マスター暗号鍵がないと、災害から復旧することができません。
Yes
データベース・バックアップにサーバー・マスター暗号鍵のコピーを含めることを指定します。
重要: PROTECTKEYS=YES を指定する場合、PASSWORD パラメーターも指定する必要があります。
AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムWindows オペレーティング・システムPASSword
AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムWindows オペレーティング・システムデータベース・バックアップの保護に使用するパスワードを指定します。 SET DBRECOVERY コマンドの PASSWORD パラメーターに指定されている値がデフォルトです。SET MINPWLENGTH コマンドを使用して別の値を指定しない限り、パスワードの最小長は 8 文字です。パスワードの最大長は 64 文字です。
重要: このパスワードは忘れないようにしてください。 データベース・バックアップ用のパスワードを指定した場合、そのデータベースをリストアするには、同じパスワードを RESTORE DB コマンドで指定する必要があります。

例: スクラッチ・ボリュームを使用した差分バックアップの実行

スクラッチ・ボリュームを使用して、データベースの差分バックアップを実行します。 バックアップの装置クラス FILE を使用します。
backup db devclass=file type=incremental
AIX オペレーティング・システムLinux オペレーティング・システムWindows オペレーティング・システム

例: データベース・バックアップでストレージ・プール・データ暗号化する

データベース・バックアップにサーバー・マスター暗号鍵のコピーを含めるように指定することで、ストレージ・プール・データを暗号化します。 以下のコマンドを発行します。
backup db protectkeys=yes password=password_name

関連コマンド

表 1. BACKUP DB に関連するコマンド
コマンド 説明
BACKUP DEVCONFIG IBM Spectrum Protect 装置情報をファイルにバックアップします。
BACKUP VOLHISTORY 外部ファイルのボリューム・ヒストリー情報を記録します。
CANCEL PROCESS バックグラウンド・サーバー・プロセスを取り消します。
DELETE VOLHISTORY 順次ボリューム・ヒストリー情報をボリューム・ヒストリー・ファイルから除去します。
EXPIRE INVENTORY インベントリー満了処理を手動で開始します。
MOVE DRMEDIA DRM メディアをオンサイトおよびオフサイトに移動します。
PREPARE 回復計画ファイルを作成します。
QUERY DB データベースについての割り振り情報を表示します。
QUERY PROCESS バックグラウンド・プロセスについての情報を表示します。
QUERY VOLHISTORY サーバーによって収集された順次ボリューム・ヒストリー情報を表示します。
SET DBRECOVERY 自動バックアップに使用する装置クラスを指定します。
SET DRMDBBACKUPEXPIREDAYS データベース・バックアップの集合期限切れの基準を指定します。