仮想マシン (Intel Linux) における Db2 pureScale 環境のインストール前提条件

IBM® Db2 pureScale 環境をインストールする前に、ご使用のシステムが以下のネットワーク、ハードウェア、ファームウェア、ストレージ、およびソフトウェアの要件を満たしていることを確認する必要があります。 db2prereqcheck コマンドを使用して、特定の Db2 バージョンのソフトウェアおよびファームウェア前提条件を確認できます。

サポートされる仮想環境

Db2 pureScale 環境は、以下の仮想マシン (VM) 構成にインストールできます。
表 1. サポートされる VM およびオペレーティング・システム
ハイパーバイザー アーキテクチャー 最小ゲスト OS (Linux®)
VMware ESXi 5.0 以上 VM と Db2 pureScale の両方でサポートされる x64 システム VM と Db2 pureScale の両方でサポートされる任意の Linux ディストリビューション
VMware vSphere 6.0 VM と Db2 pureScale の両方でサポートされる x64 システム VM と Db2 pureScale の両方でサポートされる任意の Linux ディストリビューション
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 6.2 以上の KVM RHEL 6.2 と Db2 pureScale の両方でサポートされる x64 システム RHEL 6 以上
注: VMware 環境で複数の物理サーバーを使用して Db2 pureScale クラスターの VM をホストする場合、インスタンスごとに物理サーバーごとに 1 つの VM しか持つことができません。 これは、各ロー・デバイス・マッピング (RDM) ディスクが、物理サーバー 1 台につき 1 つの仮想マシンにしか割り当てられないからです。 詳しくは、下記の表 2 の下にある「注」のセクションを参照してください。

サポートされるストレージ構成

仮想マシンにインストールする場合、 Db2 pureScale 環境のストレージ構成は仮想環境によって制限されます。
表 2. サポートされる VM ストレージ構成
ディスク構成 KVM ハイパーバイザー VMware ESX/ESXi タイブレーカーおよび高速入出力分離
仮想ディスク1 いいえ 2 いいえ 2 いいえ3
物理互換モードの RDM ディスク1 いいえ はい はい
SAN ディスク (PCI パススルー・モード)2 はい いいえ はい
注:
  1. 仮想ディスクは、SCSI-3 PR コマンドをサポートしないために、タイブレーカー・ディスクとして使用することはできません。 仮想ディスクは、共有データを入れるために使用できます。
  2. 実稼働環境以外でのみサポートされます。
  3. 入出力分離では SCSI-3 PR コマンドを使用可能にする必要があります。このコマンドは、仮想ディスクではサポートされません。
  4. ロー・デバイス・マッピング (RDM) ディスクは論理装置番号 (LUN) であり、仮想マシン・ファイル・システム (VMFS) を経由することなく VM ゲスト・オペレーティング・システムから直接アクセスできます。 RDM ディスク・サポートは、KVM 環境では提供されていません。

    タイブレーカー・ディスクと SCSI-3 PR 入出力分離をサポートするには、各 RDM ディスクを物理サーバーごとに 1 つの仮想マシンだけに割り当てる必要があります。

  5. PCI デバイス・パススルー・モードを使用すると、ストレージのファイバー・チャネル (FC) アダプターをゲスト仮想マシンに割り当てることができます。 ストレージ・アダプターを割り当てると、ゲスト VM 内部からストレージ域ネットワーク (SAN) ディスクに直接アクセスできます。 この環境では、タイブレーカー・ディスクと SCSI-3 PR 入出力分離がサポートされます。

ネットワーク要件

Db2 pureScale 環境をインストールするには、ネットワーク接続を構成する必要があります。

また、ネットワーク・インターフェースの最大伝送単位 (MTU) サイズをデフォルト値の 1500 のままにする必要もあります。 Linuxでの MTU サイズの構成について詳しくは、 Linux および Windows オペレーティング・システムで MTU 値を変更する方法 を参照してください。

表 3. サポートされるネットワーク構成
トランスポート・タイプ KVM VMware ESX/ESXi
TCP/IP (ソケット) 1 はい はい
RoCE (RDMA over Ethernet) はい2 はい2
InfiniBand (IB) いいえ いいえ
注:
  1. 10 GE 未満のネットワーク・カードを使用する場合、Db2_SD_ALLOW_SLOW_NETWORK レジストリー変数を ON に設定する必要があります。
  2. RoCE (RDMA over Converged Ethernet) は、PCI デバイス・パススルー・モードを使用してネットワーク・アダプターがゲスト VM に割り当てられている場合にはサポートされます。

追加のインストール要件

Db2 pureScale 環境を KVM にインストールする場合は、仮想ディスクのディスク・キャッシングを無効にする必要があります。 複数の物理マシンで同じディスクが使用されると、ディスク・キャッシングによってデータ破損が生じる恐れがあります。 ディスクが単一ホストによって使用される場合にディスク書き込みキャッシングを有効にすると、物理ディスク上のページが更新される前にサーバーが切断されたときに、データ・ページが欠落する可能性があります。 以下のコマンドを使用して、KVM 仮想ディスクにおけるディスク・キャッシングを無効にすることができます。
qemu-kvm -drive file=/dev/mapper/ImagesVolumeGroup 	Guest1,cache=none,if=virtio
VMware ESX に関しては、ホストによるディスク・キャッシングはありません。
注: PCI デバイス・パススルー・モードを使用してゲスト VM にファイバー・チャネル・アダプターを直接割り当てる場合、ディスク・キャッシングはありません。
Db2 pureScale 環境は、 Db2 メンバーのクラスタリングに基づいています。 そのため、 Db2 pureScale クラスターが ( IBM Spectrum Scaleを介して) 使用するすべてのディスクを構成して、クラスター内のすべての VM 間でディスクの同時読み取り/書き込みアクセスを許可する必要があります。
  • KVM 仮想環境の場合、仮想ディスクを構成するときに「共有可能」オプションを指定して、ディスクの同時アクセスを有効にすることができます。
  • VMware 仮想環境の場合、仮想ディスクでマルチライター・フラグを定義すると、ディスクの同時アクセスを有効にすることができます。 詳しくは、 VMware の資料 マルチライター・フラグを使用した VMFS によって提供される同時書き込み保護の無効化 (http://kb.vmware.com/kb/1034165) を参照してください。