Liberty でのリレーショナル・データベース接続の構成

データベース接続用にデータ・ソースと JDBC プロバイダーを構成できます。 JDBC プロバイダーは、特定のベンダー・データベースとの JDBC 接続に必要なドライバー実装クラスを提供します。

このタスクについて

データ・ソースの Kerberos 認証は、 DB2®、 Oracle Database、 Microsoft SQL Server、および PostgreSQLでサポートされます。

JDBC データ・ソース用の Kerberos 認証に関する資料は、 Open Liberty Web サイトで入手できます。

問題の回避:

バージョン 20.0.0.11より前では、データ・ソースに対する Kerberos 認証は、 Libertyの JDBC ドライバーまたはデータベースではサポートされません。

Oracle JDBC シン・ドライバー、バージョン 21c 以前は、 Oracle JDK または OpenJDK Kerberos 実装のみをサポートします。したがって、これらのバージョンは IBM SDK, Java Technology Edition バージョン 8では使用できません。 IBM Java™ 8 を使用するデータ・ソースの Kerberos 認証をサポートするために、バージョン 21c 以降の Oracle JDBC シン・ドライバーに更新します。

アプリケーションからデータベースにアクセスするには、アプリケーション・コードで javax.sql.DataSource インターフェースを使用する必要があります。アプリケーション・サーバーは、この javax.sql.DataSource インターフェースの管理対象実装を提供します。この実装は、 JDBC ドライバーが提供するさまざまなデータ・ソース実装またはドライバー実装のいずれかによって支えられています。これらのデータ・ソースまたはドライバー実装には、以下の種類があります。

javax.sql.DataSource
このタイプのデータ・ソースは基本形式です。接続プーリングを強化するインターオペラビリティーを提供せず、また複数のリソースを必要とするトランザクションで 2 フェーズ対応リソースとして参加できません。
javax.sql.ConnectionPoolDataSource
このタイプのデータ・ソースでは、接続プーリングが使用可能です。複数のリソースを必要とするトランザクションで 2 フェーズ対応リソースとして参加できません。
javax.sql.XADataSource
このタイプのデータ・ソースでは、接続プーリングが使用可能であり、複数のリソースを必要とするトランザクションで 2 フェーズ対応リソースとしても参加できます。
java.sql.Driver
これは、URL を必要とする基本的な接続方法で、通常は Java SE で使用されます。 javax.sql.DataSource 同様、接続プーリングを強化するインターオペラビリティーを提供せず、また複数のリソースを必要とするトランザクションに 2 フェーズ対応リソースとして参加できません。

Libertyで使用できるようにするには、 JDBC ドライバーがこれらのタイプのデータ・ソースの少なくとも 1 つを提供するか、 java.sql.Driver に ServiceLoader 機能を提供する必要があります。一般的に使用される JDBC ドライバーの場合、 Liberty は、さまざまなデータ・ソース・タイプの実装クラス名を既に認識しています。 Liberty は、 ServiceLoader 機能を使用して、指定された URL の JDBC ドライバー実装をディスカバーします。 Liberty は、多くの場合、 JDBC ドライバー実装クラスに基づいて、対応するデータ・ソース実装クラス名を推測できます。ほとんどの場合、 Liberty に指示する必要があるのは、 JDBC ドライバーの場所のみです。

手順

server.xml ファイルで、 JDBC ドライバーの JAR ファイルまたは圧縮ファイルの場所を指す共有ライブラリーを定義します。
例:
```
<library id="DB2JCCLib">
    <fileset dir="C:/DB2/java" includes="db2jccx.jar db2jcc_license_cisuz.jar"/>
</library>
```
JDBC ドライバーを使用する 1 つ以上のデータ・ソースを定義します。データ・ソースのタイプまたは URL を指定しない場合、 Liberty は、使用可能なデータ・ソース・タイプに応じて自動的にデータ・ソース・タイプを選択します。
データ・ソース・タイプについてデフォルトを受け入れる例を以下に示します。
```
<dataSource id="db2" jndiName="jdbc/db2">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
    <properties.db2.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="50000"/>
</dataSource>
```
javax.sql.XADataSource タイプを使用する例を以下に示します。
```
<dataSource id="db2xa" jndiName="jdbc/db2xa" type="javax.sql.XADataSource">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
    <properties.db2.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="50000"/>
</dataSource>
```
少なくとも 1 つの Java EE 7 以降のフィーチャーが有効にされている場合、デフォルトのデータ・ソースが使用可能です。このデータ・ソースは java:comp/DefaultDataSource として使用可能です。これのために jndiName を指定する必要はありません。デフォルト・データ・ソースを構成するには、 id を DefaultDataSource に設定してデータ・ソースを指定します。以下の例は、DB2 データベースを指すデフォルト・データ・ソースを構成します。
```
<dataSource id="DefaultDataSource">
	<jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
	<properties.db2.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="50000"/>
</dataSource>
```
データ・ソース・タイプを省略すると、 jdbc-4.3 以上の機能を使用している場合、またはデフォルトのデータ・ソースである場合、 Liberty は、使用可能なデータ・ソース・タイプに応じて以下の順序でデータ・ソース・タイプを選択します。
- javax.sql.XADataSource
- javax.sql.ConnectionPoolDataSource
- javax.sql.DataSource
jdbc-4.2 フィーチャー、 jdbc-4.1 フィーチャー、または jdbc-4.0 フィーチャーを使用していて、それがデフォルトのデータ・ソースではない場合、 Liberty は、使用可能なデータ・ソース・タイプに応じて以下の順序でデータ・ソース・タイプを選択します。
- javax.sql.ConnectionPoolDataSource
- javax.sql.DataSource
- javax.sql.XADataSource
一部の JDBC ベンダーでは、動作に微妙な違いがあったり、JDBC 仕様に定義されていない各種データ・ソース・タイプ間で異なる制限を導入していたりすることがありますが、XADataSource によって提供される機能は、通常、他のデータ・ソース・タイプによって提供される機能のスーパーセットになっていることに注意してください。

オプション: JDBC ベンダー・プロパティーや接続プーリング・プロパティーなど、データ・ソースの属性を構成します。

例:

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/db2" connectionSharing="MatchCurrentState" 
            isolationLevel="TRANSACTION_READ_COMMITTED" statementCacheSize="20">
    <connectionManager maxPoolSize="20" minPoolSize="5" 
                       connectionTimeout="10s" agedTimeout="30m"/>
    <jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
    <properties.db2.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="50000" 
                        currentLockTimeout="30s" user="user1" password="pwd1"/>
</dataSource>

dataSource エレメント、 connectionManager エレメント、およびいくつかの一般的に使用される JDBC ベンダーの構成属性の完全なリストについては、データ・ソース (dataSource)を参照してください。

オプション: 以下の例に従って、一般的に使用されるデータベースのデータ・ソースを構成します。

DB2 用

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/db2">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
    <properties.db2.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="50000"/>
</dataSource>

<library id="DB2JCCLib">
    <fileset dir="C:/DB2/java" includes="db2jccx.jar db2jcc_license_cisuz.jar"/>
</library>

DB2 on iSeries (ネイティブ) の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/db2iNative">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2iNativeLib"/>
    <properties.db2.i.native databaseName="*LOCAL"/>
</dataSource>

<library id="DB2iNativeLib">
    <fileset dir="/QIBM/Proddata/OS400/Java400/ext" includes="db2_classesxx.jar"/>
</library>

DB2 on iSeries (ツールボックス)

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/db2iToolbox">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2iToolboxLib"/>
    <properties.db2.i.toolbox databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost"/>
</dataSource>

<library id="DB2iToolboxLib">
    <fileset dir="/QIBM/ProdData/Http/Public/jt400/lib" includes="jt400.jar"/>
</library>

Derby Embedded の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/derbyEmbedded">
    <jdbcDriver libraryRef="DerbyLib"/>
    <properties.derby.embedded databaseName="C:/databases/SAMPLEDB" createDatabase="create"/>
</dataSource>

<library id="DerbyLib">
    <fileset dir="C:/db-derby-x.x.x.x-bin/lib"/>
</library>

Derby Network Client の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/derbyClient">
    <jdbcDriver libraryRef="DerbyLib"/>
    <properties.derby.client databaseName="C:/databases/SAMPLEDB" createDatabase="create" 
                             serverName="localhost" portNumber="1527"/>
</dataSource>

<library id="DerbyLib">
    <fileset dir="C:/db-derby-x.x.x.x-bin/lib"/>
</library>

Informix® JCC の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/informixjcc">
    <jdbcDriver libraryRef="DB2JCCLib"/>
    <properties.informix.jcc databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="1526"/>
</dataSource>

<library id="DB2JCCLib">
    <fileset dir="C:/Drivers/jcc/x.x" includes="db2jccx.jar db2jcc_license_cisuz.jar"/>
</library>

Informix JDBC の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/informix">
    <jdbcDriver libraryRef="InformixLib"/>
    <properties.informix databaseName="SAMPLEDB" ifxIFXHOST="localhost" 
                         serverName="ol_machinename" portNumber="1526"/>
</dataSource>

<library id="InformixLib">
    <fileset dir="C:/Drivers/informix" includes="ifxjdbc.jar ifxjdbcx.jar"/>
</library>

Microsoft SQL Server (Microsoft JDBC ドライバー) の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/mssqlserver">
    <jdbcDriver libraryRef="MSJDBCLib"/>
    <properties.microsoft.sqlserver databaseName="SAMPLEDB" 
                                    serverName="localhost" portNumber="1433"/>
</dataSource>

<library id="MSJDBCLib">
    <file name="C:/sqljdbc_x.x/enu/sqljdbcxx.jar"/>
</library>

Microsoft SQL Server (DataDirect Connect for JDBC ドライバー) の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/ddsqlserver">
    <jdbcDriver libraryRef="DataDirectLib"/>
    <properties.datadirect.sqlserver databaseName="SAMPLEDB" 
                                     serverName="localhost" portNumber="1433"/>
</dataSource>

<library id="DataDirectLib">
    <file name="C:/DataDirect/Connect-x.x/lib/sqlserver.jar"/>
</library>

MySQL の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/mySQL">
    <jdbcDriver libraryRef="MySQLLib"/>
    <properties databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="3306"/>
</dataSource>

<library id="MySQLLib">
    <file name="C:/mysql-connector-java-x.x.xx/mysql-connector-java-x.x.xx.jar"/>
</library>

PostgreSQL の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/postgres">
    <jdbcDriver libraryRef="PostgresLib"/>
    <properties.postgresql databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="5432"/>
</dataSource>

<library id="PostgresLib">
    <file name="C:/postgresql-x.x.xx/postgresql-x.x.xx.jar"/>
</library>

Oracle の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/oracle">
    <jdbcDriver libraryRef="OracleLib"/>
    <properties.oracle URL="jdbc:oracle:thin:@//localhost:1521/SAMPLEDB"/>
</dataSource>

<library id="OracleLib">
    <file name="C:/Oracle/lib/ojdbcx.jar"/>
</library>

Oracle Call Interface (OCI) の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/oracleOCI">
  <jdbcDriver libraryRef="OracleOciLib"/>
  <properties.oracle URL="jdbc:oracle:oci:@//localhost:1521/SAMPLEDB"/>                     
</dataSource>

<library id="OracleOciLib">
  <fileset dir="C:/Oracle/OCI/instantclient"/>
</library>

ご使用のオペレーティング・システムの path 環境変数で Liberty server.env ファイル内のライブラリーへのパスを設定することにより、OCI ネイティブ・クライアント・ライブラリーを認識するように Liberty 環境を構成します。

LIBPATH
SHLIBPATH
LD_LIBRARY_PATH
PATH

また、 Liberty jvm.options ファイルにライブラリー・パスを設定します。

-Djava.library.path=C:\\Oracle\\OCI\\instantclient

server.env および jvm.options 構成ファイルの使用について詳しくは、 Liberty 環境のカスタマイズを参照してください。

Oracle Universal Connection Pool (UCP) の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/oracleUCP">
    <jdbcDriver libraryRef="OracleUCPLib" />
    <properties.oracle.ucp URL="jdbc:oracle:thin:@//localhost:1521/SAMPLEDB"/>
</dataSource>

<library id="OracleUCPLib">
    <fileset dir="C:/Oracle/Drivers" includes="ojdbcx.jar ucp.jar"/>
</library>

Oracle UCP を使用している場合、データ・ソース・プロパティー statementCacheSize および validationTimeout は無視されます。接続マネージャー・プロパティー agedTimeout、 connectionTimeout, maxIdleTime、 maxPoolSize, minPoolSize、 purgePolicy、 reapTime、 maxConnectionsPerThread、および maxConnectionsPerThreadLocalも無視されます。同等の Oracle UCP 機能を使用してください。

Sybase の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/sybase">
    <jdbcDriver libraryRef="SybaseLib"/>
    <properties.sybase databaseName="SAMPLEDB" serverName="localhost" portNumber="5000"/>
</dataSource>

<library id="SybaseLib">
    <file name="C:/Drivers/sybase/jconnx.jar"/>
</library>

solidDB の場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/solidDB">
    <jdbcDriver libraryRef="solidLib"/>
    <properties databaseName="SAMPLEDB" URL="jdbc:solid://localhost:2315/"/>
</dataSource>

<library id="solidLib">
    <file name="C:/Drivers/solidDB/SolidDriverx.x.jar"/>
</library>

Liberty に認識されていない JDBC ドライバーの場合

<dataSource id="DefaultDataSource" jndiName="jdbc/sample" type="javax.sql.XADataSource">
    <jdbcDriver libraryRef="SampleJDBCLib" 
                javax.sql.XADataSource="com.ibm.sample.SampleXADataSource"/>
    <properties databaseName="SAMPLEDB" hostName="localhost" port="12345"/>
</dataSource>

<library id="SampleJDBCLib">
    <file name="C:/Drivers/SampleJDBC/sampleDriver.jar"/>
</library>

この例で、JDBC ドライバーは C:/Drivers/SampleJDBC/sampleDriver.jar にあり、com.ibm.sample.SampleXADataSource という名前の javax.sql.XADataSource の実装を提供しています。 JDBC ドライバーは、ベンダー固有のデータ・ソース・プロパティー (databaseName、hostName、port など) も提供しています。