物理ボリュームと論理ボリューム

CICS Toolkit Volume Service は、物理ボリュームと論理ボリュームの 2 つのタイプのボリュームを使用します。 物理ボリューム はすべてのサーバー・データを格納するためのディスク区画の集合です。物理ボリュームの最大サイズは 16 TB です。物理ボリュームには 1 つ以上のディスクの任意の部分を含むことができるので、作成時には物理ボリュームのいくつかの特性を指定する必要があります。ディスク・スペースは領域に分割され、領域はチャンクに分割され、チャンクはページに分割されます。測定の共通単位はページです。図 1 は、ディスク、領域、チャンク、ページを含むディスク分割の概念を示しています。

図 1. ディスクとその割り当て単位
ディスクとその割り当て単位
ディスク は、バイト・アドレス可能なランダム・アクセス 2 次ストレージとして定義されています。ディスクは、システム固有の印刷可能文字ストリングであるディスク名によって識別されます。オープン・システムのほとんどのバージョンでは、ディスクは実際にはディスク区画であり、この場合は /dev/rsd2c などのディスク区画名を指定します。Windows では、物理ディスク全体、論理ディスク・ドライブ (区画)、または完全割り当てオペレーティング・システム・ファイルをディスク名として指定できます。
注: 物理ディスクを使用しようとする場合、構成済みの区画を含んでいないことを確認する必要があります。CICS® は、既存の区画を含む物理ディスクにアクセスできません。

領域 は単一ディスク上の連続したアドレスを持つページの集合です。ディスク領域のサイズは、チャンク・サイズの倍数でなければなりません。チャンク・サイズの倍数でない領域サイズは最も近い倍数になるように切り捨てられ、この切り捨て処理によって無駄なストレージ・スペースが生成されます。例えば、チャンク・サイズが 32 ページの場合、72 ページに指定された領域サイズは 64 ページに切り捨てられます。領域はチャンク以上のサイズでなければなりません。

チャンク は、SFS サーバー・アプリケーションが使用するスペース割り当ての単位です。チャンク・サイズは、ディスク上の連続したページの数です (ディスクがその連続したページの数をサポートしている場合)。チャンク・サイズは、最大限の入出力パフォーマンスを実現するために、データを連続してディスクに書き込む必要があるアプリケーションにとって重要です。チャンク・サイズはディスク・スペースの使用効率およびスペースを割り当てるときのシステム・オーバーヘッドの量に影響を与えます。

チャンクはページより大きく、領域より小さくなります。チャンク・サイズはページ数で指定し、ページ数は 2 の累乗でなければなりません。推奨チャンク・サイズは 64 ページです。SFS アプリケーション・データを格納するための物理ボリュームを作成する場合、cicscp はチャンク・サイズ 64 を自動的に割り当てます。論理ボリュームをバッキングするすべての物理ボリュームは同じチャンク・サイズでなければなりません。ほとんどの場合にデフォルトのチャンク・サイズが最適です。

ページ は、Volume Service が管理するスペースの最小のアドレス可能単位です。ページ・サイズは、4096 バイトと定義された固定 CICS 構成パラメーターに従い、デバイス仕様には従いません。

物理ボリュームは論理ボリュームによって管理されます。論理ボリューム は連続したアドレス・スペースをユーザーに提供します。すなわち、論理ボリュームは異なるディスクの領域を使用して、1 つの大きな連続したストレージ・スペースをシミュレートします。1 つの論理ボリュームは、1 つの物理ボリュームとそのミラー (同じデータの同一コピー) を管理できます。論理ボリュームが物理ボリュームを管理する場合、すべての入出力を制御し、物理ボリュームの取り付けと取り外しを行います。論理ボリュームのサイズは、論理ボリュームをバッキングする物理ディスクの合計以下でなければなりません。図 2 は、ディスク領域の集合である 2 つの物理ボリュームで構成される論理ボリュームを示します。

図 2. 物理ボリュームと論理ボリューム
物理ボリュームと論理ボリューム