水冷システムの仕様と要件

設備水システム (FWS) の水またはテクノロジー冷却システム (TCS) の水を使用してデータ通信装置を直接冷却できる場合に必要な、特定の水の取り扱い手順と要件について説明します。

概説

データ通信装置冷却システム (DECS) は、冷却するコンポーネントと水との接点となる水ループです。DECS 水は、ラック内 CDU によって供給される場合もあり、複数のラックにサービスを提供する外部 CDU によって供給される場合もあります。データ・センター内で使用される可能性のある液体冷却システムおよび冷却ループとその用語について詳しくは、図 1を参照してください。

指定されている水質基準は、計算コンポーネントに接触する DECS 水ループのみに関するものです。現在使用されているモニター手順および保守手順についても説明します。

冷却ループ・ハードウェアは主として、銅合金やステンレス鋼などの耐食合金でできています。システムのすべてのホースの内部ライニングには EPDM ゴムが使用されていなければなりません。水に関連する 4 つの一般的な問題 (腐食、微生物の成長、スケール形成、および付着物) によってシステムの混乱やシャットダウンが発生するのを避けるために、冷却水の化学的性質を適正に維持する必要があります。

水の取り扱いの詳細は、何らかのクリーニング用化学物質を含む水を下水道に廃棄することを地方自治体が許可しているかどうかに応じて異なります。汚染水を下水道に廃棄することを地方自治体が許可していない場合は、脱イオン化バイパスを水冷ループに組み込むことによって、水を下水道に流す前に、抵抗性 > 0.1 MΩ.cm (伝導率 < 10 μS/cm) に対応する純度水準まで水を浄化することができます。水を廃棄する前に、お客様の責任で地方条例を確認してください。

図 1. データ・センター内の液体冷却システムおよびループの例
データ・センター内の液体冷却システムおよびループの例

水関連の問題

水に関連する一般的な問題 (腐食、微生物の成長、スケール形成、および付着物) を避けるために、適正な水処理が必要です。これらの問題はいずれも、冷却効率を大幅に減少させ、システムのダウン時間のリスクを増大させる可能性があります。

  • 腐食: 腐食の形態はさまざまです。冷却ループに関連する腐食の一般的な形態は以下のとおりです。
    • 均一腐食 (一般腐食ともいう) は、金属が表面から空間的に均一に除去される状態です。これは一般的に予想される腐食形態です。
    • 孔食は、金属表面への局所的な攻撃であり、銅管の場合は漏水につながる可能性があります。故障までの平均時間は通常は 2 年前後です。
    • 電解腐食は、電位列が大きく離れている 2 つの金属が同じ水質環境に浸され、電気接点となる場合に発生します。接点となった 2 つの金属間に生じる電位差により、貴金属度の高い方から低い方へと電子の流れが発生します。貴金属度の低い方の金属面に腐食が発生し、そこから放出された電子が貴金属度の高い方の金属の表面で消費されて各種の化学形態の還元反応が生じます。例として、金属イオンの減少、酸素と水の消費によるヒドロキシル・イオンの形成などが挙げられます。電気接点になっていない場合でも、アルミニュームは銅による電解攻撃を受ける可能性があります。これは、低濃度の溶解銅イオンがアルミニューム表面に沈着して電解腐食結合を形成するためです。
  • 微生物の成長: 水冷システム内での微生物の成長は、冷却ループ内の沈着、付着物、腐食につながる可能性があります。微生物の成長の防止策には、冷却ループ・ハードウェアを必ず生物有機体の影響を受けないコンポーネントで組み立てること、およびバクテリア集団を制御するための殺生物剤を使用した処理などが含まれます。生体成長を避けるには、水冷ループを乾燥した状態で出荷し、保管する必要があります。 出荷と保管の前に、水をブローアウトして水冷ループをできる限り乾燥させるように、あらゆる努力をする必要があります。
  • スケール形成: スケーリングは、高密度の粘着性物質が冷却ループ表面に沈着することです。高濃度または温度上昇のために水中の塩分の溶解度が過度に高くなると、スケーリングが発生します。
  • 付着物: 冷却ループの付着物は、腐食生成物や有機物など、非スケール形成物質が沈着したものです。フザリウム sp などの菌類は、成長し、付着し、フィルターや細かいフィン付きのヒート・シンクに詰まることが知られています。このような菌類は、一般に、冷却塔の貯水槽の送水管で成長します。

水に関連する問題の回避

以下のベスト・プラクティスは、水に関連する問題を回避するために使用できます。
  • クリーン設計: 水に濡れる金属部分を銅合金およびステンレス鋼に限定してください。水冷ループに錆や汚れを生じる可能性のある普通炭素鋼ハードウェアの使用は避けてください。
  • クリーン・ビルド: 冷却ループ・コンポーネントが清潔でバクテリアや菌類とは無縁なことを確認してください。冷却ループ・アセンブリーには、はんだ付け用フラックスも、ろう付け用フラックスも使用されていないことが必要です。アセンブリーの操作には、きれいな水を使用する必要があります。残留水はブローアウトしてアセンブリーからすべて除去する必要があります。完成したアセンブリーは清潔で乾燥している必要があります。
  • クリーン出荷: 腐食および微生物の成長を避けるために、出荷前に、組み立て操作またはテスト操作 (あるいはその両方) からの残留水を冷却ループからブローアウトしてすべて除去する必要があります。 最終ステップとして、窒素ガスを使用してシステムを乾燥させてください。終端にプラグをはめ、冷却ループに窒素ガス圧をかけた状態でシステムを出荷します。
  • クリーン取り付け: 取り付けステップの実行中は、冷却ループを清潔に保つ必要があります。はんだ付けよりは、ろう付けの方が推奨されます。はんだ付けの問題点は、結合部に小穴が多くなり、フラックス残渣が絶えず侵出することです。フラックス残渣はすべてきれいに除去する必要があります。システムにきれいな水を満たし、可能な場合には 2 次ステップを組み込んで、殺生物剤および腐食防止剤を追加する前に冷却ループ内の水のイオンを除去してください。
  • クリーン維持: pH、水の伝導率、バクテリア数、および腐食防止剤の濃度をモニターし、正常値を維持してください。

水質要件

以下の要件を使用して、システムの水質に関する計画を立ててください。
  • システム側冷却ループに初期充てんするために必要な水は、適度にきれいでバクテリアを含まない (100 CFU/ml 以下の) 水 (脱塩水、逆浸透水、純水、蒸留水など) でなければなりません。

  • 水は、50 μm のインライン・フィルターで濾過する必要があります。

  • 適度にきれいな水を使用できない場合は、以下のガイドラインに従うようお勧めします。これは、大規模な冷却ループの場合には特に有用です。ラックを水ループに接続する前に、この方法で水のイオンを除去することができます。
    • システムの水に化学物質を追加する前に、その水がクリーンなことを確認することが重要です。 そのためには、冷却ループに取り付けられている脱イオン化カートリッジを使用して、水のイオンを除去します。システムに充てんする際に純水を使用した場合でも、以下の 2 つの理由で脱イオン化ステップを行う方が賢明です。1 番目は、開始時の水が確実に脱イオン化されたものになるようにするため、2 番目は冷却ループの壁から侵出する可能性のあるイオンを除去するためです。

    • 水の脱イオン化が必要な場合、バルブの V2 および V3 を開き、バルブ V1 を一部閉じて、水の一部を脱イオン化キャニスター経由でバイパスするようにします。

    • この脱イオン化ステップ中、冷却ループとコンピューターは通常の動作を続けることができます。

    • 脱イオン化が完了したら、バルブの V2 および V3 を閉め、バルブ V1 を完全に開く必要があります。

    • 脱イオン化ステップにより、1 MΩ.cm より大きい水の抵抗が発生します。

    • 通常動作のもとでは、バルブの V2 および V3 が閉じ、バルブ V1 は完全に開いています。

図 2. 冷却ループに取り付けられた脱イオン化カートリッジを使用した水の脱イオン化
冷却ループに取り付けられた脱イオン化カートリッジを使用した水の脱イオン化

水質の化学的要件

水ループに化学物質を追加する前に、以下の計測を行う必要があります。 これは、きれいな水の基本を定義する開始点です。
  • 金属全体が 0.10 ppm 以下

  • カルシウムが 1.0 ppm 以下

  • マグネシウムが 1.0 ppm 以下

  • マンガンが 0.10 ppm 以下

  • リンが 0.50 ppm 以下

  • シリカが 1.0 ppm 以下

  • ナトリウムが 0.10 ppm 以下

  • 臭化物が 0.10 ppm 以下

  • 亜硝酸塩が 0.50 ppm 以下

  • 塩化物が 0.50 ppm 以下

  • 硝酸塩が 0.50 ppm 以下

  • 硫酸塩が 0.50 ppm 以下

  • 伝導率が 10.0 μS/cm 以下。伝導率は、20°C から 25°C (68°F から 77°F) で測定する必要があります。伝導率は、温度が摂氏 1 度上がるごとに約 5% 増加します。

  • pH 6.5 – 8.0

  • 濁度 (NTU) が 1 以下

配管素材要件

スケーリングを防止し、システム内部で水の化学的性質の適正な反応ができるようにするために、配管はすべて指定の素材で構成する必要があります。ねじ継手のシールにポリテトラフルオロエチレン・テープを使用しないでください。テープの粒子が水流に混入して詰まりを起こす可能性があるからです。代わりに、ねじ継手のシールにはスレッド・シーラントを使用する必要があります。配管は、業界のベスト・プラクティスで指定されているように、十分なサイズのものにして、水の速度や圧力低下が過度にならないようにする必要があります。

素材の選択および取り付けは、建築基準法およびその他の地方要件による規制の対象となる複雑な問題です。冷却配布システムの計画および取り付けを行う前に、管轄権限のある関係当局 (建築物検査官、消防署、保険会社、法令遵守指導官など) に相談することをお勧めします。以下の情報は、化学的な互換性を確保するために提供されています。

配管システムに以下の合金を使用しないでください。
  • アルミニュームおよびアルミニューム合金。

  • 真ちゅう (含有する亜鉛が 15% より多い)。

  • 快削真ちゅう (特に、鉛を含む真ちゅう)。この種の真ちゅうの一例として、快削黄銅と呼ばれる銅合金 C36000 が挙げられます。

  • 高鉛真ちゅうは、伸張性の高いストレス下に置かれると応力腐食割れを起こす危険があるため、特に注意してください。

  • ステンレス鋼以外の鋼鉄。

  • 適切な溶液で処理されていないステンレス鋼。

以下の素材をお勧めします。
  • 銅合金:
    • 亜鉛 15% 以下の鉛フリー銅合金。

  • ステンレス鋼:
    • 低炭素ステンレス鋼を推奨。

    • 溶液処理されている必要があります。溶液処理されたステンレス鋼は、特殊な熱処理を経て、腐食に対する抵抗が向上します。

    • 割れ目に酸が入り込む可能性が少しでもある限り、表面安定化処理を行うことをお勧めします。

    • 溶接時に鋭敏化が生じないようにしてください。

    • ろう付けは避けてください。溶接が推奨されます。

  • ポリ塩化ビニール (PVC) (燃えやすい心配があるため、IBM® 製品内部では許可されていませんが、設備レベルでは使用できます。管轄権限のある関係当局に相談する必要があります。)

  • EPDM ゴムはホースの推奨素材です。
    • 燃焼定格は CSA または UL の VW-1 以上である必要があります。

    • 過酸化物硬化ホースを推奨 (トリアゾールを吸収しないため)。

金属の結合操作:
  • 水と接触するはんだ継手は避ける必要があります。はんだ継手は小穴が多くなり、冷却ループにフラックス残渣が侵出する原因になります。はんだ継手は、製造時の検査や圧力試験に合格している場合がありますが、それでも信頼性に欠ける可能性があります。

  • 銅配管の各部を結合するには、ろう付け継手をお勧めします。

  • ステンレス鋼の結合には、ろう付け継手を使用しないでください。ステンレス鋼の結合には、タングステン不活性ガス (TIG) 溶接およびメタル不活性ガス (MIG) 溶接が推奨されます。鋭敏化を避ける必要があります。溶接後のアセンブリーをクリーニングし、割れ目に酸が入り込む可能性が少しでもある場合は、可能であれば表面安定化処理をしてください。

脱イオン化装置

脱イオン化装置はオプションです。大規模な冷却ループの場合は使用することをお勧めします。水の脱イオン化が必要な場合、水の一部をバイパスして脱イオン化カートリッジ経由で流すことができます。

薬品注入装置

以下の装置は、冷却ループに薬品を注入するために使用します。
  • ステンレス鋼またはファイバーグラスの化学薬品ショット・フィーダーの使用をお勧めします。

  • システム・ボリュームが 378.5 リットル (100 ガロン) 以下の場合は、0.38 リットル (0.1 ガロン) のサイズのフィーダーを使用してください。

  • システム・ボリュームが 3875 リットル (1000 ガロン) 以下の場合は、3.8 リットル (1 ガロン) のサイズのフィーダーを使用してください。

  • システム・ボリュームが 3875 リットル (1000 ガロン) を超える場合は、9.5 リットル (2.5 ガロン) のサイズのフィーダーを使用してください。

  • Nalco または他の水処理請負業者の仕様に従った化学ポンプ。

モニター装置

以下の装置は、冷却ループのモニターに使用します。
  • 3D TRASAR® コントローラー (#060-TR5500.88)。250 ガロンを超えるシステムの場合、システム内の水の化学的性質 (伝導率、pH、腐食速度、および濁度) を正確かつ継続的にモニターすることができます。
  • アゾール・テスト・キット
    • Nalco P/N 460-P3119.88: トリアゾール試薬セット、25 mL

    • Nalco P/N 500-P2553.88: UV ランプ (115 VAC 電源装置付き)

    • Nalco P/N 400-P0890.88: Nalco DR/890 比色計

    • Nalco P/N 500-P1204.88: 25 mL メスシリンダー

  • Nalco バクテリア・テスト・キット
    • Nalco P/N 500-P3054.88: – バクテリア・ディップ・スライド
  • 水抵抗率モニター (0 から 10 MΩ.cm の範囲のもの)
    • Nalco P/N 400-C006P.88

必要な資材と装置

初期のシステム開始を適切で安全に完了するには、以下の品目が使用可能になっている必要があります。
  • 適切な容量の脱イオン化カートリッジ (オプション)。

  • 適切な数量の Nalco 処理用化学薬品。
    • 75.7 リットル (20 ガロン) 以下の冷却液を使用するシステムの場合。推奨されているプリパッケージのクリーナーと抑制剤の溶液 (Nalco 460-CCL2567 または Nalco CCL2567 と、Nalco 460-CCL100 または Nalco CCL100) を使用してください。バクテリアへの暴露の疑いがあるかまたはそれが関心事である場合は、Nalco H-550または Nalco 73500 などの殺生物剤を使用できます。菌類の疑いがあるかまたはそれが関心事である場合は、Nalco 77352 を使用できます。

    • 75.7 リットル (20 ガロン) を超える冷却液を使用するシステムの場合: 推奨に従って濃縮化学薬品を使用してください。濃縮形態のクリーナーは Nalco 2567 です。濃縮形態の抑制剤は Nalco 3DT-199 です。バクテリアへの暴露の疑いがあるかまたはそれが関心事である場合は、Nalco H-550または Nalco 73500 などの殺生物剤を使用できます。菌類の疑いがあるかまたはそれが関心事である場合は、Nalco 77352 を使用できます。

  • 化学薬品の追加方法: 取り付け済みのシステムの化学薬品ショット・フィーダー、適切なサイズの化学フィード・ポンプ、またはこの両方を使用してください。
  • 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水のソース。
  • 適切な個人用保護具。
  • 事前クリーニング水を排出するための承認された排水路 (例えば、汚水渠)。排水処理は、地域の規定に従ってお客様の責任で行ってください。
  • Nalco H-550、Nalco 73500、または Nalco 77352 の追加後に Nalco 3DT-199 の残留とバクテリア数をモニターするための適切なテスト・キット。
  • 水抵抗率モニター (0 から 10 MΩ.cm の範囲のもの)。

75.7 リットル (20 ガロン) より小さいシステムの初期処理

以下の手順を使用して、システムをクリーニングしてください。
注: コンピューター・ラックをシステムに接続する前に、冷却ループでこの手順を実行する必要があります。
  1. システムは空でなければなりません。空でない場合は、システムからの排出を完全に行ってください。

  2. フィルター・ハウジングからすべてのフィルターを取り外します。

  3. システムのすべてのセクションを確実にクリーニングできるように、冷却ループの供給側と戻り側の部分の間にバイパス用ホースが接続されていることを確認してください。

  4. 以下の 2 とおりのクレンジング手順のいずれかを使用できます。

    1. 化学的クリーニング: 配管ループのクリーニングには、この方法が最も効果的です。
      1. システムにクリーニング溶液を充てんします。推奨するクリーニング溶液は Nalco 460-CCL2567 または Nalco CCL2567 です。

      2. クリーニング溶液を最小でも 30 分 (時間が許せばもっと長く) 循環させて、システムのすべてのセクションにクリーニング溶液が行き渡るようにします。

      3. システムから溶液を完全に排出し、地方条例に従ってクリーニング溶液を廃棄します。

      4. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水を再び充てんします。

      5. 水を 15 分間循環させます。

      6. システムから水を完全に排出し、地方条例に従ってクリーナー用の水を廃棄します。

      7. 直ちに次の手順に進み、事前混合した抑制剤と防腐剤が含まれている水をシステムに充てんします。

    2. 純水を使用したクリーニング。クリーニング用の化学薬品を入手できない場合、または現地法によって化学薬品の廃棄が禁止されている場合には、この手順を使用できます。
      1. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水をシステムに完全に充てんします。

      2. 水流の一部を脱イオン化カートリッジ (複数の場合もある) 経由でバイパスして水のイオンを除去し、水の抵抗率が 1 MΩ cm より上に増加するまで、通常の方法でシステム全体に水を循環させます。

      3. 抑制剤注入手順に進みます。

以下の化学薬品注入手順を使用してください。
  1. 新規またはクリーニング済みの 50 μm フィルターをフィルター・ハウジングに取り付けます。
  2. 以下のいずれかの注入手順を使用できます。
    1. クリーニング溶液 Nalco 460-CCL2567 または Nalco CCL2567 を使用してシステムをクリーニングし、クリーニング・ステップの終了時点で、システムが空で内部に水が含まれていない状態になったら、以下のステップを実施してください。
      1. 冷却液容器に Nalco 460PCCL100 / Nalco CCL100 を充てんします。120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm に上げます。

      2. バクテリアまたは菌類の存在が疑わしいかまたは重要な関心事の場合は、以下のいずれかの殺生物剤を追加してください。
        • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

        • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

        • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

        選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
      3. Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。
      純水のみを使用してシステムをクリーニングし、システムが純水でいっぱいになっている場合は、以下のステップを実施してください。
      1. 以下のいずれかの殺生物剤を追加します。
        • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

        • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

        • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

        選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
      2. 120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm にします。
      3. Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。

75.7 リットル (20 ガロン) より大きいシステムの初期処理

以下の手順を使用して、システムをクリーニングしてください。
注: コンピューター・ラックをシステムに接続する前に、冷却ループでこの手順を実行する必要があります。
  1. システムは空でなければなりません。空でない場合は、システムからの排出を完全に行ってください。

  2. フィルター・ハウジングからすべてのフィルターを取り外します。

  3. 冷却ループの全表面を確実にクリーニングできるように、冷却ループの供給側と戻り側の連結管の間にバイパス用ホースが接続されていることを確認してください。

  4. 以下の 2 とおりのクレンジング手順のいずれかを使用できます。

    1. 化学的クリーニング: 配管ループのクリーニングには、この方法が最も効果的です。
      1. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水をシステムに充てんします。

      2. メーカーの推奨事項に従って、必要な量のクリーニング溶液 Nalco 2567 を追加します。

      3. 最小 4 時間、クリーニング溶液を循環させます。

      4. 使用可能な排出ポートをすべて使ってシステムから溶液を完全に排出し、地方条例に従ってクリーニング溶液を廃棄します。

      5. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水を再び充てんします。

      6. 水を 1 時間循環させます。

      7. 使用可能な排出ポートをすべて使ってシステムから溶液を完全に排出し、地方条例に従ってクリーニング溶液を廃棄します。

      8. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水を再び充てんします。

      9. 15 分間循環させます。

      10. 直ちに抑制剤注入手順に進みます。

    2. 純水を使用したクリーニング。クリーニング用の化学薬品を入手できない場合、または現地法によって化学薬品の廃棄が禁止されている場合には、この手順を使用できます。
      1. 脱塩水、逆浸透水、純水、または蒸留水をシステムに完全に充てんします。

      2. 水流の一部を脱イオン化カートリッジ (複数の場合もある) 経由でバイパスして水のイオンを除去し、水の抵抗率が 1MΩ cm を超えるまで、通常の方法でシステム全体に水を循環させます。

      3. 抑制剤注入手順に進みます。

以下の化学薬品注入手順を使用してください。
注: クリーニング手法にかかわらず、75.7 リットル (20 ガロン) より大きいシステムの注入処理は同じです。
  1. 新規またはクリーニング済みの 50 μm フィルターをフィルター・ハウジングに取り付けます。
  2. 以下のいずれかの注入手順を使用できます。
    1. クリーニング溶液 Nalco 460-CCL2567 または Nalco CCL2567 を使用してシステムをクリーニングし、クリーニング・ステップの終了時点で、システムが空で内部に水が含まれていない状態になったら、以下のステップを実施してください。
      1. 冷却液容器に Nalco 460PCCL100 / Nalco CCL100 を充てんします。120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm に上げます。

      2. バクテリアまたは菌類の存在が疑わしいかまたは重要な関心事の場合は、以下のいずれかの殺生物剤を追加してください。
        • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

        • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

        • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

        選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
      3. Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。
      純水のみを使用してシステムをクリーニングし、システムが純水でいっぱいになっている場合は、以下のステップを実施してください。
      1. 以下のいずれかの殺生物剤を追加します。
        • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

        • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

        • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

        選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
      2. 120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm にします。
      3. Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。

システムのモニターおよび保守

システムのモニターおよび保守については、以下のガイドラインを使用してください。
  • 四半期に一度のベースでバクテリア・テストを行い、バクテリア数が 1000 CFU/ml を超えた場合には、100 ppm の Nalco H-550 または 200 ppm の Nalco 73500 のいずれかの殺生物剤を追加することが重要です。 菌類が過去の関心事であった場合は、Nalco 77352 殺菌剤を追加することができます。
    • 菌類は、成長してコンピューター・プロセッサーの冷却に使用される冷却プレート内で冷却チャネルの詰まりを起こす可能性がある場合でも、水中で検出されない場合があります。冷却プレートを経由する冷却液の流れが落ちた場合は、菌類の成長によってチャネルがブロックされている可能性があります。

  • 水量が 250 ガロンを超える大規模なシステムの場合、システムの冷却ループに Nalco 3D TRASAR®コントローラーを取り付けて、システム内の水の化学的性質、伝導率、pH、腐食速度、および濁度を正確かつ継続的にモニターできるようにする必要があります。

  • 年に一度のベースでアゾール・テストを実施し、Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を必要な 40 ppm レベルまたはその他の望ましい ppm レベルにすることが重要です。

複数のラック

ラックを追加する場合は、以下のガイドラインに従ってください。
  • ラックは、すぐに取り付け可能な状態で IBM からお届けします。

  • ラック (複数の場合もある) を取り付けて、既存のシステムからの流れを開きます。

  • チラーの冷却液容器の水の自動メークアップが活動状態になっていることを確認してください。 水の自動メークアップ機能がない場合は、システム側の容器は完成です。

  • 新しいラックを取り付けてから 2 時間以内に、以下のいずれかの殺生物剤を追加してください。
    • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

    • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

    • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

    選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
  • 120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm にします。抑制剤の注入量は、メークアップ水の体積に基づいて計算します。

  • Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。

水のリフレッシュ

水のリフレッシュが必要な状況が発生する場合があります (例えば、システムのクリーニングが必要になり、殺生物剤と腐食防止剤を再度追加する場合などです)。水をリフレッシュするには、以下の 2 つの手順のどちらかを使用します。

水を汚水渠に流したくない場合は、以下の手順を使用してください。
  1. フィルター・ハウジングからインライン 50 μm フィルターを取り外します。
  2. 新しい脱イオン化カートリッジをキャニスターに挿入し、水流の一部を脱イオン化カートリッジ経由でバイパスして、水の抵抗率が 1 MΩ.cm を超えるまで流します。この期間、システムおよび冷却システムはそのまま放置でき、完全に作動可能です。
  3. 脱イオン化フィルター経由の水流のバイパスを停止し、新規またはクリーニング済みの 50 μm フィルターをインライン・フィルター・ハウジングに追加します。
  4. 以下のいずれかの殺生物剤を追加します。
    • 100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の Nalco H-550 (グルタルアルデヒド)

    • 200 ppm の Nalco 73500 (グルタルアルデヒド)

    • 100 ppm の Nalco 77352 (イソチオクロメン)

    選択する殺生物剤は、冷却ループ内にあると予想される微生物学的な物質に応じて異なります。グルタルアルデヒド殺生物剤は、嫌気性バクテリアに対して、より効果的です。イソチオクロメンは、好気性バクテリア、菌類、および藻類に対して、より効果的です。確信がない場合は、イソチオクロメン殺生物剤を使用してください。
  5. 30 分間循環させます。
  6. 120 ppm の Nalco 3DT-199 を追加して、アゾール濃度を 40 ppm にします。
  7. 30 分間循環させます。
  8. Nalco アゾール・テスト・キットを使用して、アゾールの残留を確認してください。
水を汚水渠に流すことができる場合は、以下の手順を使用してください。
  1. 地方自治体の許可を得て、水を下水道に流します。

  2. 以下のいずれかの手順を使用して、システムに水を充てんします。

システムの移動または保管

システムの移動が必要な場合、またはシステムを保管庫に入れる必要がある場合は、システム内部の水を排出する必要があります。以下の 2 つの方法のいずれかで、水を排出できます。
  • 水は、0.1 MΩ.cm を超える抵抗に相当する純度までイオンを除去した後で、地方自治体の下水に排出することができます。

  • 地方自治体の許可を得れば、水を下水道にすことができます。

水およびカートリッジの廃棄

脱イオン化カートリッジは、地方自治体の条例に従って廃棄する必要があります。

IBM は、水の廃棄に関する責任を負いません。お客様の責任で、水の廃棄を管理する地方条例を判別してください。

トラブルシューティング

水冷システムに何らかの問題が生じた場合は、以下の表を使用して、問題のトラブルシューティングを行ってください。

表 1. トラブルシューティング
問題 ソリューション
冷却効率が悪い IBM サービスにお問い合わせください。
水流が減少した IBM サービスにお問い合わせください。
化学ポンプの問題 (取り付け済みで使用している場合) インストーラーに示された手順に従い、サイトの水処理請負業者または地域の Nalco オフィス (あるいはその両方) にお問い合わせください。
3D TRASAR® のアラーム、または動作上の問題 地域の Nalco オフィスにお問い合わせください。
水の変色 腐食または微生物学的な問題を示している可能性があります。補給水をリフレッシュしてください。
流量計エリアのスライム 腐食または微生物学的な問題を示している可能性があります。補給水をリフレッシュしてください。
微生物数の上昇
  • 75.7 リットル (20 ガロン) より小さいシステムの場合は、補給水をリフレッシュしてください。
  • 75.7 リットル (20 ガロン) より大きいシステムの場合は、100 ppm (ppm = 100 万分の 1) の 殺生物剤 (Nalco H-550 または Nalco 73500) を追加してください。殺生物剤の注入後 24 時間から 48 時間の間に、バクテリア数を再テストしてください。バクテリア・レベルが 100 CFU/ml 未満ではない場合は、Nalco または担当の水処理会社にお問い合わせください。
菌類 Nalco または担当の水処理会社にお問い合わせください。
その他の問題 IBM サービスにお問い合わせください。



最終更新: 2017 年 7 月