要件管理とは

ソフトウェアや製品の開発にとって、優れた要件設計がなぜ重要なのでしょうか。 明確かつ簡潔で、エラー・フリーの要件は、エンジニアリング・チームがエラーを早期に検知して、プロジェクトのコストとリスクを削減するのに役立ちます。

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要件管理の仕組み

要件管理の目的は、製品開発の目標を確実に達成することです。 要件管理とは、エンジニアリング・チームが常に最新の承認済み要件を把握できるように、要件の文書化、分析、優先順位付け、合意を行うための一連の手法です。 要件管理では、プロジェクトの開始からエンジニアリングのライフサイクルを通して、要件の変更を追跡し、利害関係者とのコミュニケーションを促進することで、エラーを回避することができます。


要件管理の重要性

モノのインターネット(IoT)は、製品の動作方法だけでなく、その設計や開発にも変化をもたらしています。 製品は、コードの行数増加やソフトウェア追加により複雑性を増してきていますが、中には接続性を今まで以上に向上できるものもあります。 要件管理を使用することで、現代のエンジニアリング・ライフサイクルにある複雑さと相互依存性を克服し、製品開発を簡素化してデプロイメントを加速できます。

要件管理の問題は、プロジェクト失敗の主な原因としてよく挙げられます。 
要件の定義が不十分だと、要件の変更、プロジェクトの遅延、コスト超過、お客様のニーズおよび安全性を満たさない低品質の製品などにつながる恐れがあります。 

要件管理の計画はプロジェクトの成功に不可欠です。これにより、エンジニアリング・チームがその範囲を制御し、製品開発ライフサイクルを方向付けることができるためです。 要件管理ソフトウェアは、計画を実行するためのツールを提供し、コスト削減、市場投入までの時間短縮、品質管理の向上に役立ちます。


要件管理の計画とプロセス

要件管理計画(RMP)
要件管理計画(RMP)は、プロジェクト内のすべての要件をどのように受け取り、分析、文書化、管理を行うかを説明するものです。 この計画は通常、初期の大まかなプロジェクト段階の情報収集から、プロジェクトのライフサイクルを通じて収集可能な、詳細な製品要件に至るまでのすべてを対象としています。 要件管理計画で定義すべき主な項目は、プロジェクトの概要、要件収集プロセス、役割と責任、ツール、追跡可能性です。

要件管理プロセス
要件管理ツールを検索する場合には、必要な主要機能がいくつかあります。

一般的な要件管理プロセスは、以下のステップを実行して、システム・エンジニアリングのVモデルを補完します。

  • 利害関係者からの初期要件の収集
  • 要件の分析
  • 要件の定義と記録
  • 要件の優先順位付け
  • 要件への同意と承認
  • 作業項目に対する要件のトレース
  • 実装後に要件で必要な変更についての、利害関係者への問い合わせ
  • テスト管理を使用した、システム要件の確認と検証
  • 変更の影響の評価
  • 要件の改訂
  • ドキュメントの変更

これらのステップに従うことで、エンジニアリング・チームは、スマートなつながる製品の開発に固有の複雑さを利用することができます。 要件管理ソリューションを使用することで、プロセスを簡素化し、品質を向上させながら市場投入までの時間を最適化し、機会を拡大することができます。

デジタル要件管理
デジタル要件管理は、要件の変更を捕捉、追跡、分析、管理する際に便利な方法です。 デジタル管理では、変更内容が安全な1カ所で追跡され、チーム・メンバー間のコラボレーションを強化できます。 透明性を高めることで、重複作業を最低限に抑え、俊敏性を向上させながら、要件を標準やコンプライアンスに確実に準拠させます。

要件の属性
「優れた」要件と見なされるためには、要件に以下のような特定の特性が必要です。

  • 固有
  • テスト可能 
  • 明快かつ簡潔
  • 正確
  • 理解可能
  • 実現可能で現実的
  • 必須

要件セットには評価も行なうこと、要件セットは一貫性があり、冗長性がないものであることが必要です。


要件管理のメリット

要件管理のメリットの一部を以下に示します。

  • ライフサイクル全体での開発コストの低減
  • 欠陥の少なさ 
  • 安全性が重要な製品のリスクの最小化
  • 迅速な提供
  • 再利用性 
  • 追跡可能性 
  • テスト・ケースへの関連付けが可能
  • グローバルな構成管理

要件管理の責任者は?

一般的にはプロダクト・マネージャーが要件の収集と定義を担当します。 ただし、お客様、パートナー、販売、サポート、管理、エンジニアリング、運用、製品の各チームのメンバーなど、あらゆる利害関係者が要件を生成する可能性があります。 エンジニアリング・チームが変化する優先順位を把握するためには、常にコミュニケーションを取ることが必要です。


デジタル要件管理のメリット

エンジニアリング要件管理ソフトウェアを使用すると、要件の変更の捕捉、追跡、分析を、安全にアクセスできるロケーションで一元的に行うことができます。 そのため、コラボレーションが強化され、透明性と追跡可能性が向上し、やり直しが最低限に抑えられ、使いやすさが増します。 また、デジタル・ソリューションでは、プロジェクトの俊敏性を向上させながら、標準への準拠や規制遵守の維持を容易に実現できます。

デジタル要件管理の利用には、いくつかのメリットがあります。

  • ライブ・コラボレーション:どこでも、リアルタイム作業できます。 チーム・メンバーは場所を問わず、ドキュメント内やドキュメント間で情報を共有できます。
  • 再利用:同じ要件は、再定義しなくても複数の場所で使用できます。 ベースラインを作成して要件の状態をリアルタイムで把握し、ユーザー・エラーの発生を抑えることができます。
  • 追跡可能性:要件の変更履歴をすべて管理することで、監査に迅速に対応できます。 チームでは、何が変更されたか、誰が変更したか、いつ変更されたのかを確認できます。
  • 整合性:チームや利害関係者が理解できる方法で、関連情報を論理的かつ容易に編成できます。 優先度、リスク、状況、カテゴリーなどで要件を分類できます。

要件管理のベスト・プラクティス

製品の品質は、その製品の要件内容で決まります。 システム・エンジニアが今後ますます複雑さを増すつながる製品を管理するには、新機能や変更内容に対するより優れた可視性、データに対するより深い洞察、グローバルなコラボレーションのための共有ツールが必要です。

要件の追跡可能性

成果物を個別にテスト・ケースに関連付け、エンジニアリング要件の変更が行われた場合に、変更内容を完全に可視化します。 すべてのコメントを収集して保持し、簡単にアクセスできるように管理します。

バリアント管理

システムの進行状況を共有ダッシュボードでモニターしながら、バージョンとバリアントのプロセス全体をデジタルに管理します。 データを一元化されたロケーションに保管し、文書フォーマットで提示します。

エンジニアリング・コンプライアンス

業界標準や規制を要件に組み込むことで、早期にコンプライアンスを達成できます。 コンプライアンスをエンドツーエンドのエンジニアリング・ライフサイクル内に組み込むと、コンプライアンスの達成が容易になります。

アジャイル管理

エンジニアリング・プロセスを簡素化することで、グローバルなコラボレーションが確立され、実際の信頼できる唯一の情報源が確保されます。 チームの取り組みの価値をリアルタイムで示すことで、作業を行っているチームに対する信頼を育みます。


要件管理におけるAIの支援

AIを活用することで、エンジニアリング・チームは、不十分、不完全で曖昧な要件に容易にフラグを立て、要件を改善する方法についてのコーチングをリアルタイムで受けることができます。 Watson AIは、品質指標に基づいて要件を採点し、要件を、より明確で整合性があり完全なものにするための提案を示します。 要件管理戦略にAIを加えることで、エラーとコストを削減しながら要件の品質を向上させることができます。


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Watson AIの能力を活用して、プロジェクト要件を記述するときの品質を高めます。 現在は、DOORS® Next SaaSバージョンにバンドルされています。



要件管理の参考情報