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根本原因分析

根本原因分析とは
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根本原因分析とは

根本原因分析 (RCA) とは、組織が問題、課題、インシデント発生後にその根本原因を探索する品質管理プロセスのことです。

どんな組織も、例え最良の状況にあったとしても、問題や事故は避けられません。問題が顕在化したとき、単純にその症状を対処したいと思うかもしれませんが、原因を特定しない限り、一連の問題が再発し、場合によっては悪化することはほぼ確実です。

倫理的で先を見越した、経営の行き届いた企業や組織は、どちらも問題に直面しますが、根本原因分析を優先するなら、問題の発生が少なく、回復も早くなります。

根本原因分析を実施することで、組織が問題の根本原因を解読し、適切な是正措置を特定し、将来同じ問題の発生を防ぐ計画を策定するのに役立ちます。これは、根本的な問題に対する解決策を実施することにより、より効率的なオペレーションを実現することを目的としています。

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いつ根本原因分析を実行するか

組織が根本原因分析を必要とする問題はいくつもあります。その中でも、根本原因分析のトリガーとなるものは、大きく3つのカテゴリーに分類されます。

物理的原因

資材や設備に何らかの不具合が生じた場合(例えば、コンピューターが作動しなかったり、サードパーティーベンダーの部品の性能が標準以下の場合)。

人為的原因

従業員のミス、必要なタスクが未完了な場合(例えば、機器の定期的なメンテナンスを怠ったために故障が生じた場合)。

組織的原因

意思決定に使用するシステム、プロセス、またはポリシーに不具合が生じた場合(例えば、企業がサイバーセキュリティー・プロトコルに関するチームメンバーの訓練を怠り、サイバー攻撃に対して組織が脆弱な状態に陥った場合)。

根本原因分析の実施方法

組織は、日常的に起こるEメールの問題から致命的な機器の故障に至るまで、さまざまな理由に対して根本原因分析を実施できます。問題の性質や範囲に関係なく、根本原因分析の実行には同じ基本的な手順が含まれている必要があります。

問題を特定する

この時点で組織は、何らかの深刻な問題に直面しているか、少なくとも特定の過程に大幅な改善を加えようとしていると考えられます。根本原因分析プロセスの最初のステップは、対処したい問題を具体的に特定して定義することです。明確に定義された問題がなければ、根本原因を正しく特定することは不可能です。

問題が明確に定義されたら、根本原因分析をサポートするすべての人に向けて問題を詳しく説明する問題報告書の草案を作成します。

根本原因分析チームを結成する

問題が特定され、関係者全員に明確に周知されたら、リーダーはプロジェクトを立ち上げ、分析を完了するためのチームを編成する必要があります。チームには、リードするファシリテーターと、調査対象のシステム、プロセス、インシデントについて個人的または専門的な知識を持つチームメンバーが含まれます。

関連データを収集する

データ収集は、問題解決プロセスの基盤です。この段階では、要因を特定し、最終的に問題の根本原因を特定するのに役立つあらゆる情報を探し出すことが重要です。これには、写真やインシデント報告書の収集、影響を受けた当事者へのインタビューの実施、既存のポリシーや手順のレビューなどが含まれます。データ収集中に尋ねる質問:

  • 問題はいつ始まり、どのくらい続いているか
  • 観察される症状
  • 問題の存在を証明するためにどのような文書を作成する必要があるか
  • 従業員やその他利害関係者にどのような影響を及ぼすか
  • 誰が被害また影響を被るか
根本原因の可能性を特定する

これは根本原因分析プロセスの中で最も重要なステップです。この時点で、チームは必要な情報をすべて収集し、要因のブレインストーミングを開始します。効果的な根本原因分析には、問題の潜在的な根本原因をすべて受け入れる必要があるため、根本原因分析チームの全員がオープンマインドな姿勢でブレインストーミングの段階に入る必要があります。あらゆる可能性が特定され、精査されるまで、根本原因を特定することは避けます。先入観を持ってインシデント調査プロセスを開始すると、結果に偏りが生じ、本当の根本原因を特定することがより困難になる可能性があるからです。

根本原因を特定する

根本原因分析チームが原因と要因を網羅した可能性のリストを作成したら、問題の根本原因の特定段階に入ります。考えられるすべての原因を分析し、それぞれが及ぼす実際の影響を検証し、どの可能性が最も問題か、どの可能性に共通点があるか、どの可能性を完全に排除できるかを判断します。問題の根本原因が複数ある可能性にも備えてください。

チームが可能性のリストを絞り込んだ後、残った潜在的な根本原因は、その影響と問題の根本原因である可能性によってランク付けします。リーダーは、それぞれの可能性を調査および分析し、根本原因分析チームと協力して実際の根本原因を特定します。

解決策を探して実装する

チームが根本原因を特定し、問題の詳細をすべて明らかにしたら、解決策のブレインストーミングを開始します。解決策は、それを実行するためのロジスティックスと、途中でチームが遭遇する可能性のある潜在的な障害を考慮して、根本原因に直接対処する必要があります。これらの要素は、チームが現在の問題に対処し、再発を防ぐのに役立つアクション・プランを構成します。

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根本原因分析の方法論

すべての根本原因分析には同じ基本手順が含まれますが、組織が効率的かつ効果的にデータを収集するために役立つ根本原因分析手法は無数に存在します。通常、企業は方法を選択し、分析テンプレートやソフトウェアなどの根本原因分析ツールを使用することでプロセスを完了させます。

5 Whyアプローチ

5 Whyアプローチは、5つの「なぜ」という質問をすることで、何事も根本的な原因を突き止めることができるという考え方に根ざしています。5 Whyアプローチは問題解決者に、思い込みを避け、問題の根本原因を特定するまで「なぜ」と問い続けるよう促します。形式化された組織の根本原因分析の場合、チームは根本原因を見つけるために3つのなぜを問うだけで済むかもしれませんが、場合により5つ以上の「なぜ」を問う必要があるかもしれません。 5 Whyアプローチの目的は、正しい答えを見つけるために必要な質問をするよう、チームに働きかけることです。

FMEA(故障モードと影響解析)

FMEA(故障モードと影響解析)は、根本原因分析に対する最も厳密なアプローチの1つです。リスク分析と同様に、FMEAはシステム/プロセス障害のあらゆる可能性を特定し、各仮想障害の潜在的な影響を調査します。その後、組織は失敗につながる可能性のあるすべての根本原因に対処します。

パレート図

パレート図は棒グラフと折れ線グラフの機能を組み合わせることで、組織の最も一般的な根本原因の頻度を理解することができる方法です。グラフには、最も一般的または可能性の高いものから低い順に根本原因が表示されます。次にチームは、その解決策が組織に最も大きな利益をもたらし得る根本原因に取り組みます。

影響分析

影響分析により、組織は考えられる根本原因ごとのプラスとマイナスの潜在的影響両方を 評価できます。

 

変更分析

変更分析は、システムまたはプロセスのパフォーマンスが大幅に変化した状況で役立ちます。このタイプの根本原因分析を実施する際、問題やインシデントを取り巻く状況が時間の経過とともにどのように変化したかを調査します。特に個人、情報、インフラストラクチャー、またはデータの変化を調査することは、組織がパフォーマンスの変化を引き起こした要因を理解するのに役立ちます。

イベント分析

イベント分析は、石油流出や建物倒壊などの単一イベントによる重大な問題の原因を特定するためによく使用されます。イベント分析は、インシデントにつながった一連のイベントを再現するための、迅速な(しかし徹底した)証拠収集プロセスに依存しています。タイムラインが確立されると、組織は原因要因と寄与要因をより簡単に特定できるようになります。

ロジックツリー分析

原因要因分析とも呼ばれるロジックツリー分析を使用すると、組織は特定の問題を引き起こしたすべての意思決定、イベント、またはアクションを記録し、それら視覚的に表示できます。

石川ダイアグラム

石川ダイアグラム(またはフィッシュボーン・ダイアグラム)は、問題を取り巻く状況を視覚化する因果関係図です。この図は魚の骨格に似ており、原因の長いリストが関連するサブカテゴリーにグループ化されています。

DMAIC

DMAICとは、定義、測定、分析、改善、制御プロセスの英単語の頭字語を並べてできた用語です。このデータ主導のプロセス改善方法論は、組織のシックス・シグマ実践の一部として機能します。

ケプナー・トレゴー法

この根本原因分析方法論は、4段階の問題解決プロセスを経て、問題の根本原因を見つけることを提案しています。このプロセスは状況分析から始まり、問題分析と解決策分析に続き、潜在的な問題分析で終わります。

FTA(フォールトツリー解析)

FTAを使用すると、組織は潜在的な因果関係を視覚的にマッピングし、ブール論理を使用して根本原因を特定できます。

バリア分析

バリア分析は、適切なバリアが問題やインシデントを防止できるという考えに基づいています。このタイプの根本原因分析は、リスク管理でよく使用され、適切な障壁の欠如がどのようにして問題を引き起こしたのかを調査し、問題の再発を防ぐ障壁の設置に関する提案を行います。

根本原因分析のメリット

根本原因分析プロセスを使用する企業は、「消火活動」と問題の症状の治療に終止符を打ちたいと考えています。そうすることで、彼らはビジネス運営を最適化し、リスクを軽減し、より良い顧客エクスペリエンスを提供できます。根本原因分析プロセスに投資すると、全体的な意思決定を改善するためのフレームワークが提供され、組織は次のようなメリットを得ることができます。

  • 継続的な改善:根本原因分析は反復的なプロセスであり、深刻な問題に対処するだけでなく、根本的な原因を追求することで、システム全体を長期的に改善することを目指しています。根本原因分析の反復的な性質により、組織は継続的なプロセス改善を優先することができます。

  • 生産性の向上:組織内のダウンタイム、遅延、従業員の離職、その他の生産上の問題を防ぐことで、従業員の時間を節約し、帯域幅を解放して他の重要なタスクに集中できます。

  • コストの削減:機器が故障したり、ソフトウェアのバグにより遅れが生じたりすると、組織は損失を被り、従業員は不満を感じます。根本原因分析は、このような再発する問題を継続的に修正するためのコストを削減するのに役立ち、結果として全体の財務効率が向上します。

  • 欠陥検出の向上:企業が根本的な問題に対処しないと、意図せず最終製品の品質に影響を与える可能性があります。根強い問題が雪だるま式に増える前に対処することで、将来的に製品の欠陥に起因する収益や評判の低下から組織を守ることができます。

  • リスクの軽減:ビジネス・プロセスとシステムを改善することで、機器の安全な稼働を維持し、作業員が職場での安全上の危険を回避できるようになります。

 

 

 

根本原因分析製品
資産管理 IBM Maximo Application Suite

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可観測性 IBM Instana™ Observability

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根本原因分析リソース Sparkにおけるログベースの異常タスク検出と根本原因分析

IBMの研究では、Sparkログ・ファイルを使用して異常を検出し、根本原因を分析するアプローチを提案しています。

IBM InstanaはGartner社によってMagic Quadrant™リーダーに選ばれました

IBM Instanaが高精度のハイブリッドクラウドの可観測性、メトリクス、トレース、ログをどのように提供するかを学びます。

鉄道業界における予知保全の採用

Downer社とIBMは、オーストラリアの軽量・重量鉄道システムの乗客が安全、確実、快適に、そしてより持続可能な移動を続けられるよう、スマートな予防メンテナンスを活用しています。

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