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EHS(環境、健康、安全)
EHS(環境、健康、安全)とは、職場、地域社会、公共スペースなど、さまざまな環境における人間の健康と環境の保護に焦点を当てた学際的な分野であり、潜在的な危険を特定して軽減すること、事故を防止すること、そして安全で健康的な生活と労働環境を促進することを主な目的としています。
米国の環境保護庁(EPA)や労働安全衛生局(OSHA)などの政府EHS部門は、集団的な環境保護、職業安全、健康と福祉を推進する基準への順守を徹底するために、EHS規制を導入しています。同様に、国際標準化機構(ISO)のような国際機関も基準を策定し、その基準を順守する事業体に認証を提供しています。
一部の地域や状況では、EHSはHSE(健康、安全、環境)と呼ばれており、EHS、SHE、OHS、WHS、QHSE、HSSEなど、他にも類似した略語がありますが、これらはすべて同じ分野を指しています。
EHSは、相互に関連する3つの分野で構成されています。
この分野では、環境を汚染や劣化から守ることに重点を置いており、大気質、水質、土壌汚染、廃棄物管理などの要因の監視と管理が網羅されています。環境管理と保護対策は、人間の活動、排出物、有害物質が生態系、野生生物、天然資源に及ぼす悪影響を軽減することが目的です。
労働安全とは、職場における労働者の健康と福祉の保護に取り組むことです。これは、従業員に怪我、病気、事故を引き起こす可能性のある危険を特定し、軽減することを意味します。労働安全対策には、適切な個人用防護具(PPE)の提供、安全プログラムに関する従業員研修、安全点検の実施、安全手順の実施など、安全規則を遵守する職場環境の構築が含まれます。2021年には、米国で5,190人の労働者が死亡する労働災害が発生しており、EHSの対策に取り組むことでその数を減らすことが目的です。1
この要素は、利害関係者とコミュニティーの全体的な健康と福祉の促進に重点を置いています。これには、公衆衛生上の懸念への対処、健康リスク評価の実施、病気の発生の監視、健康増進プログラムの実施が含まれます。
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EHS管理システムソフトウェアは、組織がEHSプログラムを単一のプラットフォームに集約して効率化できるように設計されています。コンプライアンスの管理と監視、インシデントの追跡、全体的な安全性の向上を容易にします。
データ収集とインシデント追跡:このソフトウェアでは、環境、健康、安全に関連するさまざまな種類のデータを収集、追跡、管理できます。これには、インシデント、ニアミス、検査、監査、許可、リスク評価、トレーニング記録などに関する情報が含まれます。最初の報告から調査、是正措置に至るまで、インシデントのライフサイクル全体を追跡します。このソフトウェアは、大気質、水質、雑音レベルなどの環境データを収集して分析できます。データ収集は、傾向と根本原因を特定し、将来の問題を防ぐのに役立ちます。
コンプラインス管理:組織は、環境、安全に関するコンプラインス要件、許可、期限、報告義務をより適切に把握することで、関連する規制要件や基準へのコンプラインスを促進できます。
リスクの評価と軽減:EHS管理ソフトウェアを使用すると、ユーザーはリスク管理を実行し、リスクを軽減し、より安全な環境を維持するための管理および予防措置を実施できます。
安全点検と監査:EHSソフトウェアは、現場での安全点検と監査の実施プロセスを簡素化します。点検のスケジュール設定、調査結果の文書化、是正措置の追跡に役立ちます。またEHSは、緊急事態への備えを最適化する上でも重要な役割を担います。
EHSに関するトレーニングと認定:このソフトウェアにより、EHS担当者は従業員のトレーニング記録、認定、能力要件を管理を効率化できます。さらに、従業員は必要な安全トレーニングを受講することで、最新の従業員安全プロトコルを確実に遵守できます。
報告と分析:EHS管理ソフトウェアは、EHSパフォーマンスに関する洞察を提供する包括的な報告と分析を生成します。これらのレポートは、組織が傾向を理解し、改善すべき領域を特定し、安全性とコンプラインスの取り組みを強化するために必要なデータを基にした意思決定を行うのに役立ちます。
統合とコラボレーション:ソフトウェアは、環境監視デバイス、インシデント報告ツール、安全管理システム、エンタープライズ・リソース・プランニング・システムなどの他のシステムと統合できます。この統合により、データ交換が合理化され、組織内のさまざまな部門間のコラボレーションが促進されます。
サステナビリティーの追跡:EHSソフトウェアは、企業が環境フットプリント、エネルギー使用量、廃棄物管理方法を監視・管理することで、サステナビリティーへの取り組みを支援します。
モバイル・データ収集:多くのEHSソフトウェア・ソリューションはモバイル・アプリケーションを提供しており、現場作業者がモバイル・デバイスを使用してリアルタイムでデータを取得し、検査を実施し、インシデントを報告できるようになります。
健康と福祉に関するプログラム:EHSソフトウェアは、健康診断、健康増進キャンペーン、ストレス管理プログラムなど、従業員の健康と福祉に関する取り組みを管理するために使用できます。これらは、EHSソフトウェアに関して紹介できるさまざまなユースケースのほんの一例です。ソフトウェアの柔軟性とカスタマイズ可能な機能により、さまざまな業界や組織の具体的なニーズや要件に適応できます。
EHSプログラミングは、無数のレポート、チェックリスト、安全データシートなどが含まれています。これは一語一句ペンと紙で追跡されていないと、多くの異なる業務の流れや、従来見られるようなサイロ化された多くのITシステムにまたがる事務処理を伴うものです。その結果、EHS管理は遅々として進まず、軽微な規制違反の罰金から、労働者の生産性低下による潜在的な大損失、さらには労働者自身の生命の危険にまでつながる可能性があります。
業界のベスト・プラクティスと規制のフレームワークを遵守するには、適切なタイミングで適切な行動が確実に取られるよう、常に注意深く取り組むことが必要です。また、実施すべき作業が数千または数万ある場合、すべてを追跡するのは大変な作業となります。EHSソフトウェアを使用すると、こうした作業を効率化、スケジュール化、自動化、追跡、さらには単一環境内での実行が可能になります。EHSソフトウェアは、異なる部門やチーム間のコミュニケーションとコラボレーションを促進するため、EHSに関わる全員が同じ認識を持つことができます。
施設管理は、建物や敷地、インフラ、不動産の機能性、快適性、安全性、効率性を確保するのに役立ちます。
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1 労働安全衛生世界デーに発表された職場での死亡事故と非致死性の傷害・疾病に関する考察 労働統計局、2023年4月28日