エンタープライズ・アセット・マネジメント(EAM)は、運用資産と機器の保守と制御のために使用されるソフトウェア、システム、サービスを組み合わせたものです。 ライフサイクルを通じて資産の品質と使用率を最適化し、生産性とアップタイムを高め、また運用コストを削減することを目的としています。
エンタープライズ・アセット・マネジメントには、作業管理、資産の保守、計画とスケジューリング、サプライチェーン・マネジメント、環境・安全衛生(EHS)のイニシアチブが含まれます。
バルブから車両に至るまですべてのものがセンサーとシステムで接続される、モノのインターネット(IoT)時代では、実務担当者は高度な分析と人工知能(AI)をEAMに組み込んでいます。 IoT化された資産から収集したデータは、AIの技法を用いて分析されます。 その結果得られた洞察は、保守チームがより良い意思決定を行い、効率性を向上して予防保守を実施し、物理的な資産への投資を最大化する上で役に立ちます。
EAMは、多くの場合において、コンピューター化された保守管理システム(CMMS)に関連づけられますが、詳しく見てみると、EAMと CMMSは明らかに異なることが分かります。 CMMSは、EAMの1つの側面であるともいえます。 CMMSは、保守管理プロセスの円滑化と自動化のための情報の一元化に焦点を当てています。 EAMは、取得から廃棄までの資産のパフォーマンスをサポートするアセット・ライフサイクル管理が目的です。
EAMは、組織が資産の品質と信頼性を追跡、評価、管理、および最適化するうえで非常に重要です。 あらゆる種類の組織が、何百、何千、さらには何百万もの資産を保有しています。 これは 資産集約型 といえます。
資産には、多くの形状や規模(鉄道、パイプライン、製造設備、輸送手段、風車など)があり、生産、サービス、運用を維持するために必要なあらゆる機器が含まれています。 EAMのベスト・プラクティスは、次のように、保守チームが複雑な環境でより適切な制御を実施するうえで役立ちます。
モバイルEAMが現場サービス管理にどのように役立つかを見る
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CHS社のJohn Myers氏は、これまで20年間にわたりIBM Maximo®を使用してきた中で、EAMが予知保全へと移行するのを目の当たりにしてきました。 クラウドとIoTを活用しながらMaximoを使用することで、今もなお新しい可能性を見出せる理由をご覧ください。
作業管理
初期の要求から完了まで、また実績の記録を含めて、計画的な作業と計画外の作業を一元管理します。
保守のフェーズ
問題発生後に修理が行われる修理保全から、予防保全(定期修理)と、データが差し迫った障害を示したために修理が行われる予知保全に移行します。
プランニングとスケジューリング
作業指示書と予防保全スケジュールをガント・チャートで視覚的に表示します。 作業指示書管理を直観的にナビゲートして、管理者がタスクと作業の依存関係を管理できるようにします。
サプライチェーン管理
資産と資産の保守に使用される資材は、サプライチェーンの一部です。 効果的なソリューションには、EAMのサプライチェーン・マネジメント・システムとの統合に役立つIoTテクノロジーを組み込む必要があります。
安全衛生
環境と安全衛生についての懸念を文書化し、報告します。 インシデント分析、是正処置の追跡可能性、プロセス変更管理を使用することで、リスクを軽減します。
モビリティー
メーターの読み取りから、電子署名の取り込み、バーコードとRFIDの使用まで、さらに多くのことを達成できます。 写真や音声・テキスト変換などのスマートフォン機能を活用し、情報を取り込み、ツール、文書、およびコラボレーションを提供します。
分析
拡張および強化された分析(AI搭載の場合が多い)を実行して、運用に関する洞察を入手します。 最適化モデルは、プランニング、スケジューリング、作業管理のプロセスを分析に基づいて自動化するために使用できます。
クラウド
SaaS、クラウド・ベースの実装環境、またはハイブリッドクラウドの実装環境をサポートすることでコストを管理し、それによりシステムの柔軟性が向上し、IT部門への依存が軽減されます。
EAMの未来はクラウドにあるのかもしれません。 クラウドで実行されるSaaS EAMは、データの需要に応じて拡張し契約できるという柔軟性を実現します。 ユーザーは必要なデータ・リソースのみを購入することができます。 SaaSであれば、オンプレミス実装環境の場合に比較して、IT部門が介入しサポートする必要性がはるかに少なくて済みます。 その結果、IT部門に関連する資本支出を運用上の経費やリソースへの支出に置き換えることができます。
アップグレードはクラウド内でサービス・プロバイダーによって行われるため、最新のバージョンと機能が常に適用されます。 また、SaaSは、新しいテクノロジーをより迅速に、リスクを抑えて統合することができます。
水、排水、ガス、電力の伝送と分配は、パイプラインや電力線などのリニア資産の機能を必要とします。 これらのシステムは、作業員のスケジュール管理を緻密に調整し、リモート資産からの地理空間情報を考慮する必要があります。
これらの業界は、安全、信頼性、コンプライアンス、およびパフォーマンスをワークフローに統合することに重点を置きます。 保守プロセスを標準化および改善し、連携を推進するために、EAMシステムが必要です。
製造業には、自動車、航空宇宙業界、防衛、電機、製造装置、コンシューマー製品など、多くのセクターが含まれます。 これらの状況では、EAMシステムはリーン・シックス・シグマなどの全体的なプロセス管理手法の一部になり、プロダクト・ライフサイクル・マネジメントを補完します。
運輸業でEAMを適用する場合、サービスまたは物流業務を可能にする設備や在庫についての詳細を提供することに焦点を当てます。 燃料の管理、ドライバーのログ、予備部品、運搬スケジュールやその他のデータは、鉄道、道路、航空の交通運行を維持するために重要です。
この業種のEAMシステムは、機器、設備、モバイル資産をモニタリング、追跡、管理します。 標準化、追跡可能性、電子署名の管理が重要です。 複雑な規制条件を満たし、確認するために、文書パッケージが使用されます。
ヘルスケア業界でEAMソリューションを導入する場合、施設と機器の対応能力の間の複雑な関係を管理する必要があります。 重大な資産を追跡して見つけ出し、施設の状態を監視し、報告要件に準拠し、作動可能な医療情報システムと統合します。
原子力関連組織は、詳細な状態管理、ワークフロー、エスカレーション、電子署名を通じて規制に対応するために、作業と資産の管理を重視しています。 安全衛生および安全保護の厳重な法規制の準拠を考慮したソリューションが必要です。
機器の故障による遅延を回避することは、空港ビジネスの成功への大きな決め手となります。 スキポール空港では、インシデントを自動的に優先順位付けし、現場で効率的に対処するモバイルEAMソリューションを実装しました。
AIと分析を使用したIBM Maximo Application Suiteで、高レベルの資産を管理および保守し、パフォーマンスの最適化、資産のライフサイクルの延長、運用上のダウンタイムおよびコストの削減を実現します。
インテリジェントなモバイル・エンタープライズ・アセット・マネジメント(EAM)を使用して、接続している技術者が、タイミングと場所を問わず、あらゆる資産を管理できるようにします。
データを実行可能な洞察に変えることにより、職場の安全性を向上します。 安全の中心にコンプライアンスを据えることで、危険をより適切に特定して排除できるようになります。