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顧客維持とは

顧客維持とは

顧客維持
顧客維持のメリットと、顧客のロイヤルティーを維持するための最適な戦略について説明します。
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顧客維持とは

顧客維持とは、一見客を常連客にし、これらの顧客が競合他社に乗り換えるのを防ぐ、企業の能力のことです。 製品やサービスの品質と顧客ロイヤリティーの度合いを示すものです。 顧客維持は、他社への乗り換えの障害を克服し、製品やサービスの価値を最大化し、顧客の期待に応え、顧客体験を強化することによって、最も効果的に達成されます。

顧客維持のメリット

顧客維持は、顧客基盤や企業収益の成長と安定化を促進するのに役立ちます。 顧客維持率(Customer Retention Rate:CRR)を高めることで、企業は利益を90%以上増加させることができます。 [1] 一貫して価値を提供することで、企業はブランドの約束を守り、信頼性、信用性、ブランド・センチメントを高めることができます。

顧客維持の主なメリットは、以下の4つです。

  1. 顧客ロイヤルティー: 既存の顧客は既にブランドを信頼しているため、リピート顧客にしやすい。
  2. ブランド・アンバサダーシップ: 忠実な顧客は、口コミ・マーケティング(顧客の声や紹介など)を通じてブランド・センチメントと顧客獲得のための媒体となる。
  3. コスト削減: 常連客はブランドを信頼しているため、顧客維持のマーケティング戦略や広告に大規模な支出は不要(一方で、新規顧客には、ブランドのセンチメントと信頼性を創出するために大規模な支出が必要)。 
  4. 収益性の向上: 新規顧客と常連客を満足させることで、ロイヤルティーが維持され、収益が向上する。 実際、満足度の高い顧客は、より長期間にわたって購入を繰り返す傾向がある。
顧客維持戦略とは

最高の顧客維持戦略には、製品やサービスの生涯価値(Lifetime Value:LTV)を構築し、顧客ロイヤルティーを確保するために設計されたイニシアチブとプロセスがあります。 これは、一貫した価値の提供を通してブランドの約束を果たすための仕組みづくりに役立ちます。

効果的な顧客維持戦略には、以下の7つの機能が含まれます。

  1. 解約の追跡と分析: 解約した顧客の数とその理由を記録します。 顧客解約率(Customer Churn Rate:CCR)を下げ、CRRを高めるために、このデータを保存して評価します。
  2. 顧客フィードバック・ループ: 顧客のレビューやアンケートを収集、分析、配信します。 ユーザー体験を向上させる顧客の行動や傾向を検出し、それらを顧客維持の促進に活用します。 [2]
  3. コミュニケーションの更新: 休眠顧客を特定し、これらの顧客をフォローアップします。 コミュニケーション・カレンダーを使用して、対話やエンリッチメント(アップセルやクロスセルなど)を時系列で記録します。 特別なプロモーションや告知の予定を決めます。
  4. ニュースレターの自動配信: Eメール・マーケティング戦略の一環として、自動メール送信を利用して特別なプロモーションや最新情報を告知し、顧客の心の中でのブランドの鮮度を保ちます。
  5. 顧客教育プログラム: 顧客サポートなしでユーザーを教育して解決策を提供するセルフサービス・ツール(ナレッジ・ベースやコミュニティー・フォーラムなど)を使用して、顧客の成功に投資します。 [2]
  6. ユニークな製品やサービス: eコマース戦略の一環として、顧客のジレンマを解消する、競合他社よりも優れた新しい製品やサービスを提供します。 これにより、顧客がブランドにコミットする動機が生まれます。
  7. 顧客維持プログラム: ブランド・ロイヤリティーを高めるために、企業主導型のイニシアチブ(オンボーディング・プログラムや顧客ロイヤリティー・プログラムなど)または顧客主導型のイニシアチブ(アプリケーションのダウンロードやベータ・テストなど)を設計します。
顧客維持の指標

健全な顧客維持戦略は、顧客維持率や現在と将来の収益を反映する指標によって強化されます。 以下は、最も重要で広く利用されている3つの指標です。

  1. 顧客維持率(Customer Retention Rate:CRR): 一定期間にわたって維持された顧客の割合です。 顧客維持率は100%が理想ですが、業界によって異なります。 業界を問わず、CRRが15%前後で推移している場合は、戦略を変更する必要があります。 [3]
  2. 顧客解約率(Customer Churn Rate:CCR): 一定期間にわたって失われた顧客の割合です。 顧客解約率が低い企業はCRRも高い傾向にあり、CCRが0%に近いほど良いとされています。
  3. 顧客生涯価値(Customer Lifetime Value:LTV): 購入ライフサイクルを通して顧客から得られる収益の予測値です。 LTVは、企業が顧客ロイヤルティーを測定するのに役立ちます。 また、製品のマーケティングやサポート・チームの開発の投資対効果(ROI)を最大化する方法を特定するのにも役立ちます。
顧客維持、顧客体験、顧客関係管理

顧客体験システムと 顧客関係管理(Customer Relationship Management:CRM) システムは、顧客維持プロセスの重要な要素です。

CRMシステムは、複数の機能(プロジェクト管理、連絡先管理、デジタル・マーケティングなど)を1つのデータ駆動型プラットフォームに統合します。 「統合」されたCRMシステムは、コミュニケーションを自動化し、社内プロセスを簡素化することで、全体的な顧客体験を向上させます。 CRMシステムには、特定のコンテキスト内の顧客エンゲージメントをサイロ化する「ハイパーパーソナライゼーション」機能(ターゲットを絞ったコンテンツ、オファー、アラートなど)が含まれる場合があります。

全体として、統合されたCRMは、顧客維持と企業収益の向上に役立つ一貫性のある手順と信頼できるデータを提供します。 [4]

顧客維持とチャットボット

 チャットボット は、自然言語処理(NLP)を使用して顧客からの問い合わせを解読し、自動化された回答を提供する、人工知能を搭載するコンピューター・プログラムです。 チャットボットは、情報交換を活発にすることで、ユーザー・データを収集しながらオンラインでの顧客体験をハイパーパーパーソナライズします。 また、AIチャットボット は、顧客のアクションを提案したり促したりして、顧客が希望するリソースに顧客を誘導します。 これらのプロセスにより、顧客がサイトに訪問できるようにしたり、顧客が欲しいものを購入できるようになります。また、ブランドの信頼性、信用性、ロイヤルティーを構築して、CRRを向上させるのに役立ちます。

パーソナライズされた顧客体験のニーズは2021年に飛躍的に高まり、それによってAIを活用したチャットボット・サービスの需要が大幅に増加しています。 その結果、顧客維持主導のグローバル・チャットボット市場は、2026年までに4億6100万米ドルから14億米ドルに急増すると予想されます。 [5]

顧客維持のベスト・プラクティス

売上継続率(Net Dollar Retention:NDR)は、一定期間にわたって維持された既存の顧客からの経常収益の割合を計算するチャーン・メトリックです。 NDRは、経常収益に影響を与える複数の要因(ダウングレード、キャンセル、一時停止の要求など)を考慮するため、(月間経常収益(MRR)や年間ラン・レート(ARR)に比べて)顧客維持の成功を示す最良の指標となります。

これらの5つのベスト・プラクティスは、顧客維持の成功に向けてNDR率を高めるように設計されています。 [6]

  1. 価値ベースの販売: 購入プロセスにおいて、顧客価値を優先するコンサルティング・アプローチです。 ニーズに優先順位を付け、顧客が十分な情報を得た上で購入の意思決定を行うことを可能にします。 これにより、ブランド・センチメントが高まり、ブランド・ロイヤリティーが確立されます。
  2. 製品の採用と拡大の促進: 有益な製品体験は、優れた顧客体験を促進します。 製品の採用と拡大は、顧客のニーズ、課題、問題点を解決することで実現されます。 これにより、ブランドの信頼性とセンチメントや、顧客ロイヤルティーが向上します。 
  3. 価値実現までの時間の短縮: オンボーディング・プロセスを通して顧客のニーズを評価し、解決策を明確にします。 また、顧客の要件を製品やサービスの機能と同期させることで、顧客が迅速に購入の意思決定を行い、素早くリソースを割り当てられるようにします。
  4. 顧客のニーズに合わせる: ロードマップを使用して、製品やサービスを顧客のニーズと同期させます。 また、顧客調査を実施して洞察を得ることで、顧客満足度の向上を図り、ブランドの信頼性を高めます。
  5. 顧客エンゲージメントの管理: ハイタッチ・エンゲージメント・モデルを使用して、生の対話を最適化し、顧客との信頼関係を構築します。 これにより、顧客の成功を促進する高レベルのエンゲージメントが生まれ、ブランドのセンチメントと信頼性が構築されます。
顧客維持とIBM

Watson Assistantは、あらゆるアプリケーション、デバイス、チャネルにわたって、顧客に迅速かつ一貫性のある正確な回答を提供する 仮想エージェント です。 Watson Assistantは、AIを使用することで、顧客との会話から学習して、問題を解決することで、待ち時間を短縮する能力を向上させながら、 エンタープライズ・レベルのセキュリティーと拡張性により顧客のデータを保護します。

Watson Assistantの最も一般的な導入事例として、以下の3つを挙げます。[7]

  1. 顧客のセルフサービス: Web、モバイル、音声のチャネルを通じて、費用対効果の高い、AIを活用した、自動化された支援を顧客に提供します。
  2. 従業員のセルフサービス: セルフサービス機能を活用して、人事やITに関する緊急の問い合わせに24時間体制で迅速に回答することで、従業員の成功に貢献します。
  3. サポート担当者の支援: 複雑な質問への明快な回答を見つけられるようサポート担当者を支援することで、その担当者が顧客の問題を迅速に解決できるようにします。

Watson AssistantのAI機能は、顧客との対話の質を向上させることで、顧客体験の効率を高めます。

 カスタマー・サービス向けのAI が組織にどのようなメリットをもたらすかについては、 Forrester社の調査結果をダウンロードして詳細をご覧ください。

IBMのソリューション
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引用

[1] Forrester社、 「Customer Recommendations Have Only A Small Business Impact For Big Brands」 (IBM外部へのリンク) 、2020年11月18日

[2] IBM、 「カスタマー・ケアとは」 、2021年6月10日

[3] The Balance、 「What Is Customer Retention?」 (IBM外部へのリンク) 、2021年4月6日

[4] Forrester社、 「The Five CRM Trends In 2021 That Will Shape Engagement, Relationships, And Revenue」 (IBM外部へのリンク) 、2021年1月22日

[5] MarketsAndMarkets社、 「Chatbot Market - Global Forecast to 2026」、 2021年2月

[6] Technology and Services Industry Association (TSIA)社、 「Best Practices for Driving Net Dollar Retention (NDR) through Customer Success」 (IBM外部へのリンク) 、2021年5月27日

[7] IBM、 「独立系調査会社による調査:IBM Watson Assistantの顧客は、2390万ドルの利益獲得が可能」、 2020年3月2日