ESG(環境・社会・ガバナンス)とは

テーブルで作業する女性

執筆者

Tom Krantz

Staff Writer

IBM Think

Alexandra Jonker

Staff Editor

IBM Think

ESG(環境・社会・ガバナンス)とは

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の略で、企業などの組織が環境や社会に与える影響を測定するための一連の評価基準のことです。ESGは主に投資の文脈で使われますが、顧客、サプライヤー、従業員、一般市民にも関係する概念です。

「ESG」という用語は21世紀に普及し、持続可能性や企業の社会的責任(CSR)と同じ文脈の中で頻繁に取り上げられるようになりました。しかし、サステナビリティーやCSRが理念や最終目標としての役割を果たしているのに対し、ESGはもっと具体的で、企業と投資家の意思決定に必要なデータと指標が含まれます。

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ESGの3つの側面

環境面

組織が環境管理者として活動しているかどうかを指し、気候変動、温室効果ガス排出(GHG)、森林破壊、生物多様性、炭素排出、廃棄物管理、汚染などの環境問題を扱っています。

社会

組織が人、文化、コミュニティーに与える影響を指し、多様性、包括性、人権、サプライチェーンがもたらす社会的影響に注目します。

ガバナンス

組織の運営方法を指し、役員報酬、後継者計画、取締役会管理慣行、株主の権利などのコーポレート・ガバナンスの要因を扱っています。

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ESGが重要である理由

企業が周囲のエコシステムに与える影響は、それが世界規模であるか地域社会内であるかにかかわらず、明らかになってきました。同時に、気候変動、人権、役員報酬などのESG問題に対する人々の関心が高まっています。したがって、環境に配慮した今日のビジネス環境では、経営幹部と投資家の両方にとって、持続可能性をビジネスに組み込むことが最優先事項です。

株式市場は従来、世論を反映するものであるため、投資家は資産運用戦略を再調整して、財務実績だけでなくさまざまなESG要因にも注意を払っています。現在、企業はこれまで以上に、投資戦略を自らの価値観、すなわちESGへの配慮に合わせようとしている機関投資家によって精査されています。

ESG投資と他の投資戦略の比較

多くの投資決定はESG基準の影響を受けるため、投資家は資産管理に対して新しいアプローチを採用しています。ESG投資、および社会的責任投資(SRI)やインパクト投資などの他の戦略は似ているように見えるかもしれませんが、いくつかの大きな違いがあります。

ESG投資では、従来の財務指標と並行してさまざまなESG要因を考慮しますが、さらに、企業の評価に環境外部性を取り込むという機会とリスク管理の要素もあります。ESG投資に関しては、最終的には財務上の利益が依然として最優先事項です。

SRI(サステナブル投資)は、金銭的利益よりも倫理的な配慮に重点を置いています。たとえば、投資信託や上場投資信託(ETF)の投資対象企業のうちの1社が環境に悪影響を与えるような業界で事業を営んでいる場合、投資家は投資を避けるかもしれません。

インパクト投資は、プラスの成果を最優先する最も慈善的な投資形態であると考えられます。つまり、投資は具体的な社会的利益につながる必要があります。それは、再生可能エネルギーに特化した、あるいはネットゼロ事業を目指しているETFや企業に投資することを意味するかもしれません。

こうした新たな投資戦略を背景に、複数のESGファンドが誕生し、今日の株式市場におけるESGの重要性が高まっていることを示しています。企業にとって、包括的なESG戦略を持つことはもはや贅沢ではなく要件となっており、組織はESG開示に精通しておく必要があります。

ESG指標の開示方法

利害関係者がより持続可能な投資を選択できるよう、年次報告書にESG指標を含める組織が増えています。ESG報告を通じて、企業は定性的および定量的データを使用してESGイニシアチブ全体の進捗状況を測定し、業界のベンチマークや目標との比較を示すことができます。ESG報告は、企業の長期的な価値に影響を及ぼす可能性のある潜在的なESGリスクと機会を強調することで、情報に基づいた意思決定を行うために必要な見識も利害関係者に提供します。

ESG報告を作成する方法は数多くあります。ESG報告は通常、どのESGトピックに重点を置いたらいいのかを示すことができる、確立されたESGフレームワークを使用して作成されます。ESGフレームワークを使用すると、組織はより高い評価やESGスコアを獲得できるよう、開示する情報を最適に構成および準備する方法を理解できます。

ESGスコアは、企業のESGパフォーマンスを追跡するために使用され、投資家、利害関係者、規制機関に対して企業の運営に関する可視性を高めます。より充実した報告書を提供する組織は通常、より高いスコアを獲得しますが、ESGパフォーマンスを追跡または提示しない組織は、ESG評価が低くなる傾向にあります。

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)は、企業や金融機関が利害関係者への情報提供に使用できる、一連の気候関連の推奨される情報開示を行う組織です。同様に、サステナビリティー会計基準審議会(SASB)は、組織の持続可能性情報の開示を導く業界固有の基準の確立と維持に貢献してきました。

機関投資家は特定の企業に関するESGデータを提供するために、MorningstarやMorgan Stanley Capital International(MSCI)などの組織に目を向けることもできます。これらのプロバイダーはすべて、組織がどの程度投資可能かを判断するのに役立つ主要ESG指標を提供する上で重要な役割を果たしています。

ESG規制とは

企業がESG要因を考慮するよう支援するために制定された規制がいくつかあります。欧州連合(EU)の法令である企業サステナビリティ報告指令(Corporate Sustainability Reporting Directive、CSRD) は、企業に対し、事業活動が環境や持続可能性に与える影響やESGへの取り組みについて報告することを義務付けていいます。サステナブル・ファイナンス開示規則(SFDR)も、ESG指標の報告を標準化することで同様のことを目指しています。

企業のESG開示を支援するために、さまざまなフレームワークも作成されています。欧州では、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)により、企業は利害関係者に環境情報を提供できます。CDPはリスクと機会の管理、環境目標、戦略分析、シナリオ分析から構成されています。同様に、グローバル・レポーティング・イニシアティブ(GRI)は、ESGの問題全般について、重要性、管理報告、開示へのアプローチを標準化するグローバルなフレームワークを提供しています。

これらの規制や枠組みは、組織や投資家をより持続可能なビジネス慣行へと導くことを目的としていますが、グリーンウォッシュや環境詐欺に対する絶対確実な抑止力にはなりません。また、世界的な混乱に対する緩衝材にもなりません。

新型コロナウイルス感染症のパンデミックによって、気候そのものだけでなく、企業のサプライチェーン、医療、金融サービスの脆弱性があっという間に明白になりました。不確実性に直面したことで、企業が存続のためにESGの取り組みを優先順位の低いものにするのではないかと学者らは懸念を強めました。そういったケースもありましたが、興味深い発見がありました。ESGのパフォーマンスが好調な企業は、すでに混乱の可能性を考慮していたため、パンデミックを乗り切るための準備が整っていたのです。1

このことは、ESGが単なる指標、規制、枠組み以上のものであることをはっきりと思い出させてくれます。ESGの核心となっているのは、進歩状況を測定し、より持続可能な未来に向けて措置を講じるための実用的な手段です。

スコープ3排出量に焦点を当て、会社の排出量と寄与者を示すグラフィック。
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