対話型AIは、カスタマー・サービス・チームが人間の言語を理解し、さまざまなコミュニケーション・チャネルを通じて顧客とやり取りするために利用する最新の人工知能(AI)ツールです。
カスタマー・サービス・チームは、このテクノロジーをコミュニケーション強化のために活用し、顧客を24時間リアルタイムでサポートします。自然言語処理(NLP)と機械学習(ML)を用いて人間の言語を分析し、人間らしい応答を生成します。コンタクト・センターは簡単な問い合わせに対する対応や問題解決をAIに任せられるようになるだけではなく、顧客体験を向上させることができるようになります。
対話型AIは、AIを活用したカスタマー・サービス分野で特に幅広く導入されています1。IBM Institute for Business Valueの最新のレポートによると、2027年までに完全自律型オートメーションへの大規模な移行だけではなく、顧客向けのパーソナライズされたセルフサービスにAIを活用すると回答した経営幹部は53%増え、セルフサービスによるコール解決率も47%向上すると予測しています。
この対話型AIテクノロジーには、チャットボット、バーチャル・アシスタント、AIアシスタント、AIエージェント、自動化、生成AIなどが含まれます。これらの機能により、人間のエージェントはより複雑な問い合わせに集中でき、定型的な顧客対応は対話型AIに任せることができます2。こうした即時性は顧客への対応を向上させる一方で、カスタマー・サービス・チームがこれまで以上に効率的に業務を行うことを可能にします。
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対話型AIは、NLP、ML、大規模言語モデル(LLM)のテクノロジーを活用し、人間の対話を機械が理解できる言語に変換します。変換されると、特定のナレッジベースから提供される情報に基づいて応答を生成します。
対話型AIテクノロジーは一様ではありません。最も効果的で高性能なAIツールは、数十億件の顧客対応データで学習されています3。適切に学習させることで、顧客のニーズを把握し、顧客満足度を高めることやコンタクト・センター内のワークフローを最適化し、全体的なサービス品質を向上させることも可能です。対話型AIソフトウェアは、やり取りのたびに継続的に学習し、進化し続けます。
NLP:これは、コンピューターやデジタル機器が人間の言語を認識、解釈、理解できるようにするテクノロジーです。NLPには自然言語理解(NLU)と自然言語生成(NLG)の2つのサブコンポーネントがあります。これらのツールはテキストを理解し、それを人間が理解できる形式に変換します。
ML:データセットで学習させたアルゴリズムを利用し、コンピューターが人間の学習方法を模倣できるようにするテクノロジーです。
例えば、顧客が対話型AIソフトウェアのインターフェース(アプリケーション)にテキストで問い合わせを入力すると、NLPがその意図を分析し、数十億件のやり取りを基盤として応答を生成します。時間の経過とともに、対話型AIのMLコンポーネントは顧客からの問い合わせに対する応答を改善し、エンドツーエンドでより正確なものにしていきます。
対話型AIプラットフォームは、問い合わせの内容にかかわらず一貫したトーンで顧客対応を行います。これにより、すべての顧客に均一なサービス体験と同等の配慮が保証されます。
AIアシスタントやAIエージェントが大量の問い合わせに対応できる能力は、エージェントの業務効率を高め、ひいては顧客満足度スコア(CSAT)も向上させます。CSATは、サービスや製品に対する顧客の満足度を示す顧客フィードバック調査に基づく主要なメトリクスです。さらに、AIを活用した対話型ツールは、解決率を高め、顧客の待ち時間を短縮します。
対話型AIを導入することで、顧客は複数の言語でサポートを受けられるようになります。これにより、顧客対応が効率化され、公平なエンゲージメントが実現します。つまり、このAI機能を導入するということは、世界中にサポート・チームが存在し、テキスト、SMS、アプリ、ソーシャル・メディア、オンラインを通じていつでも顧客の問い合わせに対応できる環境を構築することに相当します。
対話型AIの大きなメリットの1つは、トレーニングや設定が不要であることです。ソフトウェアをインストールした後は、組織のコンテンツやナレッジベースに接続するだけで、すべての顧客データを取り込むことができます。このプロセスは、既存の顧客関係管理(CRM)システムやeコマース・プラットフォーム、その他のビジネス・ツールとの統合という形で実現できます。
対話型AIの主な目的の1つは、できる限り人間に近い顧客サポートを提供し、実際のサポート担当者の対応を再現することです。顧客は、相手がロボットであると意識したり感じたりすることなく、対話型AIソリューションとやり取りできなければなりません。
対話型AIを通じて、顧客はスマートフォンのようなセルフサービスのインターフェースや店舗内のデジタル・キオスクを利用して、企業と複数のチャネルを通じてやり取りできます。オムニチャネル統合により、このAIテクノロジーは販売やマーケティングなど、他のチャネルにも展開可能です。
対話型AIにはさまざまなタイプがあり、料金体系や機能は、企業がどのAIテクノロジーを選択するか、そしてそのテクノロジーが対応するユースケースにより異なります。
対話型AIソフトウェアの選定は、ビジネス目標の性質に基づいて行う必要があります。ルールベース型は、シンプルで明確なニーズに適しています。一方、生成AI型はより複雑で、パーソナライゼーションや創造性が求められるニーズに対応できます。両者を組み合わせるハイブリッド型を活用することで、それぞれの強みを生かし、ユーザーとのやり取りに対応することも可能です。
最新のAIチャットボットはNLUを活用し、ユーザーの自由入力の意味を把握できるようになっており、タイプミスから翻訳上の問題まで対応可能です。高度なAIツールを使用して、ユーザーが何を達成しようとしているか「意図」を判断し適切な応答を作成します。
チャットボットとは、バーチャル・エージェント・テクノロジー(VAT)を利用してエンドユーザーとの人間的な対話をシミュレーションするコンピューター・プログラムです。従来型のチャットボットは、顧客が迅速に回答を得られるよう支援し、問い合わせ内容に応じて最適な部門へ振り分けます。ただし、ルールベースで動作するため、その機能は限定的です。
言語処理を通じて、システムはさまざまなデバイスに組み込まれた音声コマンドに応答できます。代表的な例としては、Amazon Alexa、Google Assistant、Apple Siriがあり、スマートフォン、スピーカー、自動車、ヘッドフォンなどで利用できます。
AIエージェントやバーチャル・アシスタントは、利用可能なツールを用いてワークフローを設計し、自律的にタスクを実行するため、NLPの範囲をはるかに超えます。エージェントは問題を解決し、外部環境とやり取りし、アクションを実行できます。AIエージェントは、顧客との予測不能な対話にも対応でき、単なるFAQ(よくある質問)以上の応答を行うことが可能です。
これは、自動音声システムによって発信者が音声やメニュー入力を利用して情報を受け取ったり、提供したり、リクエストを行ったりできる仕組みです。対話型AIを組み合わせることで、コンタクト・センターに電話してきた理由を特定し、個別のニーズに対応できるようになります。
画像認識AIの最新の革新により、新しいカメラ・アプリケーション・テクノロジーが誕生しました。カメラ・アプリケーションはAIを活用して手話やその他の非言語的な合図を認識し、言語モデルのデータと照合することができます。その結果、企業は聴覚障がいやその他の障がいを持つ顧客を支援できるようになりました。
カスタマー・サービスにおける対話型AIのユースケースや事例は多岐にわたりますが、代表的なものとして銀行業界、医療業界、通信業界の3つが挙げられます。
銀行は、口座残高や取引履歴から融資申請、不正検知に至るまで、日々膨大な数の問い合わせに対応しています。対話型AIは、こうした大量の問い合わせを処理し、24時間体制で顧客に応答します。今日、銀行の顧客はパーソナライズされた体験を期待しており、対話型AIは顧客の取引履歴に基づいて関連サービスを提供したり、ニーズに合わせた金融商品を推奨したりすることができます。
IBMの財務チームは、IBM® watsonx OrchestrateとIBM Apptio Enterprise Business Management(EBM)を活用して、手作業による仕訳入力に関する課題を解決しました。また、IBMのJobotxチームと協力し、繰り返し発生する手作業の仕訳手順をwatsonx Orchestrateアシスタントに落とし込みました。チームは、運用の合理化、AIを活用した洞察を取り入れた情報に基づく意思決定、安全でスケーラブルな環境での成長促進を目的として、watsonx Orchestrateを選択しました。
患者は、一般的な健康上の懸念への迅速な回答、服薬リマインダー、予約のスケジューリング、基本的な医療アドバイスを求めることがよくあります。AIチャットボットは、こうしたサービスを24時間提供できるため、診療時間にかかわらず、適切なタイミングで患者に対応できます。
対話型AIの機能は、患者記録の管理、フォローアップのスケジューリング、予防医療に関するリマインダー送信もサポートするため、患者体験全体や健康成果の向上につながります。これらのタスクを自動化することで、医療スタッフはより複雑な患者ニーズに集中でき、ケアの質を高めることができます。
米国最大級の保険提供企業であるHumana社は、IBM Watsonを導入し、老朽化したIVRシステムを刷新しました。同社はメディケア補完、健康保険、歯科保険、眼科保険、薬局補償を提供しており、IBMと協力して管理部門からの電話対応を効率化できる対話型アシスタントを開発しました。
通信業界は、料金プランの詳細、請求支払い、サービスのトラブルシューティング、技術サポートなど、顧客からの無数の問い合わせに対応していますが、AI搭載のチャットボットを活用すれば、顧客は即時に回答を得てリアルタイムで疑問を解決できます。さらに対話型AIは、パーソナライズされたオファー、利用状況のアラート、サービスのアップグレードなどを通じて、企業が顧客に能動的に働きかけることを可能にし、全体的なエンゲージメントを高めます。
IBM Institute for Business Valueのレポートによると、通信サービス・プロバイダー(CSP)におけるAIの役割は大幅に拡大すると予測されています。IBMはGSMA Intelligence社と提携し、世界のネットワーク経営幹部750人を対象に調査を実施しました。その結果、CSPは従来型AIの利用度が16%増加し、生成AIの利用度はほぼ19%増加すると見込んでいることが明らかになりました。
企業はプラットフォームやツールを選ぶ前に、対話型AI戦略を導入する最初のステップとして、そのテクノロジーを活用して何を得たいのかを明確にしなければなりません。例えば、顧客体験を自動化したい場合は、達成したい目的や解決すべき課題を具体的に定義する必要があります。
具体的には、ある企業が運用コストを削減しながら、現在在籍している人間のエージェントだけで顧客対応を行いたいと考えているとします。その場合、基本的な質問に対応し、より多くの問い合わせを迅速に処理できるAIエージェントが、導入すべき対話型AIの最適なタイプとなるでしょう。
最初のステップと並行して重要なのが、対話型AIが最も有効に活用できる領域を見極めるためのデータ分析です。企業は、不要なリソースを消費している大量または反復的な問い合わせが発生している領域を特定する必要があります。データを活用して現行のワークフローを評価し、顧客と人間のエージェント双方の体験を改善できる対話型AIツールを見極めることが求められます。
上述のステップを踏まえて、企業は既存のインフラストラクチャーや現在利用しているコミュニケーション・チャネルを詳細に確認する必要があります。その上で、既存のシステムやソフトウェアに容易に統合できる対話型AIツールを検討することが重要です。現行システムの評価が完了したら、次のステップは、この取り組みに対する利害関係者の支持を確保しなければなりません。
組織全体で支持を得られたら、次のステップは導入と展開にかかるコストを検討することです。中小企業であれば、すぐに利用できるノーコードのソフトウェアを選択するのがよいかもしれません。より大きな予算を組むことが可能な大規模な企業であれば、ビジネスのニーズに合わせて構築できるソフトウェアを検討することができます。ただし、このプロセスにはより多くの時間とリソースが必要になる可能性があります。
対話型AIソフトウェアの導入は、企業にとって重要な意思決定です。そのため、実証済みの拡張性とシンプルな導入を兼ね備えた適切なプラットフォーム・プロバイダーを選ぶことが不可欠です。企業は導入にかかる期間を把握し、その期間が自社のビジネスニーズと合致しているかどうかを評価する必要があります。また、プラットフォームの選定では、ユーザーのプライバシーとデータ・セキュリティーが優先事項となります。プロバイダーの例としては、IBMのほか、Salesforce社、Oracle社、Zendesk社、Amazon社などがあります。
対話型AIソフトウェアを導入したら、そのパフォーマンスを評価するためにデータと顧客フィードバックを収集することが不可欠です。フィードバックは、必要な調整を行って顧客体験を改善するうえで、企業にとっても顧客にとっても重要な役割を果たします。
AIシステムは明確かつ簡潔にコミュニケーションできますか。ユーザーは、AIが提供する応答を容易に理解できなければなりません。
また、可能な限り対話をパーソナライズすることが大切です。顧客の名前を使用し、これまでのやり取りに触れ、個別のニーズや課題に合わせた解決策を提示できるようにしましょう。
ユーザーからの連絡を待つのではなく、行動や好みに基づいてアップデートやリマインダー、役立つヒントを送るなど、積極的に働きかけましょう。
問い合わせがAIの対応範囲を超える場合は、人間のエージェントへのスムーズな引き継ぎを確実に行う必要があります。その際、対話のコンテキストを正確に引き継ぎ、シームレスに対応できるようにすることが重要です。
また、AIシステムは、新しいデータやフィードバックで定期的に更新・学習させることが重要です。このプロセスにより、精度が向上し、ユーザーの意図の理解が深まり、時間の経過とともに応答が洗練されていきます。
カスタマー・サービスに生成AIを使用することで、効率化とエージェント強化を実現できます。
いつでもどこでも即座に正確なカスタム・ケアを提供する対話型AIを使用すれば、標準的なサポートを優れたカスタマー・ケアに変えることができます。
生成AIを活用した優れたAIカスタマー・サービス用チャットボットを構築すれば、顧客体験を向上させ、ブランド・ロイヤルティーと顧客維持率を高められます。