ビジネス・オートメーションの基本
2021年5月12日
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ビジネス・オートメーションとは何か、そしてそれがなぜ重要なのか、さらにはそれを組織内でどのように活用できるのか、説明します。

数十年にわたり、自動化は、ATMから組立ライン、医療システムに至るまで、ほぼすべての業界に影響を与えてきました。しかし現在では、人工知能(AI)機械学習が、自動化をまったく新しいレベルに引き上げています。このいわゆる「インテリジェントな自動化」により、人間と機械のやり取りの方法が変化してきており、企業は効率を高め、収益を増やし、厳しい市場で成功することができます。

実際、研究によると、自動化によって莫大な収益が得られることが示されています。IBM Institute for Business Valueは、AIに支えられた自動化により、2022年だけで数十億ドルの労働価値が生み出されると予測しています。

この記事では、ビジネス・オートメーションの変化し続ける状況、そしてそれが今重要である理由、さらには組織内で自動化を使用する際に考慮すべき点、について説明します。

 
ビジネス・オートメーションとは

ビジネス・オートメーションは、反復的なタスクを実行するテクノロジー・アプリケーションの使用を表す用語で、これにより、従業員はより価値の高い仕事に専念することができます。これには、ビジネス・プロセス・オートメーション(BPA)、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA) 、AIを活用した自動化などがあります。

数年前、自動化には大規模なメインフレームと、それを保守する専門家チームが必要でした。今日では、クラウドベースの自動化プラットフォームにより、あらゆる規模の企業がこの機能を利用できるようになりました。以下に、ビジネス・オートメーションの一部を挙げます。

  • 基本的な自動化:基本的な自動化では、単純で初歩的なタスクを自動化します。基本的な自動化ツールは、コーディングをほとんどまたはまったく使用することなく、反復的なタスクをデジタル化することで、エラーをなくし、トランザクション作業のペースを加速するのを支援します。ビジネス・プロセス管理(BPM)とRPAは、基本的な自動化の例です。
  • プロセス・オートメーション:プロセス・オートメーションは、ビジネス・プロセスを管理して、統一性と透明性を実現します。専用ソフトウェアで処理されることが多いプロセス・オートメーションにより、生産性と効率が向上すると同時に、ビジネス上の貴重な洞察も得ることができます。プロセス・マイニングワークフロー・オートメーションは、プロセス・オートメーションの例です。
  • 高度な自動化:高度な自動化は、人間と機械を統合し、組織全体にわたる複数のシステムを統合します。より複雑なプロセスを支援する高度な自動化は、機械学習、自然言語処理および分析と組み合わせた非構造化データに依存します。専門的な作業の知識管理と意思決定のサポートを促進します。
  • インテリジェントな自動化:AIによるインテリジェントな自動化とは、機械が、遭遇し分析した状況に基づいて「学習」し、意思決定を行うことを意味します。例えば、カスタマー・サービスでは、AIを活用したバーチャル・アシスタントが、顧客と人間のエージェント間でのスマートなやり取りを可能にしつつ、コストを削減することができます。その結果、カスタマー・サービス・エクスペリエンスが向上します。
ビジネス・オートメーションが重要な理由

経営している企業の規模に関係なく、自動化は業務を合理化し、ビジネスの成長を促進する優れた方法です。自動化ツールは、人的労働を機械労働に置き換えるように設計されているため、そのような人材を他の事業で活用することができるようになります。

自動化の可能性を最大限に発揮するために、企業は、より高速なデジタル顧客体験の構築から、内部プロセスの簡素化に至るまで、すべてのワークフローにわたって、実証済みの自動化ソフトウェアとベスト・プラクティスを一貫して活用する必要があります。しかし、すべてのソリューションに、エンドツーエンドの業務を自動化するために必要なテクノロジーがすべて搭載されているわけではありません。これにより、多くのポイント・ソリューションが必要となるため、コストが増加し、拡張できなくなる可能性があります。

ビジネス・オートメーションのメリット

ビジネス・オートメーションは、急速に変化する世界にとって必要不可欠です。例えば、大きく変動する需要から、健康および安全対策の強化に至るまで、パンデミック後にどのような顧客行動が一貫して見られるかを予測するのは難しい場合があります。しかし、制御できる領域の1つとして、顧客のために生み出すエクスペリエンスをどう管理するかがあります。自動化、特にAIと組み合わせた自動化は、これらのエクスペリエンスを修正または改良するのに役立ち、その結果、売上の増加、リソースの有効活用、顧客満足度の向上につながります。

これを行うための最良の方法の1つは、自動化を支援する、次のような自動化プラットフォームを使用することです。

  • プロセスを発見する:業務の非効率性やホットスポットを特定し、自動化されたプロセスが最大の効果をもたらす箇所を割り出します。これには、プロセス・マイニングやモデリングが含まれます。
  • インテリジェンスを適用する:機械学習とAIで業務を自動化することによって得られるデータを活用し、アクションを推奨することで、より戦略的なタスクに人員を割くことができます。
  • 労働力を増強する:RPAツールを構築し、デジタルワーカーを導入することで、より高いレベルの生産性を実現できる場合やバックアップが必要な場合に人間と連携します。
  • 中核業務を自動化する:ドキュメント処理、ワークフロー・オーケストレーション、意思決定管理、コンテンツ・サービスといった、核となる自動化機能を、主要な業務分野に適用し、ビジネス・ニーズに対応します。
ビジネス・オートメーションの一般的な用途

ビジネス・オートメーションは、組織のほぼすべての領域においてプロセスを合理化するのに最適です。

  • マーケティング活動:Eメール・マーケティング・オートメーションにより、企業はソフトウェアを使用して、事前に定義されたスケジュールに基づいて顧客配信リストにEメールを送信し、手動でキャンペーンを実施するコストを削減することができます。マーケティング活動をカスタマー・リレーションシップ管理(CRM)システムに関連付けて、ソーシャル・メディアを介した自動メッセージをターゲットとなる顧客に送信するといったこともできます。
  • 人事:人事管理システムは、求人の応募処理、面接の日程調整、採用内定、入社手続き、給与管理、福利厚生管理など、幅広い人事タスクを自動化することができます。このシステムは自動分析により、従業員の生産性に関する洞察を提供することもできます。
  • 営業プロセス:Salesforceなどの営業自動化ツールやその他のSoftware-as-a-Service(SaaS)ツールを使用すると、営業チームは、取引関連のアクティビティーを記録する時間を減らし、商談を成立させるための電話をかける時間を増やすことができます。このようなツールは、購入プロセスに基づいた新規見込み客の特定、見込み客に適合する担当者への割り当て、データに裏付けられた販売予測など、販売プロセス全体で繰り返されるタスクを自動化できます。
  • 財務と会計:ファイナンシャル・プランニング機能や会計機能を自動化することにより、企業は分析、戦略、利害関係者との協力といった重要なタスクに時間を割くことができるようになります。例えば、買掛金(AP)管理では、データの自動取り込み、請求書とドキュメントの自動照合、承認の自動ルーティングなどが行われます。これにより、データのエラーが減少すると同時に、バックグラウンド制御を通じて不正行為を防止することができます。
ビジネス・オートメーション | IBM

IBMは、ビジネスおよびITの自動化に対応する単一のプラットフォームを提供することで、世界中の組織がこの両方を効果的に自動化できるよう支援します。例えば、スイスのある世界的な再保険会社は、IBMのソフトウェアを使用することで、四半期決算タスクを自動化し、四半期あたり40,000米ドルを節約しました。

IBM Cloud Pak for Business Automationは、これらすべてに対応できる強力なツールです。AIによって生成された推奨事項、影響を測定するための分析、ユーザーフレンドリーなローコード・ツールを提供する、この自動化プラットフォームにより、組織は手動プロセスに費やす時間を削減し、顧客の待ち時間を短縮することができます。IBM Cloud Pak for Business Automationを使用すると、反復的なタスクを排除し、より価値の高い作業にリソースを再割り当てすることができます。

IBMのAIを活用した自動化の詳細については、「インテリジェントなビジネス・オートメーションに関する購入者向けガイド」をご覧ください。

著者
IBM Cloud Education IBM Cloud Education