近年、生成AIの発展は業務効率化や新たなサービス創出をもたらす一方で、サイバーセキュリティーの世界にも大きな変化をもたらしています。特に注目されている「フロンティアAI」は、従来よりも高度な推論能力を持ち、ソフトウェアの脆弱性発見や攻撃コードの生成を飛躍的に高速化する可能性が指摘されています。
金融庁と日本銀行は2026年5月、「フロンティアAIによる脅威変化を踏まえた金融機関等の短期的な対応」を公表しました。そこでは、AIによって脆弱性の発見から悪用までの時間が大幅に短縮される可能性を踏まえ、フロンティアAIへの対応を経営課題として位置付けることをはじめ、優先システムの明確化やパッチ適用体制の強化など9項目の対応を金融機関へ要請しています。
このような環境変化の中で改めて重要となるのは、企業の重要データと基幹業務を保護しながら事業継続性を支える、セキュリティーとレジリエンスを兼ね備えたプラットフォームです。AIによって攻撃のスピードが加速する時代には、脆弱性悪用の機会そのものを減らす堅牢な設計と、侵害後の影響を最小化する多層防御がこれまで以上に重要となります。
なぜIBM Zは60年以上にわたり、金融機関や公共機関など社会インフラを支えるシステムの中核として選ばれ続けてきたのでしょうか。それは、企業にとって最も重要なデータの保護と事業継続を最優先に設計されたプラットフォームだからです。企業の中核業務を支える顧客情報や決済データ、勘定系データなどの重要データにおいてセキュリティー・インシデントが発生した場合、企業の信用失墜や社会的混乱を招き、事業継続そのものを脅かす可能性があります。IBM Zは設計段階からセキュリティーを組み込む「Security by Design」の思想に基づき、暗号化、認証、アクセス制御、監査性(トレーサビリティー)などの機能を継続的に強化してきました。
例えば、FIPS 140-2 Level 4認証を取得している耐タンパー性を備えた暗号ハードウェア、保存データおよび通信データを包括的かつ透過的に暗号化するPervasive Encryption、コンフィデンシャル・コンピューティングにより利用中データを保護するSecure Executionなど、多層防御を実現する仕組みを標準機能として備えています。また耐量子暗号への対応など、変化するセキュリティー要件にも継続的に対応しています。
しかし、いかに堅牢な基盤を備えていても、それさえあれば十分という時代ではありません。攻撃者はAIを含む新しい技術を活用しながら攻撃を高度化・高速化しており、従来の境界防御だけでは十分に対応できない脅威も増えています。こうした状況では、侵入を防ぐことだけを前提とした防御ではなく、侵入を前提に被害の最小化と迅速な復旧を実現するゼロトラスト型のセキュリティー・アプローチが重要になります。
IBM Zは、もともと備えている強固なアーキテクチャーに加え、こうした新しい脅威へ対応するための最新ソリューションを継続的に提供し、ゼロトラストを支える多層防御を実現しています。
金融システムでは長年、システム変更を極力抑え、同じ環境を長期間維持することで安定稼働を担保する考え方が一般的でした。しかし、AIの活用によって脆弱性の発見から悪用までの期間が大幅に短縮される時代においては「変更しないこと」そのものがリスクになり得ます。今後は、必要なセキュリティー・パッチや機能更新を適切な優先順位で迅速に適用し、環境を継続的に最新の状態へ保つことが重要になります。すなわち、変化を前提としながら安定運用を維持するという考え方への転換が求められています。そのためには、アップグレードやパッチ適用に伴う運用負荷を低減しながら、継続的にセキュリティー強化を実現できる、柔軟性とレジリエンスを備えた運用モデルが必要です。IBM Zでは、AnsibleやTerraformといった業界標準ツールへの対応により、Infrastructure as Code(IaC)を活用した構成管理・運用の自動化・簡素化を支援するとともに、watsonx Assistant for ZによるAIを活用した運用効率化を通じて、継続的なシステム変更を支える基盤を提供しています。
IBM Zは、高度化・高速化するサイバー脅威から企業の重要な資産を保護するとともに、変化するセキュリティー要件へ継続的に対応しながら、柔軟性とレジリエンスを兼ね備えたプラットフォームとして、お客様の事業継続を支えていきます。