「ありがとう」の積み重ねがキャリアにつながる

仕事は積極的に自分から手をあげることの繰り返し「ありがとう」を原動力に

最初の10年は主にデータベースの担当者として、プロジェクトに参加したり製品サポートをしていました。正直あまり将来どのようになりたいとかあまり考えず、先輩の後ろをひたすらヒヨコ歩きしながら、目の前のお仕事を頑張る毎日でした。

10年目に家族の都合をきっかけに米国に行くことになり、ニューヨーク州ポケプシーの開発拠点、ソフトウエアパフォーマンスの部門で仕事をすることになりました。チームには各製品の専門家が存在し、英語力も十分でない中、どうしたら、自分がチームに必要な人になれるのかを模索しました。担当者やロールの狭間を見つけては、自分から積極的に、手を挙げることを繰り返しました。アウトプットへのフィードバックや日々の小さな「ありがとう」の言葉を励みに、徐々に自分の持ち味やスキルをチームにも理解してもらうことで、やっと本当の意味でチームの一員になれたなと実感しました。

子育てと両立できる環境に支えられ、新しい分野の技術部門のマネージャーにチャレンジ

帰国後にはアジアの社内プロジェクトのプロジェクトのリーダーを経験、その後に子供を出産し復職しました。復職の際は、時間の使い方、子供の急病の際の乗り切り方や、誰かにお世話になった時の配慮の仕方など仕事との両立に関して実用的なアイディアをくれる先輩がたくさんいるおかげで、自分もやれるかなという気持ちになれました。
その後、技術部門のマネージャーのお話をいただき、子供もまだ3歳で、正直不安な中、「やってみたら」アドバイスに背中を押され、全く経験のない分野に挑戦することになりました。新しい分野での活動は一から勉強の毎日でしたが、支えてくれるメンバーに敬意を払い、今度は「チームとしてのありがとう」を一つひとつ積み重ねることでビジネスの幅が広がりました。

新しいチャレンジを支えてくれたのは部門のメンバーに加えて、女性技術者コミュニティーCOSMOSの存在があります。それまで仕事の上のコミュニケーション範囲が狭かった私にとって、部門横断型のこのCOSMOSによって様々な視点を学び、アドバイスを受け、同じ悩みを分かち合い、励ましあえる貴重な場となりました。この経験で「仕事は一人でするものではない」と学び、与えられた新しいチャレンジを期待と受けとめ、まずはYesで応えようと考えるようになりました。

悩んだら日頃の仕事の枠を超えて相談してみてほしい

そして、いくつかのマネージメント職を経てハードウェア分野の技術者を統括する今、どうしたら、メンバーの一人ひとりが、スキルを磨き、次の一歩を歩んでもらえるのかを考えています。また、自分が今まで歩いた軌跡と知識だけでアドバイスをすることに限界を感じ、昨年国家資格のキャリアコンサルタントの資格を取得しました。それからは社外の人とのつながりが大きく広がり、様々な視点や選択肢からメンバーの育成やキャリアと向き合えるようになりました。

日々の相談の中で感じていることは、人は悩むと一つの考えにとらわれてしまうことがあるかなと。そういったときに、もう自分はできないとかダメだぁ。と思ってしまうことがありますね。そんなときには日頃会話をする半径5メートルを超えて、違う立場や視点を持った人に相談したりアドバイスを受けると、新たな気づきがあると思うのです。

女性技術者コミュニティーCOSMOSのエグゼクティブアドバイザーとして大切にしたいこと

最近では、復職明けの社員へのアドバイスや次世代のリーダーの育成に関わっていますので、メンバーが新しいチャレンジをしている姿は、これからの展開を想像してワクワクします。こういった活動は継続が大事。多くの先輩が育んだコミュニティーを大切に継承し、これからも組織の枠を超えて、人とスキルを繋げていく活動をしていきたいですね。

キャリアは、環境や時流に応じて変化していくものであり、一直線ではないと思います。みなさんそれぞれの「私らしいキャリア」や「活躍の場」を考えるご参考になればと思います。

執筆者

大久保 そのみ

日本IBM システム製品事業本部 ソリューション事業部 事業部長 理事、COSMOS エグゼクティブアドバイザー