コードを打ちながらパソコンを操作するアジア系の女性

変化の時代に必要なのは「学び続ける力」-IBM SkillsBuildで広がる学生の選択肢

テクノロジーの進化は、社会や産業構造だけでなく、「学び」そのものの前提を大きく変えつつあります。AI、データ、デジタル技術が急速に社会に実装される中で、これから社会に出る学生世代に求められる力も、従来の延長線上にはありません。いま問われているのは、何を学んだかではなく、変化に応じて学び続けられるかどうかです。

スキルを巡る環境変化

急速に変化するスキル需要

IBM Institute for Business Value(IBV)のレポートが示すとおり、多くの職種において、必要とされるスキルは短いサイクルで更新されています。AIやデータ活用は、もはや一部の専門職に限られたものではなく、あらゆる分野における基礎的な素養となりつつあります。こうした変化は、教育と産業の関係性にも大きな影響を与えています。

日本における教育政策の動向

日本の大学教育においては、文部科学省を中心に「数理・データサイエンス・AI教育」の推進が進められており、分野横断的な学びをすべての学生に提供する取り組みが広がっています。ここで重視されているのは、特定の技術の習得にとどまらず、理解し、判断し、応用する力を育むことです。大学生は今、知識を受動的に習得する立場から、主体的に学びを設計する立場へと移行することが求められています。

「学び続ける力」という競争力

変化が常態化した社会において、一度身につけた知識やスキルが長期にわたって通用する保証はありません。だからこそ重要なのは、自律的かつ継続的に学ぶ姿勢そのものです。現在、学習リソースは豊富に存在しています。しかし重要なのは情報量ではなく、自らの関心や目的と結びつけて学ぶことです。短時間の学習を積み重ね、分野を横断しながら知見を更新していく。そうした学びの在り方は、IBMが提唱する継続的学習の考え方とも通じます。学習は到達点を持たないプロセスであり、その積み重ねが個人のキャリアの選択肢を広げていきます。

AI時代に求められる4つのコア・スキル

AIの進化により、多くのタスクは自動化・高度化されつつあります。一方で、人間に求められる役割は、より明確になってきました。IBM 技術理事(DE)のJeff Crumeは、AI時代において価値を発揮し続けるためのスキルとして、次の4つを重要な要素を説明しています。

1. Adaptability / Flexibility ― 変化に適応する力

テクノロジー、ビジネス環境、社会課題は常に変化しています。その中で重要なのは、特定のツールや手法に固執するのではなく、変化そのものを前提として行動できる柔軟性です。AIは「正解」を提示しますが、人間には「いつ方向転換すべきか」「何を捨て、何を活かすか」を判断する役割が求められます。変化に対して身構えるのではなく、学びながら適応していく姿勢そのものが競争力となります。

2. Lifelong Learners ― 学び続ける姿勢

AI時代において、学習は「一度完了するもの」ではなくなりました。新しい技術や考え方が登場するたびに、自身の知識を更新し続ける必要があります。ここで重要なのは、大量の知識を蓄積することではありません。学ぶ理由を理解し、自分の関心と結びつけながら学び続ける力です。短時間の学習を積み重ね、必要に応じて分野を横断していく。そうした学習スタイルこそが、Lifelong Learningの本質であり、長期的なキャリア形成を支えます。

3. Critical Thinking ― 判断する力(Making Decisions)

AIは膨大な情報を処理し、選択肢を提示します。しかし、最終的に意思決定を行うのは人間です。そのためには、

  • 情報の前提を疑う
  • データの背景や文脈を理解する
  • 複数の選択肢から最適解を判断する

といった批判的思考(Critical Thinking)が欠かせません。「AIがそう言っているから」ではなく、「なぜそう判断したのか」を理解し、責任を持って意思決定できる力が、AI時代のリーダーシップの基盤となります。

4. Creative ― 全体を俯瞰し、意味を見出す力

創造性は、単なるアイデア出しにとどまりません。物事を部分ではなく全体(Big Picture)として捉え、異なる要素を結びつけ、新たな価値を生み出す力です。AIは既存のデータからパターンを見出すことに長けています。一方で、社会的背景や人間の感情、倫理や価値観を踏まえ、「どのような未来を描くのか」を考えることは人間の役割です。創造性とは、正解のない問いに向き合い続ける力でもあります。

学び続ける力を、実践へとつなげる

これら4つのスキルに共通しているのは、単一の講義や知識習得だけでは身につかないという点です。学び、試し、考え、また学ぶ。この循環を支える学習基盤として、IBM SkillsBuildは設計されています。

IBM SkillsBuild:学びへのアクセスを社会に開く取り組み

IBM SkillsBuildは、IBMが社会貢献活動(CSR)の一環として提供する、スキル習得のための学習プラットフォームです。AI、データ、クラウド、サイバーセキュリティ、サステナビリティなど、現代社会に不可欠な分野を体系的に学ぶことができ、学習成果はデジタルバッジとして可視化されます。IBMは、IBM SkillsBuildを通じて世界で3,000万人の学習支援を目指しており、学ぶ意欲を持つすべての人に機会を提供しています。

大学生に推奨したいIBM SkillsBuildコース

以下は、大学生が今後の学びを考える上で有用なコースの一部です。IBM SkillsBuildのコースはインターネットを通じてオンライン学習教材として提供され、すべて無償で利用できます。(IBM SkillsBuildのサインアップ画面が開きますので、サインアップまたはログイン頂くとコンテンツが確認できます)

IBMとNASA:AIを高度化して地球をより安全に(10分)

気候変動や防災といった地球規模の課題に対して、AIとデータがどのように活用されているかを理解できるマイクロラーニングです。

AIでスポーツ・ファン体験を変革する(約1時間15分)

身近なスポーツ分野を題材に、AIが体験価値をどのように再定義しているかを学びます。

生成AIにおける倫理的配慮(約1時間30分)

生成AIの活用において不可欠な、透明性・公平性・責任について体系的に理解します。

AIリテラシー(約4時間/デジタルバッジ)

AIの基本概念と社会的影響を包括的に学ぶ入門コースで、幅広い専攻の学生に適しています。デジタルバッジを取得可能なコースです。

Make Agentic AI Work for You(約4時間/デジタルバッジ)

AIエージェントやRAGなど、次世代AI技術を実践的に学ぶプログラムです。こちらもデジタルバッジを取得可能なコースです。

学び続ける力が、未来を切り拓く

キャリアの選択肢が多様化する一方で、不確実性も高まっています。こうした時代において、学び続ける力は、個人にとって最も持続的な資産となります。IBM SkillsBuildは、その第一歩を社会に開き支える取り組みです。小さな学習の積み重ねがやがて大きな可能性となり、未来を広げていきます。IBMは、 IBM SkillsBuildを通じて大学におけるAI教育の強化と大学生のAIスキル習得への支援を実施することで、次世代のテクノロジー人材の育成に取り組んでいます。こうした取り組みは、個人の学びを支えるだけでなく、社会全体の持続的な成長にもつながるものです。

大学等の学生向け教育機関で活用をご検討の際はこちらのページをご参照ください。
 https://skillsbuild.org/ja/organizations-supporting-college-students

寄稿者

佐藤 裕美

IBM Corporate Social Responsibility Manager

IBM Japan

大津 真一

IBM Corporate Social Responsibility Manager

IBM Japan