日本IBMとKyndryl(キンドリル)には、障がいのある社員とアライ社員(味方として当事者を支援する社員)が一緒に活動をする「PwDA+(ピーダブルディーエープラス=People with Diverse Abilities Plus Ally)コミュニティー」があります。
2022年9月中旬には、2019年のコミュニティー発足依頼初となるキャンペーンウィーク「PwDA+ Week」を開催し、複数のアライの輪を広げるための特別イベントなどを行いました。
今回は、前半でキャンペーンウィークでのイベントの様子と参加者からの声を、そして後半では、厳しめのフィードバックをどのように受け止め、より良い活動につなげていくための意見交換会の様子をご紹介します。
ダイバーシティー&インクルージョン(D&I)に興味をお持ちの方や、より公正(エクイティ)な社会への取り組みを進めている方にぜひお読みいただきたい内容です。
日本IBMには、10年弱の歴史を持つ障がいがある学生向けの有償インターンシッププログラム「Access Blue Program」があります。
この日、半年にわたるビジネス提案やアプリ開発を、そしてカリキュラム最後の2週間の事業部オン・ザ・ジョブ・トレーニングで実践体験を終えたインターン生たちが、7カ月にわたる学びと経験の発表を行い、無事にプログラムを卒業しました。
聴覚や下肢などに障がいがあるPwDA社員2名が、仕事や日常においてどんなことに困っているのかについて、そしてその解決に向けてどのような取り組みや工夫をしているかを、講演形式で共有しました。
イベント参加者からの声
PwDA+コミュニティーメンバーが、LGBTQアライやビジネスケアラー(介護)コミュニティーのメンバーと共に、「どのような時にマイノリティーと感じるか?」「どんな会社に、そしてどんな社会になっていって欲しいか」などを、パネルディスカッション形式で話し合いました。
イベント参加者からの声
参加者からたくさんのポジティブなフィードバックをいただいた一方で、PwDA+コミュニティー事務局にはいくつかの懸念や疑問なども届きました。
私たちはそうした声をしっかりと受け止め、一緒に考えていくことこそがインクルーシブな社会への重要な一歩であると考え、声を届けていただいた方と意見交換会を行いました。
以下、とりわけ大切だと思われるポイントについて、共有させていただきます。この記事をお読みいただいている皆さまのご意見も聞かせていただければ幸いです。
アライ宣言について
イベント中に「当事者を応援したいと思われる方は、ぜひ気軽にアライ宣言をして欲しい」と伝えていましたが、アライ宣言をしてくれる人を増やすことが目的化していないだろうか? 理念や取り組みを十分理解してもらい、その上で宣言してもらうことが大切なのでは?
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
職場におけるDE&I(Diversity=多様性、Equity=公平性、Inclusion=包括性)の意義について
職場においては大切なのは「みんなが最大限のパフォーマンスが出せる環境をみんなで作る」ことであり、PwDA支援は間違いなく重要だが、マイノリティーの種別によっては職場での支援は必要ないのでは?
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
マイノリティーを受け入れられない人の立場について
マイノリティーを受け入れられない人がマイノリティーとなり、発言しにくい立場に追い込まれていないか? 肩身の狭い思いをしていないだろうか。
PwDA+コミュニティー事務局内の意見
意見交換会の最後には、声を届けていただいた方から「相手がマイノリティーだからアライとして支援したいということではなく、困っている人が身近にいたら、それがどんな状態や状況の方であっても手を貸したいし、力になろうと思える自分たちでいたい」という言葉をいただき、参加者全員が深く頷いていました。
それが現実となり、DE&Iが深く浸透した未来では、もはや「アライ宣言」は意味のないものとなることでしょう。私たちの活動が、そういう社会に一歩でも近づくこととなるよう、今後も対話と発信を進めていきます。
執筆者
八木橋 パチ
日本アイ・ビー・エム株式会社 Collaboration Energizer