第2回 TBMの基本 ― お小遣い帳から学ぶビジネス最適化

FinOpsとTBMの概念を示す、相互に接続されたクラウドサービスのアイコン
五領 舞衣

ITスペシャリスト,ハイブリッドクラウド・プラットフォーム、デジタル事業部,日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社

戸田 ゆかり

ストラテジック・コンサルタント、ハイブリット・クラウド&データ,コンサルティング事業本部,日本アイ・ビー・エム株式会社

小林 武彦

ITアーキテクト、AIOps Technology,コンサルティング事業本部,日本アイ・ビー・エム株式会社

テクノロジー・ビジネス・マネジメント(TBM)とは?

「ママ、お小遣いをもう少し増やして!」

こんなふうにお願いしたことはありませんか? でも、母親に「何に使うの?」と聞かれ、うまく説明できずに却下された経験があるかもしれません。

実は、このやり取りは企業のIT予算の管理とそっくりです。

企業では、IT部門が「もっと予算が欲しい」と言い、事業部門や経営層が「何に使うの?」と問います。

ここで重要なのが、「コスト削減」だけでなく、「ビジネス価値を最大化するための投資」を考えることです。

この考え方を支えるのがテクノロジー・ビジネス・マネジメント(TBM)というフレームワークです。

TBMの全体像は、「図:TBMの全体像」参照。

TBMの全体像

お小遣い帳=ITコスト管理の縮図

お小遣いをもらう子どもと、IT予算を管理する企業。意外と共通点があります。

 子どものお小遣い帳企業のITコスト管理
収入お小遣いIT予算
支出お菓子、ゲーム、文房具・本などクラウド利用料、ソフトウェアライセンス、人件費など
可視化支出の記録ITコストの可視化

あなた(IT部門)が「お小遣い(予算)が欲しい!」と言うだけでは、母親(事業部門)には伝わりません。しかし、「友達と遊ぶための交通費が必要」「本を買って勉強するため」など、具体的に説明できれば納得してもらいやすくなります。

TBMの可視化は、単なる見える化ではなく、意思決定者に必要な情報を提供することを意味します。

コスト削減だけではダメな理由

例えば、あなたが毎月1,000円のお小遣いをもらっているとします。ある日、母親が「今月から800円にするわね」と言いました。

「えっ、なんで?」と驚くと、「節約しないといけないからよ」との答え。

確かに節約は大切ですが、突然の減額は影響を及ぼします。

  • お菓子を削る → 友達と楽しい時間を過ごせなくなる
  • 文房具を削る → 勉強に支障が出る
  • 貯金を削る → 将来の準備ができなくなる

企業のIT部門でも、単にコスト削減するだけではなく、どの投資がビジネス価値を生み出しているのかを考えることが重要です。

  • セキュリティ対策を削る → サイバー攻撃のリスク増
  • システムのメンテナンス費用を削る → 業務効率低下
  • 新技術投資をやめる → 競争力低下

だからこそ、TBMを活用し、コストと価値のバランスを取ることが求められます。

まとめ:TBMで「ビジネス価値を最大化するための投資判断」を!!

お小遣い帳をつけることで、母親との交渉がスムーズになるように、TBMを導入すると、企業のITコスト管理が劇的に改善されます。

  • 可視化(TBM分類体系(タクソノミー)とメトリクス)が事業部門とIT部門の共通言語になる
  • 単なるコスト削減ではなく、最適な投資判断が可能になる
  • 適切な交渉により、IT部門と経営層の関係が改善される

今回は、TBMの概要を説明してきました。次回はTBM実装の”こつ”をご紹介します。

もしTBMに興味をお持ちでしたら、IBM Consultingをご活用ください。専門家チームが、ITを最大限に活用しビジネス価値を最大化するための取り組みを全力でサポートします。

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