IBM Quantumのアクセス・プランに新たに加わったフレックス・プランは、大きな成果を目指して自分の望むペースと規模で量子コンピューティングの研究を行うのに適しています。
この記事ではIBM Quantumフレックス・プランをご紹介いたします。このプランは、IBM Quantumハードウェア上での実験を柔軟かつ簡単に実行できるように設計された新しいアクセス・モデルです。フレックス・プランには月毎の利用量という制約がなく、組織や研究者がプロジェクト単位で量子コンピューティングを探求するための強力な新しい方法を提供します。
ユーザーはフレックス・プランを使用して、大きなインパクトを狙った研究を自分のペースと規模で実施できます。ユーザーは料金を支払って確保した計算容量を効果的に利用できます。実験を行う準備ができたらすぐに最新のIBM Quantumシステムとツールにアクセスでき、IBM Quantumプレミアム・プランのユーザーが享受しているのと同じレベルのサービスをすべて利用できます。
IBM Quantumフレックス・プランは、IBMの量子システムへのアクセス・プランに加わった新しい選択肢です。
概要: フレックス・プランは、IBMの量子コンピューター群にプロジェクト単位でアクセスするように設計された新しいアクセス・モデルです。
仕組み: ユーザーは、IBM量子コンピューターへのアクセスを分単位の時間で事前に購入し、プレミアム・プランのユーザーと同じようにIBM Quantumシステムとサービスにアクセスできます。
対象者: ユースケースの例としては、利用がある期間に集中する企業クライアント、研究助成金を効率的に活用したい研究者、学期の一部期間のみ量子システムへのアクセスを必要とする講義を持っている教員などがあります。
費用: フレックス・プランを使用すると、30,000米国ドルからのエントリーでプレミアム・プランと同様レベルの量子システムにアクセスできます。
利用開始方法: プライシング・ページにアクセスして詳細を確認し、新しいフレックス・プランのオファリングにサインアップしてください。
9年前の2016年5月4日、IBMはクラウド上で量子コンピューティングを提供する最初の企業となりました。今日、私たちは一連のクラウド・オファリングを通じて、世界で最も強力な量子コンピューターへのアクセスを提供し続けています。これらの複数のアクセス手段をIBM Quantumアクセス・プランと呼んでいます。
私たちは当初から、できるだけ多くの人が量子コンピューティングを利用できるようにすることに取り組んできました。それが、最近更新したオープン・プランによって量子コンピューターへの無料アクセスを提供している理由です。無料プランの範囲を超えたアクセスが必要なお客様には、使用量の秒数に応じて後払いで請求が行われる従量課金プラン(Pay-As-You-Goプラン)と、より長い契約を希望するお客様に規模のメリットを提供するサブスクリプション・ベースのプレミアム・プランを提供しています。
しかし一方で、量子コンピューティングの研究開発を、予測しにくいプロジェクト単位の進め方で進めているユーザーもいらっしゃいます。研究サイクルのピーク時や主要な学会に向けた提出準備などで、計算需要が集中する傾向にあるユーザーもいらっしゃいます。また、スタートアップ企業や学術グループなどの研究者の中には、複数年にわたった完全な研究計画にコミットする前に、複数の量子ユースケースを検討してみたいユーザーもいるかもしれません。
言い換えれば、1年のうちのかなりの期間で量子計算リソースをまったく必要としない研究者もいるということです。しかしそんな人でも、タイミングが来た時には、IBM Quantumプレミアム・プランを通じて提供されているのと同じ、高性能な量子システム、ソフトウェア、サービスへのファースト・クラスのアクセスが必要になるのです。
フレックス・プランは、そんなユーザーの皆様に向いています。
フレックス・プランは、量子コンピューターのプロジェクト単位での実行のために設計されたアクセス・モデルです。これは、IBM量子コンピューターへの時間集中的なアクセスを必要とする組織、企業、研究者に最適です。
フレックス・プランの主な利点は次のとおりです。
フレックス・プランは前払いで購入し、契約期間中に必要に応じて消費されます。
IBMは、プロジェクト単位で計算負荷の高い量子ワークロードに取り組む企業クライアント、研究チーム、開発者をサポートするようにフレックス・プランを設計しました。フレックス・プランでユーザーは事前購入した時間を年間の好きな時に消費できるため、プロジェクトがアクティブな時のピーク利用に柔軟に割り当てることができます。
フレックス・プランの潜在的なユーザーには、化学、機械学習、最適化などの分野で主要なワークロードを試験的に運用する専門チームや、新しい量子アプリケーションを探求するスタートアップ企業の研究者が含まれるかもしれません。学術研究者や大学の研究室は、研究資金調達のサイクルやレベルに合わせてフレックス・プランを選択でき、教育者はそれを使用して大規模な量子コンピューティングを教えることができます。
フレックス・プランへのアクセスに適したプロジェクトの例として、次のものがあります。
プロジェク |
説明 |
実用規模の | 実用規模の量子コンピューティングの最先端研究には、学習やエラー緩和のオーバーヘッドを含め、しばしば数百分の実験が必要です。フレックス・プランでは、このようなピーク時の実験を月ごとの制限に縛られることなく実行できます。 |
新機能の研 | 新しいエラー緩和やコンパイル戦略などの新しい手法を構築する研究者には、迅速に実験を反復したり、徐々に規模拡大したりするのに適したプランが必要です。 |
産業ユース | フレックス・プランを使用すると、企業クライアントは、実用規模の課題において新規の、あるいは既存の量子アルゴリズムを試して、量子優位性を探求することができます。お客様の属する業界での潜在的ユースケースを検討するのに、IBM Quantum AcceleratorプログラムでIBMの伴走を利用して頂くこともできます。 |
大規模な教 | フレックス・プランは、多数の学習者が同時に量子コンピューターへのアクセスを必要とするような組織的な学習プログラムにも有用です。このプランを利用して教育機関は計算時間をまとめて購入し、チームに分配することができます。 |
より大きなインパクトへの加速
フレックス・プランは、始めたばかりのユーザーから、大きなブレークスルーに向けて準備を進めているユーザーまで、幅広いユーザーがIBMの高度な量子システムやツールにアクセスするための扉を開きます。これは、既存のアクセス・オファリングである従量課金プラン(Pay-As-You-Goプラン)とプレミアム・プランを補完し、IBM Quantumをよりアクセスしやすくして、量子コミュニティーの多様なニーズに応えるのに役立ちます。フレックス・プランは、お客様の研究のスピードとスケールでアクセスを可能にすることで、アカデミア、スタートアップ企業、産業界全体で量子イノベーションを加速させると信じています。フレックス・プランの詳細を確認したり、研究での利用を開始したりするには、 こちらのプライシング・ページをご覧ください。
この記事は英語版IBM Researchブログ「Enable your project-based research with the new IBM Quantum Flex Plan」(2025年5月5日公開)を翻訳し一部更新したものです。