本記事では、人的資本経営を実際に推進していく中で、企業が直面する課題とそれに対するIBM流の組織人材変革のアプローチついてご紹介します。
人的資本経営が注目を集める中、企業は「人」への投資を、戦略的かつ実効性のある形で行う必要性に迫られています。その実現の鍵として、AIとテクノロジーを活用した新たな“従業員体験”が注目されています。
そのひとつは、従業員が社内で問い合わせを行う際の体験の再定義です。従業員がもつ疑問に対し、ワンストップでのスムーズな解決を可能にする「統合型人事サービス」が求められています。既に、人事情報やTo Do、通知を個別最適化して提供する機能、AIチャットボットによる自動応答や申請処理を担う機能、仮想空間上での対話によって温かみのあるサポートを再現する機能を備え、より高度で個別性の高い問合せには専門担当者が対応する構成の事例がでてきています。従業員にとって自律的な自己解決が可能になると同時に、必要な場面では的確かつ丁寧な有人対応も受けられる、まさに人とテクノロジーの融合がもたらす、新たな従業員体験です。
また、人事プロセスに関わる新しい従業員体験も既に実現できています。IBMのビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)ではAIを業務設計の前提とする“AI First BPO”という思想のもと、徹底した業務自動化とインテリジェンスの実装が進んでいます。人事担当者がAIと対話しながら業務を進めるAI Agent、複数のAI Agentが連動して業務を自律的に遂行するエージェント型AI (Agentic AI)の活用によって、人が行う必要がない業務の自動化範囲は飛躍的に拡大するとともに、人が行う業務を高度化(インテリジェンスを提供)します。それにより、飛躍的に業務・サービスの生産性・品質・価値を向上させることが可能となり、エンドユーザーである従業員は様々な人事イベント(入社、結婚、出産、休職、転勤等)においてスピード感のあるサービスを受けることが可能です。
AIと人、双方の強みを生かしたこれらの取り組みは、従業員にとって体験の質を新たなステージに高めます。
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人的資本経営の根幹をなすのが、「人材活用の最大化と最適化」であることは、もはや疑いのない共通認識となりつつあります。ここで問われるのは、人材をいかにして企業変革の中心に据え、価値創出の原動力として活かすことができるかです。
IBMが提供する転籍モデルや合弁会社モデルを活用したサービスは、人的資本を再定義するうえで非常に実践的かつ戦略的なアプローチとして注目されています。企業の業務と人材を一体でIBMが受け入れることで、業務プロセスの標準化とコスト構造の最適化を実現するのみならず、それを担う人材に対しても新たなキャリアの可能性を拓く仕組みです。従来の業務領域やポジションに留まる人材はIBMが提供するリスキリングサービスを通じ、AI活用や自動化、プロセス改善などのスキルを体系的に習得し、業務をより高度に遂行する"変革推進の担い手"へと成長することができます。また、異なる業務領域にチャレンジする人材には、新たな専門性を発揮する機会を提供します。いずれの場合も、人材の価値を見直し、未来に向けた役割へと転換させる取り組みであり、人的資本の活性化と最適化を同時に実現する変革施策です。
一方、委託企業側に残る人材にも大きな役割が期待されます。特に中核人材・優秀層に対しては、業務の選択と集中が進む中で戦略遂行に直結する高付加価値業務への“上方シフト”が促されます。より大きな裁量と責任が与えられ、企業の将来を牽引する存在として再設計されていきます。高度人材の育成と戦略的配置は、人への投資対効果を高めるうえで、欠かせない要素となっています。
IBMの転籍モデルや合弁会社モデルを活用したサービスは、人的資本の可視化・最適化・高度化を三位一体で実現する、変革志向の人材活用モデルです。人材を「活かし、成長させ、変革を起こす」ための構造的な仕掛けが、そこにはあります。機会提供とリスキリングを軸としたアプローチは、まさに人的資本経営への進化を力強く支える、有効かつ前向きな選択肢と言えるのではないでしょうか。
戦略的データ活用の確立は人的資本経営の実現には必須ですが、多くの日本企業においては、戦略に直結する人材データの未整備や最新化の欠落等があり、意思決定や施策に活かせないといった課題が依然として存在しています。
この課題に対しIBMが提供するのは単なるタレントマネジメントシステムの導入支援にとどまりません。その真価は、周辺に広がる人事オペレーション全体を包括的にBPOとして担える実行力と継続的な運用支援にあります。データ整備・メンテナンス、レポーティング、ワークフロー管理、ユーザーサポートといった煩雑で継続的な業務をIBMが引き受けることで、人事部門はルーティン業務から解放され、戦略的判断や人材活用に集中できる環境が整います。
単なるアウトソーシングではなく、戦略に資するデータ活用を支える“オペレーション・インテリジェンス”を提供するアプローチは、システム導入後に多くの企業が直面する「運用の立ち上げが軌道に乗らない」といった課題に対しても、業務現場に寄り添った支援を重ね、ユーザー視点に基づく活用促進や継続的な改善提案を通じて、現場で“使われる仕組み”を実現します。導入後の仕様変更や機能改修・追加といったニーズにも柔軟に対応し、単なるツール導入で終わらない、本質的な業務変革を支援します。
加えて、IBMはタレントアクイジション(優秀人材獲得)領域においても、企業の採用力強化を包括的に支援しています。単なる業務代行ではなく、お客様の採用チームの一部として、戦略的に人材獲得活動を推進します。LinkedInや業界特化型プラットフォームを活用した候補者の探索に加え、AIとデータを活用し、候補者の行動や嗜好を分析しながら、個々に最適な接点とタイミングでエンゲージメントを構築する「候補者中心」のアプローチを採用します。これにより、優秀な人材をより効果的に惹きつけ、企業にとって真に価値あるタレントとのマッチングを実現します。
IBMは採用プロセス全体を設計・実行する能力を有していることから、求人設計からソーシング、面接、選考、内定後のオンボーディングに至るまで、各段階での最適化と高度な候補者体験を実現でき、企業文化や戦略と整合した、持続可能な人材獲得モデルを提供します。
人的資本経営の推進にあたり、AIとテクノロジーによる新たな従業員体験の創出や、人材の活用・成長・最適配置の実現は欠かせない重要なパーツです。従業員と企業の双方に新たな価値をもたらす未来志向の施策が、今まさに動き出しています。次回以降は、より具体的なアプローチや成功事例をご紹介します。
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