成功する組織が追うべきカスタマー・サービスの動向

2023年12月15日

読了時間:4分

カスタマー・サービスの最新動向に注意を払うことで、組織は変化する顧客の期待に応える準備ができます。

新型コロナウイルス感染症のパンデミック、社会的影響、ブランド乗り換えの容易さなどにより、顧客ロイヤルティは低下しつつあります。組織は顧客満足度を向上させ、高まる顧客ニーズを満たすために、これまで以上にカスタマー・サービス体験の変化を把握し続ける必要があります。

2023年のガートナーの調査によると、指導的立場にある人の58%が(リンクはibm.com外)最も重要な目標の1つはビジネスの成長であると回答しました。カスタマー・サービスはこの戦略に欠かせない要素です。優れたカスタマー・サービスはブランド・ロイヤルティを高めてくれますが、悪いカスタマー・サービスは顧客維持を損なう可能性があります。優れた顧客体験の提供が、組織の競争力を保つ最良の方法なのです。

組織が重視すべき7つの新しいカスタマー・サービス動向

優れたカスタマー・サービスを実現するために組織に求められるのは、顧客のニーズと期待がどこで発生してもそれに応えることです。

1.高まるオムニチャネル・サポートの重要性

顧客エンゲージメントは複数のチャネルにわたって継続的に発生します。そのためカスタマーサクセスを達成するには、カスタマー・サポート・チームがコールセンター、テキストメッセージ、ソーシャルメディア、Eメールを通じて顧客と対話する必要があります。組織は顧客の好みに応じて、各チャネルに適切なリソースを割り当てなければなりません。

2. セルフサービスへの移行

組織がコンテンツ・ライブラリやナレッジ・ベースを構築したので、サポート担当者とやり取りするよりセルフサービスを好んで選ぶ顧客が増えています。電話やメッセージで人とのやり取りを望む顧客もいますが、可能であれば自分で問題を解決したいと考える顧客もいます。

3. 人工知能の台頭

これからは、新しいテクノロジーがカスタマー・サービスの未来を形作ります。人工知能(AI)の利用で、組織内すべての部門の運営方法が変わるかもしれません。しかし、最も大きく変化する可能性があるのはカスタマー・サポートです。たとえば現在、組織は対話の成功率を高めるために、生成AIを備えたチャットボット(またはボット)を導入しようとしています。

また機械学習を使い、顧客の問題に関する履歴データをより適切に分析してFAQの価値を高めたり、通話スクリプトを改善したり、組織が積極的に解決できる新たな問題を特定したりすることもできます。機械学習でワークフローを改善できるので、カスタマー・サービスの担当者はテクノロジーを活用して顧客の問題をより効率的に解決できます。

4. シンプルなオートメーションの利用

カスタマー・サービスの多くの作業は、顧客がカスタマー・サービス担当者と話さなくても自動化で対応できますし、また自動化すべきです。たとえば、簡単な不良品の返品は単純なチャットボットで処理できることがよくあります。顧客がフォームに質問を書き込むと、価格の見積もりを返信したり、詳細情報を求めたりすることもできます。これらのシンプルなオートメーションは時間を節約しながら顧客のニーズに応えます。カスタマー・サポートに電話したり、人間の担当者を待つ必要がないのです。

5. メッセージングベースのカスタマー・サービスが成長

2010年代は、多くの顧客がソーシャルメディアに質問や問題を投稿し、組織のカスタマー・サービス担当者とコミュニケーションを取っていました。WhatsAppやSMSベースのカスタマー・サービスといったメッセージング・アプリの台頭は、組織との非同期コミュニケーションに関心を持つ消費者にとっては次なる進歩です。カスタマー・サービス・チームにいるライブ・エージェントと電話で話したいという顧客層がなくなることはありませんが、今後、組織とやり取りする際はサポート・チームに文書形式で連絡する手段を選ぶ顧客が増えるでしょう。

大半の組織は、応答時間に対する顧客の期待に応えるため、テキストやメッセージにほぼリアルタイムで応答できるようにするインフラストラクチャーを構築する必要があります。メッセージングを利用することで、組織が顧客をフォローアップして、製品に満足し続けられるようにする良い機会を見つけることもできます。

6. パーソナライズされた体験への欲求

組織は顧客関係管理(CRM)ツールにより、顧客、その顧客に見られる傾向、購入履歴をこれまでになく正確に追跡できるようになりました。そして長い時間をかけて、膨大な顧客データを蓄積してきました。このデータをリアルタイムに、簡単かつ迅速に解析できる機械学習などのテクノロジーを利用することにより、組織はカスタマー・ジャーニー全体で、よりパーソナライズされた体験を構築できるのです。

たとえば、顧客の好みに基づいて限定オファーをEメールで送信したり、誕生日に無料の商品や割引コードを送ったりできます。カスタマー・サービスの担当者が対応する顧客の情報にアクセスし、それを生かしてカスタマー・リレーションシップを向上させることも可能です。

7. 積極的なサポートの必要性

優れた顧客体験を提供できているか悩んでいる組織は、もはや顧客からのフィードバックを待つことはできません。それよりも、問題が起こる前に顧客にアプローチできる方法に投資し、顧客が製品に満足し、正しく使用していることを確認する必要があります。たとえば基盤となっている顧客層に、製品の使用方法を理解するのに役立つチュートリアルをEメール送信することができます。

競争優位性としての重要トレンドの監視と実行

組織が優れたカスタマー・サービスを提供するには、顧客の期待に応えるために重要トレンドを把握し続けることが求められます。生成AIや機械学習などの高度なテクノロジーを採用する組織が増えるにつれ、同じことをしない組織は競争に後れを取ることになります。

顧客は生涯を通じてさまざまな企業と関わりを持つため、優れたカスタマー・サービスを提供する企業と、サービスを過小評価し、そこに十分な投資をしない企業を簡単に区別できるということを覚えておかなければなりません。

サービス専門家の大多数(60%)(リンクはibm.com外部)は、パンデミック以前と比べて顧客の期待が高まっていると述べています。したがって、不十分なカスタマー・サービスはビジネスの成長と顧客維持にとって大きな障害となるのです。IBVによるCEO(最高経営者)向けカスタマー・サービス用生成AIガイドによると、CEOはこれを痛切に理解しており、生成AIへの投資を組み込む上でカスタマー・サービスを最優先事項としているそうです。

IBMは10年以上にわたって、企業が信頼できるAIをこの分野に適用するのを支援してきました。生成AIは、複雑な問い合わせを理解し、より人間に近い会話型の応答を生成する能力によって、カスタマー・サービスやフィールド・サービスを大幅に変革する可能性をさらに秘めています。

IBM® Consultingは、エクスペリエンス設計とサービス、データ、AIトランスフォーメーションにおけるエンドツーエンドのコンサルティング機能を提供します。エンタープライズ対応AIおよびデータ・プラットフォームであるIBM® watsonxと、市場をリードする対話型AIソリューションであるIBM® watsonx Assistantを使用して、対話型AIの強化、エージェント・エクスペリエンスの向上、コールセンターのオペレーションとデータの最適化を実現するAIの価値創造プロセスを通じて、お客様とパートナーシップを結びます。

 

著者

Keith O'Brien

Writer

IBM Consulting