CIOは、AIを取り巻く期待と、それがビジネスを変革する可能性について熟知しています。生成AIとエージェント型AIは急速に進化しています。今こそ、このテクノロジーを活用して真のビジネス価値を高める素晴らしい機会を真剣に検討するのに最高のタイミングです。
AIには、顧客体験から業務運営に至るまで、ビジネスのあらゆる側面を変革する可能性があります。IBMでは、未来の働き方は人間対機械ではなく、人間と機械が協力してより良い成果を生み出すものだと強く信じています。あるリーダーの言葉を借りれば、「AIはアイアンマン・スーツをまとったトニー・スタークのような存在」だと言えます。
私のチームは私のことをシニカルな楽観主義者だと言うでしょうが、誤解しないでほしいのは、AIエージェントやAIアシスタントを活用してビジネス変革を推進することに関しては、私は非常に楽観的であるということです。私の楽観的な側面は、根本的にAIによるエンタープライズの生産性向上を信じています。さらに、私たちが真の可能性を引き出すためには、オープンなアプローチが不可欠だと考えています。これらのツールは、ルーティン作業の自動化、リアルタイムのインサイト提供、チームの効率向上、そして顧客体験の強化に不可欠なものだと捉えています。
確かに、この楽観的な可能性と、それを実現するための技術的な要件との間には大きなギャップがあります。CIOとして、私はそのギャップを日々乗り越えながら進んでいます。問題は、AIという新しいツールを急いで導入しようとするあまり、多くのCIOや技術リーダーが明確な戦略やプラットフォームレベルでの統合能力を持たずに、既存のソフトウェアの上にチャットボットやコパイロットを深く考えずに追加してしまうことにあります。
AIによるエンタープライズの生産性向上の価値を最大限に引き出すには、企業は自らの業務の進め方や、その背後にあるマインドセットについて内省する時間を持つ必要があります。
AI活用のグローバル・トレンドや日本の市場動向を踏まえたDX、生成AIの最新情報を毎月お届けします。本ニュースレターは【日本語】で配信しています。登録の際はIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。
まず前提を整理しましょう。AIは単なる作業の自動化にとどまらず、人間の能力を拡張し、より良い意思決定を支援し、効率的に業務を進め、より付加価値の高いプロジェクトに注力できるようにするものです。
AIを活用した変革には、組織内での文化的な変革が求められます。経営層から新入社員に至るまで、組織全体が挑戦を受け入れ、失敗から学び、新しい働き方に迅速に適応する文化を育むことが不可欠です。
生成AIを最優先に据えた企業になるとは、AIをビジネス戦略の中心に据え、その能力を活用して組織全体の変革を推進することを意味します。それは、単に「AIを使った」という実績を作るために、常にどんな場面でもAIを使うことを意味するのではありません。それは戦略的かつ意図的なものであり、確実に実現可能なみのでなければなりません。
皆様はCIOとして、AIエージェントの驚異的な可能性を活用してビジネスを変革する絶好の立場にあります。AIの価値を最大限に引き出す旅は、既存のインフラストラクチャーにシームレスに統合することから始まります。まずはじめに、以下の重要なステップを押さえましょう。
簡単に言えば、AIエージェントはツールの一つです。確かに大きな力と可能性を持つツールですが、その潜在能力を最大限に発揮するには正しく活用することが不可欠です。
既存のシステムをヴィンテージのレーシングカーに例えてみてください。古い技術の時代に作られたものであっても、その潜在能力は十分に秘められています。しかし、最新かつ最先端の技術と連携できるようにするには、適切なモダナイゼーションを施すことが必要です。そうすれば、かつてよりも力強く、再びレースの最前線を走ることができます。
私たちは、重要なプラットフォーム統合やデータ形式の不整合に対応する前にAIエージェントを導入しようとした際の課題を、実際に目の当たりにしてきました。旧式でサイロ化されたシステムは、AI導入の妨げとなることがあります。そこで貴社にできることは何でしょうか。
私のチームでは、インフラストラクチャーやアプリケーション環境の最適化に加え、エンドツーエンドの業務プロセスの再設計も行いました。また、APIファーストのアーキテクチャー、戦略的なプラットフォームパートナーのソリューション、そしてIBMの自動化ツールに投資し、既存システムと最新システム間の相互運用性の効率化を図りました。
相互運用性ソリューションと並行して、私たち自身がクライアントゼロとして、説明性、透明性、信頼性を支える高品質なデータの活用を最優先しました。IBMはこの分野で卓越しているため、モデルのトレーニングやAIエージェントの活用に用いるデータに自信を持っています。
AIのためにデータを整備するには、説明責任、透明性、説明可能性を含むAIファーストのマインドセットが不可欠であり、それらは明確なガバナンスポリシーやガイドラインによって確立される必要があります。これは以下のことを意味します。
個人的には、責任あるAIの実践はAI戦略に不可欠な要素だと考えています。IBMのように、責任ある実践をソリューションに組み込んでいる企業は、将来的にAIソリューションがもたらす課題に対応できる立場に立つことができます。
ピーター・ドラッカーの「文化は戦略を朝食に食べる」という言葉を耳にしたことはありますか。私も同感です。そして、AIエージェントをビジネスに導入することは、文化の力が良くも悪くもいかに強力であるかを示す絶好の教訓となります。人はしばしば変化に抵抗しますが、それは変化が悪影響をもたらすと考えるからです。AIに対する抵抗も同様であり、それが導入や価値の実現を妨げることがあります。
先ほどの「AIファースト企業になる」という話を覚えていますか。これは、デジタル・トランスフォーメーションというだけでなく、文化的なトランスフォーメーションでもあります。そして、私は変わらず楽観主義者として、文化はより良い方向に変わり得ると信じています。IBMでその現場を実際に目にしています。
AIファーストの文化を前向きに育むためには、どのような取り組みができるでしょうか。
IBMでは、トップダウンの支援と全社員の継続的な学習を通じて、AIファーストの文化醸成に努めています。きれいごとを言っているのではありません。このような文化的変革を定着させるには、経営層の賛同が明確に示されることが不可欠です。まずは小さく始めて、いくつかの成功体験を積み重ねるのがよいでしょう。私のチームがAI駆動の自動化を導入し、手作業を削減したことで、コスト削減と効率向上を実現し、組織全体の賛同を得ることができました。
CIOはサイロを解消し、多様なチームが共に働ける場を創出する絶好の立場にあります。私たちは他のビジネスリーダーと共に座り、技術者とも対話を重ねています。また、AIプロジェクトにおいてデータサイエンティスト、各領域の専門家、ビジネス・リーダーをつなげる方法を熟知しています。こうして、従業員、顧客、そしてビジネスの向上を目指してAIエージェントを活用するという共通のミッションを持つ人々を結集させています。AIソリューションに対する共通の理解と責任感こそが、文化の変革を促す原動力となります。
私は、業務プロセスにおける人間らしさを維持することを強く支持しています。実際、それをテーマにしたポッドキャストも配信しています。繰り返しになりますが、AIエージェントは人間を置き換えるのではなく、補完するものであるべきです。
成長思考を促進しましょう。従業員がAIのような進化する技術について学び続けることができ、またそうすべきだと感じられる環境を育成しましょう。従業員が活用できるAIツールを自分でコントロールできているとさらに感じられるよう、スキルアップや再スキルを可能にする施策を推進してください。そして、従業員が実験し、さらに学び、成長のためにプロセスを改善していける環境を整えましょう。
私は、IBMがこのマインドセットと、それに伴う実験的な取り組みを積極的に推進していることを誇りに思っています。そのすべてを通じて、人間による監督と感情的な関わりが、私たち同士や顧客との対話の核となり続けています。
AIは、複数のステップからなる作業の自動化から、リアルタイムでデータに基づく推奨の提供まで、ビジネスに変革的な機会をもたらします。私のチームが現在AIを活用している3つの方法:
CIOである私は、AIソリューションの効果を最大化するため、プロセスの中の課題を特定し、可視化し、整備してスムーズにすることが自分の役割だと考えています。また、AI技術を深く理解し、課題に対して積極的にAIファーストのアプローチを取ることで、私たちは大幅な生産性向上を実現し、AIエージェントを活用したより大きなビジネス変革を推進できると確信しています。
生成AIを使用してワークフローとプロセスを自動化する強力なAIアシスタントとエージェントを構築、デプロイ、管理しましょう。
信頼できるAIソリューションでビジネスの未来を構築します。
IBMコンサルティングAIサービスは、企業がAIをトランスフォーメーションに活用する方法を再考するのに役立ちます。