電子データ交換とは

電子データ交換(EDI)とは、企業間におけるビジネス文書の標準形式での交換のことです。EDIの簡単な定義は、注文書または請求書のような紙ベースの文書に置き換わる標準の電子形式です。紙ベースのトランザクションの自動化(PDF、669 KB)により、組織は時間を節約でき、手動処理によって生じる、修正するのにコストがかかるエラーをなくすことができます。

EDIトランザクションでは、情報はある組織のコンピューター・アプリケーションから別の組織のコンピューター・アプリケーションに直接移動します¹。EDI標準は情報の場所と順序を文書形式で定義します。この自動化機能により、データを迅速に共有できます。紙文書やその他の方法の場合は、数時間から数日間、数週間を要します。

現在、企業ではEDI統合を使用して、発注書から請求書、見積依頼書、融資申込みに至るまでの、様々なタイプの文書を共有しています。大半の場合、こうした組織はサプライチェーンと企業間(B2B)ネットワークの一環として商品やサービスを頻繁にやりとりする取引相手です。

 

EDIのガイド

EDIのトランザクションはすべてEDIメッセージ標準によって定義されます。データ品質に適切なガバナンス・プロセスを備えることが不可欠です。情報が不足していたり、誤った場所に記載されていたりすると、EDI文書が正しく処理されません。

標準は、EDIにおけるやりとり の基礎となるものです²。ODETTE、TRADACOMS、GS1、Peppol、Accredited Standards Committee X12(ASC X12)など、複数の組織がEDIメッセージ標準を定義しています。

一般に、EDIの伝送は、次の2つの基本的なタイプに分類できます。

  • Point-to-Pointまたは直接接続 - この場合、2台のコンピューターまたはシステムが、インターネットを経由せずに接続されています。通常はセキュア・プロトコルを使用します。
  • 付加価値通信網(VAN)- この場合、データ伝送はサード・パーティー・ネットワークで管理され、通常はメールボックスというパラダイムが使用されます。

EDIインターネット伝送プロトコルには、Secure File Transfer Protocol(SFTP)、Applicability Statement 2(AS2)、HTTPSベースのプロトコル、Simple Object Access Protocol(SOAP)などがあります。

EDIデータ・エレメントには、送信側IDや受信側IDなどの項目が含まれます。各データ・セグメントでは、複数の関連するエレメントを結合してより包括的な意味を持たせることができます。例えば、FNAMEとLNAMEを結合してCUSTOMERNAMEとするなどです。エンベロープは、さまざまなタイプのデータを構造化し、送信側と受信側のアドレス情報を伝送します。EDIの文書フローまたはメッセージ・フローでは、ビジネス・プロセスまたはトランザクションを実行するための各種のインバウンドとアウトバウンドのアドレスや部門へのEDIメッセージの移動を記述します³。

Extensible Markup Language(XML)やJavaScript Object Notation(JSON)などのメタ言語は、EDIに取って代わるものではなく、EDIを補完するものです。文書の形式や伝送の手段は増え続けていて、企業はこれに対応しなければなりません。グローバルな製造メーカーの場合、日常的に2,000社近くの取引先と約55種類の文書タイプを交換しています。 

「IBM Supply Chain Business Networkの使用を開始する前は、B2Bトランザクションの20%にまでエラーが発生していました。今ではエラーは少なくなっています。例えば、以前はお客様が誤ったコードを提出したために転送オーダーに問題が生じたことがあり、それはお客様サービス・チームにとって骨の折れる問題でした。これらのすべては手動で行われていたため、今ではおそらく80%程度減少していると思われます。」他のEDIマネージャーがIDCに語ったことの資料で、IBM Sterling Supply Chain Business Networkでの戦略的価値の推進方法についてお読みください。

EDIのメリット

EDIトランザクションは、B2Bプロセスにとって不可欠であり、小規模から大規模までの企業間で文書とトランザクションを交換するための優先手段であり続けます。

EDIテクノロジーは自動化とB2B統合を通じて、次のような5つの主要なビジネス上のメリットを提供します。 

大規模な組織では、EDIで取引先全体に対する標準を導入することで、皆が一様に利益を得ることができます。小規模な組織では、EDIを順守することで、多額の予算を持ち、影響力の大きな大企業との統合を促進できます。

EDI実装

企業によっては、EDIを実装するのが困難な場合があります。その理由の1つとして、次々に変わる政府の規制、標準、更新に対応しなければならないことが挙げられます。また、EDIは本質的に複雑です。これは、グローバルなビジネス・ニーズの複雑さに対応する必要があるためです。例えば、B2Bネットワークの取引先ごとに個別の要件が存在する場合があります。取引先2社で使用するEDI文書について合意を得られても、サポートする必要のある書式の要件がそれぞれ異なる場合があります。こうした要因から多くの組織がEDIソリューションをアウトソーシングしています。

社内で対応する場合でもアウトソーシングする場合でも、EDIを効果的に実装するためにはいくつかの基本的な条件、機能、リソースが必要になります。文書タイプ、セキュアな伝送方式、必須のハードウェアとソフトウェアに関する合意のような要因に加えて、効果的なEDI実装では以下を検討する必要があります。

  • 変換またはマッピングのソフトウェア - 氏名、住所、貨幣額、部品番号、数量などのフィールドを取り込み、それらをビジネス・アプリケーション・フォーマットから標準化された文書にマップします。その逆も同様です。
  • エンベロープまたはエンベロープ解除のバッチ機能。大量のEDIメッセージのバッチ処理をサポートすることで、送信側と受信側によるトランザクションのラップ およびアンラップ を可能にし、取引先の複数の部門や領域からのメッセージをグループ化したり、分割したりできます。
  • メッセージ・ルーティング・メカニズム - メッセージをエンベロープ解除し、さまざまなグループ向けにソートして、適切な宛先に配信するためにこの機能が必要です。メッセージを宛先に合わせた正しい形式にするために、メッセージ変換が必要になることもあります。
  • 取引先契約(TPA) - 取引先間で取引条件を明確にして、ビジネス文書の標準を設定し、通信とビジネス・プロトコルを定義します。

EDIの未来

このようなケースを考えてみましょう。積荷の破損に関連するチャージバックが、EDI 214文書のTransportation Carrier Shipment Status Messageを使用してトリガーされているとします。積荷の資材は使い物にならず、売り物にもなりません。今日であれば、チャージバックに関わる紛争が起こる可能性があります。

しかし、将来のサプライチェーンでは、EDIが、モノのインターネット(IoT)、ブロックチェーン、人工知能(AI)などのイノベーションを支える中核的な文書交換機能となります⁴。未来のEDIでは以下が使用されます。

  • IoTセンサー - 積荷の梱包材に組み込まれ、周期的なEDI 214メッセージに結合されて、荷物の状況をほぼリアルタイムに把握できます。
  • ブロックチェーン・テクノロジー - 配送に関する基礎的なEDI情報フローにより、一元管理された一貫性のあるデータを共有でき、チャージバックに関する紛争の素早い解決や回避が可能になります。
  • AIエージェント - 配送に関連するイベントや情報をすべてモニターして、非準拠のイベントの特定、再配送が必要かどうかの判別、最も効率的な交換品調達元の分析を行い、新たな配送と承認済み返品を開始します。

EDIおすすめ資料

参考資料

¹ 「Electronic data interchange (EDI): An introduction (ibm.com外部へのリンク)」、Roger Clark、Business Credit、2001年10月

² 「Electronic data interchanges (ibm.com外部へのリンク)」、Wikipedia

³ 「EDI and B2B basics (ibm.com外部へのリンク)」、Sriniedibasics、2011年8月20日

⁴ 「The future of EDI: An IBM point-of-view (PDF, 722 KB)」、IBM Watson Supply Chain、2018年10月