Carlos Angelo Brenes氏

コスタリカの美しいカルタゴ地域に位置するConbiol Irazúは、農業で30年以上の経験を持つ家族経営の農場です。Brenes氏の家族は、ニンニクの生産を専門とする一方で、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、ビート、セロリ、インゲン、チャイブなどの多様な農産物を小規模に栽培しています。

会計学の学位を取得したCarlos Angulo Brenes氏は、家族の経営する会社に入社し、経営にに積極的に関わっています。気候問題の影響の大きさと、いかに予測不可能であるかを認識したBrenes氏は、革新的なソリューションを使用して農場でこれらの問題を対処し、同時に家族経営の複雑な経営状況を乗り越えることに専念しています。

「雨が少なければ、干ばつが多くなります」とBrenes氏は言います。「もう、バランスというものはありません」その結果、不安定な気象パターンが害虫の個体数急増などの問題が引き起こされ、作物の被害が増大し、収量が減少し、経費は増加しています。

気候変動に応じて経営を効果的に計画および管理するために、Brenes氏はコスタリカの気象機関を定期的に訪問し、気象データにアクセスしています。このデータは彼の計画にとって非常に重要であることが判明しましたが、移動時間は退屈だし、移動に伴うコストもかかることから、全体的に不便だと感じていました。2023年12月、Brenes氏がラテンアメリカを拠点とする非営利団体Plan21財団のプロジェクト・コーディネーターであるGuadalupe Carbó氏と出会ったことで、状況が変わりました。

IBMとPlan21は、IBM Impact Acceleratorを通じて協力し、小規模農家が持続可能な方法で作物を管理できるように設計されたカスタマイズされたモバイル・アプリケーション「YvY」を開発しました。IBM Impact Acceleratorは、AIなどのテクノロジーや専門家のエコシステムを通じて、世界中の環境的および経済的ストレスに直面しているコミュニティを支援するIBMのソーシャル・イノベーション・プログラムです。Plan21は、持続可能な農業に焦点を当てたIBM Impact Acceleratorの初代グループの一つに選ばれました。

Carbó氏は、Brennes氏の話に興味をそそられ、気象、農学、およびカーボン・フットプリント・データを使用した技術的なトレーニングと適応ツールを提供するYvYを紹介しました。YvYは、IBM CloudとIBM Environmental Intelligenceの気候データを活用し、天気予報などの洞察を提供することで、農家が持続可能な生産管理を促進するのに役立ちます。

YvYを使用することで、Brenes氏は天気予報に簡単にアクセスできるようになり、種まきや収穫に関して十分な情報に基づいた意思決定を行えるようになります。このテクノロジーにより、同氏の農場の生産量は大幅に増加し、わずか1年で3倍近くになりました。YvYの支援により、Brenes氏はパスタ・メーカー、ソース・メーカー、ガーリックオイル・メーカーなど、さまざまな食品企業に製品を供給し、製品ラインナップの拡大に成功しました。

Brenes氏は、YvYのQRコード機能のメリットを受けていると述べています。この機能により、彼が持続可能な農業を実践する様子を明確に示すことができます。QRコードをスキャンすることで、顧客は環境に優しい生産方法を直接確認できる画像や動画にアクセスし、生産物への理解を深めることができます。消費者が食品の生産プロセスを理解することを優先する中で、このレベルの透明性はますます重要になっており、Brenes氏はこの機能を使って新規顧客を獲得することができています。

「気候は、私たちにとって非常に重要です」とBrenes氏は言います。「このアプリは私の農業を変えました。このアプリのおかげで私の仕事内容や計画の立て方が変わりました。」

Brenes氏は、持続可能な農業に打ち込みながら、新しい作物を栽培することで生産量を拡大する計画です。Brenes氏は、何世代にもわたって生活を支えてきたこの土地の長年の役割に感謝することの重要性を強調し、自然の貴重なリソースを大切に育むという私たちの共通する責任を強調しています。今のところ、Brenes氏は未来を形作る革新的なテクノロジーを受け入れながら、伝統を尊重し続け、未来へと進むつもりです。