気候リスクの管理
地理情報データと分析が環境への影響とビジネス・リスクを最小限に抑える方法を紹介します。
地理情報データと分析が環境への影響とビジネス・リスクを最小限に抑える方法を紹介します。
気候変動は、今すぐ対処しなければならない深刻な脅威です。さまざまな生き物や生息地に甚大な負荷を与えており、経済的な影響も大きくなっています。米国だけを見ても、2021年に20回発生した最大規模の気象および気候災害は、総額で1450億米ドルの被害を及ぼしました。¹
幸いなことに、世界は、何もしないことのリスクがあまりにも高いため、何か行動を起こすべき時期に来ているということに気付き始めています。 世界経済フォーラムの2022年のGlobal Risks Reportは、「気候変動対策の失敗」を今後10年間に私たちが直面する極めて深刻なリスクの1つとして挙げています。³そして企業はそのメッセージを受け取っています。企業は、気候変動が自社の事業にもたらすリスクに対処しなければならないことも、自社の環境への影響を軽減しなければならないことも把握しています。
それでは、次の段階は何をすればよいのでしょうか。実際には気候変動の影響にどのように備えればよいのでしょうか。ここでは、組織が直面している気候リスクをよりよく理解する方法と、ビジネスと環境のためにそれらのリスクを軽減するにはどのような行動を起こせばよいかを考えていきます。
200億米ドル規模の気象および気候災害が2021年に米国だけで発生しました。²
気候変動と悪天候が事業運営にもたらす損失が拡大しています。建物や資産からサプライチェーン、インフラストラクチャー、従業員まで、あらゆるものがリスクにさらされています。このリスクの規模や性質を把握することは非常に重要です。この目的を達成するために、企業は以下のことを可能にする必要があります。
これらの要点を挙げるのは簡単ですが、行動に移すのは簡単なことではありません。その理由は、 気候リスクを真に把握するためには、想像を絶するほどの膨大なデータ・セットを収集し、分析する必要があるからです。
地球を監視している衛星からの地理情報データをすべて分析することを考えてみてください。世界各地の気象予報データもあります。そして、資産、設備、インフラストラクチャーについて組織が生成する全データを考えてください。さらに、組織とサプライチェーン全体の二酸化炭素排出量のデータを加えます。その結果、 膨大な量の、継続的に更新されるデータ・セットは、大きすぎて動かせません。
幸いなことに、このような状況に陥っている企業はほとんどありません。2019年、IBMが調査を実施した経営者層の96%は、すでに気象データを運営計画に取り入れていると回答しました。しかし、そのデータを使用して、気候リスクをモデル化し、予測し、行動を起こすには、新しいツール、テクノロジー、専門知識が必要です。⁴
全体像を把握しましょう。地理情報データを利用して気候リスクをモデル化し、環境への負荷を軽減する方法を紹介します。
IBMは、IBM® Environmental Intelligence Suiteを開発しました。これは、企業が異常気象や気候変動対策の失敗、人類による環境破壊といった気候関連のビジネス・リスクを理解し、軽減するための、強力で包括的なソリューションです。IBM Environmental Intelligence Suiteは、気候学と事業運営の溝を埋めるためのクラウドおよびAIを活用したソフトウェアです。強力な地理情報分析エンジンと気候および環境影響モデリング・フレームワークを組み合わせており、以下のようなことが実現できます。
IBMの特別研究員スタッフ・メンバーでFuture of Climateのチーフ・サイエンティストであるHendrik Hamann博士が、企業が気候変動に備えるために、どのようにインテリジェンスを活用できるのかについて説明しています。
IBM Enviziは、スコープ1、2、3のGHG計算をサポートし、社内外のESGとサステナビリティー・レポートの要件を満たす柔軟なレポート作成ツールを備えています。
IBM Enviziは、企業向けカーボン管理ソフトウェアの世界的なリーダーとして認識されており、Verdantix社による「Green Quadrant: Enterprise Carbon Management Software 2022」においてカーボン管理機能および市場の推進力で最高得点を獲得しました。
社用車、製造工程、自社の敷地内での燃料の燃焼などによって発生した「直接的」な排出が含まれます。
他社から提供された電気、熱、蒸気の使用による「間接的」な排出が含まれます。
企業の直接的な管理外のサプライチェーン内の他企業や活動によって発生する排出が含まれます。
局地的なレベルで頻繁にデータを使用することで、転てつ機の除雪を自動化し(中略)これにより、運行管理者は鉄道の運営に完全に集中することが可能になります。
Dan Plonk氏
Norfolk Southern社
元運輸アプリケーション計画ディレクター
デスクトップまたはモバイルを介してアクセス可能な監視ロケーションのリアルタイムのダッシュボードにアクセスできます。 拡張性の高いアラート機能により、データサイエンス、地理位置情報、分析を組み合わせて、タイムリーに自動でカスタマイズされたメッセージを関係者に配信できます。
位置情報データと分析を拡張します。 複雑なクエリー、機械学習を活用した分析、AIワークロードを実行して、データサイエンティストが迅速に複雑なデータ・セット間のパターン、傾向、相関性、関係性を解明することで、価値実現までの時間を短縮します。
調達チームや運用チームの報告の負担を軽減しながら、炭素会計を運用化します。 炭素会計APIを使用することで、定常排出量、漏えい排出量、移動排出量、ロケーション基準の排出量、マーケット基準の排出量、輸送と流通の排出量を測定し、報告できます。 二酸化炭素削減のイニシアチブの目標の重点領域を特定することも可能です。
エネルギーと公共事業の会社は、最も気候リスクにさらされており、再生可能エネルギーへの移行において重要な役割を担っています。 IBM Environmental Intelligence Suiteは、このような重要な分野向けのオプションのアドオンを備えており、以下のことが可能になります。
定義されたサービス地域内で予測される天候関連の停電を表示し、把握します。 停電予測を用いることで、公益事業システムに与える気象と気候の変動の影響を評価し、その影響を緩和するために必要とされる適切な対応レベルを判断することが可能になります。
気候変動と急速なキャパシティーの増加により、世界中の多くの場所で再生可能エネルギー発電の予測が困難になっています。 IBMの再生可能エネルギー予測プラットフォームは、公共事業規模の風力発電所や太陽光発電所に正確な電力量の予測を提供します。 その仕組みをご覧ください。
気候変動が天候の予測を難しくしています。 Yara社が、どのように世界中の農家向けの予測データ・プラットフォームを構築して、農家が最適な収量を得るための計画、種まき、管理、収穫を支援しているのかをご覧ください。
植生管理の予測的アプローチにより、1000万米ドルの年間予算を大幅に削減できます。 Pedernales Electric Cooperative社が、IBM Environmental Intelligence Suiteを活用して、どのように効率性、信頼性、安全性を向上させているのかをご覧ください。
デンマーク気候エネルギー省が所有する独立公営企業のEnerginet社が、2030年までに再生可能エネルギーによる発電を100%にするという目標の達成を実現するために、どのようにIBM Environmental Intelligence Suiteの予測機能を活用しているのかをご覧ください。
¹ 2021 U.S. billion-dollar Weather and climate disasters in historical context(ibm.com外部へのリンク)、NOAA National Centers for Environmental Information、2022年1月24日
² 2021 U.S. billion-dollar Weather and climate disasters in historical context(ibm.com外部へのリンク)、NOAA National Centers for Environmental Information、2022年1月24日
³ The Global Risks Report 2022(PDF, 5.9MB)(ibm.com外部へのリンク)、World Economic Forum、2022年
⁴ Just add weather – How weather insights can grow your bottom line(PDF, 1.4MB)、IBM Institute for Business Value、2018年5月