多くの企業で、既存システムがブラックボックス化しており改修することが難しい、システム修正のリード・タイムがビジネス環境の変化スピードに追いつかない、という悩みを抱えています。DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進において、これらのシステム制約は大きな足かせとなります。 これらの課題を克服する解決策のひとつとして、BRMS(Business Rule Management System)を用いた自動化ソリューションを紹介します。
ビジネス・ルールとは、請求金額計算や査定など「ある条件の基で下される判断規則」となります。BRMSにビジネス・ルールを蓄積することにより、属人性を排除し、判断業務を自動化することが可能となります。他社との競争に打ち克つには、ビジネス環境変化に対し迅速にビジネス・ルールを変更し、業務に自動反映することが求められます。ルールベース開発プラットフォーム 「yonobi」 は IBM Decision Manager Open Edition をベースに、BRMSで扱うビジネス・ルールを「簡単に作れる! 試せる! 使える! 」をコンセプトとしたソリューションとなります。
ソリューションの説明の前に、BRMSの特徴を簡単に説明します。
従来のシステムは、判断ロジックとなるビジネス・ルール、システムで利用されるデータ、振る舞いとして動作するプロセスが、ひとつのアプリケーションのなかで複雑に組み合わさることで成立しています。そのため、ビジネス的に小さな仕様変更であっても、システム改修の時間とコストが大きくなるケースがみられます。
BRMSは、業務仕様であるビジネス・ルールだけを、独立して管理しています。その結果、ビジネス・ルールの変更による影響範囲を限定でき(プロセスやデータに関する回帰テストが不要)、システム改修のリード・タイムを短縮できます。
ここまでBRMSが、いかに利用価値が高いかを確認してきました。しかしながら「いざ、BRMS導入」となると、独自言語の学習コストや、テストを含めた動作環境の構築や、アプリケーションとルール実行環境の組み込みなど、導入を妨げる障壁が立ち塞がります。この壁を意識することなく、BRMSのメリットを享受するために、株式会社オージス総研はルールベース開発プラットフォームyonobi を開発しました。
ビジネス・ルールは、業務の用語(日本語)を使用して直感的な画面操作で作成できます。 ビジネス・ルールで使用するファクト(データ)、区分を定義し、数値式、文字列式、日時式は用意された関数を活用して、さまざまな業務のルールを作成できます。 作成したルールは、Excel形式の仕様書として出力することも可能です。
作成したビジネス・ルールは自動的にコード生成され、画面からビルドしてすぐに動作確認できます。 下の図のような分かり易い画面に直接データを入力してルールの実行結果を即座にレビューできます。 あらかじめ作成したファイルから入力して実行することも可能です。
ルールエンジン(SDK)は、Javaの部品として業務アプリに組み込んで利用できるだけでなく、ルールと業務アプリを分離した構成も可能です。 さらに、ルールをデシジョン・サービスとしてAPI化すると、RPAやERPなどさまざまな連携先からエコシステムとしてルールを利用できます。
これまで紹介してきたように、yonobi を用いることで、システム効率化や既存のビジネス・ルールを他システムで活用することを容易にします。ただ、これまで紹介した活用だけでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)に到達することはできません。
DXが目指すのは、データとデジタル技術を活用してビジネスモデルや組織を抜本的に改革することです。これを実現するには、ビジネスの最前線で顧客や取引先の要求・要望と直面している業務担当者が、ITシステムの業務プロセスを構築する必要があります。DXのビジネス・リードを担う業務担当者が直に、ビジネス・ルールを作成・変更できることが望ましいのです。
しかしながら、業務担当者がシステム構築や改修などのすべてのITスキルを保有することは、現実的に難しいことです。
そこで、IT担当者のようにITスキルに長けていなくても、ビジネス・ルールを作成・変更できるシステムの環境が提供されればDX実現が大きく推進できる、と言い換えることができます。
yonobi がDX推進のひとつの解決策となるという理由を説明します。